「バレンタインとかまじ意味わかんねーわ。」
「愛や情けは哀しみしか生まないんだぜ。」
「みんなーしねばいーのにー☆」
「わか゛ら゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「いっしょに
ゆっくりしようなちぇん!」
負け組の嘆きとかゆっくりの声とかが木霊する2月14日。所謂バレンタインデーである。
まあ一部の特権階級以外には、「たまには高いチョコでも食ってみるかな~」程度の日である。
そしてこのバレンタインデー。ここ最近ゆっくりの間でも広まりつつある事が判明した。
今日はそんなゆっくり達のバレンタインデーについて記そうと思う。
「ゆっくりしていってね!!!」
ベランダで洗濯物を干していると何か聞こえた。
下を見るとれいむが居た。いつも通りにふてぶてしさとウザさが混じった癖になる顔である。
マンションの4階なのにどうやって入ってきたという安易なツッコミはもうしないことにした。
今まで何度あったかわからない。
「おーゆっくりしていってねー。」
適当に返事を返しつつ、洗濯物を干す作業を続ける。
「ところでおにーさん。」
「金なら絶対に貸さない。」
別にゆっくりがそんな物を求めたことなど一度もない。
「ゆぅーんそうじゃないよ。きょうはなんのひかしってる?れいむはぱちゅりーにきいたからしってるよ!」
「アル・カポネがヒットマンと通行人を射殺した日だろう?」
「おにーさんはもうちょっとすなおになったほうがいいよ!」
余計なお世話である。人の腐った性根などそう簡単には治らない。
掃除も終わり、台所でチョコの準備を済ませると
ベランダを開けっぱなしのままコタツでれいむとぬくぬくしていた。
無駄にもっちりとしたほっぺが腹立たしい。むにむに。
「つねらないでね!いたいよ!」
「アストロンすればいいじゃない」
「ゆ!あすとろん!・・・ざんねんだったねおにーさん。きょうはえむぴーさんがなかったよ!」
ピザ煎餅うめぇ。
ベランダを開けたままにしておくと、予想通り次々とゆっくりが現れた。
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「ちーんぽ!」
何時もはれいむとまりさのしか来ないのだが、今日に限ってはワラワラとゆっくりが押し寄せてきた。
まりさ、ありすとぱちゅりー、みょんだのきめえ丸だのれみりゃだのなんだの。
れいむを合わせるとその数7匹。
「ていせいしてね!」
失礼。7人である。
7匹のゆっくりが炬燵を囲む。
歌ったりシェイクしたりと大変うるさい。呼ぶならもっと静かな奴らを呼んで貰いたかった。
まだ「ゆ~ゆ~ゆ~」って感じのはまだ耐えられるのだが
流石に大声で「うっうー☆うあうあー☆」などと歌われると近所迷惑である。
がやがやと騒いでいるうちに、俺は台所から今日の為に用意しておいたチョコを炬燵まで持って行った。
なんの変哲もない板チョコである。だって面倒なんだもん。
「はいはいチョコレートチョコレート。」
皿に乗せられた板チョコがキラリと輝いた……気がした。
「ゆぅうううんんん!!! とってもゆっくりしてるよ!」
「ゆっくりー! すっごいゆっくりしたあまあまさんだね。」
「みんなでたべるわ!」
「うー♪ ちょこれーとだどぉ~☆」
「むきゅん! これはいたちょこね!」
「ペニース!」
「甘そうですね。おお、感謝感謝。」
反応は概ね良さそうだ。
小皿に分けて全員に配分する。
途中、まりさが「ゆっくりたべるよー」などとフライングをしようとしたので
灼熱のバーンストライク(電気ストーブにすりすり。まりさは死ぬ。)で落ち着かせた。
「全員貰ったか?」
「もらったわよ!」
全員に行きわたったのを確認し、両手を前に合わせる。
「では、いただきます。」
「「「「「「「ゆっくりいただきますね!!!」」」」」」」
「ゆががががががが!!!むーしゃむーしゃ!」
「おお、汚い汚い。ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
全員まるで餓えた獣のようにがっつく。おめーらゆっくりしろよ。
そして全員が一斉に止まった。不味かったのか?
「ゆぐぐぐぐぐぐぐぐぐ」
「うぅぅぅぅぅぅぅぅー」
「ずきゅー・・・むきゅうううううううううう」
「「「「「「「し☆あ☆わ☆せー♪」」」」」」」
全員が完食した後、なんとなく俺はぱちゅりーにある事を聞いてみた。
「そういや、ちぇーんコンボはこないのか?」
「むきゅ?ちぇんならきょうはみてないわよ?」
「ありすもよ。れいむは?」
「みてないよ!まりさは?」
「まりさはありすのうちにいたからみてないよ!」
「どう゛じであ゛り゛ずのう゛ち゛にいるのお゛お゛お゛!!!」
「ゆゆ!うわきじゃないよ!ゆっくりりかいしてね!」
「まりさ!どういうことなの!きのうはあんなにあいしあったのに!
「れみりゃもみてないんだっどぉ~♪」
「わたしもみてないですね・・・」
「ビックフランクフルトー!
聞いてるだけで乳酸の溜まりそうな会話をスルーするとして
どうやら誰もちぇんの事は見ていないらしい。
不意に、足元に何かを感じた。気になったので手を突っ込んで取ってみる。
どこかで見た事のある謎の帽子だった。こいつは確か……
「ゆ! ちぇんのおぼうしだよ!」
「どうしてちぇんのおぼうしだけあるの?」
むむむきゅんなどと唸っていたぱちゅりーの頭の上に、突如ランプがついた。
「むきゅ・・・まさかこのちょこれーとは……ちぇん?」
場が奇妙な静寂に包まれた。10秒ほどだが
「ごべんねちぇええええええええええええええええんんんん!!!」
「まりさはわるくないよおおおおおおおお!!!うふふふふふふ!!!!」
「ありすもわるくないわあああああああああああああ!!!!」
「はかいりょくバツむぎゅんんんんんんんんんんん!!!」
「びっくまらぺにずううううううううううううううう!!!」
「うううううううううううううううう!!!!」
「おお、共食い共食い。うわらば。」
なんか全員真っ二つに割れてしまった。
せっかくなので、半分だけ頂こう。あ、れいむがつぶあんでまりさはこしあんなんだ。
ふと、炬燵の中を覗いて見る。そこには、すやすやと気持ちよさそうに寝ているちぇんとらんしゃまの姿が!!!
【あとがき】
「たまには良いではないか。
らんしゃま、ゆっくり、それらを手にするための努力を彼女はしたんだ。
ちぇんがバレンタインなのに無事?
ふっ…子供じみたおとぎ話だ
だがこんな世の中、おとぎ話が現実になってもいいとは…思わないかね?」
って緑服の軍人が言ってた。
by バスケの人
最終更新:2009年02月14日 04:22