「唐揚げにレモンをかける前に」
~居酒屋のテーブルからはじまる民主主義~
無署名小論
ある日の会食、居酒屋にて。
テーブルの真ん中には、山盛りの揚げたてのチキン。
その脇には、カットされたレモン。
あなたなら、どうしますか?
レモンを手に取って、何も言わずに絞りますか?
それとも、「かけていい?」とみんなに聞きますか?
たった一言の有無、それだけの違い。
けれど、そこには大切な考え方が隠れています。
唐揚げにレモンをかけたい人もいれば、
酸味が苦手な人もいます。
欧米ではピザ。
日本の唐揚げと同じように、
ピザにパイナップルをのせたい人もいれば、
絶対に許せない人もいます。
「どちらが正しいか」を決めることはできません。
味の好みは人それぞれだからです。
でも、一つだけ“正しい方法”があります。
それは、その場に居合わせたみんなに声をかけること。
「かけてもいい?」
その一言は、ただのマナーではありません。
レモンをしぼる前に、
パイナップルをのせる前に、
みんなにひと声かける。
わずかそれだけの行為が、なぜ大切なのか。
それは、声をかけることが、
意思確認の“手続き”だからにほかなりません。
テーブルを囲む人たちの意見を聞くことは、
小さな“投票”であり、話し合いで決めるという
民主主義の第一歩なのです。
食卓は、社会の縮図です。
誰か一人の「鶴の一声」で決まってしまう食卓は、
どこかの国の独裁政治に似ています。
一方で、全員の声を聞きながら決める食卓は、
互いを尊重する自由で公正な民主主義の社会そのものです。
極論すれば、民主主義とは、「結果」ではなく「手続き」です。
正しい手続きを経た「結果」は、どんな結果であれ正しい。
逆に、不正な手続きによって得られた「結果」は、どんな結果であれ誤りである。
それが、民主主義の理念です。
唐揚げにレモンをかけること、
スレッドの設定を変更すること、
どちらも民主的な手続き―「正しい」手続き―を経た結論だけが正しい結論です。
レモンをかける前に一声かける。
僅かそれだけで、私たちは、
正しい“民主主義”を実践できるのです。
それに、事前に一言たずねてくれるだけで、
ヌクモリティが感じられ、楽しい会食になりそうな予感がしませんか?
最終更新:2025年11月28日 00:24