目の前が霞む。震える足に力を込めてその場に踏ん張る。
敵を見ると、攻撃の機会を伺っているようだ。
そして――――――


私のレベルまだが低かった頃、私は今の主人に捕まった。
捕まったことに驚いた反面、
これから見たことの無い所へ行けるということに対する期待もあった。
しかし、主人は何を思ったか、私を逃がそうとした。
群れからも離れてしまったのに、逃がさないで!
その願いが通じたのか、結局は逃がされなかったのだが。

…それからは、毎日が楽しかった。
群れから離れてしまった寂しさも感じないくらいに。
共に旅をする仲間もできた。
そしていろんな街へ行き、人と出会い、そしてたくさんの敵と戦って。
…勿論楽しいことばかりじゃ無かった。
例えばズイのロストタワー。訪れている人の表情は暗かった。
それに爆発で干上がってしまった湖など。苦しそうに跳ねていたコイキングの群れ。
その原因である、悪と呼ばれるギンガ団と戦ったりもした。
それも、今の私には掛け替えの無い大切な思い出で。

ジムリーダーと呼ばれる人たちとも戦った。
彼らは手強く、苦戦を強いられたこともあったが、私たちは勝った。
お互いに信じあえる最高の仲間がいたから。
そしてチャンピオンロードを越え、四天王と呼ばれる人たち。
ジムリーダーは強かったが、四天王はその上で。
みんな傷だらけになりながら、仲間を信じて勝ち進んだ。

…そして今。

私たちはチャンピオンと呼ばれる人と戦っている。
チャンピオンと呼ばれるだけあって、とても強い。
既に仲間が倒れ、残るは私。
チャンピオンも最後の一匹だ。体力はお互いに残り僅か。
相手がお互いに相当な絆を築いていることが分かる。
でも、絆の強さなら負けない。
共に旅を始めたあの日から築いた信頼関係があるから。

主人が私に攻撃を命じる。
「ムクホーク!ブレイブバードッ!」
チャンピオンもそれと同時に攻撃を命じる。
「ガブリアス!ギガインパクト!」
…羽を折り畳み低空飛行で敵の攻撃を回避する。
そしてそのまま敵へと突撃する。
敵は吹き飛び、私はかなりの反動を受けたが、私は倒れずに立った。
…私たちが勝った。


―――
「ムクホーク、ありがとう!それとみんな…本当にありがとう…!」
お前たちのおかげだ、とご主人は嬉しそうに笑った。
何を言う、ご主人の的確な指示があってこそだ、と言ったのは伝わっただろうか。
「…そうだ!明日からはまた冒険の日々だ。まだまだ見たことの無い所はあるからね。
ほら、サバイバルエリアや、ハードマウンテン、リゾートエリアにバトルタワーなんてのもあるぞ!」
嬉しそうに話すご主人を見て、私たちも自然と嬉しくなる。
「あぁ、でも強いポケモンやトレーナーがたくさんいるんだろうな。」

…大丈夫。ご主人が私たちを信じてくれる限り、私たちは力の限りあなたの為に戦って、
この結束の力はどんなに厚い壁でも越えてみせるから。


(2代目スレ>>530のムクホーク物語)


作 2代目スレ>>534-536

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最終更新:2008年08月28日 18:08