隻眼を凝らし辺りを見渡せど、映るのは鬱蒼と茂る木々ばかり。
 さっきまであった床や天井や料理の数々は、どこにも見当たらない。
 ロロノア・ゾロは思わず舌打ちを漏らした。

 本来なら二年のときを経てようやく仲間と再会すべく、シャボンディ諸島を目指す予定だった。
 それがいきなり妙な場所に連れてこられ、妙な男に殺し合いを命ぜられ、
あれよという間に目の前で人が死に、また気付けば見知らぬ場所に立っている。
 それだけでも十二分に癇に障ったが、極め付けがあの場に並んでいた料理だ。


 ――料理人サンジと小松シェフには感謝してくれ。


 小松、という名に覚えはないが、サンジは十中八九我らが麦わら海賊団のエロコックのことだろう。
 放送の男の口振りだとあの料理をこしらえたのはサンジと小松の両名であることは明白だ。
 何故奴が美食會とやらの下で料理を作る?
 考えられる可能性は二つ。
 力で捻じ伏せられ強制させられたか、もしくは自分の意思で敵に与したか、だ。
 しかしあの男に限ってはどちらも納得しがたい。


「クソ、面倒臭ェことに巻き込まれやがって!」


 状況は違えど巻き込まれたのは自分も同じであるが、悪態の一つや二つ吐かないとやってられない。
 そもそも脳筋馬鹿もといあまり頭を使って物を考えるのが得意ではないため、現状の把握ですでに彼の頭はいっぱいいっぱいだ。
 一先ず今必要なことは、と脳みそを捻り、支給品のチェックに思い至る。
 幸いなことに愛刀「和道一文字」ならびに「三代鬼徹」「秋水」は取り上げられなかったようだ。
 続いて名簿を広げた。ずらりと並んだ氏名は総勢60人を超えている。
 これだけの人を集めて果たして美食會は何がしたいのか、ますます疑問だ。
 上から順番に目を通す。知った名は多くない。
 と、半分以上読み進めたところである名前が目に留まり、ゾロは驚嘆の声を上げた。


 ポートガス・D・エース


 我が船長、モンキー・D・ルフィの兄の名である。
 しかしエースは二年前のマリンフォード頂上戦争で死亡したはずだ。実は生きていました、なんてことは絶対にありえない。
 再びクエスチョンマークが去来し思考を埋め尽くす。紙切れとにらめっこを繰り返し、がりがりと頭を掻く。


「あーもう止めだ止めだ! 考えたってわかりっこねぇ!」


 結局は考察を放棄した。彼の性格上、致し方ないだろう。
 最後に地図をチェックする。
 円形に近い形の島は大半が緑で塗られていた。北東から南西へと島を両断するように道路が走っており、
その先にはそれぞれ街があった。見たところ、人が集まりそうなのは南西の街だろうか。
 現在地を確認できればよかったのだが周りに見えるのは木だけで手がかりになりそうなものがなく、また暗いこともあって、
山を示す地帯と検討はつけたものの自分が今どこにいるのかはさっぱりわからなかった。
 もっとも、わかったとしても彼には無意味に等しいが。


 一通り持ち物を改めたゾロはいそいそと荷物を仕舞いこんだ。
 それほど時間を食ったわけではないが、もうあれこれ考えるのには辟易していた。
 目下はルフィとの合流を基本方針としよう。
 ルフィはおそらく「この殺し合いをぶっ潰して美食會の奴らをぶん殴る!」なんて言い出すに決まっている。
 なら、この場にいるただ一人の船員としてそれに付き合おうじゃないか。

 あの食いしん坊のことだから、レストラン街に行けば高い確率で会えるだろうとあたりをつける。
 善は急げと彼は(まるっきり検討はずれな方向へ)歩を進めた。










 その矢先のことだった。


「――ッ!」


 突然体が宙を舞った。
 わけもわからないままに流れ去っていく景色。梢が頬を叩き、木の葉が視界を奪う。
 すさまじい突風に押し流されている――否、吸い寄せられている?
 とっさに刀を抜き眼前に迫った木の幹に突き刺した。吸い寄せる力に抗い木にしがみ付き、ようやく周囲の様子を窺えた。
 辺り一帯の枯れ葉や木の実、その他細々したものがある一点に向かってぐんぐんと消えていく。
 不可思議な光景だった。
 やがて風が止むとゾロは刀を引き抜き静かに臨戦態勢に入った。
 何かヤバイのがいる、と本能が告げていた。

 現れたのは異様な風体の男だった。暗がりでもその奇怪さは見間違えようがない。
 筋骨隆々とした体躯には四本の腕が生えていた。あまりにも人間離れしている。
 魚人族か? 魚っぽいと言われればそんな気もするが。


「なんだなんだテメェ!」


 しかし男は答えない。
 黒い歯を剥き出しにして笑い、言い放った。


「なんだぁ、不味そうな奴がかかったなァ~……ヒヒヒ!」



【C―2森の中/1日目・深夜】
【ロロノア・ゾロ@ONE PIECE】
【状態】 健康
【装備】 和道一文字、三代鬼徹、秋水
【持ち物】 ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】
基本: ルフィと合流し殺し合いを潰す。ゲームには乗らない
1: なんだかよくわからねーが殺し合いに乗ってるならなら倒す
【備考】
※二年後、仲間との合流前から参戦


【グリンパーチ@トリコ】
【状態】 健康
【装備】 巨大ストロー
【持ち物】 ランダム支給品1~3、基本支給品一式
【思考】
基本: 適当に好き勝手楽しむ
1: 目の前の男と遊ぶ
【備考】
※参戦時期は不明、ストローは折れていないものを所持しています

最強の№2 時系列順 悪魔の笑い声
最強の№2 投下順 悪魔の笑い声
GAME START ロロノア・ゾロ 幕間は終わり
GAME START グリンパーチ 幕間は終わり

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最終更新:2014年07月29日 22:27