俺を、海賊王の血を、呪われた血を引くこの俺を。


――――――愛してくれて、ありがとう。


◆ ◆ ◆


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!エーーースーーー!!!」

あり余った腕力で木々を薙ぎ倒しながら反乱狂のモンキー・D・ルフィは樹海を突き進む。
マリンフォードでの世界を巻き込んだ戦争から数カ月。
たとえ体の傷は癒えても、彼の心に植えつけられた深い傷は癒えぬままだった。
あの戦いで彼はポートガス・D・エースを、共に幼年時代を過ごした義兄を失ったのだ。自分の目の前で。

「何が!海賊王だ!」

己の無力さを嘆き、走りつかれた彼は地に突っ伏してただ叫ぶ。

「俺は!!!!弱い!!!!」

「―――え?そうなのか、おめぇ?」

涙で濡れた顔をゆっくり上げると、目の前に道着を着た見知らぬ男が立っていた。
東洋系の陽気そうな雰囲気だがその細身ながら筋肉質な肉体が只物でないことを物語っている。

「……なんだお前?」
「いやぁ、オラがやることはさっき考えて決めたんだけど、
 せっかく強えぇヤツが何人も集まってんだから出来るだけ戦ってみようと思ってたんだよな。
 でも、なんかおめぇ今は戦う気全然なさそうだな?覇気をちっとも感じねぇよ。」

言われた通りだった。
囚われたエースを救いだすという己の我儘を貫き通せなかった自分には何も残されていない。
道着の男に何も答えないでいると、彼は無表情で手のひらをルフィの前に突きだしてきた。
何事かと思いそれをまじまじと見つめると、徐々に掌に光が溜まり始め、

「じゃ、悪ぃけど、しばらくあの世へ行っててくれねぇか?」

溜まった光が球状になり、ルフィに向けて発射された。

「―――うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「……あり?」

常人なら道着の男――孫悟空の気功弾をまともに受ければ一瞬で爆発四散していたであろう。
だがルフィは超人系悪魔の実、ゴムゴムの実を食べたゴム人間なのだ。
腹に直撃したそれは彼を突き破らずにどこまでも伸びて行き、数キロメートルまで伸びきったところで
再び収縮し、発射された時の数倍の速度で悟空に向けて跳ね返された。

「うわっ!?」

悟空はあわてて首を高速で傾けそれを回避する。背後の山に当たって爆発する音が聞こえた。


「おめぇ、面白ぇ体してるなぁ。ひょっとしてピッコロの親戚か?」
「いきなり何しやがんだテメェ!」
「いや、考えてみたんだけど最後の一人になったら家に帰れるんだろ?
 だったら俺が参加した奴を一人で全員やっつけるのが一番手っ取り早いと思ったんだよな。」

真顔でしれっと恐ろしい事を宣言する。
流石のルフィも背筋が凍りついた。

「何考えてんだ!?お前、殺し合いに乗るってことかよ!?」
「大丈夫だ。終わったらこんな酷いゲームを始めたヤツらもおらが全員やっつけてやる。
 それに、みんなが死んでもドラゴンボールで生き返れるんだ、気にするな。」
「馬鹿言うな!死んだ人間が生き返るわけねぇだろ!」
「あ、そっか。おめぇドラゴンボールのこと知らねぇんだな。
 ……ところでよ、さっき大声で叫んでた、エースっていったっけ?おめぇ、名簿は見たのか?」
「あぁ?それがどうした!?」
「いや、さっきちらっと名簿を見てたんだけどよ、名前載ってたぞ、そいつ。」
「……え?」

ルフィはぴたりと立ち止まる。
そんな筈はない。エースは自分の目の前で死んだのだ。
だが、次々と超常現象に巻き込まれている現状、その可能性は否定できなかった。

―――エースが生きていて、この会場に来てる?

そう思ったとき、突如体の底から力が湧いてきた。
失われたものを取り戻すことが出来るかも知れない、その希望は生きる力となってルフィに活力を与える。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

全身から衝撃波と見舞うがごとき気合いを発し、悟空の体がビリビリと揺れる。

覇王色の覇気。

戦争の最中にも片鱗を見せた、世界に数人しか使い手が居ないとされる伝説の覇気である。
その様子を見て悟空がにやりと笑う。

「やーーーっと、やる気になったみてぇだな。へへっ、オラわくわくしてきたぞ!」
「俺はエースにもう一度会う!!こんなところで死ねねぇ!!」

生きる希望を取り戻したルフィの瞳は闘志に満ちている。
これはこちらも本気で応えねばなるまい。
そう思った悟空は飛空術で空に浮かび、手を両手に合わせて構えた。

「かぁー、めぇー、はぁー、めぇー。」



手の中に先ほどのように光が溜まりだす。
また気功弾だろう。それもおそらく先ほどより遥かに高威力の技。

だが、恐るに足りない。


「ギア、2(セカン)!」


ルフィの体中の血が沸騰し、全身から蒸気が立ち込め始める。
ギア2はかの海軍に伝わる格闘術、六式「剃」(ソル)と同速度で行動できる
高速戦闘術だ。さっきから悟空は大技を使うために空中で立ち止まっている。

ならば初撃はこちらが有利。
一瞬で間合いを詰めてゴムゴムの銃を叩き込んでやろう。
そう作戦を立てたルフィの前で、信じられない出来事が起きる。

空中で静止していたはずの悟空が、突然姿を消したのだ。

「え?」

驚いたルフィだが、それはまだ早かった。
消えた悟空が、唐突に目と鼻の先に出現したのだ。

さて、脳が思考して肉体に命令を送るには0.5秒のタイムラグが生じる。
つまり無意識の反射でも起きない限り0.5秒以内はやりたい放題というわけだ。
そういうわけで、当然ルフィが対応など出来るはずもなく、


「―――――波ぁぁぁぁーーーーー!!!!」

彼の視界が、眩い光に包まれた。

―――瞬間移動かめはめ波。

かつて完全体セルを絶命寸前まで追い詰めた、
ルフツ星人に伝わる宇宙最速の移動術を駆使した孫悟空最強の戦法の一つである。

悟空は数々の戦闘経験から体を伸ばす技を持つルフィはピッコロと同じ能力の持ち主だろうと推測した。
ならば、ブウやセルのような再生能力を持っている可能性が高い。
そういう連中は生半可な攻撃では倒せず、下手に攻撃してもこちらの気を無駄遣いするだけである。
確実に倒す方法は一つ。最大級の大技を使い、一瞬で細胞単位で焼き払うしかない。
その判断によりゼロ距離から発射された高濃度の気功弾はルフィに思考する間も与えず原子単位で肉体を焼き払い、




モンキー・D・ルフィは塵一つ残さずこの世から消滅した。



◆ ◆ ◆


夜風が悟空の体に吹きつける。
最早この場に生きている男は一人だけである。

ふわふわと宙を舞い、ぱさりと、先ほどの衝撃で吹き飛んだルフィの被っていた麦わら帽子が地面に落ちる。
今となっては唯一の、彼が存在していた証だ。

この男には何か大きな夢があったのだろうか。
兄と呼んでいた男の他にも掛け替えのない大切な仲間が居たのだろうか。
今となっては知るすべはない。
この殺し合いの会場には子供らしい夢も希望も存在しない。
あるのは只、非情で無慈悲な現実だけである。

少し虚しさを覚えた心に発破をかけ、悟空は空を見上げる。

「待ってろ!オラがこんなゲームすぐ終わらせてみんなを助けてやるぞ!」

そう叫んで空に飛び立った。


【モンキー・D・ルフィ@ワンピース 死亡】



【D-8 森林】

【孫悟空@ドラゴンボール】
【状態】 健康
【装備】 胴着
【持ち物】ランダム支給品1~6、基本支給品一式
【思考】
基本: 優勝した後主催者を倒してドラゴンボールでみんなを生き返らせる
1:せっかくだからここで強い奴らとの戦いを楽しむ。

【備考】
※連載末期の魔人ブウと戦ってた頃からの参戦です。
※D-8にルフィの麦わら帽子が落ちています。


セロ・フィナーレ 時系列順 燃えろ魂!引けぬ時がある!
セロ・フィナーレ 投下順 燃えろ魂!引けぬ時がある!
GAME START モンキー・D・ルフィ GAME OVER
開幕 孫悟空 アルティメット・バウト2

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2014年07月29日 22:34