「う……うぅ……。」

闘技場から数百メートル離れた場所。
真田幸村と共にセルに挑み、開始早々に遥か彼方に吹き飛ばされた後気絶した男、
美食家ココは木にもたれかかった格好で目を覚ました。
朦朧とした意識でゆっくり立ち上がろうとする。

「あの戦いはどうなったんだ……?くっ!不覚だ!
 ……しかし……腹が減ってきたな……。」

先ほどの戦いでパーティー会場で蓄えたカロリーを使い切ったココは腹の虫を鳴らしていた。

「……ん?なんだ?この匂いは?」

なにか、汁物のような匂いを感じ取ったココは周囲を見渡す。
するとそこには――――。

「……な……!?」

白とピンクを基調にした筋肉質な男が立っていた。
その男は慣れた手つきで何かをかき回す仕草をしている。

「……パントマイム……?ち、違う!!
 あれは……と!豆腐!?」

ココは確かに目撃した。
慣れた手つきでかき回す鍋
刻むネギ 漂う匂いまでもが……
それほどまでに 男の動きは完璧だった。

「見える!俺には見えるぞ!
 これは……味噌汁!?」

その男、勇次郎が行ったのはシャドークッキングでの味噌汁作り。
あまりの精巧さに匂いまでも再現したそれをココに差し出した。

「出来たぞ、食え。」

「あ……あぁ……。ありがとう。」

恐る恐る男からエア味噌汁を受け取り、飲む。
――――その瞬間、ココの舌で何かが弾けた。

「う……うめぇ……!!!なんだこの味噌汁は!!!
 塩味……塩味か……!?いや!?カツオの出汁!?
 次は酸味!?味が順番にやって来やがる!味のフルコースだ!」

絶妙な味わいにココは涙を流して喜んだ。

「うめぇ……・こいつはうめぇ……!」
「そうか、そいつはよかった。息子にリベンジするために研鑽を重ねた成果が出たというわけか。」


ココの脳裏に、フルコースのメニュー表が浮かび上がる。




『スープ料理 シャドー味噌汁』




「よし!おれのフルコースのメニューの一つはこいつで決定だ!ありがとう!」




「……しかし、腹へったなぁ。」

そう呟いて、ココは再び倒れこんだ。

「食えもせん。食われもせん。
 どれ程精巧に妄想しようが真似事は所詮真似事。水ほどの味もない。
 ―――ところで、そこに居る奴。いいかげん姿を現したらどうだ?」

「あり?ばれちまったか。」

勇次郎の後ろの巨木の陰にいた男、孫悟空が姿を現す。

「いやぁ、なんかおもしれぇことしてっから最後まで見たくてよぉ。」
「俺の息子が俺の作った味噌汁をしょっぱいと抜かやがってな。次に会ったときの為の予行練習だ。」
「へぇ、あんた息子がいんのか。奇遇だなぁ、俺にも居るんだ。
 帰ったら久しぶりに家族サービスしてやっか。――――――ところで。」

同類の匂いというものは考えるものでなく感じとるもの。
二人の間の空間が歪み、同時に構え始める。

「あんた、強そうだなぁ。オラわくわくしてきたぞ。」
「ほぉ……互いに息子がいる身、いわば地上最強の親父喧嘩というわけか。」
「地上?ちっちぇなぁ。――――宇宙最強の、だろ?」

そう言った次の瞬間、同時に踏み出し互いの拳がぶつかり合った。




「……な?なんだぁ!?」

二人がぶつかったときに発生した衝撃波でココが再び跳ね起きる。
常人には視認することら不可能な速度で連撃が続く。

「な……なんて戦いだ!!」

それがしばらく続いた後、互いに後方に吹き飛び距離が開く。
サイヤ人でもない、ただの人間と殴りあって居る筈の悟空は息を切らしていた。

「はぁ……はぁ……どういうことだ?さっきからどんどん気が増えていってるぞおめぇ。」
「俺の筋力の成長速度は宇宙の膨張の速度と同じだ。コンマ一秒前の俺と今の俺で既に別人と思え。」
「なるほど~。長引けば長引くほど厄介ってわけか。」


悟空は苦笑いをする。確かに自分は今全く本気を出してはいない。
界王拳、スーパーサイヤ人、スーパーサイヤ人スリー。
まだまだ戦闘力を底上げする手段はいくらでもあるのだが。

「もっと楽しみてぇとこだけど、今回も早めに終わらせっとすかぁ!」

そういって両手を合わせ、かめはめ波の構えを取る。

「知ってっかぁ?技っていうのはただ殴りあってりゃいいってわけじゃねぇんだぞ!
 かぁ~、めぇ~、はぁ~、めぇ~。」
「ほう、気功弾の類か。俺も先ほど同じ技を使うやつを見たぞ。……ぬ!?」

セルの時と同じように痛みを分散して防ごうとした勇次郎は、その洞察眼でこの男の気功弾の威力が
さっき受け流したヤツの比ではないことを見抜く。おそらくこのまま受ければ分散できずに
跡形もなく消滅してしまうだろう。

「仕方がねぇ。エフッエフッエフッ!俺が手こずっているとはなぁ!」
「波ぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」

悟空が両手からかめはめ波を発射すると同時に、勇次郎はディバッグからあるものを取り出した。
見覚えのある「それ」を目の当たりにした悟空は驚愕する。

「!!!!しまったぁ!!!!その手があったか!!!!」

「それ」にかめはめ波が当たった瞬間。
悟空に向かってかめはめ波が跳ね返された。

「ぐわぁぁぁぁ!!!!」

自分の撃ったかめはめ波が直撃し、大きな爆発が巻き起こった。

「やれやれだぜ。俺に支給品を使わせるとは。おい、まさかこれで終わりじゃねぇよな。」

モクモクと立ちこもる煙の中から全身をスパークさせた金髪に髪を光らせた悟空が姿を現した。

「……あ、あぶねぇ!スーパーサイヤ人にならなかったら死んでたぞ!」

「それはこっちのセリフだぁ!おい悟空!ここはどこだ!?いったい何が起こっている!?」

勇次郎のディバックに入っていた、彼に首根っこを掴まれてぷらぷら揺れている天津飯は叫んだ。

「そういや亀仙人のじっちゃんが言ってたな。
 『天津飯には大小問わずかめはめ波そのものが効かんのじゃ。』って。
 まさか支給されているなんて夢にも思わなかったぜ!」

「だが、どうするというんだい?そういえば、唐突に親父の技を思い出したぜ。」
「おい、離せ貴様!……なっなにをする!?うわぁぁぁぁぁ!!!!」

突然、勇次郎は天津飯を激しく振り回し始めた。

「ぬ・・・双節棍(ヌンチャク)!?」

まるで蛇のようにうねる天津飯の肉体。
勇次郎は天津飯の肉体を巨大なヌンチャクに見立て振り回したのだ。
目・鼻・耳・口。頭部の穴という穴から血を吹き出す天津飯。


ムンムンムンムンムンムンムンムンムン
ムンムンムンムンムンムンムンムンムン
ムンムンムンムンムンムンムンムンムン
ムンムンムンムンムンムンムンムンムン

「う……うわぁぁぁ!?」

それを目撃したココは一目散に逃げ出す。

「なるほど。前後左右上下、奴を覆い隠す半透明な……
 天津飯をまとう鎧――装い(ドレス)ってわけか。
 畜生!どこにもスキがねぇ!これじゃかめはめ波が撃てねぇぞ!」

そう言った悟空はスーパーサイヤ人状態を解除した。

「―――こうなったら元気玉を使うしかねぇ!」

瞬間移動で移動した悟空は逃げているココに追いつき、首根っこを掴んだ。

「すまねぇ兄ちゃん!ほんのちょびっとでいいからオラに元気を分けてくれ!」

ズギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!

「う……うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!?
 力がぁぁぁぁ!俺の力が吸い取られていくぅぅぅぅぅ!!!!」

一瞬で、全身のすべての気を吸収されたココはミイラのように干からび、そのまま事切れた。

「サンキュー兄ちゃん!おかげで元気玉がおっきくなったぞ!!食らえ!!!」

悟空は手に発生した青い球体を勇次郎に向けて投げつけた。

だが。

「―――ヌンチャクはただの道具ではない。武器!!何かを殴って初めてその機能を成すもの!!」

そう言い放ち、勇次郎は大きく振りかぶった天津飯を元気玉にぶつけ、叩き落とした。
衝撃が発生し、地面に巨大なクレーターが出来上がる。
既に縦横無尽に頭を振られたことによる強烈な脳震盪と、
人体構造を無視したメチャクチャな軌道によって膝関節と靭帯は粉々&ズタズタになっていた天津飯は
衝撃でそのまま息絶えた。

「はは!やるじゃねぇか!オラわくわくしてきたぞ!こりゃ早く終わらすなんてもったいねぇ!!」
「俺もそろそろ温まったところだぜ。それじゃあ、小細工なしの力と力のぶつけ合いといこうや!!」

再びスーパーサイヤ人と化した悟空と背中に鬼の貌を浮かべた勇次郎は高速でぶつかり合う。

宇宙最強の親父喧嘩、まだ開始まったばかり―――!

【ココ@トリコ 死亡】
【天津飯@ドラゴンボール 死亡】


【C―4武道会会場付近/1日目・早朝】

【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
【状態】
【装備】魔法少女服
【持ち物】ダイヤモンド、 ランダム支給品1、基本支給品一式
【思考】
基本: 不明
1: 強き者と戦う
【備考】
※参戦時期は書き手さんに任せます
※戦闘力に制限はありません
※魔法少女から人間に戻りましたが魔法少女服は気にいったのでそのまま着ています
※勇次郎が何を願ったかは不明です

【孫悟空@ドラゴンボール】
【状態】 健康、スーパーサイヤ人化
【装備】 胴着
【持ち物】ランダム支給品1~6、基本支給品一式
【思考】
基本: 優勝した後主催者を倒してドラゴンボールでみんなを生き返らせる
1:せっかくだからここで強い奴らとの戦いを楽しむ。

【備考】
※連載末期の魔人ブウと戦ってた頃からの参戦です。



幕間は終わり 時系列順 人魚姫は泡になって
幕間は終わり 投下順 アクセス
燃えろ魂!引けぬ時がある! ココ GAME OVER
地上最強の魔法少女 範馬勇次郎 人の命ってなに?
アルティメット・バウト 孫悟空 人の命ってなに?

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最終更新:2014年08月05日 21:35