「笑っちゃうよね、14歳の美少女がこんな超絶殺し合いゲームに巻き込まれるなんてさ!」
黒王号の馬上で目を覚ました来海えりかは、愚地独歩の制止を振り切って馬から飛び降り、
パーティーから離脱して一人会場を彷徨っていた。
助けてくれたらしい彼らには悪いがちんたらしている場合ではないのだ。
一刻も早くつぼみ達と合流しなくてはならない。
「……あの凄ぇヤクザの兄ちゃんは死んだのかな?」
えりかは歩きながら先ほどの戦いを回想する。
◆ ◆ ◆
数時間前、二人の男女が伝説のスーパーサイヤ人と対峙していた。
一人はプリキュアと呼ばれる戦士来海えりか。
そしてもう一人は伝説の極道花山薫。
だがブロリーの力は圧倒的だった。
その筋肉は花山の全力の拳を何発もノーガードで受けても怯みすらしない。
「んん?その娘が大事か?」
そう言ったブロリーはえりかに向けてエネルギー弾を発射する。
「うわぁ!」
「あぶねぇ!」
すかさず花山が間に割り込み、えりかをガードする。
「ぐぬぅ……!」
「おっさん!しっかりしろ!」
「下がってろお嬢ちゃん。ここはもうカタギが居ていい場所じゃねぇ。
あと、おっさんていうな。俺はまだ19だ。」
「えぇ!?マジで!?」」
「どうした?もう終わりか?」
ブロリーは余裕をかましながら二人に近づいて行った。
「………仕方がねぇ。」
花山は覚悟を決め、右手を強く握り拳を作る。
「お嬢ちゃん、できるだけ、遠くへ離れてろ。」
「え?なんか知んないけど、あいつを倒せる策があるの?」
「まあな。正直これだけは使いたくなかったが。」
「よっしゃ!まかせた!」
えりかは背を向けてその場から逃げだした。
花山薫。身長191センチメートル、体重166キログラム、19歳。
そのたたずまいから 年齢を知った者は一様に驚きを隠せない。
圧倒的な体格をもつ彼だが最大の特徴はその超握力である。
彼の握力は束ねたトランプを一部だけカステラのように引きちぎり、
166キロの握力を要するモンスターグリッパーを最後までキッチリ閉じる事が出来るのである。
握力だけなら範馬勇次郎と互角かもしれない。
――――しかしこの花山薫、実は今まで本気で拳を握ったことがない。
何故?
その巨大過ぎる握力は彼自身の拳(こぶし)をも握り潰してしまうからである。
しかし、侠人花山。この度本気で拳を握る!!!
「むん!」
花山の拳が強く握られ異形の形状に変形する。
破壊力 = 体重×スピード×握力 。この拳から繰り出されるパンチの威力は尋常ではない。
だが全力を出している今回はこれで終わらない。
その拳は大きすぎる握力で骨がひしゃげ肉が潰れ、
徐々に縮小していき、ついには拳の形が完全に消え、
――――その場には黒い点が残った。
ボキッ!
「ん?なんだ?」
ブロリーの隣に生えてる樹が何もしてないにもかかわらず根元から引き抜かれ、折れた。
「……何が起こっている?」
花山の拳があった場所に発生した黒い斑点を中心に周囲の塵が渦を巻いて集まっていく。
傍から見たその形状は正に銀河。
「あれは、まさか!?」
空に浮かぶ星々。それらにも人間と同じく寿命がある。
特に巨大恒星と呼ばれる太陽の30倍以上の大きさの星はその大きすぎる引力のため徐々に縮小し、
その姿は限りなく無に近づき、遂にはすべてのものを飲み込むそれが誕生するのである。
――――その現象を我々をこう呼ぶ。
「マイクロブラックホールだとぉ!?」
地面に生えている木や岩が根こぞき引き抜かれ、とうとうブロリーも宙に浮いてしまった。
「なんて吸引力だぁぁぁぁ!!!うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
全てを飲み込む圧倒的な重力に巻き込まれ、周囲の木々や岩石と共にブロリーは花山のこぶしの中へ吸い込まれていった。
「 な ん ち ゃ っ て ♪ 」
激しい爆音が鳴り響き、恒星誕生のような眩い光と共に花山薫の右手が爆散した。
すぐ隣の空間が卵が罅割れたように裂け、ブロリーがワームホールを通って暗黒宇宙から帰還する。
「俺のコズミックバスターは銀河系を丸ごと一つ消滅させる威力がある。
ブラックホールを一つや二つ、内部からぶっ壊すなんざ朝飯前なんだよ。」
「……ぐっ……。」
潰れた右手を押さえて前かがみになる花山。
その場から全力で離脱していたえりかはその光景を見て思わず駆けだした。
「兄ちゃん!」
「来るんじゃねぇ!お嬢ちゃん!」
「はははっ!この俺に殺されるがいい!!」
悪魔ブロリーがそう告げると二人は身構える。
しかしそれからはもう交戦と呼べる物ではなかった。
それはブロリーによる一方的な攻撃のみ。
花山はカタギであるえりかには手を出せないと誓っていた。
が、ブロリーの力は人間一人程度の力では、花山の力では止まる事は無かった。
えりかも応戦するがそれでも歯が立たない。
「喰らえー!プリキュア!ブルーフォルテウェーブ!」
「ふん!」
ブロリーが遊びで放った気弾が青い渦巻きを巻き込んでえりかに直撃し、立ったまま彼女を気絶させた。
圧倒的な実力差。だが花山が簡単に死ぬはずが無い。
油断しているブロリーの左腕を掴みとると両手に力をいれる。
ボキッ
鍛え抜かれた握力は伝説の超戦士の左腕を折るに値する。
それでも勝てる条件には決してならなかった。
ブロリーに殺されるのは確実であり、花山でも死を悟るほどだった。
だから彼はあえて気絶してるえりかに回し蹴りを食らわせ後方に飛ばす。
「――――え?」
「任されたぜ、花山」
そこには馬に跨った顔見知りの独歩と知らない少女がいた。
◆ ◆ ◆
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!あんなヤツに勝てるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
えりかは空を仰いでシャウトした。大海のように広い心を持つ彼女も、
この余りに理不尽なパワーバランスに対しては流石にキレざるを得なかった。
つーかなんだこのクソゲーは。アーク製作の格ゲーかよ。
「はぁはぁ、落ち着け!確か私は巨大化して直接地球にパンチしてくる奴にも勝ったじゃんか!」
デューンとの最終決戦。地球よりも大きくなった彼に対して自分たちは
究極プリキュアと化して見事それを打ち破ったのである。
あの力を使えばこのバトルロイヤルにも対応できるかもしれない。
「そうだ、時代はドッキングだ!」
あの形態になるには四人で合体しなければならない。
やはり一刻もはやく三人を捜さなければ。
その時、ボキリと木の枝を踏みつぶしたような音がした。
「誰だ!?」
「……やれやれ、皆殺しにすると誓ってみたものの、そのあとが良くない。
参加者が一人も見つからない。まだなのはは無事みたいね。
ふふっ、私のなのはがこんな所で負けるはずがない。」
そこに居たのはケンシロウを倒した修羅、フェイト・テスタロッサ。
彼女をえりかはぽかんとしながら見つめる。
「ようやく見つかった。あなたが二人目の犠牲者よ。」
「……………その声……………!」
「ん?」
えりかは素早く駆け寄り、フェイトを思いっ切り抱きしめた。
「つぼみぃぃぃぃぃ!!!!やっぱ生きてたんだなぁぁぁぁ!!!!」
「は!?」
「なんだなんだ?そのイカす金髪は!?さてはつぼみもスーパーサイヤ人に覚醒したんだな!
よっしゃーーー!これでブロリーに勝てる!」
突然の事態に動くこともできずフェイトは困惑する。
この娘の友達と声が似ていたか一緒だったのだろうか?
「ねえ、あなた、顔をみせて。」
「もう、このえりかをあなたとか呼ぶなんてつれないなぁ。」
顔を話して覗き込む。えりかの瞳には光が宿っていなかった。
(ああ、なるほど。)
この娘は既に壊れかけている。よほど恐ろしい目にあい、不条理なものを見てしまったのだろう。
正直もう戦う価値はない。
(まぁ、おとりくらいにはつかえるかな?)
フェイトはそう考えなおした。
「……ねぇえりか。捜している人がいるの。協力してくれる?」
「オッケー!私に任せなさい!」
えりかは小さい胸を張って踏ん反りかえった。
協力の為握手しようとフェイトが握手しようとした、その時。
ザクッ!
「……あれ?」
巨大な鎌が、背後からえりかの胴体を胸部から股座にかけて抉るように深く切り裂いた。
「キシャァァァァァァァ!!!!!」
「な、なんだこいつは!?」
刃牙がリアルシャドーで具現化した巨大カマキリである。
自分めがけて振りかぶった鎌をバルディッシュで受け止める。
「がふっ!」
「くっ!」
フェイトは重傷のえりかを抱えてその場から離脱した。
「ははっ、ごめんね、ドジっちゃった。」
「喋らないで。」
えりかを横にして傍に座る。自分は強い回復魔法は使えない。
この娘はもう助からないだろう。ならせめて親友と再会できたと思い込んでいる
この娘の妄想に少しくらい付き合ってあげてもいいかなとフェイトは考えた。
「ねぇつぼみ、最期に一つだけお願いを聞いてくれる?」
「なに?」
そういったえりかは震える手でポケットに手を入れ、
アクセサリーのようなものをフェイトに差し出した。
「これは……?」
「えへへ、ペアルックだよ!」
えりかの耳に同じ形状のアクセサリー、光るイヤリングがついている。
この娘の親友とはこの娘はどういう関係だったのだろう?
もしかしたら自分となのはのような恋人同士だったのだろうか?
そう思うと少しこの娘に対する共感が生まれた。
「いいよえりか、つけてあげる。」
そういってフェイトはイヤリングを耳につけた。
息も絶え絶えになっているえりかがニヤリと笑ったような気がした。
「ねぇ、時代はドッキングだと思うんだよ、つぼみ。」
「え?」
えりかは歯をむき出しにして、満点の笑みで笑った。
「―――これからはずっと一緒だねっ!」
ここに愛染惣介が居たらこう言っていたであろう。
『ポタラが本田忠勝らに支給されたもので全部だと、いつから錯覚していた?』
眩い光が二人を包んだ。
◆ ◆ ◆
カマキリが光が輝いた場所に向かって飛翔する。
あそこに獲物が二匹もいるのだろう。そう思うと腕が鳴った。
そこに居た、青い髪をツインテールに纏めた少女めがけて空中から鎌を振り下ろす。
もう一人の行方が気になったがそんなことはどうでもいいのだ。
ガキィィィン!
振り下ろした両腕が、少女が召喚した二本の鎌に阻まれガードされた。
「キシャァァァ!?」
「――――マリンシャワー。」
そう呟いた少女から無数の泡が発せられカマキリは吹き飛ばされる。
なんとか踏みとどまったカマキリに向けて更なる追撃を仕掛けてきた。
「サンダースマッシャー!」
二本の鎌から発射された電撃が避けたにもかかわらずカマキリを追尾して襲い掛かり、
激しいスパークが起こってカマキリを黒こげにする。
「水は電気を通しやすい。小学生の理科の授業ね。」
しびれて動けないカマキリのもとへ少女はすたすたと歩いていった。
「二人の力を一つに。―――――こぶしパーーーーンチ!!!!」
振り上げた拳がインパクトする瞬間、全身の関節を膠着させ全体重を一点に集中させる。
それによって全破壊力が拳に集約され、カマキリは当たった部分を中心に全身を粉々に砕かれ消滅した。
「はぁ、また嵌められたわ。」
両耳にポタラをつけたフェイト(フェリカ)はふかく溜息をついた。
まあ髪の色と服装は変わってしまったが記憶は特に問題ないようなのでパワーアップできたて
ラッキーと大目に見ることにしよう。
「待っててねなのは、帰ったら一緒に文化祭でファッションショーを……。」
そう呟きながら少女は恋人を求めて再び歩き出す。
【来海えりか@ハートキャッチプリキュア! 消滅?】
【巨大カマキリ@グラップラー刃牙 死亡】
【C―5/1日目・朝】
【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
【状態】 精神崩壊、合体(来海えりか)
【装備】バルディッシュアサルト×2、 バリアジャケット、ポタラ
【持ち物】ランダム
支給品3~10、基本支給品一式
【思考】
基本:私がなのはを守る
1:もうなのは以外信じない
2:誰でもいいから参加者を捜して殺害の実践をする
3:キュアムーンライトを捜す
【備考】
※第一期終了直後からの参戦です
※来海えりかと合体しました。
最終更新:2014年12月24日 22:54