統一紀元前1406年、
シャルの誕生から始まり、統一紀元前1390年に起こる「キリシア王政復古戦」を軸に物語が語られて行く。
当時の
キリシア王国当主は、若き王
セバノスであったが実権を握っていたのは宰相である
グリシスであった。
当初から
グリシスがこれを望んでいたかは不明だが、後見人としての宰相に口を出せる者はおらず、生母
グリシア女王の受けも良かった。
しかし、誰から見ても僭越極まりない態度、自己の資産を増やす為には人を罪に陥れ、牢に繋ぎ塔に幽閉する事など朝飯前の男であった。
そしてついにダフェン公爵領を大公爵領とすべく、リッスン騎士領を寸借すると言いながら自領に含み、自衛公民領であったペボンをも自領に組み込んでしまった。
これほど多くの直轄領を持つ貴族は
キリシア王国にはおらず、自然
グリシスに対する他貴族は阿る者か、憎む者の二派に別れる。
内戦が続けば他国からの介入が有る事を恐れる
グリシスは早期の解決を望むが、あいにく事態は
グリシスが憂慮する方向へと進んで行く。
カシミールでの攻城戦が長引き、
グリシスは有利な状況が作れないまま無駄な時間が流れ、そしてついには
セバノスが描いた本当の戦いが始まる。
本書は作者が初めて完結させた物語であり、本書で終わる筈の物語であった。
それが何故、延々と続いたのかはかなりの謎であると共に、物を書く喜びを改めて感じた物である。
最終更新:2012年09月14日 11:56