- 現状、インダス文明圏で崇拝されていた神々の名前を知る術がなく、
印章などに刻まれた図像から、その特徴を類推することになる。
- 頭部から角と植物を生やした男性の像。
- モヘンジョ・ダロ遺跡から出土した印章に刻まれたものが有名。腕いっぱいに腕輪をつけ、
上半身には首飾り、下半身に男根の表現がある。
周囲に
サイ、
トラ、
スイギュウが描かれており、これらを従えているようにも見える。
- この図像を、シヴァ神の祖型とする説もある。が、シヴァ神の成立はインダス文明期から1000年ちかく後のことであり、
直接の関係性をただちに想定するのは難しい由。
下半身が
トラで上半身が人間、頭には二本の
スイギュウの角とその間に生えた植物、
および両腕に多数の腕輪を描く。
- その他、角を持つ動物一般も聖なる生き物とされていたらしく、印章などに図柄が散見される。
- 一方、インダス文明に先立つ初期ハラッパー文化期には、有角動物を土器に描く方法が広く行われていたが、
インダス文明期に入ると土器上には表現されなくなるという。
(zsphereコメント:『インダスの
考古学』著者はこれを、土器が日常雑器である事から、
権力を象徴する有角動物を庶民の器に描く事を規制する動きを見ている。
が、インダス文明に王宮や神殿など強大な権力を思わせる痕跡が希薄なのだし、
むしろ宗教的
シンボルを独占する宗教者の出現、と見た方が良いような……)
参考文献
『インダスの考古学』近藤英夫
最終更新:2014年07月14日 18:36