身内の肉を食膳に出す

   プロクネが死んだと称して妹のピロメラを呼び出してこれを犯し、僻地に拉致しておいた際、
   舌を切り取られたピロメラは長衣(ペプロス)に文字を織り込んでプロクネに自身の不幸を伝え、
   後にプロクネに助け出されて、テレウスとの間に生まれた子を殺し、煮てテレウスの食膳に出して逃げ出した。
   追いかけられたプロクネは夜鶯に、ピロメラはツバメに、テレウスはヤツガシラとなったという。


  • ヘロドトス『歴史』巻一
   →メディアの王キュアサクレスが、謀反を起こして逃れてきたスキュタイ人を保護していた際、
    彼らがいつも狩りに出て獲物をとってくるのが、たまたまある日獲物が取れなかったので王がこれを手荒に扱い、
    これに反発したスキュタイ人がキュアサクレスの子のうちの一人を殺してその肉を食膳に出し逃げたとか。

  • ヘロドトス『歴史』巻一
   →子キュロスを殺すよう命じたにも関わらず果たさなかったハルパゴスに対する懲罰として、
    メディア国王アステュアゲスはハルパゴスの子を殺害してその肉をハルパゴスに食わせ、のちに
    その子の手足と首を見せたという。ハルパゴスはそれを見ても自若として、
   「王のなさることはどのようなことでも、私は満足でございます」と答えたという。


   いわく、ブルゴーニュ地方のアリミニ山(フランス東部ボージュ山地西のルミルモンのこと)にロベルト殿という
   領主がいたが、その伯爵夫人と侍女が門番の男と関係を持った。伯爵はそれを怒って門番を殺害し
   その心臓でパイを作らせ伯爵夫人と侍女に食べさせた。真相を知った二人は尼僧となって
   アリミニ山に尼僧の修道院を建立したという。これがルミルモン修道院の始まりだとか。



  • 『グリム童話集』「白槇の話」〈KHM47〉
   →悪魔にそそのかされた後妻が、継子である男の子を殺してしまう。気づかれないように、
    これを細かく刻んで鍋で煮る。男の子は田舎に出かけたと言われた父親は、気づかないうちに
    その鍋をおいしいおいしいと言って食べてしまう。
    残った骨を妹がまとめて、先妻が葬られている白槇の木の下に埋めると、その木からやがて
    白いハトが生まれる。



      参考文献

『ギリシア神話』アポロドーロス
『歴史(上)』ヘロドトス
『完訳グリム童話集 2』
『中世イタリア民間説話集』



最終更新:2016年11月27日 04:49