黄金のリンゴ

   加護として授かっていたので、競走中にこのリンゴを落として気を引くことで見事勝利を収める。

   このリンゴは、不死の百頭竜によって守られていたとか。

   「最も美しいものに」と書いた黄金のリンゴを宴席に投げ込み、これが元でヘラアテナアプロディテ
   争い、アレクサンドロス(パリス)に判断をさせる事になる。パリスはアプロディテを選び、
   その報酬としてヘレネを得るが、これが元でトロイア戦争が勃発する。




  • 『グリム童話集』「黄金の毛が三ぼんはえてる鬼」〈KHM29〉
   →男の子が鬼の頭にはえてる三本の毛を取りに行く途中、とある町で
    「これまで黄金のりんごがなっていた木が、今は葉っぱすら出ない、どうしてか」と聞かれ、
     これ以外の場所で聞かれた問いも含めて三つを、鬼の介添えの老婆を経由して鬼から理由を聞き出す。
     その木の根をかじっているネズミのせいだったので、これを殺せば元通りになると言われ、
     その事を町の人たちに教えると、実際に実がなるようになったので、お礼をもらう。


  • 『グリム童話集』「黄金の鳥」〈KHM57〉
   →とある王様が黄金のリンゴがなる木を庭に持っていて、実の数を常に把握していたが
    朝になると一つ減っている。三人の息子のうち長男、次男を見張りにつけるが正体がつかめない。
    三男が見張りをすると、黄金の鳥がこのリンゴを食べていた事が判明する。

  • 『グリム童話集』「一つ目、二つ目、三つ目」〈KHM130〉
   →一つ目、二つ目、三つ目の姉妹が住んでいたが、二つ目はいじめられていて食事もろくにもらえずにいた。
    神通力のある女に教えられて子ヤギからご馳走を得ていたが、露見して子ヤギが殺されてしまう。
    再び神通力のある女に教わって、その子ヤギの内臓を家の玄関にこっそり埋めると、
    葉は銀、実は黄金(黄金のリンゴ)という樹が一夜にして生える。これが縁で二つ目は
    殿さまに認められ、お城に住むことを許される

  • 『グリム童話集』「鉄のハンス」〈KHM136〉
   →戦勝記念の祝典で、姫が黄金のリンゴを三日間、投げる事になるが、山男「鉄のハンス」の助けを得た
    かつての王子(身分を偽って園丁として下働きをしている)が、
    1日目と2日目はこれを受け取るや否やその場から逃げ去ってしまう。3日目に
    逃れようとして発覚し、自分の正体を明かし、姫と結婚する。
(zsphereコメント:着飾って舞踏会に参加し立ち去るの男性バージョンみたいな経緯になっていて、
          色々と気になる話。)




  • ヘロドトス『歴史』巻七
   →ペルシア戦争におけるペルシアのギリシャへの遠征軍の中で、歩兵一万のうち一千の兵は
    石突に金のザクロをつけた槍を持って残り九千の兵を囲み、残余九千の兵は銀のザクロをつけた
    槍を持っていたと言い、そのほか、クセルクセスの最も身近に従う部隊は石突に金のリンゴをつけた
    槍を持っていたという。


      参考文献
『完訳グリム童話集(1)』
『完訳グリム童話集(2)』
『完訳グリム童話集(4)』
『歴史(下)』ヘロドトス

『黄金伝説』国立西洋美術館企画展図録


最終更新:2016年02月27日 05:01