人がオオカミになる

  • ヘロドトス『歴史』巻四
   →ヨーロッパから見て北方にすむ民族ネウロイ人についてスキタイ人やスキタイ在住のギリシア人の語るところでは、
    ネウロイ人はみな年に一度だけ、数日にわたって狼に身を変じ、それからまた元の姿に戻るのだという。

  • プリニウス『博物誌』第八巻
   →ギリシアの著述家エウァンテスが記している、アルカディア人の伝説として、以下の話を記す。
    アントゥスという氏族から、家族間で投票で選ばれた男が、その地域のとある沼地へ連れてゆかれ、
    着物をカシワの木にかけ、水を泳ぎ渡って荒涼たる場所へ行く。そしてオオカミに変えられて、
    九年間他のオオカミの群れの中で暮らすといい、その期間中、自制して人間と接触せずにいれば
    やがて同じ沼地に戻ってきて元の姿を取り戻すのだという。さらに、元の着物も取り戻すのだとか。
(プリニウス自身は、信じるに値しない話としてこれを記している)
  • さらに、同書の同個所にて、『オリュンピアの勝利者』の著者アポラスの書き残した話として、
   アルカディア人がリカエアのヨーウィス神に生贄を捧げていた際、パラシアのデマエネトゥスは
   捧げられた少年の臓器を喰ってオオカミに身を変えたという。
   そして、十年後に元の身に返され、拳闘競技に参加して勝利者としてオリンピアから生還したとか。



      参考文献
『歴史(中)』ヘロドトス
『プリニウスの博物誌 Ⅱ』


最終更新:2016年03月31日 22:26