通常、単にワインと言った場合、ブドウ以外の果汁で作ったものは含まない。
なお古代ギリシャではワインは薄めて飲むのが一般的な飲み方であって、
これを薄めずに生のまま飲むのはペルシャのような野蛮な飲み方、あるいは大酒飲みを示す事と解されたという。
- 通常、古代ギリシャの神事などにおいては普通に口にされるが、
デメテルを祀った
エレウシスの秘儀においては、
ワインを口にする事は禁止されていた事が知られている。
エレウシスの秘儀に関する縁起を多分に含んでいると見られる『
ホメロス風讃歌』所収「デメテル讃歌」では、
デメテルは葡萄酒を勧められたのを断り、代わりに
「挽き割り
オオムギと水に、柔らかな
ハッカを混ぜた飲み物」を求めている。
かわりに
牛乳を用いた、という話が載っている。
またヌマ王のポストゥミア法には、「火葬檀にブドウ酒をそそぎかけてはならない」という条文もあったとか。
プリニウスはこれを、ブドウ酒が当時非常に乏しかったためにこのように制定されたのだろうと述べている。
- また、王政ローマ時代には婦人がブドウ酒を飲むことは許されておらず、こっそりブドウ酒を飲んだ妻を撲殺した夫が
無罪にされた逸話や、健康に必要な量を越えて飲酒した婦人が罰金を課された逸話などを述べている。
- その他、『博物誌』第十四巻には地域ごとに特殊な性質・効能を持つブドウ酒の話が出ており、
アルカディア地方でできるブドウ酒は婦人には産児の能力を、男子には狂気を生ずるという話の他、
トロイゼンのブドウ酒を飲む人々には子供ができなくなるという話、
タソスの人々は眠りをもたらすブドウ酒と眠りを追い出すブドウ酒を作ることが出来るという話、
エジプトにはギリシア語で「出産ブドウ酒」と呼ばれるブドウ酒があり、これは流産を引き起こすという話などを載せる。
参考文献
『四つの
ギリシャ神話』
『プリニウスの博物誌 Ⅲ』
最終更新:2016年06月24日 04:12