強化人間(AC)

登録日:2012/02/17(金) 22:09:10
更新日:2024/04/07 Sun 21:30:56
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概要

強化人間とは、アーマードコアシリーズの作品のうち、初代~ラストレイヴン、及びⅥに登場する設定である。
戦闘能力向上の為、身体に何らかの処置を施した人間を指す。
逆に強化処置を施されていない人間のことは通称「真人間」と呼ばれる。

初代~LR時代のACにおいて強化人間とは神経の光ファイバー化機体センサと知覚神経の直結臓器・骨格・筋肉を人工の強化されたものに置き換える等。これらの処置が施された人間を指す。処置内容を鑑みるに、もはやサイボーグと言っても過言ではない。
これら処置により常人を遥かに超える身体能力や反射・反応速度を獲得し、機体の制御を通常より容易くする。
道徳的な問題はあるが、その効果は 絶 大 だろう。

なお、名前については初代のみ「プラス」という別名があったが、以降の作品では使われていない。
ただし、英語圏では伝統的に強化人間の事を「Human Plus」と訳していたようである。

この時代の各作品でのトップランカーはだいたい強化人間である。
伝統的にトップアタックからのグレネードランチャー乱射はプレイヤーのACを数えきれないほど鉄クズに変えてきた。


………だが稀に、強化人間を押し退けて君臨する未強化のレイヴンもいる。しかもソイツがまた強い。凄く強い。
どれほど強化しようと、結局は自身の腕次第ということか。
そういった未強化レイヴンは、数多のACプレイヤーから敬意を込めて『先生』と呼ばれる。

代表的な先生と言えば、

サイトに収めるのも難しいほど達人的な小ジャンプ移動を見せてくれる霧影先生・霧影兄貴ことフォグシャドウ先生

……だろうか。

熟練の技術と圧倒的火力&防御力でこちらを粉砕して下さる銀狐ことシルバーフォックスも先生と呼ばれる事がある。
しかしコイツの実態は、コアのスロット数を無視して大量のオプションを違法にねじ込んでいる 詐欺師 である。騙されないように注意しよう。「卑怯とは言うまいな?」


4系は設定の一新に伴い、概念自体がなくなった。
だが主人公を始めとしたアーマードコア・ネクストの搭乗者(リンクス)は、ACと脳を接続するAMSという技術が採用されており、リンクスは全員が強化人間相当の存在と呼べるだろう。
また、AMSを扱うために先天的な適性が必要という欠点を克服するべく「後天的にAMSへの適性を付与する技術」が研究されているとのことで、実現すればそちらが強化人間と呼ばれていた可能性はある。

V系も引き続き強化人間という名前の設定は登場しない。つまり類似する代物はある。もっとヤバいのもある。


Ⅵでは久々に設定が復活。多くのAC乗りが受けているある種ありふれた処置となっている。英名は「Augmented human」
脳神経をACを始めとした兵器類の操縦に最適化しており、種類としては新物質「コーラル」を用いた旧世代型(〜第6世代)とコーラルを用いない代替技術を用いた次世代型(第7世代〜)に大別される。作中では第10世代まで分類されている。
基本的に世代が古い程手術の成功率は低く*1、生き残ったとしても記憶障害や幻聴、感情の喪失といった後遺症が残ってしまう可能性がある。
ただし第7世代の手術自体も危険なモノとされていたようで、作中第7世代と明言されているホーキンスとスウィンバーンはそれぞれ「自分の世代は沢山犠牲になった。今の世代もロクなものではないが、昔に比べれば遥かにマシだ」と自分に言い聞かせていたり、「こんな危ない手術がすんなり上手く行くのはおかしいのではないか……!?」という過度のストレスから人格を歪ませていたりと散々な事になっている。
彼らのエンブレムがそれぞれ「ロボトミー手術の図解」と「サイボーグ、またはアンドロイドの解剖図」なのも意味深。

「再手術」という概念もあり、
  • 旧世代(第2世代)の強化人間が次世代型の再手術を受ける → オキーフ
  • 次世代型が性能(機能)を上げるために繰り返し再手術を受ける → スネイル
  • 再手術によって旧世代型の後遺症を治療する → 可能である前提の発言が見られ、オキーフもその実例の一人*2
といった例がある模様。
作中において旧世代型は「完全に無価値」「アンティーク」「クソみたいな旧世代型」「存在からしてカビが生えている」など散々な言われようで、アーキバス社が運用する強化人間部隊「ヴェスパー」の隊長は2名を除いて次世代型である第7世代以降の強化人間が占める。*3
メーテルリンクのプロフィールには「第8世代以降の強化人間はニューエイジと呼ばれ、それ以前の旧型を無価値化した」ともある。また、ペイターに至っては「人格に影響がほぼ出ない現行最新の第10世代」とされる。

作中では機体に搭載されたコンピュータによって制御・管理されている様子があり、「強化人間C4−621、通常モードへ移行」と強化人間自身にも通常モードと戦闘モードがあると捉えられる描写が存在する。
主人公である「C4-621」は第4世代の強化人間であり、高い操縦技術と引き換えに感情を失っている。同じ第4世代のイグアスには普通に感情があることを考えるに、同じ世代間でも手術の結果にはかなり幅がある模様。
ウォルターによれば感情が希薄なのは第4世代型にはよくある特徴のようで「外部からの刺激が必要」かつ「不安定なのでなるべく負担を減らしておきたい」と言及されていた。
……もっとも主人公については改造を行った執刀医からも「在庫処分」「機能以外は死んでる」と評されるレベルのいわば失敗作ともいえるモノで、長い間死蔵されていたようだ。
イグアスもイグアスで「脳深部管理コーラルデバイス」の影響なのか定期的な頭痛・耳鳴りに悩まされているようで、戦闘中に発作が出て苦しむ描写がなされている。

これらの情報から、VIにおける強化人間は「基本的に新型であればあるほど人格面・肉体面の悪影響が少なく、性能もどんどん向上していき、手術そのものも安全になっていく」というものであると推測される。




〈代表的な効果〉

  • レーダーの標準装備
背部にレーダーを装備せずともレーダーの機能が得られる、地味に嬉しい効果。ただし範囲はやや狭い場合が多い。

ブレードを振り抜くタイミングを見計らってブーストで発射。
旧作では月光で撃ったりするとあり得ない威力を誇る。

  • キャノン使用時の構え不要
タンク以外が必要な射撃姿勢をとらずにキャノンをぶっぱなせるようになる。大ダメージを狙えるキャノンを用いるリスクが大幅に減る非常に強力な効果。
チェーンガンばら撒きながら大地を駆け回り、上空からどデカい火球をバカスカ撃ち降ろして対地爆撃したり、やりたい放題できる。

  • ブースターによるEN消費の半減
アセンブリ次第で飛び続けることも可能。
シリーズによっては、EN回復速度も合わせて上昇する。

  • アンチエイジング
あなたも生涯現役で精力的だいたいマイナス50歳肌に。

その他、シリーズによっては

  • 冷却機能強化
機体の温度が上がりにくくなる。

  • ミサイル迎撃強化
飛来するミサイルを撃破してくれる確率が上昇。

  • ブレードレンジの強化
だいたい五割増し程度。

  • センサー機能追加
ミサイル、ステルス、生体センサーなどを付加

  • 射撃補正、旋回性能強化
命中精度などが向上。地味に便利。

  • 組み替えたばかりの機体でも自由に動かせる
フレーバー程度の要素だが、作品によっては「強化人間でもない限り、機体のアセンブリを大幅に変更した後で今まで通りに動かすのは難しい」とされる。
内装・外装共に動きにはパーツやメーカー毎の「クセ」もあると思われるので、神経接続等で機体を直接動かせる強化人間はそういったギャップを埋めやすいのかもしれない。

  • 一部パーツの真価を発揮可能
こちらもフレーバー要素。メーカーによっては「最初から強化人間が使う事を前提としたパーツ」もあるようで、当然ながらそれらの本来の力を発揮できるのは必然的に強化人間となる。
また、「普通の人間が動かすものではないようなヤバいパーツ」も体を改造した強化人間であればなんとかOKという風な記述があり、人と機械の垣根が薄くなる事で負荷が減る(もしくは耐えられる)様になるのだろう。


……等々、強力な恩恵を得られる反面、作中では人格や精神に悪影響を及ぼす場面を確認できる。つまり

  • ナニカサレタヨウダ

これは無印三部作および2系における強化人間が大破壊以前のロストテクノロジーであり、現在は不完全な再現である為、起こる事だと考えられる。

また、NEXUSのリメイクシナリオ以降では、強化手術を受けることから派生して、面妖な組織による望まない処置や、コジマ汚染、いきなり豹変したキャラクター等々を指して、通称ナニカサレタと呼ぶ。

Vでは上述の「類似するもっとヤバい代物」の一つにして、機械的な改造を施した強化人間である「デザインド」という者達が存在し、
そんなデザインドたちで構成された遊撃部隊ゾディアックの一人、No.1は「グルルルアアアア!!」と獣の咆哮しか上げられない。
同部隊であるNo.3は理知的な言動だが、そんな彼女(?)も「勝つために人形になった」と最期に自嘲しているので、肉体の機械化による人格・精神への悪影響はあるものと思われる。
また、もう一つのヤバい代物として「カルティベイター」というものも存在。こちらは生まれながらの天才をクローニングによって量産した人造人間を作るというもの。
そしてデザインドとカルティベイターの技術を一つに統合して生まれたのがぶっちぎりでヤバい代物たる「ファンタズマ・ビーイング」という技術。
こちらの闇の深さについては、戦場に現れる死神たちの項目を参照して欲しい。

VIについては先述した通り。感情を喪失した621と耳鳴りに苦しむイグアスが特にわかりやすい例だろう。
スウィンバーンもある意味ではこれだが、彼は手術のせいで人格や精神に異常が生じたわけではなく、自分の置かれた環境から歪んでしまったタイプなので厳密には異なる。




各作品での強化人間

初代

50,000C以上の借金を背負うと専用イベントに入り強化人間になる。また、同時にミッションの進行度がリセットされる(パーツの取得状況等はそのまま)。
このイベントには特に回数制限などはなく、借金が50,000Cに達するごとに何回でも発生させることができ、計6回ですべての機能が解禁される。
その内容だが、「多額の借金を背負った主人公が借金のカタとして強化人間手術の実験台にされる」という、作中のテクノロジーや荒廃した世界観を反映したなかなかに黒いもの。
当時のACはミッションを失敗してもある程度シナリオが進んでしまったので、メタな視点では詰み防止措置として用意されたシステムでもあったと思われる。ミッションの進行度がリセットされるのもおそらくそのため。
クリア後ではいくら借金を重ねても強化人間になることはできず、また、終盤のミッションは失敗すると問答無用でゲームオーバーになってしまうものが多いため、強化人間になりたい場合は序盤〜中盤の内に借金を重ねておかないと間に合わなくなる点には注意。
なお、このイベントが起きた後にプレイを再開すると、レイヴン登録名は強制的に「強化人間〇〇号」に変更される。

ACPP・ACMOA

ゲーム中で強化人間になる方法はないが、初代のデータをコンバートすることで引き続き強化人間としてプレイすることができる。
PPから登場した「アリーナ」では(難易度曲線の意味もあるだろうが)上位ランカーほど強化人間が多くなり、中でも空中からグレネード連射は爆風判定の仕様もあって数多のレイヴンを発狂させた。
ここまでの三部作、通称初代シリーズではMOONLIGHTブレード使った光波がイカれた破壊力を持っているのも特徴で、
アリーナでは1発でも貰えば戦局がひっくり返るというグレネードもびっくりな超威力であった。

また、フレーバー的な意味だとPPにて人と機械を融合させる兵器である「ファンタズマ」という機体が登場する。
これは搭乗者……もとい、組み込まれる生体ユニットとされる人間を「人体として著しい劣化」と称されるレベルになるまで手術によって「削って」しまい、ソレを機体に組み込んで完成する非人道的なモノ。
ある人物がその兵器と終盤にて一つとなり、自らの身体の如く自在に動かしながら襲い掛かってくる。

AC2

初代と同じく50,000C以上の借金で専用イベントと共に強化人間になる。こちらは計5回ですべての機能が解禁。
この頃から既にアリーナで資金を稼ぐことができるようになっているため、詰み防止という面での存在意義は大分薄れており、初代の要素をとりあえずそのまま引き継いだという特色が強い。
ちなみに、怪しい組織による改造手術を思わせる初代のムービーに対し、こちらのイベントムービーは3DCGのなんともクールな手術イメージ図が流れる。
ただ、身体中にケーブルを突き刺して何かの薬品(もしくはナノマシン)を注入したり脳や骨格のスキャンを解析するような映像が出たりと、こちらの強化手術も大がかりかつ人間を辞めさせるような代物なのだろう。

AC2AA

同じくゲーム中強化人間になる方法はなく、AC2のデータをコンバートすることで強化人間としてプレイできる。
強化人間としての能力はAC2より強化されており、なんとコンデンサエネルギーの回復速度が倍増している。びっくりするほど爆速。
ブースタ消費ENの軽減効果もそのままなので誰でも余裕で永久飛行が可能に。

AC3

OPパーツの「OP-INTENSIFY」を装備し、特定条件を満たすことで機能が解禁されていくという形で登場。全部で10個の条件と機能がある。
OPパーツの入手自体に難しい条件はなく、クリア後に謎の人物からメールと共に送られてくることでショップ購入が可能となるが、タイミングがタイミングだけに完全にクリアした人へのご褒美的要素に変化している。
このOPパーツはコアのOPスロットをすべて消費する(=他OPパーツとの併用不可)という制約があり、これまでの強化人間のようにメリット一辺倒というわけではなくなった。
わざわざセーブデータを分けなくとも、OPパーツの着脱だけで真人間と強化人間を切り替えられるため便利にはなっている。
なお、謎の人物は「とあるヤバいレイヴンを倒してほしい」「ヤツはものすごく強いので、勝てそうにない時はOP-INTENSIFYを装備した方がいい」という案内と共に件のパーツの事を教えてくれる。
……同時に「OP-INTENSIFYを使うと真っ当なレイヴンでいられなくなる」と警告も付け加えられているのだが。

AC3SL

AC3で必要だった機能解放の条件を満たす必要はなく、最初からフルで強化人間能力を発揮できるようになった。
代わりに入手するには「達成率99%」という非常に厳しい条件を達成しなければならなくなった。
このためよっぽどの物好きでもない限りAC3からのコンバートで引き継ぐのが普通。
性能面はAC3と同様だが、その一方でアリーナ上位の強化人間ランカーは、通常のOPパーツとOP-INTENSIFYを同時装備するというインチキを行っていることが明らかになっており、この頃から上位ランカーを強敵に仕立て上げるためのいわば公式チートとして用いるという兆候が表れ始めている*4

ACNX〜ACLR

とうとうプレイヤー側の強化人間が削除され、敵ACのみの限定要素となった。
この頃には強化人間システムもある種伝統要素となっていたこともあり発売当初はかなり反発を招いた。
というのも、N系では冷却強化効果がちょっとイカれたレベルで引き上げられていたうえ、熱のせいでアセンブリの自由度が激減していたため(特にNX)。
プレイヤーだけでなく非強化ランカーも似たり寄ったりな内装が並ぶ一方、強化人間ランカーだけ自由なアセンをしている。
名実ともに敵ランカーを強化するためだけのシステムになったためか、強化の内容もこれまでと比べて一回り強くなっている。
内部的にはいくつか強化の段階があり、特に通称ラスジナのイカれ具合はチートと呼ぶにふさわしい代物。

AC4〜ACVD

概要欄の説明通り、設定としても(一応)無くなったので、当然システムとしても登場していない。

ACⅥ

設定としては復活したが、主人公がデフォルトで強化人間であるため、ゲーム的には強化人間と普通の人間に差は設けられていない。
第1~第10世代に区分されており、主人公は旧世代型に当たる第4世代型強化人間。
現在でこそ安全性の高い強化人間手術が確立された様子だが初期は成功率自体が低い、成功しても何らかの障害や副作用が発生するリスクがあり、第1世代に至っては成功率10%未満というおぞましいものだった。

設定によると、アセンブルによって機体特性を大きく変更させてもそのまま出撃して戦えるのは強化人間だけ、とのこと。





「これが今度の実験体かね?」


「はい、資料では元レイヴンだとか」


「なるほど、例のルートからか」


「負債は相当の額だったそうですよ」


「夢破れたりか・・・フッだがこの記事編集で生まれ変わるさ」


「生きていれば、ですが」


「まっそういうことだな。では始めようか」






ガシャン

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最終更新:2024年04月07日 21:30

*1 第1世代で成功率1割だとか。

*2 かつて「コーラル焼き付き」という脳障害を負っていたようで、次世代型手術でそれを治せるという事からヴェスパーに入ったとプロフィールにある。

*3 除いたうち一方であるラスティは「自己申告では第8世代」とされるが、あくまで自己申告なので確定ではない。もう片方のフロイトは解説文で強化手術の世代について書かれていないほか「ただの人間」とされている。これが「全くの無強化(真人間)」という意味か「最初の強化以降調整を重ねていない」という意味かは不明瞭で、確定した情報はない。

*4 厳密に言うと、コアのOPスロット上限を無視して全てのOPパーツを装備するというチートを行った上で、さらにOP-INTENSIFYも装備するというチートの重ねがけを行っている