風水士(FINAL FANTASY XI)

登録日:2018/10/08 Mon 19:59:13
更新日:2023/03/05 Sun 03:26:59
所要時間:約 20 分で読めます







「制御ではなく、自然の本流に身を委ねて、その力をほんの少し借りて、導くこと。その本流を私たち風水士は「龍脈」と呼んでいます」





MMORPG『ファイナルファンタジー11』に登場するジョブの一つ。
魔導剣士と並び最後に追加されたジョブで、拡張ディスク『アドゥリンの魔境』で実装されたことから「アドゥリンジョブ」とも総称される。

従来のナンバリング、具体的に言うとIIIVで登場した「ふうすいし」
・武器は専用の系統である「ベル(鐘)」でぶん殴る
・戦う場所によって効果が変わる特殊な魔法「ちけい」
・パジャマ着用
等と言った共通要素を持っていたが、FF11の風水士はそれとは大きく方向性が異なる。
勿論タクティクス系のシャーマンチックな風水士ともまた違い、そういった従来作の要素を部分的に継承しつつ、実在の方の「風水士(風水師)」の要素を取り入れた感じになっている。


◆「どんなジョブなの?」

吟遊詩人コルセア同様、「支援枠(サポートタイプ)」に分類されるジョブ。
MMORPG用語でいうなら「バッファー(味方の強化役)」と「デバッファー(敵の弱体役)」の複合クラスといったポジション。

その機能の根幹となるのが「風水魔法」という風水士専用の魔法。
一言で言えば「支援効果を与えるフィールドを展開する魔法」であり、「インデ系魔法」と「ジオ系魔法」という2つの系統から成っている。

インデ系魔法は「風水士自身を中心にフィールドを展開する」魔法であり、効果範囲内にいる味方を強化したり敵を弱体できたりする。ただし、風水士自身は魔道士系ジョブであるため脆弱で、Diablo2のパラディンのように「支援フィールドを展開しつつ自身も近接戦闘をしかける」なんて芸当はできない。そのため、風水士自身は敵から離れ、インデ系魔法は後衛の魔道士達を支援するのに使われることが多い。

ジオ系魔法は「フィールドに『羅盤』と呼ばれるオブジェクトを設置し、そこを中心にフィールドを展開する」魔法。
羅盤には風水士が習得するアビリティにより、「羅盤の寿命を短くする代わりに効果を上げる」「羅盤を消滅させて周囲の敵にダメージを与える」といった様々な働きかけが可能。
ただし、羅盤にはHPが設定されていて、これが0になると羅盤は消滅、その時点でジオ系魔法の効果は切れてしまう。
さらに羅盤は常時スリップダメージを受け続けているだけでなく、敵の範囲攻撃でもダメージを受けてしまう。支援効果を切らさない様にするため、多くの風水師は羅盤の維持に腐心している。

そしてインデ系魔法とジオ系魔法は並行して同時使用が可能。
「防御ダウンのフィールドを展開するジオ系魔法とMP回復のフィールドを展開するインデ系魔法」といった二刀流的な使い方もあれば、
「魔防ダウンのフィールドを展開するジオ系魔法と魔攻アップのフィールドを展開するインデ系魔法」といった一方向に振り切った使い方も可能である。
ただし、同じ効果の魔法を2枠重ねがけすること、例えば「防御力ダウンのインデ系魔法とジオ系魔法を同時展開して効果2倍」といったことはできない。

また、風水魔法に加えてある程度の黒魔法も使用可能。
魔法のラインナップは黒魔道士に近く、何気に精霊魔法(ダメージ魔法)の能力は黒魔に次ぐ高さを誇っていたりする。
中国の風水師を参考にしたのか、「自分から見た敵の方位に応じて、精霊魔法の性能にボーナスを得られる」ユニークなジョブ特性も持っている。


◆「どんなところが優れてるの?」

何といっても吟遊詩人に次ぐ支援能力の高さ。

風水魔法は同時に2枠までしか使えないが、その分1枠当たりの効果が大きく、さらに「魔攻」「魔命」といった魔法アタッカーへの支援効果を豊富に有している。このため精霊魔法を主体とする黒魔道士や学者との相性は抜群で、これらのジョブを主軸として強敵と戦う場合にはほぼ必須と呼べるほどの存在となる。

また、弱体系風水魔法の重要な要素として、「レジスト(回避)不能」という特性があるのも強み。
FF11には敵に弱体効果を与える手段が数多くあるが、それらは基本的に「魔命」「魔回避」などのパラメータの影響下にあり、強敵相手には普通に回避されてしまうことがある。
最強のデバッファーである赤魔道士ですらこの点は悩みの種なのだが、弱体系風水魔法にはこの回避判定が存在しない。そのため完全耐性及び風水魔法耐性を持たない敵相手ならば、確実にその効果を及ぼすことができるのだ。


◆「んじゃ欠点は?」

一言で言えば「不器用」。

まず、風水魔法全般において消費MPが大きく燃費が悪い。一度唱えればしばらくは保つが、「状況に応じて風水魔法を頻繁に切り替える」といったことをやろうとすると、あっという間にMPが枯渇してしまう。
よって風水士は基本的にMPを節約しようとする傾向が強く、せっかくの黒魔法による攻撃力やサポートジョブを活かした回復能力などが宝の持ち腐れになってしまうことも多い。

また、一方向に特化させるのは得意だが、逆に満遍なく伸ばすのは苦手。
例えば他の支援ジョブである吟遊詩人は、通常時一人のPCに対して2~4枠、コルセアは2枠の支援を与えられ、さらに立ち位置の調整や単体化などで細やかなかけ分けが可能である。しかし風水士インデとジオの2枠で、効果範囲やその他の制約も考えると細やかなかけ分けは不可能に近い。

そしてある意味最も重大な欠点が、「吟遊詩人同様、特定の装備への依存度が極端に高い」という点。
後述する風水士専用片手棍「イドリス」があまりにも強力過ぎるうえ、エンドコンテンツのバランス調整はこれを前提にされている節がある。


◆「世界観的には?」


森で落命した魂は
母なる精霊の
歌声に抱かれ

慈悲の揺り籠に乗り
大地へ還る

すべては
悲しきアドゥリンの子らに
安寧を与えんがため

風水士とは、冒険者(プレイヤー)たちの故国から遠くに西に離れた「ウルブカ大陸」に見られる特異な魔道士である。
属性の力を利用するという点では中の国の黒魔道士とも共通するが、自然界の各元素を司る精霊たちに働きかけてその力を行使する彼らとは異なり、風水士はもっと大きな魔力の流れ、いわば自然(エルゴン)そのもの」を利用するのが特徴。
風水士たちはこの自然界をめぐる力の流れを「母なる大地の血潮が流れる道」という意味を込めて龍脈(ライフストリーム)と呼んでおり、その龍脈から人の体を通して力を得る術が、即ち風水なのである。

現在のウルブカ大陸には「神聖アドゥリン都市同盟」という人間の国家が存在しているが、風水士の起源はさらに古く、大陸が今のような大森林に覆われる以前の遥か太古から存在していた。

記録上確認できる最古の風水士は「シィ・レナイェ」というミスラの女性で、龍脈の力が集まる土地龍穴(エルゴン・ローカス)を探して弟子たちと共に旅をしていた流浪の術師だったという。
長年の旅の果てに、ウルブカ大陸カミール霊峰にてついに強大な龍穴を見出した彼女は、そこで龍脈より出ずる自然の力を使った術、つまり「風水魔法」を創出したのである。
彼女が行使する風水魔法は最早天変地異と呼んだ方がいいような代物で、その絶大な力は過酷な大自然や狂暴な獣人たちに苦しめられていたウルブカの人々にとって大いに助けとなった。

シィは後に獣人ヴェルク族との戦いで死亡したが、その魂は龍脈へと迎え入れられ、「大いなるもの」として転生したとも言われている。
そして彼女が見出した風水魔法はその血族や弟子たちによって受け継がれていき、ウルブカの人々を守り続けたのである。

それから数世代の後、辺境の騎士「オーグスト・P・アドゥリン」がヴェルク族を西に追い「アドゥリン王国」を建国した際にも、シィの子孫である「ララ・レナイェ」はオーグストの下で建国事業やウルブカ開拓に大いに貢献する。
結果、建国後のレナイェ家は、アドゥリンの指導者層である「十二名家」の一家として、風水学や文理学をはじめとした学術の殿堂となった。
後の王政廃止後には文部大臣を司る家となっているが、依然として風水魔法の総本家でもあり、代々の当主をはじめ、優れた風水士を輩出し続けている。

代々のレナイェ家によって風水学は研鑽され続けており、古来より伝わる「インデ」に加え、埋れ木(化石化した木)から作られた羅盤を用い、自分以外の地点から風水魔法を展開させる「ジオ」なども編み出されている。
また20年近く前、中の国から亡命してきたある人物によって「アストラルコーティング」の技術が伝えられ、羅盤をアストラル界へと格納することが可能となり、携帯性も増している。

現代のアドゥリンでは、初代王以来の禁を破ってウルブカ大陸の大規模な開拓を進めており、自然の力を操る風水士はその現場でも大いに重宝されている。
しかし自然、そして龍脈との一体化を重んじる風水士たちは「性急な開拓は、自然への畏敬の心と自然との調和を乱す」として開拓に反対の立場をとっていることが多く、現場では様々な軋轢も生まれている。


◆「風水士48の必殺技」

ボルスター(アビリティ)
発動から3分間の間に詠唱した風水魔法の効果を2倍にするアビリティ。
凄まじく強力な効果を持つアビリティだが、1時間に一回しか使えない「スペシャルアビリティ」枠なので、使い時はよく考える必要がある。

グローリーブレイズ(アビリティ)
次に唱えるジオ系魔法の効果をアップさせるアビリティ。
効果アップ量は+50%という非常に大きなものだが、その代償として「設置された羅盤のHPが半減している」というペナルティを負う。
このため、風水士自身のHPを消費して羅盤のHPを回復するアビリティ「ライフサイクル」と併用するのが一般的。
強力なアビリティではあるが再使用時間が10分と長いので、ここぞという時に使いたい。

メンドハレイション/コンセントリクパルス(アビリティ)
いずれも「羅盤を(自然消失ではなく)自身の意思で消す際に特典を付与する」アビリティ。
前者は周囲のメンバーのHPを回復する効果を与え、後者は敵に無属性ダメージを与える効果を付与する。
しかし、いずれも効果が低い上に再使用時間も長めのためあまり使われない。世界樹の迷宮Ⅳミスティックのように「方陣をガンガン作ってガンガン壊し、それに付随する追加効果でいろいろやろうぜ!」というわけにはいかないのである。
「強力な支援効果を与える羅盤を少しでも長く維持できるよう努める」のが風水師の腕の見せ所にして本分。

インデフレイル/ジオフレイル(魔法)
いずれも「敵モンスターの『防御値』をダウンさせる」風水魔法。
防御値は物理攻撃のダメージに大きく影響する重要なステータスで、PTメンバーの「攻撃値」をアップさせる「インデフューリー/ジオフューリー」と併せて使われることもある。

インデフォーカス/ジオフォーカス(魔法)
いずれも「パーティーメンバーの『魔命』をアップさせる」風水魔法。
魔命は高ければ高いほど魔法の命中率が上がり、その結果黒魔法のダメージが安定したり、重要な弱体魔法が回避されてしまうのを防いだりできる。
しかし、プレイヤー側でこれをバフできる手段は極めて少ない。ゆえにこの魔法は風水士の価値を高めている重要な魔法となっている。

ラ系精霊魔法(魔法)
自身を中心とした一定範囲の敵に属性ダメージを与える精霊魔法。ランクは1~3まで存在。
FF11のラ系精霊魔法は風水士専用魔法で、ガ系魔法に比べると敵の集団に接近して使う必要があるため危険性が高く、威力でもやや劣る。その代わり燃費と速射性で勝る。

ジオアタイア/バグアアタイア/アジムスアタイア(防具)
いずれも風水士専用装備の一式。
風水魔法スキルをブーストしたり、特定のアビリティを強化するプロパティがあるなど、風水士にとって必須ともいえる装備群である。

なお、上記の防具のうち、ジオアタイアはデザイン担当がBASTARD!!-暗黒の破壊神-の萩原一至氏である。

デュンナ(風水鈴)
風水士の専用装備である「風水鈴」の一つ。
風水鈴とはレンジスロット(弓や銃と同じスロット)に装備する風水士の専用装備で、風水魔法の詠唱時には顔の前でガラガラと鳴らされる。
デュンナは風水鈴の中でも最高級品に位置づけられる逸品であり、「風水鈴スキル+15」「風水魔法効果+5」「羅盤:被ダメージ-5%」など、風水士にとって有用なステータスを網羅している。

イドリス(武器)
FF11における最終武器の一種である「エルゴンウェポン」に属する片手棍。
物理攻撃力も高いが、最も強力なのが「風水魔法効果+10」のプロパティ。このプロパティは装備中に唱えた風水魔法の効果を高める効果であり、効果の度合いは装備中の品のうち最も効果の高い物のみが適用され、重複はしない。とは言えそれでもデュンナの2倍の効果量であり、これの有無でパーティーへの貢献度が雲泥の差となる。

名称の由来は旧約聖書の登場人物である予言者「エノク」のコーランでの呼称。には72通りの名前があるから…。
なお、この武器もデザインは萩原一至氏が担当している。


◆「プレイヤー的な意味での風水士の歴史」

※ここからはややディープな用語が登場します。


1 『……プランナー変える、よろし』

FF11においては「新参ジョブのデビュー環境はおおむね厳しい」という法則があるが、しかし同時にまた「バッファージョブは例外」という法則もある。
そして生粋のバッファーである風水士は当然後者に当てはまったため、同期の魔導剣士と比べると遥かに快調な滑り出しを見せた。あっちがダメ過ぎただけともいう
とりわけ当時の戦闘は、「多数の支援ジョブによる多重強化を施した近接アタッカーによる超ごり押し」という壮絶な戦法が最良(というか一択)とされており、支援ジョブの需要は引きも切らない状態だったのである。

そんなわけでメインコンテンツにいきなりVIP席が設けられるという素敵な待遇から始まった風水士だが、しかし現実もそうであるが如く、そのVIPへと至るまでの道はやはり厳しかった。主に金銭的な意味で

アドゥリンの魔境実装に伴って実装されたコンテンツ群は基礎設計から破綻*1しており、風水魔法の産出先として設定されていたコンテンツが完全な死にコンテンツとなっていたのである。
このため風水士の機能の根幹である風水魔法の供給が圧倒的に足りておらず、超高額な店売り価格でNPCから買うか、(それに近いお値段で)競売に出品されるのを目を皿のようにして待つか、という二択を迫られることになっていたのだ。
ちなみにインデ系魔法を全て店から調達するとその額なんと約450万ギルであり、おりからのデフレ傾向、貧富の二極化に悩まされていた当時のプレイヤーたちにとっては洒落にならん負担であった。

こうした事情から、風水士は「活躍の場は十分にあるが、金がかかりまくるブルジョア専用ジョブ」というあまり嬉しくないイメージと共にスタートすることになってしまう。


2 『ちょっと、待つよろし。ワタシ、ペット用ダメージカット装備を探ってみるのこと……』

その後遅まきながらアドゥリンコンテンツも調整され、魔法の供給も安定し始めたことで「VIPジョブ」の印象は薄まっていったが、同時に需要面での問題が現れてきた
これはアドゥリンに前後して流行っていた脳筋リンチ戦術が、コンテンツ人数の変化や敵側の性能調整などによって主流を外れたため、「とにかく支援ジョブを大量に」という動機が弱くなったため。
つまりそれまでは共存していた他のバッファー、つまり吟遊詩人やコルセアが、今度は同じ枠を奪い合う競合相手となってしまったのだ。

しかし当時の風水士の性能は、ライバル達と競合するには微妙に不足気味だった。
物理攻撃を主体としたパーティでは吟遊詩人に、ペットを主体とするパーティではコルセアにそれぞれ劣り「風水士ならでは!」というアピールポイントが欠けていたのである。
また当時の環境・装備ではジオ系魔法の羅盤が非常に破壊されやすく、MP消耗が激しすぎて単独での支援がきついのも難点だった。

ただしこれは見方を変えれば「物理アタッカーの支援ではコルセアに勝り、ペットアタッカーの支援では吟遊詩人に勝る」ということでもある。
FF11においてはパーティ内に支援ジョブを複数入れることも多いため、「支援枠を吟orコと、あともう1人」という状況での需要は大変大きかった。
これはまあ「永遠の二番手」でしかなかったという言い方もできなくはないが、しかし総じて出番には恵まれている方であったのも事実である。


3『アナタあるか?ワタシ、護衛する黒魔道士は?よろしく頼むあるね。』

とまあそんな感じで緑色のルートを辿りつつあると思われた風水士だったが、アドゥリンコンテンツも終盤ごろになると、そうした状況は一変していた
率直に言えば「支援ジョブは風水士の圧倒的な一人勝ち」という状態になっていたのである。

この劇的な状況をもたらした原因は、大きく分けて2つある。

◆「黒魔道士の超強化」
長らく「アタッカー(笑)」「弱点報酬用*2ジョブ」「学者のサポ用ジョブ」などと嘲笑され続けてきた黒魔道士が、数度にわたる大幅なテコ入れを経てついに復活。
その強烈な魔法火力、遠距離攻撃であるが故の安全性、大人数パーティへの適性の高さなどから、既存の戦術を軒並み蹴落とし絶対的な玉座へとついた
そして前述したとおり、黒魔道士を主体とする魔法パーティに対する支援ジョブとしては風水士の適性は圧倒的であり、黒魔道士のベストパートナーとして風水士もまた絶対的な地位を確立したのである。

◆「エルゴンウェポン『イドリス』の実装」
廃人武器最強武器「イドリス」が実装されたことで、「どんな編成でも最善手にはならないものの、どんな編成にもそれなりに適合できる」という汎用性の高さはそのままに、支援パワーが劇的に向上
不器用さを補って余りあるほどのマッスルパワーを手に入れ、それまでの「永遠の二番手」が一転して「永遠の一番手」となった。
イドリスは当初あまりにも作成までの壁が高く、ほんのわずかな風水士のみに許されたスーパーウェポンだったが、実装後数年をかけて段階的な緩和を受け、徐々に普及率が上がっていった。


とまあこうした環境の変化を受けて、11では「風水士こそが最強の支援ジョブである」という認識が完全に成立。
そして本来ならば吟遊詩人やコルセアなどが向いてるような状況ですら、「まあとりあえず風水士でいいよね」とみなすような風潮にまでなっていった。


4『あいや~!ワタシ、ココ、極強的妖氣を感じるあるね』


苦難の末に帰ってきた黒魔道士(と相方の風水士)は、他のアタッカーを軒並み蹴落とし、長きに渡って環境を席巻することになった。

これに対し、開発側はそれまで「弱体化→産廃化→フォーラム炎上」の流れを散々繰り返してきた反省か、安易な弱体化を避けて

・物理アタッカーの火力の強化
・敵モンスターの範囲攻撃の威力減少
・吟遊詩人+コルセアの支援パワー強化
・風水魔法の効果をカット、場合によっては無効化する「風水魔法耐性」を持つ敵の実装
・風水魔法の効果範囲内に入るとカウンター行動をとる敵の実装

などといった間接的な調整を繰り返したが、黒魔道士が最高に輝くシチュであるHNM*3戦がメインコンテンツであった当時の環境も手伝い、その無敵っぷりは一向にかげる気配を見せなかった。

だがこうした黒魔道士の絶対王権も、2017年2月、ついに振るわれた開発の大ナタによって終わりを迎える。

・味方の魔法命中率アップ効果の「インデ/ジオフォーカス」
・味方の魔法回避率アップ効果の「インデ/ジオアトゥーン」
・敵の魔法命中率ダウン効果の「インデ/ジオヴェックス」
・敵の魔法回避率ダウン効果の「インデ/ジオランゴール」

黒魔道士+風水士タッグの強さを支えていたこれらの魔法が、一気に半分~2/3ぐらいの効果にまで弱体化されてしまったのである。


5『ワタシの卦では……頂点に一番近い人……風水士あるね』


だが弱体化により黒魔道士はそれまでの圧倒的な一強ぶりこそ失ったものの、一転して産廃化したわけではなく、むしろ主力戦術の一つとして生き残った。
そして弱体化されたとはいえ黒魔道士にとってのベストパートナーが風水士であることに変わりはなかったため、風水士自身も依然として高い地位にとどまり続けたのである。

さらに黒魔道士の一強状態が崩れたことで、近接物理アタッカー編成、遠隔物理アタッカー編成、ペット編成などといった様々な戦術が徐々に復権。
このため「物理編成では吟遊詩人に次ぎ、ペット編成ではコルセアに次ぐ、二枚目の支援ジョブ」としての需要も復活し、結果的に風水士はさらに活躍の場を広げることになった

現在の風水士は「魔法編成には必須、また他の編成でも二枚目の支援枠として最安定」という非常に恵まれた地位をキープしており、出番にこまることは殆どないと言っていいだろう。

ただし人気のジョブゆえに鍛えているプレイヤーもまた多く、先にも触れた通り最強武器の一種である「エルゴンウェポン」の「イドリス」が半ば前提となっている節がある。
イドリスの費用はこうした最強武器シリーズの中ではやや安価な部類だが、それでも初心者や復帰者には容易に手が出せるようなものではなく、その敷居はかなり高いと言わざるを得ない。



◆「有名人」


「是非、やってみませんか!?風水士をッ!!!」

「シルヴィ」Sylvie (NPC)

ヒューム♀。レナイェ家に仕える神聖アドゥリン都市同盟の風水士。
シィ・レナイェの5人の直弟子の1人「ナー・ザカライア」を祖とする風水士の女性だが、重度の人見知りであり、それを矯正するために当主から新人風水士の勧誘を命じられている。
実はザカライアの一族は、ある理由で他の風水士から「裏切者の一族」呼ばわりされており、本人もそのことをかなり気にしている節が見られるが、同時に一族とその先祖の事を信じてもいる。

風水士のジョブ所得にはじまり、レベルキャップ解放、アーティファクト(AF)所得など様々なクエストの窓口となってくれるキャラであり、風水士NPCの中でも随一の知名度を誇る。
フェイス(お助けNPC)としても実装されており、やや癖があるものの中々の高性能を誇る支援タイプェイスとなっている。
全フェイス中風水士フェイスは彼女のみであり、プレイヤーからも非常に高い人気を誇るが、アプルルやヨランオランといった他のリーダーフェイスとの取捨選択になってしまうのが難点。


「大いなる自然は、今までずっと……相容れないものたちを、大きな心で包んで……調和を保ってきた。」

「イキ・アスカモット」Ikhi Askamot (NPC)

ミスラ♀。現在のレナイェ家の当主で、神聖アドゥリン都市同盟の文部大臣でもある。
当主の割に姓が違うが、これは代々の当主が、血統にこだわらず有能な人物を後継者とすることが多かったため(ちなみにこれはアドゥリン家を除く他の十家にも共通する)。
三点リーダー(「…」←コレ)を多用する所謂無口キャラだが、発言は少なくても要所要所で当主らしい威厳を発揮している。
風水士の長なだけあって開拓には反対の立場をとっているが、教条的なものではなく「開拓と自然との調和を両立させねばならない」というスタンスであり、開拓自体を否定しているわけではない。

シルヴィに比べると大変に知名度が低そうな当主様。通常配置は無く、イベントなどでのみ登場する。
無口キャラなだけあってアドゥリンのメインストーリーでは発言がほとんどなく、風水士以外のプレイヤーはキャラすら知らない人も多いかもしれない。
一方で風水士関連のクエストには多数登場するのだが、これも後述の先代に出番を持っていかれている節が……


「 あなたは、開拓者としての立場、風水士としての立場。どちらの立場にも立てる人だと思うんだよぉ。」

「ライソ・ネフテレ」Lhaiso Neftereh (NPC)

ミスラ♀。先代のレナイェ家当主で、現在はレナイェ家の顧問のような地位にある模様。
性格はイキと違って非常にフランクで、明るく人当たりもよいため多くの風水士達から頼りにされている。
多くの風水士と違ってザカライア一族への偏見のようなものも持っておらず、シルヴィにも朗らかに接しているため、彼女からも慕われている。

シルヴィと共に多数の風水士関連のクエストに登場するキャラで、一連のストーリーの中ではかなり重要な役を務める。
風水士のジョブクエストを進めたプレイヤーに対しては、恐らくシルヴィに次ぐ知名度を誇ると思われる。


「姫さま……。あたしたちは……ただ、森を護りたいだけさ……」

「ムフェ・ハジュラ」Mufeh Hajrrha (NPC)

ミスラ♀。レナイェ家に仕えていると思われる風水士。
性格は非常にミスラらしいミスラというべきか、過激で攻撃的な戦闘的風水士。
イキの思想を先鋭化させたような強硬な開拓反対主義者で、開拓推進派の魔導剣士「アレクシオン」と口論の末に決闘にまで発展した。

アドゥリンミッション「同盟の軋轢」に登場するミスラで、いまだにPS2の開発環境で作られているとは思えない戦闘ムービーを披露して人気を博した。
そのアクションをプレイヤーにもください。





「……鈴は鳴りわたる。アニヲタとして追記:修正するというそなたの言霊、支持しよう!」






(他ジョブの項目へ)

【スタンドードジョブ】
戦士モンク白魔道士黒魔道士赤魔道士シーフ
【エキストラジョブ】
ナイト暗黒騎士・獣使い・吟遊詩人・狩人
【ジラートジョブ】
忍者竜騎士召喚士
【アトルガンジョブ】
青魔道士コルセアからくり士
【アルタナジョブ】
踊り子・学者
【アドゥリンジョブ】
風水士魔導剣士

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最終更新:2023年03月05日 03:26

*1 World of Warcraft 以降のMMORPGに見られる「コンテンツレベル/アイテムレベル制」を導入しようとして、完全に設計に失敗した

*2 「アビセア」をはじめとしたいくつかの旧バトルコンテンツでは、特定の魔法や技をあてることで報酬にボーナスが付くシステムがあった

*3 Hyper Notorious Monster:超つよいボス級のモンスター