全知全能の書(仮面ライダーセイバー)

登録日:2022/02/02 Wed 04:04:55
更新日:2024/04/21 Sun 02:56:33
所要時間:約 6分 で読めます




『全知全能の書』とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーセイバー』に登場するアイテム。



【概要】

別名『大いなる本』
神話、生物、物語、科学技術など世界の全てを記した本で、ワンダーライドブックの原典に当たる。

最初から本として存在していたわけではなく、本編からおよそ2000年前の「世界を繋ぐ存在=始まりの巫女」に宿る全知がその根源であり、これをビクトール=タッセルが授けられた際に書物という形で顕現したのが『全知全能の書』である。

その力に魅入られたストリウスレジエルズオスとビクトール達との争いの中、「始まりの巫女」の手でワンダーライドブックとして散逸しており、これを復活させれば世界の全てを思い通りに創り替える事が可能だとされる。
『全知全能の書』の知識の源は、2000年前に散逸した際に唯一残った目次のページ『目次録』であり、上條大地はこれを読む事で富加宮隼人が裏切った真相を知ろうとしていた。
ただし、『目次録』に至るためには数多くのワンダーライドブックが必要となり、更にそこから『全知全能の書』を復活させるには11本の聖剣も揃えなければならない。


ソードオブロゴスの本来の役目は、2000年前の惨劇を繰り返さないためにこの本を散逸させたまま維持・復元を阻止する事にあったが、当代のマスターロゴス=イザクが使命を放棄して復元に踏み切ったがために事態が悪化してしまった。


【その本質】



ならば知っているはず……!

この世界に人が生み出したものが何一つないという事を!

物語も、技術も、全ての創造物はこの本に記された情報に過ぎない!

更に、世界の始まりから終わりまで記されている……。終わりは……『確定』している!

その正体は、『仮面ライダーセイバー』の世界における始原から終焉まで、その全てを余すことなく記したアカシックレコードそのもの。

『セイバー』の世界における全ての創造物や出来事は一つの例外もなくこの本に記されており、人はそれらを自ら閃き、考えて作り上げたのではなく、ただこの本に書かれている情報が時期に応じて「ダウンロード」されたに過ぎない。
そして、そうなる事が予め定められており、その終焉は「英雄のによる世界の滅亡」である事も決まっている。

つまり、『セイバー』の劇中における出来事の全ては、何もかも『全知全能の書』に記されたシナリオに過ぎず、この世界で人間が「自ら生み出したもの」は本当に何一つ存在しない。

この「シナリオ」には時代ごとに「主人公」が存在し、
  • 2000年前のそれはビクトール=タッセル
  • 現代のそれは飛羽真
である。
そしてルナの正体は、今の主人公である飛羽真をシナリオに沿って誘導するために遣わされた「狂言回し」であり、彼女が飛羽真に残した飛び出す絵本『Wonder Story』はそのシナリオのダイジェスト版である。

仮面ライダージオウ』で例えるなら、
ポジション 『セイバー』側 『ジオウ』側
全てのシナリオ 『全知全能の書』 クォーツァー
狂言回し ルナ ウォズ
シナリオの概略 『Wonder Story』 『逢魔降臨暦』
シナリオの主役 神山飛羽真 常磐ソウゴ
……となる。

ただ、この書に書かれた通りに物語が動いていたのは事実だが、白ウォズの未来ノートのように書の記述が未来を確定するというわけではなく、確定された歴史が書に記述されているに過ぎない。
全知全能の書に悪意や害意がある訳ではなく、未来を変えているのでも決まった未来に人を導くのでもなく、ただ「ここでこのようになる」という“事実”が淡々と記されているだけなのである。

分冊であるワンダーライドブックの「ライドスペル(アイキャッチで追加されるもの)」は劇中における本そのものや持ち主の動向を反映するかのような内容になっていたがそれもそのはず、どのワンダーライドブックがどの持ち主に渡り、それがどうなっていくかもまた『全知全能の書』に始めから記されており、ワンダーライドブックになった時にそれぞれの内容が分割されて記された、ただそれだけの事である。

分かりやすく言えば、結末が決まっているのは同じだが、『逢魔降臨暦』や未来ノートは「過程」を変えられるのに対し、こちらは「過程」自体も決定済みなのである。


【劇中での影響】

始まりの5人は元々災害に苦しむ人々を救うための手がかりを探るため、この『全知全能の書』を求めて旅をしていた。
だが、ストリウスは2000年前に当時の「主人公」のビクトールを介してこの書を読んだ結果、「この世界の全ての事象は最初から決まっており、予定調和に過ぎなかった」事を知り絶望
おまけにその事実に加えて「誰も読んだ事のない自身の最高傑作の詩」すらも『全知全能の書』に「そのような詩を生み出す」と書かれていた為、その絶望は深かった*1

それでもストリウスは「何かを変えられるはず」と彼なりに足掻いていたが*2、第43章ラストでグリモワールワンダーライドブックを手にした事で自分も含めた全ての者の意志もまたシナリオ通りのものに過ぎず、「定められた終焉」が不可避であると理解せざるを得なくなった*3結果、せめて己の思い描く最高の形で終焉を迎えんと動き出す事になった。
なお、ストリウスがこの書物を読んだ経緯の関係上、受け取った本人であるビクトール=タッセルもこの事実を知っていた可能性がある。

しかし一方で、この書物のアバターとしての側面を持つルナは、飛羽真の描く物語が「誰も知らない物語」である事を明言している。
実際、裏付けとなる事実として、飛羽真は未完だったプリミティブドラゴンの伝承に対し、エレメンタルドラゴンの伝承を続編として補完するという形で『全知全能の書』を「追記」している。
このため、内容を「書き換える」事は不可能であるものの、「書き加える」事は出来るという事になるが、果たして……?


+ 物語の結末
死闘の末にストリウスを打倒した剣士達だが、「世界の滅亡」という不可避の結末を覆す事は遂に出来なかった。
しかし、物語の消滅とワンダーワールドの崩壊に引きずられて現実世界が消えていく中、芽依が飛羽真の新作『エターナルストーリー』の序文をインターネットに投稿、これを引用する形で「忘れえぬ物語」を募る。

『全知全能の書』に記され、齎された物語はしかし、飛羽真の言った通りそれを読んだ人々の心の中で広がり、新たな物語を作り出していた。
そうして届けられた「忘れえぬ物語」は、ルナと6つの聖剣の力が変じたワンダーオールマイティワンダーライドブックと、それを持つ飛羽真の下に集い、虚無と化していたワンダーワールドの完全消滅をギリギリで阻止。

刃王剣十聖刃を柱として危ういところで踏み止まったワンダーワールドの中、ファンタジック本屋かみやまを呼びよせた飛羽真は、ワンダーオールマイティワンダーライドブックの内容を踏まえた新作『ワンダーストーリー』の執筆を開始。

世界の終焉までもが記された『全知全能の書』に追記する事は不可能であったため、代わりに「未だ終わらぬ物語」という続編を追加する事でアカシックレコードを再定義、誰にも定められていない新たな歴史を作り上げてワンダーワールドを再生させる事に成功する。

その後、飛羽真は旧ワンダーワールドの消滅や、アルターライドブックによって消された人々の物語を一つ残らず書き直し、全てを元に戻した事で役目を完遂。
再結集した「始まりの5人」とバハトにワンダーワールドを任せて現実世界への帰還を果たした。

かくして剣士達の物語は、定められた結末を覆して大団円を迎えることとなったのだが……。




追記・修正は全知全能の書の記述通りにお願いします。

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最終更新:2024年04月21日 02:56

*1 一方で飛羽真は物書きとしての先人から多数の影響を受ける事になる「現代の小説家」の為、その価値観の違いから「先人すらいない2000年前の詩人」であるストリウスと対立する事になってしまっている。

*2 結局は徒労に終わってしまったが、デザストを生み出したのもこの一環と思われ、「気まぐれに、なんとなく」メギドを生み出す事で「シナリオ」を揺るがそうとした可能性がある。

*3 グリモワールライドブックを手に入れた時にストリウスが涙目になっているのも恐らくこのため。