ホップ・イヤー飛行隊(遊戯王OCG)

登録日:2022/11/04 Fri 12:30:53
更新日:2023/09/02 Sat 17:47:35
所要時間:約 12 分で読めます




《ホップ・イヤー飛行隊》とは遊戯王OCGに登場するモンスター。初収録は2019年7月発売のパック「CHAOS IMPACT」
チューナーモンスターであり、シンクロ召喚を媒介する役目を担うのだが、特殊な使い方もできるようになっている。
テキストは以下の通り。

ホップ・イヤー飛行隊
チューナー/効果モンスター
レベル2/風属性/獣族/攻300/守600
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手メインフェイズに、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、そのモンスターとこのカードのみを素材としてS召喚する。
このカードの特色は、いわゆる手札誘発の形でシンクロ召喚を行えるということ。
大雑把に言うと、相手のメインフェイズの途中に自分フィールドのモンスターよりレベルが2高いシンクロモンスターを出すことができる。
相手ターンにシンクロ召喚を行う手段だけなら決して少なくはないが、それを手札から発動して行う手段は貴重である。

2022年現在、後述する「ビーステッド」や「R-ACE」のように、
「先攻1ターン目であっても、後攻が手札からモンスターを特殊召喚して先攻を妨害できる」ことを主軸としたデッキテーマが続けて登場している。
これらのテーマとも相性が良く、様々な展開や妨害を可能とする。
この流れが今後も時々続いていくとすれば、時代を先取りしたモンスターともいえるだろう。


この記事では以後「ホップイヤー」と表記するが、正しい表記は「ホップ・イヤー飛行隊」と中黒がついているので忘れずに。

イラストは耳が大きな翼になったウサギのトリオ。体型は人間に近いようにも見えるため、獣人種族なのかもしれない。
名前は垂れ耳で有名なウサギの品種「ロップイヤー」を思わせる。
しかし耳は垂れるどころか雄々しく広げられ、顔つきもシャープで精悍なため品種的にはロップイヤーではなさそうである。
また「飛行隊」の名の通り飛行帽などミリタリ風の格好に身を包み、真ん中の個体は頬に撃墜マークめいた★型ペイントを二つ施している。


強み

強力な汎用シンクロモンスターが増えている

シンクロ召喚は一般にエクシーズ召喚リンク召喚に比べて成立の最低ラインが高い。
そのため汎用シンクロモンスターは、汎用エクシーズモンスターや汎用リンクモンスターよりも単体で強力なものが多い。
特に《フルール・ド・バロネス》《相剣大公-承影》は、相手を問わず妨害・除去の役割を担える効果を持つ。
この記事でもたびたび紹介するので先にテキストを掲載しておく。

フルール・ド・バロネス
シンクロ・効果モンスター
レベル10/風属性/戦士族/攻3000/守2400
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。
(3):お互いのスタンバイフェイズに、自分の墓地のレベル9以下のモンスター1体を対象として発動できる。このカードを持ち主のEXデッキに戻し、そのモンスターを特殊召喚する。

相剣大公-承影
シンクロ・効果モンスター
レベル10/水属性/幻竜族/攻3000/守3000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):除外されているカードの数×100だけ、このカードの攻撃力・守備力はアップし、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力はダウンする。
(2):このカードが効果で破壊される場合、代わりに自分の墓地のカード1枚を除外できる。
(3):カードが除外された場合に発動できる。相手のフィールド及び墓地のカードをそれぞれ1枚ずつ選んで除外する。

他にも、
他にも様々なシンクロモンスターが存在する。
これらを相手のターンの途中に出すことができ、フィールドの素材が許せば相手の出方に応じて出し分けることさえできる。


奇襲になる

ホップイヤーに近い効果を持つモンスターとして《フォーミュラ・シンクロン》《水晶機巧-クオン》などが存在する。
しかし、これらの効果は自分のターンに先にフィールドに出しておかなければ使えない。
相手はこちらが何を出すか身構えながら動くことになり、確実な妨害手段があるならその時まで温存するだろう。
その点ホップイヤーであれば、手札という非公開領域にに隠し持つことができる。
それだけでなく、こちらのフィールドのモンスターを対象に取る除去にチェーンしてサクリファイス・エスケープ*1を行えたりもする。


残存効果による制約を無視できる

奇襲といったところで、それが自分のデッキテーマ本来の動きの邪魔になっては本末転倒。
だがその邪魔になりにくいという点においてもホップイヤーは優れている。
昨今の強力なサーチやリクルートを行うカードほど「この効果の発動後、ターン終了時まで自分は『○○』モンスターしか特殊召喚できない」のような縛りがついていることが多い。
しかし、ホップイヤーの効果でシンクロ召喚をするのは相手ターン。自分のターンは既に終了しているのでこの縛りを回避できるのだ。


弱点

素材にする予定のモンスターへの、対象を取らない除去

相手のこれらの効果に対してホップイヤーをチェーンしてしまったら、対象を取る除去とは大違いな結果になる。
サクリファイス・エスケープとは真逆の結果、つまり出たモンスターがそのまま除去されてしまう。相手の効果の処理内容はよく確認しよう。

もっとも、出したシンクロモンスターをわざと除去させたい理由があるなら話は別。
例えば、モンスターを破壊する効果の解決前にこちらに1体だけ立っているレベル8モンスターが突然承影に変貌したのなら、相手は承影の(2)→(3)コンボで大損害である。
……そういう立ち回りの開祖のはずの《スターダスト・ドラゴン》については、破壊効果が発動した後に出したところでもう遅いのが惜しい。


《増殖するG》

こいつが怖くないデッキなんて滅多にない、相手の特殊召喚に反応してドローを行うご存知凶悪カード。
ホップイヤーは「特殊召喚し、その後特殊召喚する」という効果のため、既に効果下だったり相手にこれをチェーンされると2ドローされてしまう
いかに自分が出せたモンスターが強かろうと、相手の手札がよりによって相手メインフェイズに2枚も増えては大損。
それを使ってそのまま倒されてしまう可能性が高い。たとえ2枚きっかり消費させたとしても、フィールドのモンスター1体分こちらが損をする。

ただし、ホップイヤーは時にコレへの対抗手段にも化ける。
自分ターン中、相手に使われた時点で既に素材にできるモンスターを出せていたなら、そのまま相手にターンを渡すという選択肢もとれるからだ。
相手ターンに妨害役を呼び、最小限の被害で乗り切れる…かもしれない。


相性のいいデッキ

【ジェネレイド】

《王の舞台》の効果で「相手ターンの間にだけ」「レベル4のトークンが」「大量に」現れる。
普段は「ジェネレイド」モンスターの効果のコストになるだけなった後は殴られ役となるのがこのトークン達の仕事。
だがこれほど分かりやすくホップイヤーに好都合な条件はなかなか無い。
ただでさえ《轟の王 ハール》が1ハンデスと1無効破壊を持っている所に《砂漠の飛蝗賊》とバロネスでもう1ハンデス・1無効破壊を加えられる。
手札2枚からとんでもない制圧力である。
ただしトークンは盤面を全て埋める分出てくるため、先にハールなどで消費して場を空けないとシンクロ前の特殊召喚ができず使えないので注意。


烙印」関連テーマ

《烙印融合》という強力な融合手段の誓約として、本来ならほぼ融合モンスターしか扱えないデッキ。
しかし相手ターン中にシンクロ召喚を行う分には関係がない
止められてしまった《烙印竜アルビオン》や《神炎竜ルベリオン》、蘇生後の《赫灼竜マスカレイド》たちは格好の素材である。
油断して動き出した相手の計画を狂わせてみよう。

しかし何より最も輝くのは【ビーステッド】
相手の先攻1ターン目から《混沌魔龍 カオス・ルーラー》《PSYフレームロード・Ω》で妨害回数を積み増しできる。

変わった使い方として【烙印鉄獣】では《鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ》の効果でホップイヤーをサーチできる。
また反対に、シュライグが既に盤面にいる状況でホップイヤーを使うと
シュライグ「獣族モンスターが一瞬だけフィールドを横切ったので除外砲撃ちますね」
という面白いことも起きうる。
「烙印」由来のレベル8よりもリンクモンスターの方が多いデッキなので意図的に狙うのは難しい。
しかし要らない場面では各種カードの手札・墓地コストにできるため腐るリスクも小さい。

ちなみに、承影から託された力を《アルバスの落胤》が発揮する場面のカードである《烙印の剣》は、ホップイヤーと併せると当の承影を出すのに最適。
バックストーリー上のアドが稼げる(?)かもしれない。


【R-ACE】

元より相手ターンにモンスターを次々出していくのがコンセプトのデッキ。
しかもレベルの異なるモンスターが2体3体と並ぶことから、ホップイヤーにとってはよりどりみどりのフィールドとなる。
《R-ACE ハイドラント》の耐性により対象を取る相手の効果は大型モンスターに向きがちなため、サクリファイス・エスケープのチャンスも少なくない。

複数のレベルのシンクロモンスターが無駄にならないよう、元々相性のいい「焔聖騎士」のレベル1チューナーも取り入れておきたい。
そうすることで、《アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン》を介してできることの幅も広がる。
セットで採用する必要がある元祖《スターダスト・ドラゴン》の方も、全体破壊に弱いこのデッキでは大いに頼りになる。


【壊獣カグヤ】

ランク8エクシーズで後攻から相手の制圧を崩すことに特化したデッキ。
だが代償としてリソース回復力がほとんどないため、制圧盤面の強さよりも立て直しに長けたデッキが相手だと押し返されやすい。
そうした相手が環境の主流なら、エクシーズ素材という燃料が尽きずに戦えるシンクロモンスターたちが頼りになる。

一番相性が良いシンクロ素材相手は《機巧蛇-叢雲遠呂智》
承影が最初から強化された状態で現れ、次のターンにはフリーチェーンで除外効果のトリガーを引けるようになる
初手に両方引き当てることができれば、相手の先攻1ターン目からのシンクロ召喚も可能。
後攻を選ぶにもかかわらず汎用手札誘発を引くほど弱くなるこのデッキにとって、フィールドに残せるフリーチェーン妨害ほど有り難いものはない。


【ふわんだりぃず】

そもそも特殊召喚自体ができない誓約を持つが、ターンが終わればホップイヤーの出番となる。
相手の妨害力が尽きてきたところで《烈風帝ライザー》でドローロックを仕掛け、次の相手ターンの再展開をバロネスで封じる流れが理想となる。

「相手ターンでも自分ターンのように動くこのデッキでは、結局相手ターンにも誓約を受けるのでは?」
と思うかもしれないが、実際には相手との鍔迫り合いの中《ふわんだりぃずと夢の街》や《ふわんだりぃずと謎の地図》の回収は真っ先に阻止されがち。
何より最大の意義は勝敗が初手から明らかor泥沼のどちらかにしかならないミラーマッチに、《炎斬機ファイナルシグマ》という解答を持てること。

意外にも手札の安定にも貢献したりする。
《スモール・ワールド》では《エフェクト・ヴェーラー》で中継できない範囲を補ってくれる。
《ドラグマ・パニッシュメント》を併用していれば、前述のシュライグを墓地に送って「ふわんだりぃず」モンスターとホップイヤーの好きな方をサーチできる。


【エルドリッチ】

特色である罠モンスターたちは、一度効果を発揮した後は壁になるだけ。
むしろどんどん墓地に送りたいものであり、それらを素材として有効活用できる。
「エルドリクシル」魔法・罠の誓約はカードの発動後にしか掛からないため、1ターンの短いこのデッキにとって回避は簡単。

採用する場合《黄金郷のガーディアン》はぜひ3枚採用したい。
単に承影を出すだけでも《黄金卿エルドリッチ》本人の隙である戦闘破壊と除外を牽制でき、墓地の罠除外から能動的に効果を起動できる。
攻撃力が0になった相手モンスターを自分ターンまで残せそうなら更なるチャンス。
エルドリッチ本人とシンクロして《炎斬機ファイナルシグマ》で6000ダメージを狙える

ホップイヤーのサーチ手段はほぼないが、もともと長期戦に持ち込むデッキのためドローでの引き込みが期待できる。
一方「エルドリクシル」という優秀なリクルートカードを有するデッキではあるのだが、誓約の関係で大抵そのターン中にシンクロ召喚はできない。
素材にできないリスクを負ってまで別のレベル2チューナーである《ゾンビキャリア》や《シノビネクロ》を採用するのは割に合わないだろう。


その他

他にもレベルを持つモンスターが相手ターンに置物になりやすく、かつEXデッキの空きを捻出できるなら幅広いデッキで活用が見込める。
ただし、一見そうであっても実は取り入れづらいデッキもあるので注意しよう。
例えば【エクソシスター】【ダイノルフィア】は相手ターンに罠カードでレベル4モンスター2体を壁にできる。
《砂漠の飛蝗賊》経由でレベル10シンクロを狙えそうだが、実際はその罠カードに誓約が付いているため出せない。
また【インフェルノイド】【ウィッチクラフト】のように《名推理》での墓地肥やしに重きを置くデッキでも難しい。
《名推理》でホップイヤーが出てしまうリスクが怖いのだ。
シンクロ召喚を取り入れるとしても、自己蘇生可能な《生きる偲びのシルキィ》の方にまだ分がある。



追記・修正は、相手メインフェイズに自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてからお願いします。

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最終更新:2023年09月02日 17:47

*1 相手が発動したモンスター除去効果にチェーンして、自分がその対象のモンスターをコストや素材にしてしまうこと。相手の狙いを1つ失敗させてこちらの狙いを1つ成功させることになるので、2倍お得である。