高橋名人の大冒険島

【たかはしめいじんのだいぼうけんじま】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 ハドソン
開発元 プロデュース
発売日 1992年1月11日
定価 8,500円
プレイ人数 1人
配信 バーチャルコンソール
Wii 2011年6月28日/800円
判定 なし
ポイント 初作のスタイルに近い形でスーパーファミコンデビュー
「ゲームは1日1時間」に見合ったとっつきやすいバランス
先に発売されたFC版『II』よりゲームボリュームはダウン
高橋名人関連作品シリーズ


概要

1992年1月にスーパーファミコンで発売された、ハドソンのアクションゲーム『高橋名人の冒険島』シリーズ作品であり、ハドソン初のスーパーファミコンソフト。
ゲーム内容は原始人に扮した高橋名人を主役に据えた純粋なアクションゲーム。

シリーズ作品はファミコンを含めてカウントすると『高橋名人の冒険島』『高橋名人の冒険島II』に続く3作目だが*1、本作はどちらかといえば初作の発展形と言った感じである。


ストーリー

平和の島国アドベンチャーアイランド。高橋名人は侵略者と戦い国の平和を守る英雄で女の子にモテモテ。今夜も「ミス・ジャングル」と呼ばれる美女ジーナ*2とデート中。
満天の夜空にちりばめられた美しい星と波の音で二人のデートは盛り上がり、さあこれからという時にイタズラ好きのダーキーが通りがかり、二人のアツアツムードに嫉妬したダーキーはジーナを魔法で石にしてしまった。
魔法を解くためには遠い遠い海の向こうにある伝説山の伝説沼に沈む「伝説のオノ」で石を砕くしかない。そして伝説の山のふもとにはダーキーの悪魔城がある。
石にされたジーナを元に戻すべく、丘を越え、洞窟を抜け、海を渡り、山を登り、多くの障害を乗り越えて高橋名人の冒険は続く。


内容

  • 前年4月にファミコンで『II』が発売されているが、その要素「アイテムストック」や「恐竜キャラ」等は取り込まれておらず、1ステージずつクリアーしていくスタンダードなアクションゲームで初代の『冒険島』に近い。
    • ただし『II』で登場した水中面は取り入れられている。また、スクロールは一方通行ではないので、どこまでも戻ることができる。巨木や断崖を上へ上へと登っていくステージもある。
    • コンティニューは無条件で無限にできるようになった。
  • 5エリア3ラウンドの構成になっており、3ラウンド目を突破するとボスとのバトルになる。
    • ラウンドクリアは走り抜ける形ではなく、ラウンドの最後にある「クリアボール」を取ることで成立する。
    • スケボーの仕様はFC版から変わっていないが、乗っている間はグラフィックがプロテクターをつけた姿に変わる。そのままクリアしても次のステージへは持ち越されない。
    • ボーナスステージへワープするアイテムは「カギ」から「スターリンリン」(緑と赤に光る星であってソ連初期の某独裁者ではない)に変更されている。5エリアに各1箇所ずつ存在する。
    • 全体的にはFC版初作に新要素を加えて、SFCらしくグラフィックやサウンドのグレードアップし、あの過剰な高難易度をお手頃なバランスに調整したものといった感じである。
  • 一部アイテムが削除または変更。
    • FC版で登場した数秒間取り憑かれてバイタリティを急速に減らすマイナスアイテム「悪魔ナスビ」はなくなっている。
    • バイタリティーを満タンにするアイテム「肉」は「ミルク」に変更。『II』では両方が出ていたので実質「肉」のみがオミットされた。
  • 操作はBまたはXでジャンプ、AまたはYで攻撃と実質ファミコン同様の2ボタンで完結している。
  • 高橋名人の新アクション。
    • 下を押して伏せたままジャンプすると大ジャンプになる。
    • 新武器「ブーメラン」
      • 投げるスピードはオノに若干劣るものの、上下左右に選んで投げられる。
    • 水中ではオノも下へ向かって投げ落とすことができる。
    • オノ、ブーメランとも1つ取る毎に、連射数が増えていく。4つ目を取ると火の玉にグレードアップする。
      • 火の玉になると攻撃力が上がる他、道中のつまづき石も破壊できる。
      • アイテムのカウントはオノ・ブーメランどちらを取っても有効となる。ただし実際に使えるのは最後に取ったもの。
        例えば、オノ→ブーメラン→オノと取った場合、オノの3連射となる。
      • 火の玉も、その弾道は最後に取った武器に準じた形となる。

評価点

  • 全体的に遊びやすいバランス。
    • スタイルは同じながら初作のような序盤のステージから異常なほどの高難易度とは似ても似つかず、特に序盤は初心者でもとっつきやすく作られている。
      • タイム要素に近いバイタリティ制は持ち越されているが、それも相当モタモタしていないと尽きる心配はほぼない。バイタリティをゴッソリうばっていく「悪魔ナスビ」も登場しない。
    • 操作性の良さは相変わらずで、しゃがみからのハイジャンプなど新しいアクションの感応も良い。
    • 初作にあったデフォルト武器さえもパワーアップアイテム扱いだが、やられて再スタート時に取れなくて丸腰のまま進まなければならないようなポイントはない。
  • スーパーファミコンの性能をフルに活かしてアクションもより豊富になりグラフィックやサウンドもより洗練された。
    • スケボー自身の性能は持ち越しでもプロテクタースタイルになったりFC版『II』では立ち泳ぎだったのが、ちゃんと平泳ぎスタイルになったりと細かいところまでこだわったアクション。
    • 背景もファミコン作品とは比べ物にならないほど細かい部分まで描かれており後述の通り、基本形のゲームという位置付けだったにしても手抜きが感じられない出来。
    • BGMもゲームのトロピカルな雰囲気にマッチした良曲が多い。
    • 本作のBGMは『アクトレイザー』を手掛けた古代祐三氏が担当しており、「スーパーファミコンの音源でいかにクリアで心地のよいグルーヴを作り出すかを目的にした」と古代氏は語っている。
    • 高橋名人の冒険島シリーズの作品の中で唯一サントラが発売されているタイトルでもある。
  • 新しい武器「ブーメラン」の導入。
    • 弾道が異なるため、それまでの石オノとは活かせる場面が異なるなど、しっかり別の武器として機能している。
    • 更に上下方向まで含めて投げ分けられるなど、用途が広い。

問題点

  • ファミコンの『II』で登場した恐竜キャラが登場しない。
    • 折角シリーズの新要素として登場し、様々な個性を持っていて好評だったので、取り入れていないのは『II』経験者からすれば物足りなく思えるかも。
    • あくまでも初作品としてベーシックなスタイルを目指したのであればしかたないのかもしれないが。
  • 全体的なステージ数が少ない。
    • 後半になるほどだんだん手応えが感じられるようになり、クリアも一筋縄ではいかなくなるとはいえエリアは全部で5と少なく更に初作のあの超高難度を思えば足元にも及ばず、「大」を付けたイメージに反して上級者にとっては少々手ぬるく感じられるかも。
      • とはいえそれでも初見で1時間持たずにクリアーできるほどではないのである程度の手応えは充分感じられる。
  • 初期作品のため仕方ない所もあるが、操作ボタンをかなり持て余しているところがある。
    • 折角スーパーファミコンによりA・B・X・Y・L・Rと6ボタン使えるのに、ほとんどファミコンの2ボタンレベルでできる操作しかないため、石オノとブーメランを併用できなかったりと、それなりに不便に感じるところもある。

総評

先に発売されたファミコン版『II』にあったものが取り入れられていないことをはじめスーパーファミコンとしての発展形を期待した者からすれば少々物足りない感はある。
スタンダードに収まりすぎている感は否めないものの初作の異常な高難度を思えば、初心者でもとっつきやすくクリアーの達成感を味わえるなどバランスは良い方ではある。
敵キャラにしてもステージ毎にその雰囲気にしっかりマッチしたキャラが豊富でそれぞれのステージの雰囲気をしっかり出しているなどハード性能に見合った映像やサウンドのクオリティは順当にグレードアップしている。


その後の展開

  • 直後の3月には前作『高橋名人の冒険島II』をゲームボーイにアレンジ移植して発売。
    • 基本的に移植ながら難易度は若干易しくなっている。
  • 同年6月にはPCエンジンソフトとして『高橋名人の新冒険島』を発売。
    • この作品も本作同様、『II』ではなく初作品に近い形に原点回帰し過剰な難易度を抑えグラフィックなどをクオリティアップした発展形のような仕上がりになっている。
    • 高橋名人はPCエンジン発売にあたり、その広報担当に就任したのだが彼の本畑であるPCエンジンからの作品はこれ1つのみとなった。
  • 同年8月には本道シリーズでのナンバリング続編『高橋名人の冒険島III』を発売。翌1993年2月にはゲームボーイにもアレンジ移植発売。
    • この作品は『II』からの発展形のような形に仕上がっている。GB版も同様でオリジナル版のイージータイプのような形にアレンジされている。
  • 『大冒険島』としての直接的な続編『高橋名人の大冒険島II』は1995年1月3日に発売。
    • この作品ではこれまでの原人スタイルは踏襲しつつも、剣、鎧、魔法とファンタジー要素を新しく取り入れ、お金や装備の概念も加わって本格的なアクションRPGとしてモデルチェンジ。
      • これまでの一貫した原人スタイル好みな人からすれば多少の賛否はあるが遊びやすいバランスを継承しつつスーパーファミコン後期の作品らしく全体的なクオリティの高さは目を見張るものがある。
    • ファミコンによる本道のシリーズは既に1994年6月に発売された『IV』で既に終了している。なお、『IV』はファミコン最後の任天堂公認ソフトでもある。

余談

  • 本シリーズでは本作から、高橋名人がブーメランを使うようになる。
    • 同じく原人キャラを主人公にした1987年2月発売のファミコンソフト『新人類*3は主人公マックスがブーメランを使っていたので、これを登用したという説がある。
    • 実際『新人類』は海外で『Adventures of Dino Riki』として発売されオリジナル版では主人公の変身後の姿が長州力だったが、海外版では高橋名人のような風貌に変えられているなど、まんざら無関係でもない一面も見られる。
  • 小学館発行のハドソン公式ガイドブックでは巻頭にカラー漫画が掲載されており、かつて『コロコロコミック』で連載されていた『ファミコンランナー高橋名人物語』の作者、河合一慶氏によって描かれている。
    • 作中の名人も、あの頃とは違い1992年初頭の32歳当時をベースにモデルチェンジしている。あの「サッポロ獲り」は当然なかったことになっている。
    • また攻略記事の中でも実写の高橋名人がふんだんに出演している。
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最終更新:2024年02月10日 08:30

*1 他にスピンオフとして本シリーズをベースに作られたアニメを逆輸入してゲーム化した『高橋名人のBUGってハニー』(1987年6月発売:FC)がある。

*2 シリーズにおける名人の恋人ティナとの関連は不明。

*3 「リックスソフト」名義だが、開発がハドソンでCMもハドソン枠で行われ高橋名人が出演するなど素人目にもハドソン作品なのが明白だった。