ガマクジラ


円谷プロの特撮作品『ウルトラ』シリーズに登場する怪獣。別名「汐吹き怪獣」。
初出は『ウルトラマン』第14話「真珠貝防衛指令」。
ガマガエルとクジラを合体させたような外見をしている怪獣であり、
真珠を主食にするという、数ある怪獣の中でも珍妙な習性がある。
最大で50mまで伸びる長い管状の舌で掃除機のように凄い吸引力で真珠を吸い取って捕食し、
一日の真珠の摂取量は30万個に達するという。
これにより世界各地で真珠貝の産地を襲撃しては全滅させて、真珠の高騰を引き起こした。

水陸問わず活動できるが水中の方がホームらしく、マッハ5のスピードで泳ぐことができる*1
武器はクジラの潮吹きのように背中から発する高熱の水流であり、ジェットビートルの特殊合金にすら傷を付ける程。
また、ウルトラ怪獣入門によれば口から火炎を吐けるらしいが、劇中では未使用。
この他、敵の攻撃を受けると背から攻撃と同じ元素を潮吹きのように放出して、体質を強化してその攻撃に耐性を備える性質を持つ

不自然な真珠の高騰に不信感を抱いたという体裁でアクセサリが買えないことに憤慨していたフジ隊員が調査している最中、
日本で三重県鳥羽市の真珠養殖場を襲撃したことでその存在が発覚。
出撃したジェットビートルが迎撃に移るが、熱線水流で撃退され、科学特捜隊はやむを得ず様子見に転換する。
夜間消化の音を鳴らしながら休息するガマクジラに鬼気迫る形相で女から真珠を奪う所業を糾弾するフジ隊員と、
その光景を冷めた目で見ながらツッコミを入れるイデ隊員の光景は語り草となっている。

ともあれ養殖場をあらかた襲い尽くしたガマクジラが今度は都心部に保管された真珠を狙うのは容易に想像でき、
フジ隊員の私怨抜きにして科学特捜隊はガマクジラを駆除処分しなければならなかった。
しかし、尋常ではないタフネスを持つガマクジラにはナパーム弾も放電攻撃も通じない。
そこでアラシ隊員の発案で真珠型の爆弾を食わせて体内で起爆させて倒す作戦が実行されるが、
上記の能力でガマクジラは体質を変化させて、より頑丈かつ狂暴になってしまう。
作戦中に腕を負傷しながらも無事だったハヤタは、合流したフジ隊員に自分の救助は後回しにして、本部からロケットブースターを送らせるように指示。
ガマクジラはケツ尻尾にロケットブースターを打ち込まれ、その推進力により上空に飛ばされてしまう。
空中で慌てふためくガマクジラだったが、そこでハヤタが変身したウルトラマンに体当たり特攻されて爆発四散した。


脚本段階では従来の作風通りに怪獣プロレスがあり、ウルトラマンが手首を痛めている素振りを見せたため、
ムラマツがウルトラマンの正体に勘付くという構想だったらしい。

円谷プロのブームの立役者の一人である鬼才・実相寺昭雄監督が初めて『ウルトラ』シリーズでメガホンを取った回の怪獣としても知られている。
前作『ウルトラQ』の頃から声を掛けられていたが執筆した脚本は没にされたため、撮らせてもらえるなら何でも良いという想いで参加していたとのことで、
最初ということもあり他の担当作品よりも手探り感が見られるが、夜間の闇と光のコントラストを巧みに使った演出など、
この頃から独創的な感性の片鱗は見られていた。
なお、実相寺監督は「抗議の電話が殺到するほどの生理的嫌悪」という注文を成田亨氏にしており、成田氏もそれに応える形でデザインしたのだが、
それを元に高山良策氏の造形した着ぐるみは「愛嬌がありすぎる」(※印象には個人差があります)と当時は落胆したらしい
(ただし、実相寺監督は晩年「デザインはあれで正しかった」と認識を改めたという)。

後にガマクジラの着ぐるみは第34話に登場するスカイドンに改造された。
ちなみにこの34話も実相寺氏が監督を務めており、コメディ寄りの内容になっていたり、
ガマクジラに対して実行されたロケット弾作戦がこちらでも披露されていたり、
最後は空中にてウルトラマンの特攻で撃破されるなどといった共通点が随所に見られる。

+ 他作品におけるガマクジラ
実相寺監督の著名さに引っ張られる形でそれなりに知名度があるガマクジラだが、
以降の映像作品で明確に主役回を与えられたことはない。
しかし、チョイ役で出たり名前だけ出ることだけなら多々あり、
ウルトラ怪獣の中でもそこそこ出番のある背景キャラと化している。

  • 『ウルトラマンメビウス』
第21話ではペギラなどと共に怪獣墓場で漂っていたのが確認できる。

第7話のガイが読んでいた雑誌「HOW DAY」の表紙にガマクジラが載せられている。
ちなみにガイは水の惑星ヌオックにてペスタータッコングと共に、
水の魔神として封印されていたガマクジラと戦ったことがあるという裏設定がある。

第22話でナカシマ・ヨウコの履歴書に名前が確認されており、
過去に出現した個体が捕獲されていたらしい。

  • 『ウルトラマントリガー』
第5話でガマクジラキーが使用された他
第9話で世界各地で発見された怪獣の記録の中に、中国で見つかったガマクジラの巻物が登場した。


MUGENにおけるガマクジラ

カーベィ氏の製作したキャラが公開中。
kMIKEj氏から提供されたスプライトを用いて製作された。
舌による攻撃やのしかかりなどの技を持つ他、口から真珠を吐き出す設置技を持つ。
なお、真珠は確率で真珠爆弾になる。
また、潮吹きの飛び道具は削りが強く使いやすい。
超必殺技はいずれも1ゲージ技で、「必殺潮吹き」「ロケットブースター」と設置をばら撒く「真珠貝防衛指令」。
AIもデフォルトで搭載されている。
紹介動画

出場大会


*1
「マッハ」とは「時速1200km」という意味ではなく「音速(音の伝わる速さ)」と言う意味なので、水中では時速5400kmを意味する。
そのためガマクジラのマッハ5は時速27000kmという事になり
「空中をマッハ5(時速6000km)で飛ぶウルトラマンの5倍の速さで泳いでいる事になる」と『空想科学読本』ではツッコまれている。
あと、空気とは比べ物にならない粘度がある海水の中でマッハ5も出したら、衝撃波だけで日本列島が消滅するとも。


最終更新:2022年07月20日 18:55