海賊鬼

「俺は漫画家になりたい…でも才能がない。だからお前たちから奪うのだ!」

【名前】 海賊鬼
【読み方】 かいぞくき
【声】 久保雄司
【登場作品】 暴太郎戦隊ドンブラザーズ
【登場話】 ドン10話「オニがみたにじ」
【分類】 ヒトツ鬼
【憑依された人間】 漫画家志望の男(大井成樹)
【欲望】 漫画家になりたい
【素体】 シソツ鬼
【モデル】 海賊
【スキン】 海賊版パイレーツ
【ドロップ】 ゴーカイジャーギア
【文字化け】 豬キ雉頑姶髫
【むかしむかし…】 男は努力するのがめっぽう苦手だったそうな…
【モチーフ】 海賊、イカ、ゴーカイクリスマス、鬼
【名前の由来】 海賊戦隊ゴーカイジャー+鬼

【詳細】

「漫画家になりたい」という欲望を抱く漫画家志望の男から生まれた海賊モデルのヒトツ鬼

「海賊版パイレーツ」のスキンを纏ったシソツ鬼
毒々しい赤紫色の触手を髪やヒゲのように流す青い体を持つ海賊と、黒い体毛を持つこれまた真っ黒な体の海賊が左右を剥いた状態で接合されたような見た目をしている。
異なる海賊を張り合わせたような外見のため服のような装飾も左右非対称で、唯一頭にかぶっている海賊帽のみが左右対称。
左肩からベルトを装着しているが、別人同士をそのベルトで強引にくっつけているようでもある。
正面から見ればアシンメトリーの服を着たド派手な海賊に見えるだろう。

漫画家志望の男(東映サイトによれば「大井成樹(おおいなるき)」という名前らしい)というだけあって、「漫画家になりたい」という夢、欲望を抱いているが、ヒトツ鬼が憑依したことでその欲望が暴走。
派手に成功している漫画家達から大いなる才能を奪うため、人を超えた略奪の鬼と化して漫画家そのものを体内に吸収するという方法でその才能を奪っていった。

これまで登場したヒトツ鬼と違うのはこの男性は自分の怪物としての能力を完全に理解して使いこなしている点。
ファンを装って漫画家に近づくと油断を誘いヒトツ鬼に変身して能力を使い吸収するといった手法で犠牲者を増やしていた。
夢の実現のために努力もせず、身も心も怪物に成り果てた陰鬼。
漫画家を吸収することは熱心だが、彼は登場シーン中漫画を描いているシーンは無く、「むかしむかし…」にもあるように努力することがめっぽう苦手とのことなので、漫画家になりたいがそのための努力は嫌だ、であるなら既に成功している漫画家の才能を奪おうという、如何にもな短絡的な思考をしていることがわかる。
作業シーンが無いため、漫画家を吸収することで本当にその才能を奪い取れたのかは全くわからない。逆に言えば本人がその気になっていただけで、漫画家はただ犠牲になっただけである可能性すらある。

鬼頭はるかは五色田介人からキビ・ポイントの説明を受けていた。
それを使えば、ドンブラザーズに加入する前の生活に戻れる。
クラスメイトから「トウサク」と呼ばれず、自分が書いた漫画が世間に評価され、マザコン気味だけどボーイフレンドもいる…そんな生活に。マザコンいるか?は禁句

しかし漫画家としての名声を取り戻してしまったことで皮肉にも海賊鬼のターゲットにされてしまい、一平という漫画家を吸収した男性は直前のターゲットが読んでいた単行本の作者である彼女を狙い、サイン会が終わったあと前田真利菜に尾行されていたはるかがたまたま自分を頼ってきたのを良いことに物陰に連れ込むと、海賊鬼としての正体を表して襲いかかる。
まさかドンブラザーズ脱退直後にヒトツ鬼に狙われるとは思わず、はるかも「超展開」と驚き逃げ惑うが、そこに先程彼女を尾行していた真利菜が現れると、なんとドンブラスターを構え、オニシスターにアバターチェンジしてしまった。

はるかはやはり戸惑っていた。目の前に広がる「超・超・超展開」な光景に。
その場に出現したドンモモタロウにひざまずいて「タロウ様、我々お供をお導きください!」という真利菜は、呼び寄せられた他のメンバー達と共にヒトツ鬼と戦っていく。
ドンブラスターの連射に追い詰められた海賊鬼は脳人レイヤーのマンホールでジャンプし、その上空にあった扉を打ち抜きその向こうへと逃走した。

その後喫茶どんぶらで真利菜から話を聞くと、漫画家ばかりを狙うヒトツ鬼として既にマークされており、
名前の売れてきたはるかが次のターゲットになると踏んだらしい彼女は、海賊鬼の魔の手から守るために護衛していたのだ。
最もサイン会で自分の電話番号を書いたメモを握手にかこつけて握らせ、隠れる気のないバレバレな尾行と、はるかにしてみれば完全にファンがストーカー化した以外の何者でもない行動だったため警戒されてしまっていた。

真利菜に付き合う形で取材と称し自分がドンブラザーズを抜けたあとのメンバーの観察に赴くはるか。
その途中、真利菜もドンブラザーズに選ばれたことでかつての自分同様、芸術作品を盗作認定されてしまったことを知る。
彼女の場合は写真だった。
渾身の虹の写真を盗作扱いされ、カメラを持つとトラウマからしばらく手が震える発作に襲われてしまうという真利菜の話を聞き、
自分がドンブラザーズをやめたことで彼女がそのような状況の追いやられたと思うはるか。

そこへ再び海賊鬼が出現。
何故漫画家ばかり狙うのかをはるかから問いただされた海賊鬼は上記の主張をするも…

「ふざけんなボケ!才能は奪うもんじゃない…自分の手で磨き、育てるモノよ!」


とはるかが反論し、それに同意した真利菜はオニシスターへアバターチェンジ。
間もなく現れた他のメンバーと共に、湧いてきたアノーニと共に戦い始める。
脳人であるソノニが海賊鬼を粛清しようと現れる中、ドンブラスターでアノーニを蹴散らしていた真利菜だったがその手が突如震えだして武器を落としてしまう。
その様子を見たはるかは先程の会話を思い出し、真利菜が今もなおカメラを持ち続けていることに気がつき、彼女の状況を生んだのが自分の脱退が原因ではないかと考える。
自問自答するはるかだったが、やがて心の中で決断を下す。

そして喫茶どんぶらへ向かい、介人に対し恫喝めいたやり取りで「ドンブラザーズを辞めるのを辞める」と宣言。
自分自身も不幸になりそこから抜け出したかったが、決して同じ境遇の人間を生み出してまで逃げ出したかったわけではない。
そうなる人間が現れてしまうことを知ったことで、不幸の連鎖は自分で断ち切るという結論に至ったのだ。
真利菜は自分自身の人生を生きてほしい、とヒトツ鬼と戦い続けることを決意したはるかは気がつくと真利菜と入れ替わる形で再びオニシスターとなっており、ロボタロウギアでオニシスターロボタロウへアバターチェンジ。

パワーアップした力でフルコンボウを扱い海賊鬼を一人で圧倒。
顔面をフルスイングして吹き飛ばすと、他のロボタロウとなったメンバーと共に前人未桃・打ち上げロボタロウを発動し、海賊鬼を撃破した。
ヒトツ鬼が消え去り、元の人間に戻った漫画家志望の男は、解放され喜ぶ漫画家をバツが悪そうに眺めながら、一平氏に手の甲に書いてもらったサインを隠していた。
そんな彼が今後も漫画家になる夢を懐き続けられるのかは…定かではない。
欲望のため犠牲者を増やしていたが海賊鬼ングとして復活はしなかった。

再びドンブラザーズになったことで再度以前の境遇に戻ってしまったはるか。
すれ違う同級生に当たり前のように「トウサク」と呼びかけられる日常が戻ってきたものの、気にせず挨拶を返した彼女は雨の上がった空を渡る虹を満足気に見上げるのだった。

「おっ、虹!」

それはまさに、鬼が見た虹。真利菜が言っていた雨がやんだ瞬間の、奇跡みたいな瞬間そのものだった。

【余談】

胴体のパーツは快盗鬼の頭部と組み合わせ轟轟鬼へと改造された。

モチーフとなったのは「海賊戦隊ゴーカイジャー」。
外見はアナザーライダーの一体、アナザーWに似ている。
アナザーWをデザインしたのは本作でもヒトツ鬼のデザインを担当している篠原保氏だが、どのような意識のもとデザインしたのかは不明。完全公式読本等でのコメントが待たれる。

二人分の海賊の身体をくっつけたような見た目は、恐らくゴーカイシルバーこと伊狩鎧が1度だけ豪快チェンジしたゴーカイクリスマス(ゴーカイレッドとグリーンが半分ずつ融合した姿)。実際には他にもゴーオンゴールドとゴーオンシルバーを一体化させた「ゴーオンウイングス」には何回か豪快チェンジしているが海賊同士が貼り合わされているため、モデルはゴーカイクリスマスの方か。
右半身がタコ、あるいはイカの触腕を体毛のように見せているのはゴーカイジャーでのラスボスがダイオウイカモチーフのアクドス・ギルであったこと、行動隊長と呼ばれる怪人枠のモチーフが海洋生物で共通していることが由来と思われる。ちなみにデザイナーも篠原保氏で同一。

スキンの「海賊版パイレーツ」とは、違法アップロードされた漫画を指して「海賊版」と呼ぶこと。
あるいは劇場版ゴーカイジャーにて、ゴーカイオーの姿をほぼそっくり真似した「海賊版ゴーカイオー」といえる偽ゴーカイオーが登場したことからか。
ゴーカイオーは海賊帽を被ることで完成するが、異なる容姿の海賊を合体させ海賊帽でまとめ上げたようなデザインはゴーカイオーの要素も含んでいると見ることが出来るか。
ちなみに前作に登場する追加戦士のツーカイザーは外見がゴーカイジャーそっくりだったため「海賊の海賊版」などと言われたりしている。
「パイレーツの海賊版」…「海賊版のパイレーツ」・・・

本話にて、現在のキビ・ポイントを全消費することでドンブラザーズを脱退する事も可能であり、脱退を撤回しても消費したポイントが戻らないことが判明した。
また前田真利菜が鬼頭はるかが味わった不幸を、漫画が写真に入れ替わるという違いはあれどほぼそっくりそのまま移し替えるように受けていたことから、はるかの不幸もまた誰か別人がオニシスターを脱退し、立場がはるかと入れ替わったのではないか?とも考えられる。
どうやらオニシスターの変身者は「自分の制作物を盗作と認定され社会的名誉が失墜」し、「喫茶どんぶらで平時はバイトしている」という共通点があるらしい。

なお椎名ナオキの正体と盗作騒動のあらましが判明した後、そうなると真利菜がオニシスターになっている場合、椎名ナオキの正体は別次元の未来における彼女だったのだろうか?

最終更新:2023年04月20日 03:11