「NTRれいむ.2」
「そして今から君達全員、その奴隷以下のクソムシです。ゆっくりしていってね!」
人間さんの口から高らかに宣言される。
あなたたちはゆっくり以下の奴隷よりさらに下のクソムシに成り下がりましたよ宣言。
それが我が身に降りかかった現実であると、まりさには到底理解できない。
ここはまりさたちが見つけたゆっくりぷれいすのはずだ。
お飾りのない屑が一匹しつこく居座ってはいたが、おびえるばかりの弱虫で、最強まりさの敵ではない。
なんの問題もないはずだった。
そう、お飾り無しの奴隷を自称するおかしな人間さんが現れるまでは。
「ちがうのぜ、にんげんさん! まりさはさいっきょうなんだぜ? にんげんよりつよいまりさが、にんげんさんよりしたのクソムシなんて、そんなゆっくりできなそうなものなわけないんだぜ! ちょっとかんがえれば、だれにだってわかるのぜっ」
「そうだよ、れいむたちはゆっくりなんだよ。それもとてもゆっくりした、せかいでいちばんしあわせなゆっくりなんだよ。
それがおかざりもない、あのごみよりしたなわけないでしょおおっ!」
れいむが唾を飛ばして吠える。無駄に高いプライドを刺激され、鬼気迫る表情は夫のまりさから見ても醜悪に映った。
しかし、れいむの言うとおりだと、まりさは思った。
人間さんはあの弱虫の屑より下なのだ。
まりさはあんな屑よりずっとゆっくりしている。さらに強い。ならば人間さんがまりさに敵うわけがない。
それが証拠に、人間さん今までまりさに何の手出しも反論もできていないではないか。
まりさはいつだって最強なのだから。
そのまりさがいったい何故、奴隷以下のクソムシになるというのか。
「ブッブー」鬼威さんは口で効果音を鳴らしながら、待針を2本取り出してかざす。
「君達はもはやゆっくりでもない。ただのクソムシなんだよ。まだわからない?」
これはお仕置きが必要なのかなと、針を二匹の眼前に近づけチラつかせる。
「ゆっひぃ! に、にんげんさんは、それはゆっくりできないから、しまってね。おねがいだから、ゆっくりせずにしまってね」
「そ、そうだぜ。そんなあぶないものはにんげんさがもってちゃいけないんだぜ。つよいぶきは、つよいまりさにこそふさわしいのぜ? わかったらさっさとそれをまりさによこすんだぜ」
赤ちゃんゆっくりの痛がる様を見て、針が危険なものだという認識はあるらしい。
鬼威さんは緩慢な動作で両手に持った針をさらにまりさたちへ近づけていく。
「く、くるんじゃないのぜ。それいじょうちかよったら、ようしゃしないんだぜ」
「まりさ、はやくこのにんげんさんをやっつけて! やっつけてよ! はやくしないさよ!」
まりさとれいむが狭いケースの中を逃げ惑う。
まりさは辛うじて虚勢を張っているものの、れいむは子供に近づこうとした時以上に顔面をガラスに押し付け、その顔は冗談のように平たく広がっている。
「てい!」
鬼威さんのかけ声に、まりさとれいむは絶望を抱いて視界を閉ざす。
しかし痛みは訪れることなく、代わりに悲鳴は別の場所から上がった。
「ぃぎぃお!」「ゆぎゃぁあ!」
既に針で縫い止められている二匹の赤ちゃんゆっくりの傍らで、姉妹の傷を癒そうとぺーろぺーろを続けていた残り二匹の赤ちゃんゆっくり。
その二匹が揃ってが絶叫している。
今までは慰め看護する側だったが、これで平等。全員串刺しだ。
「んごぉおぉぉ、いちゃいの、あっちいっちぇえ! ゆんやぁぁああ!」
「ひっ! ぎぃえ! いぢゃぁああ!」
突然すぐそばで上がった悲鳴に驚き、先に串刺しにされていた二匹を同じ様に痛がり始める。
この生き物には正しい痛覚などなくても、痛そうだというだけで痛みを感じられるのかもしれない。
四匹が思い思いに顔面を歪めてもがき苦しむ様を見て、鬼威さんはすぅっと胸を撫で下ろす。
「ご主人様の言い付けで、今度の針には山葵が縫ってあるから余計に痛いかものかもしれないね」
にこにこ顔の鬼威さんは事も無げに告げて、視線を子供たちの両親へ向ける。
二匹は自分が刺されなかったことに安堵の息を吐いていたが、鬼威さんの視線に気づき顔を強張らせた。
「……よくも、よくもれいむをここまでおこらせたね。ひどいよ。もうあやまっても、ゆるしてあげないんだからね!」
「まりさのいかりがうちょうてんなんだぜ。もう、おそいのぜ。おにいさんはここでしぬうんめいなのぜ。いまきまったのぜ」
同じような脅し文句を飽きもせずに繰り返すのは、実行が伴わないのに言葉だけ相手を威圧しようとするからだ。
きっと相手が謝ってくるのを今か今かと待っているのだろうが、実力を見透かされていては滑稽を通り越して哀れ笑いを誘うしかない。
「ん~、確かにまりさは強いよ。きっと最強だよ。たぶんまともに戦ったら鬼威さん、手も足も出ずに負けちゃうじゃないかな。
でもね、今は君達の大切な可愛い赤ゆたちが捕らえられて、ああやって苦しめられているんだよ。
まりさ自身も箱の中だしね。
そんな状況じゃ、まりさも実力発揮できないよね。本当は戦ったら勝てるけど、鬼威さんの言うことをきくしかないよね?」
「ゆ、ゆぅ……」
鬼威さんの強いという言葉に気を良くしつつも、傷ついている我が子の姿を見てまりさは考える。
まだだ。まだ焦るような時間じゃないのかもしれない。
まりさは最強だが、今は条件が悪い。
人間さんを油断させて、子供たちを助け出してからが、まりさの強さの見せ所だ。
「そろーりそろーり!」
突然まりさが声を出しながら、れいむの部屋へと近づいていく。
まりさの声を聴いたれいむは何かを悟ったように、同じく「そろーり!」と声を出しながらまりさの元へ向かう。
ケースを仕切るガラスを挟んで、ゆっくりたちの密談が開始される。
鬼威さんはわざとらしく、出入り口である引き戸のほうに顔を向けて気づかないふりをしている。
「いいか、れいむ。まりさのいうことをよっくきくのぜ!」
「わかったよ、まりさ。れいむにまかせて!」
「にんげんさんにきづかれないように、さいっしんのちゅういをはらうのぜ」
「だいじょうぶだよ。こっそりいどうしたから、にんげんさんはきづいてないよ。ぷくくっ、ばかなじじぃは、なにもないところをみてるよ」
「ゆひひっ、あのにんげんさんはとってもあたまがわるいにちがいないのぜ。だから、かしこいまりさはそこをついて、たいせつなかぞくをたすける、めいっあんをおもいついたんだぜ!」
「すごいよ。さすがれいむのまりさだよ!」
ここで交わされたゆっくりたちの会話を要約するとこうなる。
まりさは強い。人間さんにだって楽勝だ。だけど、今は子供たちがつかまっているので手を出せない。
だから一度あの人間さんの言うことを聞くフリをして油断させる。
お飾り無しも人間さんもバカだからすぐに騙されて、ゆっくりしているまりさたちに感謝する。
その頃にはゆっくりした子供たちの姿に鬼威さんもメロメロに違いない。
鬼威さんはこっちが何も言わなくても、子供たちを外へ出して解放するだろう。
そこでまりさがそろそろれいむと自分も、この箱から出して欲しいと持ちかける。
従順なフリに騙されたバカな人間さんは、当然この透明な箱からまりされいむを出す。
まりさが箱から出たらこっちのもの。
あっという間に人間さんとお飾り無しをやっつけて、ゆっくりぷれいすを取り戻し、家族で末永くゆっくり暮らしましたさとなるわけだ。
「かんぺきだよっ! すごいよ、まりさ。さすがれいむのまりさだよ!」
「まりさはつよいだけじゃなかくて、もしかするとぱちゅりーよりあたまがいいのぜ。へへっ、れいむ、ほれるなよぜ?」
「むりだよ! れいむはまりさにむちゅうだよ。まりさがれいむのおっとだなんて、こんなしあわせなことはないよ」
二匹はガラス越しに身体を寄せ合い、すりすりを繰り返す。触れられはしないが、心は確かに肌を寄せていた。
「……いや、なんつーか、マジで吐きそーっすわ」
鬼威さんが堪らず呻き声をもらす。
今までゆっくりの口から何を言われても痛くも痒くもなかったが、この脳天気な会話は心底堪える。
二匹の世界に入り込んでしまっているこいつらは、今この瞬間もすぐ隣の空間で苦悶に顔を歪める赤ちゃんゆっくりのことなど気にも留めていないのだろう。
「れいむはなにをいわれても、にんげんさんのいうことをきくふりをするのぜ」
「わかったよ。れいむにまかせて!」
「こどもたちのために、ひどいこともきっと、きっとたえぬくのぜ!」
「れいむ、がんばるよ。どんなゆっくりしてないしうちにだって、きっとたえてみせるよ」
子供が苦しんでいるすぐ横で、そこまで自己陶酔できるのもある意味立派なもんだよと、鬼威さんは口の中で吐き捨て、帽子なしまりさへ視線を移す。
鬼威さんと目が合うことを恐れ、壁を向いてガタガタ震えているあれも、そういえば昔は立派な父親だったなと思い出すのだ。
命と等しいほど大事な自分のお飾り、それと引き換えに家族の身の安全を乞い願うほどに。
密談のつもりであるはずの筒抜けの会話が終わったのを見計らって、鬼威さんがゆっくりの収められたガラスケースへと視線を戻す。
「さて、じゃあクソムシたち、自己紹介して」
「ゆ! なにいってるの? れいむたちはクソムシなんかじゃないよっ! とってもゆっくりした」
「れいむれいむ!」
「ゆっくりなん……、まりさどうしたの?」
「さくせんなのぜ! ここはがまんがだいじなのぜ!」
何も考えずにクソムシという単語に反応したれいむへ、まりさが目配せを送る。
実際には全て口に出しており、誤魔化しにさえなっていないのだが、二匹ともそんなことは思い至らない。
「ゆぎぎぎぃ……、れいむはクソムシだよ。だから、なんなの! ばかなの! しぬの!?」
歯軋りをして屈辱に耐えながられいむが噛みつく。鬼威さんは平然として取り合わない。
「はい、クソムシれいむ一匹、と。横の、自己紹介して」
「ま、まりさは、ク、クソムシなんかじゃないけど、さくせんだからクソムシとなのってやるのぜっ」
「はい、クソムシが二匹と。次、そっちの小さいの」
「おちびちゃんたちはかんけいないでしょぉぉおおおっ!」
れいむがが吠える。
自分がクソムシと名乗らされた時より反応が激しく、そこには子供たちを守ろうとする母親の姿があった。
ドンドンと激しくケースに身体をぶつけ、今にも鬼威さんに飛びかからんばかりの勢いである。
しかし、あいかわらず上が空いていることに思い至らないらしい。
れいむがケースを揺らすことで、小さな赤ちゃんゆっくりの身体も揺すられ、針が刺さった皮の穴を広げる。
赤ちゃんゆっくりたちは激痛に苛まれ、悲鳴とも呪詛ともつかない声でれいむを罵った。
「にゃんてぇことすりゅの、くしょばばぁ!」
「いちゃいよぉ、おとーしゃん、たしゅけてぇー」
「おきゃーしゃんはばきゃなの? れいみゅ、とっちぇもきゃわいそぉなんだよ? しょんなことしちぇ、れいみゅをきょろすきにゃの?」
「やめるのじぇ、やめるのじぇええ! まりしゃがきゅるしんじぇるのに、おきゃーしゃんはひどぃんだじぇ。ぷっきゅーなんだじぇ!」
ぷっくーをしようとしても針で穴が開いているためすぐに空気が抜けて満足に膨れはしない。
それでも膨れては萎びるを繰り返して自分を責め立てる子供たちの醜悪な姿に、れいむは激しく動揺していた。
「なんでこのこたちは、おかあさんにそんなひどいこというのぉぉおおおおお!?」
子供たちに罵倒され恥も外聞もなくうろたえるれいむ。
まりさの考えた素晴らしい作戦とはいえ、クソムシの汚名を被るのは大人である自分たちだけで十分だった。
子供たちの名誉を守るための身体を張った抗議であるはずなのに、なぜ守ろうとした子供から自分が責められなければならないのか。
「おかーさんのきもちがわからない、わるいこはしねぇぇええええ!」
さらに激しくケースを揺さぶろうとするれいむを、鬼威さんがひょいと持ち上げる。
少し腕を動かしてやるだけでれいむの意識はあっさりと明後日の方向へ飛んでいった。
「わーい、れいむ、おそらをー」
目を細めて浮遊感に耽溺しているれいむをつかんだまま、鬼威さんが子供たちむけて尋ねる。
「君達はゆっくりかな? それともクソムシかな?」
「ゆゆ? にんげんしゃんも、ばきゃなの。まりしゃはとってもゆっきゅりした」
「クソムシなら針を抜いてあげる。ゆっくりにはもう一本針を刺すよ」
「クソムシでしゅぅう!」
「まりしゃもクソムシなんだじぇええ」
「れーみゅなんきゃ、クソムシよりもっとくちゃい、うんうんでちゅー!」
目を剥き舌を出してへつらう赤ちゃんゆっくりたち。
一匹だけ反応が遅れて「ゆ? まりしゃゆっきゅりだょ?」と不思議がっている赤ちゃんゆっくりに、鬼威さんは針を三本突き刺した。
「ゆびぇぇえええ、ぎゅぃぃいいい、ゆんぎゃぁぁああ」
赤ちゃんまりさから生えている新たな3本の針は、クソムシを名乗った他の三匹から抜いたものだ。
三匹は痛みから解放されたことに喜び、そして新たに自分の何倍もの痛みを背負った一匹の赤ちゃんまりさを見て優越感に浸る。
「ゆひゅー、あわりぇあわりぇ」
「まりしゃはおちゅむがたらないんでちゅねー」
「ばきゃなんじぇ。ぷぇっ!」
同室の赤ちゃんまりさが、侮蔑の表情で唾を吐きかける。
ほんの少し前、自分が針を刺された時に、ぺーろぺーろしてくれた恩など欠片も感じていないらしい。
まりさは泣いていた。
鼻水と涎をだらしなく垂れ流しながら、目の前の光景を否定したい気持ちでいっぱいになっていた。
まりさたちはとても仲の良いゆっくりした家族だったはずだ。
れいむは子供たちを愛していて、絶対にその口から死ねなんていう言葉をぶつけるようなことは無かった。
子供たちもいつだって仲良しで、互いを思いやり、誰か一匹をあげつらって笑うような真似はしたことがなかった。
悔しい。
どうしようもなく悔しかった。
全ては作戦だ。だからしかたがない。
でも、まりさのほうが強いのに。本当はすぐにでも鬼威さんを倒せるのに。
この奴隷を自称する鬼威さんのせいで、ゆっくりしたものが全部狂ってしまった。
家族がバラバラにされ、心まで離れていってしまう様を狭いケースの中で眺めることしかできない自分が情けなかった。
涙を流しながらまりさは考えた。
この局面を一気に打開する方法を。
鬼威さんを油断させて、一刻も早くケースを出て、まりさの実力を発揮できるもっと凄い作戦を!
「にんげんさん、ちょっといいかい、なのぜ!」
「ん? どうした、クソムシまりさ」
「こ、このどれいふざいがちょうしに……、いや、ここでおこったらせっかくのさくせんがぱーなのぜ。
……ク、クソムシのまりさがにんげんさんに、いいことをしてやるのぜ」
「いいことって、なによ?」
鬼威さんはまりさの浅い企み見抜いた上で、さも不思議そうに質問する。
「ふふっ、きいておどくろくな、なのぜ。
まりさたちはいいクソムシだから、にんげんさんのおねがいをかなえてやるのぜ。そしたら、にんげんさんはきっとまりさたちのことがきにいるのぜ。ゆっくりさせたくなるのぜ!
だからにんげんさんはまりさになにかおねがいをするといいのぜ!」
「おねがいかぁ……、それってなんでもいいの?」
「まりさにまかすんだぜ。ぶしににごんはないのぜ!」
「へぇ~、そ~。武士ね。じゃ、ちょっと待っててねー」
笑いをかみ殺しつつ、鬼威さんは片手に「おそらを~」状態のれいむをつかんだまま移動する。
電話台の上の帽子なしまりさの所へ近づくと「おい」と低い声で呼んだ。
「な、な、な、なんなんだじぇ。どれいさんは、ごしゅじんさまを、ほうっておいてほしいんだじぇ」
「どうせ聞き耳立てて会話は聞いてたんだろ、しらばっくれんなよ、知ってんだよ。
そんでさ、ご主人様よ。オレ、クソムシに叶えてもらいたい願い事なんてねーのよ、一切。
だってクソムシなんて何の役にも立たねーじゃん?
……だからさ、おまえこのれいむとヤレよ」
「ゆひぃっ! そんなのできないんだじぇ。だって、れいむはまりさのおよめさんなんだじぇ。あかちゃんたちのおかあさんなんだじぇ。それに、ごしゅじんさまとはれいむは、さっきはじめてあったばかりなんだじぇ」
「なにクソ真面目ぶってんだよ。てめぇの命可愛さに、お飾りも家族も全部差し出した屑のくせに、今更偉そうな御託並べんなよな。
ご主人様だって自分の嫁さんが目の前で端から5mm刻みで千切りされてからこっち、一回もすっきりしてねぇんだろ?
たまってんじゃねーの? いーじゃん、この場で一番ゆっくりできるのはご主人様なんだからよ、欲望のままに生きよーぜ?」
鬼威さんは帽子なしまりさの頭を撫で回す。
髪の毛を掴む手の力は強く乱暴で、成体の帽子なしまりさの幼児語はさらにひどくになった。
「やめ、やめっ、やめるのじぇぇぇええええ。やるのじゃぇ、まりしゃ、やるのじぇ。だきゃら、いちゃいことしにゃいじぇぇぇえええ」
「んだよ、やる気満々じぇねーかよ。だったら最初からクズんなよな」
程なくして、自分が立てた作戦に得意満面のまりさのもとに、帽子まりさのケースを手にした鬼威さんが戻ってくる。
れいむもケースの中に入られているが、長時間の空の旅からようやく解放されたところで、意識はまだ朦朧としているらしい。
「にんげんさん! おねがいはきまったのかぜ?」
帽子なしまりさとの会話はまりさには聞こえていない。
「うん、このれいむに、ご主人様の伽をさせてくれ」
「とぎ? とぎってなんなのぜ、まりさにもわかることばいってほしいのぜ?」
「ああ、クソムシにもわかるようにいうと、すっきりだな」
「すっきり? すっき、ってだめなんだぜ!? れいむはまりさのおよめさんなんだぜ! あんなくずあいてにすっきりなんかしたら、れいむがけがされるのぜ。そんなゆっくりできないことは、ぜったいにみとめられないのぜぇええ!」
鬼威さんはテーブルの上に帽子まりさとれいむの入ったケースを置く。
元からあった大きなケースを少し動かしてスペースを作り、まりさの部屋の目の前に二匹の入ったケースを配置する。
全身を巡る焦燥に突き動かされ、まりさは狂ったようにケースの中で暴れまわる。
「武士に二言は無いけど、クソムシにはあるんだろうねぇ。でも却下。もう取り消せない」
鬼威さんは帽子なしれいむを掴み上げて揺さぶる。
振動が帽子なしまりさの劣情を刺激し、その身体の一部がむにむにと屹立しはじめる。
「……ゆっふぅん……」
頬を赤らめ、帽子なしまりさが喘ぐ。
「やめるんだぜ! れいむにふれたら、ゆるさないのぜ! おかざりもないこのくずが! そのぺにぺにをまりさが、ちょんぎってやるのぜ。
だから、こっちきて、まりさにどげざしてあやまって、ぺにぺにをさしだすんだぜ。はやく、はやくするんだぜぇえ!?」
鬼威さんは揺する手を止めない。帽子なしまりさのぺにぺには今や最大値に達し、その先からは先走りの汁さえにじんでいた。
「にんげんさん、もうやめてぐだざい。まりさがばかだったんでず。
ごべんなざい。あやま゛るがら、あやま゛るがら!
どべて! そのてをどべで!
いやば! いやばの! ばりざのれいぶをどらなびでぇえ!
ばりざのれいぶをだずげでぐだばいぃぃいい!
れいぶにぎぇてぇえええ」
まりさは激しく取り乱していた。
れいむはまりさの声にようやく意識を取り戻し、帽子なしまりさは意気を荒くしていた。
鬼威さんはどこまでも冷静で、落ち着いていた。
「さて、自分の嫁を差し出したクソムしまりさ。楽しいショーがはじまるよ。ゆっくりしていってね」
最終更新:2022年05月03日 20:00