書きたかった事
  • 本スレ91の>>220さんの書き込み
『ゆっくりが物覚え悪いのは都合の悪い記憶を餡子と一緒に吐くからという設定があったよな。』
からインスパイアされて
  • 若干汚いのが注意点、嘔吐物的な意味で






男はその手にゆっくりれいむを抱いている。
成体サイズのそれは近くの森で甘い言葉で誘って着いてきた普通の野良れいむだ。
男の家にはすでにゆっくりまりさが居るのだがそろそろ番となるゆっくりも欲しかろうと思い拾ってきたのだ。
わざわざゆっくり屋で買うのも馬鹿らしい。
気に入らなければ潰して、まりさには別のれいむをあてがえばいいのだ。
そんな男の考えを知らないれいむはといえばご機嫌上々である。
一度だけだが森の中で出会った人間さんから舌がとろけそうなほど美味しい食べ物をもらったことがあった。
その思い出だけで人間への警戒感は全くない。その上かっこいいまりさと会えるというのだ。
これ以上幸せな状況は無い、というわけだ。

「ただいまー」
「おにいさん、ゆっくりおかえりなさい!!」
帰宅すると玄関まで飼いまりさが跳ねてきてきっちりと挨拶をした。
お兄さんはかなり厳しい性格でこれまた野良であったまりさを一から叩き直して立派な飼いまりさに仕上げていた。
「ゆゆっ、おにいさんそのれいむどうしたんだぜ」
「ああ、お前もそろそろ番になりたいだろうと思って連れてきてやったんだ」
そう言ってまりさの目の前にれいむを降ろしてやる。
「ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていってね!!」
「まりさはまりさだぜ」
「れいむはれいむだよ!!」
「れいむはゆっくりできるれいむだぜ?」
「とてもゆっくりできるよ!!」
「それならおにいさんのおうちでゆっくりするといいぜ」
「う、うん……。まりさのおうちじゃないの?」
「だめだぜれいむ、ここはおにいさんのおうちだぜ。まりさはここでゆっくりさせてもらってるんだぜ」
「れいむもゆっくりできるの?」
「れいむもちゃんとゆっくりさせてやるさ。その代わりちゃんと言う事聞いて貰うぞ」
「ゆゆっ、ゆっくりりかいしたよ!! れいむもゆっくりするよ!!」
「よし。まりさ、れいむを部屋に案内してやれ」
「ゆっくりわかったよおにいさん!! れいむこっちにくるんだぜ」
「ゆゆ!!」
玄関先で一通りの自己紹介を済ませたまりさとれいむは部屋の奥へと消えていった。
まりさとの会話からもそれほど性根悪いれいむでなさそうなので男はこのまま様子を見る事にした。

まりさの為に用意された部屋は上下に分かれた押し入れの下段だった。
それでも並のゆっくりには十分すぎるほどのスペースである。
れいむはもちろんそこが押し入れと理解するわけがないのでまりさはとても広い巣を持っているゆっくりだと思った。
巣の広さもゆっくりのステータスの一つであるためれいむがまりさを気に入るのは早かった。
「まりさのすはとってもひろくてゆっくりできるね!!」
「ゆゆ~ん、あんまりほめるんじゃないぜ」
さらに飼いゆっくりであれば当然食事面で野生のゆっくりと差がついている。
まりさ本人もゆっくりからしたら美ゆっくりの部類に入るわけでれいむはその点でもまりさをお気に召したようだ。
逆にまりさの方は正直別のゆっくりならなんでもよかった、今は後悔してない状態である。
程良い関係であるならこれからの生活に支障はない、男はそう思った。

「もうお昼だしご飯にしようか」
「れいむにごはんはやくちょうだいね!!」
「れいむ、ゆっくりまってたらおにいさんはもってきてくれるんだぜ」
「ゆゆっ!! まりさはすごいんだね!!」
「それはちがうぜれいむ……」
まりさの実にまずそうな表情を男は読み取る。
れいむはまりさの言葉をまりさの為に男がご飯を持ってきてくれていると完全に誤解している。
まりさが伝えたかったのはご飯を催促することなく大人しくしていたらようやくご飯をもらえるということだ。
男は所詮野生のゆっくりだと思って甘くみたがまりさからすれば冷や汗ですむ話ではない。
「れいむ、うちでは静かにしている奴にゆっくりできるご飯を持ってくることにしている、わかったか?」
「どうしてそんなこというの? さっさとごはんもってきてね!!」
「まあそのうち分かるよ」
意味深な言葉を残して男は去っていった。れいむはそんなことは一切気にしなかった。

その後男は二匹に同じ量、同じ見た目のご飯を持ってきてまた部屋をあとにした。
二匹がご飯を食べている間にれいむを洗う準備をするためだ。
これから一緒に暮らすためにはあまりに汚らしい肌やリボンでは都合が悪いのだ。
ぬるま湯にボディーソープを入れてよく掻き混ぜると即席泡風呂が完成した。
そのころ押し入れの二匹は仲良くご飯を食べていた。
まりさはゆっくりらしいがつがつ食べるスタイルをとうに捨て去り、器から舌で少しずつ巻き取りながら綺麗に食べている。
一方のれいむは見事にご飯を食べ散らかしていた。
飼い慣らされたまりさから見れば卒倒物である。最近では忘れていた男の怒声が飛んでくるのが目に見えて震え上がった。
「れいむ、ごはんはきれいにたべるんだぜ。すのなかもきれいにしないとだめだぜ」
「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪ なにかいったまりさ?」
「いや、なんでもないぜ……」
まりさは一応忠告はしたとばかりにれいむの食べ様に知らない振りを決め込む。
そして男が戻ってくると案の定れいむに雷が落ちる。
と思われたが男の意外な反応にまりさは驚くこととなる。
「れいむ、ごはんをたべるときはきれいにな。すがきたなくなってるぞ」
「ゆゆっ、れいむのせいじゃないよ!!」
「きれいにしないとゆっくりできなくなるぞ?」
「れいむはしらないっていってるでしょ!?」
「そうかまあいい。れいむおいでお前を綺麗にしてやろう」
「ほんとう!? ゆっくりはやくつれてってね!!」
「はいはい」
まりさの開いた口がふさがらない。何故だ、自分の時はあんなに優しくされた覚えはないのだがといったところだろう。

れいむを担いで男が向かったのはれいむを洗う準備をした風呂場である。
水面を直接見せることなく洗う事の出来る泡風呂はじつに便利だと男は常々思う。
ゆっくりがどうしてこうも水に対して恐怖心を抱いているか男は全く理解していないからだ。
最初にまりさを洗おうとしたときの騒動は今でも忘れられないほどの惨事となった。
「あわあわさんがとてもゆっくりできるね」
「そうだな」
男はれいむとの会話に適当に相槌を打ちながら細部まで綺麗に磨きあげていく。
飾りを外すのは拒まれたのでしかたなく頭に付けたままごしごしと洗う。
れいむの顔はマッサージをするように洗うと、見た目が気持ち悪い気持ちよさそうな表情をした。
風呂上がりにドライヤーも厳禁であることも経験済みだ。最初はあの音がゆっくりできないらしい。まりさは今では逆に病みつきらしいが。
面倒だがタオルできちんとれいむの水分を拭き取ることにした。
風呂場を出た頃にはれいむもそこいらの飼いゆっくりのような綺麗な肌になっていた。
田舎娘でもきちんと化粧とおしゃれな洋服を着せれば都会っ子なのだ。

まりさの待つ押し入れにれいむを戻すとまりさのれいむを見る目が変わった。
れいむがまりさに抱いていた思いに概ね近づいたようだ。つまりは相思相愛だ。
薄汚いれいむに何の感情も抱かなかったまりさもなかなか現金な奴である。
家にれいむが来てまだ一度もしていなかったすーりすーりを急にし始めたところからもわかる。れいむも満更ではないようだ。
「この様子なら心配はないな」
そんなまりさ達の行動におとこは苦笑いをしながら水受けに新しくボトルから水を注ぎ部屋を出て行った。

その日は男は晩ご飯と水の補給をしてあとはゆっくり達に関与しなかった。
今まではまりさの相手をしてやる必要があったがこれからはそれをれいむに任せればいいのだ。
れいむの躾けに関してもまりさの行動を見ているうちにれいむがそれを真似するようになるだろうと考えた。
その考えをしらないまりさは男の怒りがいつれいむに向かうか恐ろしくて仕方がなかった。
これまでの経験からすればもうすでに激しい暴行があってもおかしくないからだ。
今度れいむが粗相を起こせばなんとしてもれいむを庇わなくてはならない。
綺麗になったれいむにまりさの思いはそれほどにまで募っていたのだ。

しかし就寝直前に事件は発生した。
「ばでぃざ……うっぷ、ぎもぢわるぃおろろろろろろろろ」
「ゆぎゃあああああでいぶどうじだのおおおお!!」
れいむが突然餡子を嘔吐したのだ。
れいむは生粋の野生生まれ野生育ちだった。
その為実に人工物に対しての耐性がこれでもかというほどなかったのだ。
男が餌に混ぜていた少量の塩やカルシウムに。体を洗ったときに口に入れたあわあわこと洗剤に。そして水分補給に飲んだ硬水のミネラルウォーターに。
すべてがれいむの体調を崩す元となりついに嘔吐してしまったのだ。
だがまりさはれいむの体調の心配はまったく気にしてなかった。
またれいむが部屋を汚したのだ。
今度こそ男に見つかったられいむは潰されてしまいかねない。こんな美ゆっくりのれいむがいなくなるのはまりさは勘弁ならなかった。
そこでまりさが取った咄嗟の行動はれいむの嘔吐物を食べて証拠隠滅することだった。
基本的にゆっくりの体から出た餡子はそのゆっくりにとって汚いものである。
しかし背に腹は代えられないとばかりにれいむの嘔吐物を一気食いする。
ちびちび食べてはこちらも貰いゲロしてしまいかねないというまりさの判断だ。
「どうしたまりさ。悲鳴したような気がしたが」
なんとかれいむのものを食べ終えた頃男が押し入れの様子を覗きに来た。
「なんでもないよおにいさん!! ゆっくりおやすみなさい!!」
「ああ、おやすみ」
不審そうな表情で男は襖を閉めて、さっさと寝るために自室に戻っていった。
なんとか誤魔化せたまりさは安堵の溜め息をつく。ふとれいむのほうを見ると気を失うように眠りについてしまったようである。
その様子をみてまりさをれいむに頬擦りをして自分も眠りにつくことにした。



れいむがまりさの所にやってきて二日目の朝がやってきた。
「れいむ、ゆっくりしていってね!!」
「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!」
いつも通りの時間に目覚めたまりさはまだ眠っているれいむに向かって朝の挨拶をする。
「ここはどこなの!? れいむはどうしてこんなところにいるの!!」
「れいむはおねぼうさんだね!! きのうれいむはまりさのところにおにいさんときたんだぜ」
そんなれいむの姿を見て微笑んでいたまりさの表情が次の瞬間凍り付く。
「まりさはだれなの!? れいむにゆっくりちかよらないでね!! れいむおうちにかえる!!」
「どうしたのれいむ!! まりさはまりさだよ、わすれたの?」
「れいむはまりさのことなんてしらないよ!! ゆえーん、でぐちはどこなのー!!」
一体全体れいむはどうしてしまったのだろう。昨日あんなに仲良くなったのにすーりすーりしたのにそれも忘れてしまったのか。
「おにいさんもわすれたの? ごはんをもってきてくれたにんげんさんだよ?」
するとれいむの目が変わった。まりさはようやく思い出してくれたのだと安心した。
「すごいねまりさ!! まりさはにんげんさんよりえらいんだね!!」
しかしれいむの発した言葉は昨日の焼き直しのようだった。
「ちがうんだぜれいむ……」
昨日晩ご飯のときに説明していたことも忘れたのだろうか。もしかすると理解できてなかったのかもしれないそうまりさは思う事にした。

それからすぐ男が朝ご飯を持ってきて水の補給をして、挨拶をしただけであまり会話もすることなく出て行った。
汚らしくご飯を食べたれいむをまりさは注意して、すーりすーりしたりかけっこしたり男とゆっくりとの関係について話をして昼ご飯がきた。
朝同様男はすぐに出て行った。これからは男とではなくてれいむと仲良くするんだとまりさは言われた。まりさはれいむにこの家でのルールを教えていった。そのうちに晩ご飯がきた。
水の補給も終え部屋を出て行こうとする男にまりさとれいむは仲良くおやすみなさいと言った。
男は満面の笑みでそれに返して部屋を後にした。
そして就寝直前れいむは再び嘔吐をした。
体に合わないサプリメントと硬水中のミネラルの影響によるものである。
まりさも再びそれを何とか口にする。
出来れば食べたくないのだが男に知られるわけにはいかないため、食べる以外に処分方法がないのだ。



そして三日目の朝が来た。
「れいむ、ゆっくりしていってね!!」
「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!」
いつも通りの時間に目覚めたまりさはまだ眠っているれいむに向かって朝の挨拶をする。

「ここはどこなの!? れいむはどうしてこんなところにいるの!!」
れいむは昨日と全く同じ台詞を吐いた。





あとがき
記憶継承な話題になってたけど忘れるのも面白そうかなと思ってみた。
嘔吐した餡子を食べると記憶継承するのはあくまでも同種のゆっくりでそれ以外は餡子に消化しちゃうんじゃないかと。
ありすのカスタードをれいむが食べても駄目そうな雰囲気で。
れいむとまりさの餡子も似ているようで少し違うんだよきっと。
というのは勝手な妄想なのでさらっと流してください(・3・)~♪

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最終更新:2022年04月16日 23:24