それは、少女にとっての初恋だったのかもしれない
遠い土地、何処とも知れぬ場所で毎日のように繰り返される訓練
痛く、苦しく。ナニをされているのかも判らない実験
訳もわからず兵器に搭乗し、満足な成績が出なければ責められる
そんな日々が続く…
痛く、苦しく。ナニをされているのかも判らない実験
訳もわからず兵器に搭乗し、満足な成績が出なければ責められる
そんな日々が続く…
そこで出会った同じ境遇の、歳近い少年
共に過ごしている内に、自然と彼に惹かれていった
彼と一緒だったから、この日々にも耐えられた
「いつかここを出た時は…」
そんな話もするほどに…
ある日、所長秘書から辞令が下る
ある日、所長秘書から辞令が下る
「今から別の部署へいってもらいます、今日の訓練はここまで」
そう言われ、施設地下へと連れていかれる
自分を含め10人ほど
そしてなにも無い真っ白な部屋へと入れられた
自分を含め10人ほど
そしてなにも無い真っ白な部屋へと入れられた
「きっと、素敵な出会いがありますように…」
ここまで連れて来た職員が去り
反対に、別の入り口から少年達が入って来た。自分達と同じ数…
その中に彼もいた。その顔を見た時、思わず安堵する
彼と同じなんだと嬉しくて彼に近付いたとたん、他の少年達が一斉に走り出した
反対に、別の入り口から少年達が入って来た。自分達と同じ数…
その中に彼もいた。その顔を見た時、思わず安堵する
彼と同じなんだと嬉しくて彼に近付いたとたん、他の少年達が一斉に走り出した
その先に目を向けると次々と無抵抗な少女達を、少年達は追いかけ、鷲掴み、襲い掛かる
「な・・・」
絶句している間に、少女を彼が押し倒した
訳もわからず彼の顔を見上げると、その目は獲物を見るかのような目をしていた
捕まれた腕が、痛みを訴えるよりも。ただ、ただ。恐怖とも、困惑とも取れない
捕まれた腕が、痛みを訴えるよりも。ただ、ただ。恐怖とも、困惑とも取れない
そんな感情の中、彼は衣服を引き裂き、いきり立つままの衝動を、少女にぶつけ始めた
「やっ……!? いやァっ!!」
彼に少女を思う気持ちなど微塵もなく、ただただ貪るだけ
果てようが。ぶちまけようが。その動きは止まることなく、淡々と続いた……
果てようが。ぶちまけようが。その動きは止まることなく、淡々と続いた……
どれだけの日にちが過ぎだろうか何十回目、ひょっとして何百回目だったのだろうか
少年は突然ネジが切れたかのように、パタリと動かなくなった
少年は突然ネジが切れたかのように、パタリと動かなくなった
他の少年達も同様に、少女達と折り重なってピクリとも動かない
すると部屋に白い作業服の大人が入って来て、次々と少年達を外へ運び出していった
そして力の入らなくなった少女達を別の部屋へ運ぶと、無造作にカプセルへと放り込んでゆく
少女の記憶は、一旦ここで途絶えた
――――
どれほどの時間が経ったのか判らない
突然の激しい痛みと共に、少女は目覚めた
自分が何処にいるか、どうなったわからない…
明けきらない瞳で辺りを見渡すと、ベッドに横たわる自分と同じように並ぶ少女達が映った
「ここは・・・・イっ!?……つぅ…!」
まただ。下腹部に痛みが走る
そして少女の目に、逆しまにこちらを見つめる『彼』の顔があった
あの時の記憶が少女に甦る
恋慕。安寧。期待。絶望。恐怖…
恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖
もうあんな目に合うのは嫌だッ!
恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖
もうあんな目に合うのは嫌だッ!
少女は痛む身体を構うこと無く『彼』の頭を掴むと馬乗りになり力の限り締め上げ、そして拳を握る
鈍い音が殺風景な病室に響き、何かが砕ける音が軽快に鳴る
振り払わねば。排除せねば。信じたのに…、焦がれたのに…。貴方が初めての……!!!
いつの間にか、手の甲があたたかく、水が弾けるような音が混じる
その時だ
「何をしているの!」
突如、羽交い絞めにされ、少女は拳を止めた
誰だ? 判らない。なぜ止める
困惑している少女を置いて、その女性は走って行った
目の焦点が、少しずつ合ってゆく
少女は『彼』の居た場所を見下ろすと、そこには血にまみれた肉塊が転がっていた
「ッ!?………?」
訳が分からなかった。少女は『彼』を確かに見たはずなのに
そしてその歪な塊から、自分へと繋がっている脈打つ管が目に入ると、徐々にこの状況を理解した
理解して、しまった
コレは、私と『彼』との………
「あ…。ぁあ……、ああぁッ!!!」
声に成らない声が、廊下の遠く先まで反響する
「中澤さん、こっちです!!」
先程の女性が、中澤と呼ばれる男性を連れて戻って来た時
少女は、虚ろな瞳で、窓から身を投げた
会いたい
今はただ、それだけ、と……
――――
一連の事件をなんとか終えたが、その後がどうにもいけなかった
まず、自分の上司の顔を、思わずぶん殴ってしまった
どうにもおかしいと目星は付けてはいたが、さすがにそのにやけ面を見た時、気付けば中澤は取り押さえられ、そのまま旧研究所の収容施設を独房代わりに入れられる事となってしまった
どうにもおかしいと目星は付けてはいたが、さすがにそのにやけ面を見た時、気付けば中澤は取り押さえられ、そのまま旧研究所の収容施設を独房代わりに入れられる事となってしまった
後に、その殴った上司による、部隊の情報漏洩を察知した【逢坂准将】が、【闇影卿】に証拠を渡して、正式にその上司が今回の件に一枚噛んでやがった事が判明したのは、その後数日もしない頃だった
正直、少し焦ってたのかも知れない
正直、少し焦ってたのかも知れない
ずいぶん暴れ回ったようだが、既にイザナギ含め、何人かは逃げ果せたとの報告が入っている
被験者の少年少女はもちろん、あの場に居た出資者や、施設の警備員も幾人か行方知れずのまま
まったく、気にくわない上司だったが、最後の最後に面倒な事をしでかしてくれたモノだ
とりあえず、これで解決、即釈放
…とも体面上行かず、軟禁に変わったのは、まあヨシとして
被験者の少年少女はもちろん、あの場に居た出資者や、施設の警備員も幾人か行方知れずのまま
まったく、気にくわない上司だったが、最後の最後に面倒な事をしでかしてくれたモノだ
とりあえず、これで解決、即釈放
…とも体面上行かず、軟禁に変わったのは、まあヨシとして
その時の職員に淹れて貰っていたコーヒーを恋しく思いつつ、まだ肌寒い夜の一室でインスタントを沸かす中澤は、分厚く綴られた大量の資料に目を通している
正直、あの料亭で闇影卿から調査資料を受け取った時から、下手に保護してもこんな事が起こり得ることは想定していたはずだったが…
正直、あの料亭で闇影卿から調査資料を受け取った時から、下手に保護してもこんな事が起こり得ることは想定していたはずだったが…
中澤ヒデヒサ「ふぅ…。まったく、厄介なもんだよね」
イザナギが残していった資料の山
乱雑にファイリングされた物と、電子化されている物を照合していくだけでも一苦労だ
ただでさえ、まともな資材が無い
乱雑にファイリングされた物と、電子化されている物を照合していくだけでも一苦労だ
ただでさえ、まともな資材が無い
その中から、映像メモリーを見つけたので、それを見ることにした
支給されたどこにも繋がらぬただの再生機にかけると、モニターにあの時の捜査で何度も見返した顔。イザナギが現れた
彼女はあの部屋で面倒くさそうに話始める…
イザナギ『まったく……ここの事を引き継ぐ物好きがいるかしら?
心配性よねシドは、もう年寄りっては…ッ』
頭を振る。何か声が聞こえた気がするが、上手く聞き取れない
お互い様だよ。と、心の中で愚痴りつつ、ここを出たらシュウジ・ナガラに頼んで解析に回すかと思いながらも、その続きを聞く
お互い様だよ。と、心の中で愚痴りつつ、ここを出たらシュウジ・ナガラに頼んで解析に回すかと思いながらも、その続きを聞く
『ハイハイ、うるさいわよ!
誰が見てるか知らないけどCOLORSについて話しておいてあげるわ』
誰が見てるか知らないけどCOLORSについて話しておいてあげるわ』
カメラを調節するでもなく、机に肘をつき、無造作に話し始めた
なんだかヤツと同じ姿勢なのも気にくわないと思い、中澤はシミだらけの固い壁に体重を預けた
なんだかヤツと同じ姿勢なのも気にくわないと思い、中澤はシミだらけの固い壁に体重を預けた
『まず、COLORSってのは、別に特殊な人間ではない事………
人間が、色に対して、食欲が増進したり、逆に減退したりするわよね?
あんな感じで『色』に対する好き嫌い。要は感情の発露を源泉としているの
喜び、怒り、悲しみ、怯え。人によって違うし、最初は防衛本能かとも疑ったけど、共通しているのは、能力が発現するのは女性だけという点
男性に無く、女性にのみ在るモノ
感情以外の別の観点からのアプローチは思いつく限り試して、そしてこれからも実験するわ…
自然発生型を確保。各種実験をするのは、絶対的な個体数が足りなかったけど、素質のありそうな個体から人工的に引き出す理論がある程度完成してからは、ここも副業が出来るくらいには増えていったしねェ
中には、強力な反動が起こって、自身で耐えられない可能性もある。そのための個体そのものの強化補強措置。さらに進んで、使い捨て用のクローニングで能力をコピーするのを確立するのも、時間こそかかったけど一応成功……
これからその受精卵を、いくつかの『お得意様』に回すけど。ま、そこで実際に生まれたら御の字ということで……』
人間が、色に対して、食欲が増進したり、逆に減退したりするわよね?
あんな感じで『色』に対する好き嫌い。要は感情の発露を源泉としているの
喜び、怒り、悲しみ、怯え。人によって違うし、最初は防衛本能かとも疑ったけど、共通しているのは、能力が発現するのは女性だけという点
男性に無く、女性にのみ在るモノ
感情以外の別の観点からのアプローチは思いつく限り試して、そしてこれからも実験するわ…
自然発生型を確保。各種実験をするのは、絶対的な個体数が足りなかったけど、素質のありそうな個体から人工的に引き出す理論がある程度完成してからは、ここも副業が出来るくらいには増えていったしねェ
中には、強力な反動が起こって、自身で耐えられない可能性もある。そのための個体そのものの強化補強措置。さらに進んで、使い捨て用のクローニングで能力をコピーするのを確立するのも、時間こそかかったけど一応成功……
これからその受精卵を、いくつかの『お得意様』に回すけど。ま、そこで実際に生まれたら御の字ということで……』
予想はしていたが、既に能力者たちはずいぶん以前からかなり流出しているのは、これで確定のようだ
どうにか、それらを確保、最低居場所の特定を進めるか、協力的な場所からアプローチでもあればいいが
またナガラに頼む事項が増えたな。と、思いつつ、映像の続きに意識を移す…
どうにか、それらを確保、最低居場所の特定を進めるか、協力的な場所からアプローチでもあればいいが
またナガラに頼む事項が増えたな。と、思いつつ、映像の続きに意識を移す…
『COLORSには男がいないと言ったけど、最近例外を見つけたの
まだこれから調べるのだけど、COLORSと交わった男はどうやら能力を受けとるみたい
「譲渡」なのか「強奪」なのか確定していないけれど
男女の発動色が合う者同士であるなら……って事かしら?
もしそうなら発動色を確かめられない男の中から適合者を探すなんてそんな無駄な事したくないわね
まだこれから調べるのだけど、COLORSと交わった男はどうやら能力を受けとるみたい
「譲渡」なのか「強奪」なのか確定していないけれど
男女の発動色が合う者同士であるなら……って事かしら?
もしそうなら発動色を確かめられない男の中から適合者を探すなんてそんな無駄な事したくないわね
偶然だけど1人見つけたから少しずつ調べるとしましょうか……
これが今後の課題と実験の予定。…プロモーションにでもするんでしょう? 『お得意様』に喧伝、宜しくねェ』
中澤は停止したモニターを見つめながら
中澤「あっちゃあぁ~~…
こういう仕事は後回しにするじゃなかったなぁ」
こういう仕事は後回しにするじゃなかったなぁ」
と天井を仰ぐ
中澤「男性の能力発現、か……。もう少し早く知っていれば……」
と中澤は鉄格子から見える空を見つめた。とはいえ、ここを襲撃し、資料整理が進んだからこそ知れた事実
そして、イザナギにとって、これは既に『知られてもいい』事なのかもしれないが……
そして、イザナギにとって、これは既に『知られてもいい』事なのかもしれないが……
中澤「あぁ~~ホント。たった一人で、しかも独房で仕事させるかね普通…。闇影さんも逢坂さんも必死なのはありがたいんだけどね」
独房入りに猛反対したという親友の顔が目に浮かぶ。公の場では騎士としての体面を崩さぬ男だが、恐らくその時ばかりは戦場か、それ以上の形相だったろう
結果釈放前にも、こうして資料が差し入れ代わりだった
結果釈放前にも、こうして資料が差し入れ代わりだった
指がタバコを持つ動きをするが
中澤「仕事させるならタバコぐらい頂戴よ。あぁ~~まったく。どこに行かされるのかねェ。こりゃぁ……」
今日も悲鳴が聞こえて来ない事を祈りつつ、無いタバコからインスタントコーヒーへと持ち替え、そのまま一気に胃へと流し込んだ
中澤「あの後、『あの事件』が起こったお陰で、明日にもココを出られる…
後は、身の振り方も考えないとな……」
後は、身の振り方も考えないとな……」
ダム跡の沈んだ地形からでも、遥か月に向かう傍らに、『先日の』煙の臭いがまだ届いた
あれは、旧研究所への襲撃が終わり、『例の彼女』の身投げがあった後…
突然と色々言い渡された時の出来事だった……
突然と色々言い渡された時の出来事だった……
――――
N国T都
地球連合アジア地区N国支部
その一室
地球連合アジア地区N国支部
その一室
石田「なんだ!この聴取は、こんなモノが通ると思っているのか!」
机を叩きながら男性が叫んだ
彼は石田中佐。中澤の、一応上司だ
服こそキチッとしているが、常にこちらを値踏みするかのような視線
これ見よがしの階級章を揺らしながら、纏めた報告書を乱雑に投げる
彼は石田中佐。中澤の、一応上司だ
服こそキチッとしているが、常にこちらを値踏みするかのような視線
これ見よがしの階級章を揺らしながら、纏めた報告書を乱雑に投げる
それを逢坂と闇影、そして特に中澤はウンザリした顔で聞いていた
石田「憶測での勝手な襲撃! それに状況証拠とか言いながら、ほとんどの主要職員は捕縛されていない!!
このアスカ・イザナギとか言う人物は何処だ!?
キサラギ博士以下主要研究員は影も形も無く、捕らえた出資者とか言うのもただの風俗狂いの小物共!!
挙句に被検体とかいう者も数がまるで合っていないではないか!!!」
このアスカ・イザナギとか言う人物は何処だ!?
キサラギ博士以下主要研究員は影も形も無く、捕らえた出資者とか言うのもただの風俗狂いの小物共!!
挙句に被検体とかいう者も数がまるで合っていないではないか!!!」
闇影(んな事言っても、そうと以外言えねぇのになぁ
絶対この襲撃、事前に漏れてやがったぞ……)
絶対この襲撃、事前に漏れてやがったぞ……)
中澤(まあまあ)
石田「話を聞かんか! これだから叩き上げは順序と礼節を知らんと…!」
中澤「まぁまぁ石田中佐殿
闇影卿もわざわざ来てもらっているんで、そう目くじらたてずに」
闇影卿もわざわざ来てもらっているんで、そう目くじらたてずに」
闇影「申し訳ないが中佐殿
何回聞かれても変わらないものは変わらない。これが事実です
おそらく何者かが裏で手を…」
何回聞かれても変わらないものは変わらない。これが事実です
おそらく何者かが裏で手を…」
石田「何を! 叩き上げが連れて来た部外者が、連合本部直属の諜報室局員に口を挟むなどと…ッ!!」
逢坂「『中佐殿』。その資料は、准将である私が、永桜神国からわざわざ出向いて下さった、そこの闇影卿と共に精査したものです。そんなに信用がない…か?」
石田「ぐっ!? い、いえッ。准将殿に申しているのではなく……
わ、私はこの襲撃自体が時期早々だった事実を咎めているだけであり…ッ! 叩き上げといえど、大尉である彼に独断行動の責任があると……」
わ、私はこの襲撃自体が時期早々だった事実を咎めているだけであり…ッ! 叩き上げといえど、大尉である彼に独断行動の責任があると……」
勝手に部外者と見なした人間と、自分よりも階級が上という人間とで、ここまで露骨に態度が変わる
中澤は、親友を侮辱された事と、以前から気にくわないこの人物に対する怒りを内に秘め、眉一つ動かさない
困ったねぇと、ふと中澤が視線を反らすと、一体いつから居たのだろうか
その先にこの場に似つかわしくない少年が、先程中佐が投げた資料の一部を食い入るように見つめていた
中澤は、親友を侮辱された事と、以前から気にくわないこの人物に対する怒りを内に秘め、眉一つ動かさない
困ったねぇと、ふと中澤が視線を反らすと、一体いつから居たのだろうか
その先にこの場に似つかわしくない少年が、先程中佐が投げた資料の一部を食い入るように見つめていた
中澤(何だ? この少年)
石田「それは私の私兵だ、構うな」
それに気付いた石田は、吐き捨てるようにそう言った
中澤「私兵? こんな子を?」
少年「おじさんいいかな?」
不意に話し掛けられる
中澤「なんだい?」
写真付きの資料をこちらに見せながら
少年「この子、この子は何処にいますか?この子は僕の大切な子なんです」
それはあの身を投げた少女だった
少し考えたが中澤は答えた
少し考えたが中澤は答えた
中澤「その子はうちの施設にいるよ
けどちょっと問題があってね、会わせられないんだ」
けどちょっと問題があってね、会わせられないんだ」
少年「そう、ですか」
そういうと目を反らした
中澤(なんだ?・・・・とそれより)
と顔を戻すと今にも取っ組み合いになりそうな闇影と石田がいた
逢坂「やめないか、石田中佐」
中澤「あぁ。中佐殿、闇影卿は他国の方ですから」
石田「ではなぜ我が部署の担当事に口出しをする!」
闇影「そりゃあんたらが……!」
少年「………」
中澤「あぁ。中佐殿、闇影卿は他国の方ですから」
石田「ではなぜ我が部署の担当事に口出しをする!」
闇影「そりゃあんたらが……!」
少年「………」
コンコン
と扉をノックする音がした
すると、落ち着いた雰囲気の初老の男性が入って来た
石田「お、小川少将!」
場の空気が変わり、石田中佐と共に、逢坂准将や闇影卿も、姿勢を正す
小川「やあ、石田くん。精が出るね。関心関心
ウチのがいつも悪いねぇ
そんじゃ行こうかな。中澤くんに闇影さん。よかったら逢坂くんも」
ウチのがいつも悪いねぇ
そんじゃ行こうかな。中澤くんに闇影さん。よかったら逢坂くんも」
石田「いや、しかしまだ聴取が…」
小川「いいよね?」
石田「ぐっ…」
逢坂「せっかくの申し出ですが、私はここで失礼致します。まだ用事がありますので…」
小川「ああ。こちらこそ、呼び止めてすまなかったね。期待してるよ
石田くんも、悪いけど少しここ任せていいかな? また手伝い寄越すから」
石田くんも、悪いけど少しここ任せていいかな? また手伝い寄越すから」
石田「………はい」
何も言えなかったのか何なのか。さっきまでの喧騒は鳴りを潜め、渋々と返事が返ってくる
中澤は、なるべく目を合わせないように、さっき投げ捨てられた資料を拾い鞄にしまった
まったくと思いながら、石田を残して皆は扉の先へと向かう
中澤は、なるべく目を合わせないように、さっき投げ捨てられた資料を拾い鞄にしまった
まったくと思いながら、石田を残して皆は扉の先へと向かう
閉まった金属扉の向こうで、椅子を蹴飛ばす音がした
それを見ているであろう。先程の子供の事に後ろ髪を引かれながら、中澤たちはソコを後にした
N国某所
小料理屋「華ノ木」
小料理屋「華ノ木」
闇影「だあぁ! 何から何まで腹立つわあのヤロウッ! そのうち紅で突っ込んでやろうか!?」
中澤「駄目よ、それこそ外交に響いちゃうよ」
小川「ハッハッハッ。いっそ、その方がスッキリするかもね? ちゃんと揉み消しとくよ」
闇影「本当ッスか!? オヤッさん! いつ出立する?」
中澤「駄目だって! 小川さんも勘弁してくださいよ」
男3人の愚痴大会だった
中澤だけはそうでもなさそうだが……
女将「あらあら、また物騒お話して。ほどほどにして下さいましね
はい、とりあえずみんな一杯」
はい、とりあえずみんな一杯」
闇影「おっ! 来た来た♪ これが恋しかったのよ女将さん!!」
そう言って騎士帝は、まるで酒場に入り浸る傭兵かのように、受け取ったキンキンの生を一気に仰ぐ
中澤「そこそこにしなさいよ。って、相変わらずウワバミねぇオタク」
小川「改めて、悪いね
あれでも重要なポストにいるからなんとも処罰がね。まあ、逢坂くんも動いてくれてるし、時間の問題かな」
あれでも重要なポストにいるからなんとも処罰がね。まあ、逢坂くんも動いてくれてるし、時間の問題かな」
闇影「ぷはッ!! まあ、お陰で開放された後の一杯が、より沁みる思いってもんだ!」
中澤「たははっ! そだね、そこは同意だ
しかし、わかってたけどまさかあんなのが出てくるなんてねぇ……」
しかし、わかってたけどまさかあんなのが出てくるなんてねぇ……」
ふとイザナギや研究所の事を思う
表向きは、戦災孤児の保護施設に、広大な土地が要るからと言い、子供の騒音が響かない土地という事ですぐに承認が出たらしい
人目に触れないというのも考え物だ。しかも、そこから副産物として兵員を排出しだしたものだから、軍の一部とズブズブ
EXMの搭乗訓練を、幼少期から行うというのも、貴重な『資材』として扱われ、『捕虜時の訓練』がアレだそうだ
しかも、ほぼ合法に近い処理で動いていたのだから、世も末だ
表向きは、戦災孤児の保護施設に、広大な土地が要るからと言い、子供の騒音が響かない土地という事ですぐに承認が出たらしい
人目に触れないというのも考え物だ。しかも、そこから副産物として兵員を排出しだしたものだから、軍の一部とズブズブ
EXMの搭乗訓練を、幼少期から行うというのも、貴重な『資材』として扱われ、『捕虜時の訓練』がアレだそうだ
しかも、ほぼ合法に近い処理で動いていたのだから、世も末だ
闇影「これ見てよ女将さん、あんにゃろあんな顔して子供しか抱けねぇんだよ!
ちっせえんだよ器もなんもかんも!」
ちっせえんだよ器もなんもかんも!」
とデバイスの画面に写真を写し出した
そこには年端も行かない少女と共に、ニヤけた顔の石田が写っていた
そこには年端も行かない少女と共に、ニヤけた顔の石田が写っていた
女将「あらあら」
中澤「何してんの仕舞いなさい。ここ公共の場」
闇影「これ出しちまえば一発だろ! オヤッさんもリョウもなんで止めるんだ!! 我慢ならん!!!」
小川「彼のポストがね~~。おいそれと居なくなられると困っちゃうだよ、ごめんね」
しかも、この写真の少女は、現時点で確認した保護リストの中に居なかった
どうにかここが糸口にならないかとでも思うが、そもそもの望みが薄いかも知れない
どうにかここが糸口にならないかとでも思うが、そもそもの望みが薄いかも知れない
闇影「ヒデヒサ! おまえも思うだろ? ガキなんかより女将さんみたいなのがぜってぇいいじゃねぇ~か!」
女将「それセクハラですよ」
と、一升瓶を握ったまま、少し怒った仕草をする
中澤「あのね、元小隊長に手を出すような趣味は無いよ。なんせこの人…あがっ!」
女将は笑顔でアイアンクローを決める
女将「それもセ・ク・ハ・ラ」
中澤「アダダダ! すいません! ごめんなさい! 私などがおいそれと恐れ多く!!」
闇影「アッハッハッハ! やっぱり女将さんいい女だわ!
ウチも若いと思ってたのが育っちゃきてるが、こりゃ当分会わせるのも勿体ない!!」
ウチも若いと思ってたのが育っちゃきてるが、こりゃ当分会わせるのも勿体ない!!」
女将「あらお上手、騎士帝様♪」
パッと、アイアンクローから解放され、椅子に戻った中澤に小川が優しく話し掛けた
小川「聞いてるよ。さすがにあんな事があるとさ。優しい君には辛いでしょ?」
こういう時のこの人の前では、中澤はいつも本音を隠しきれずにいた
中澤「あぁ………すいません。そうですね、子供のあんな姿は見たくなかったです」
直属の上司、石田が今回の件に絡んでいるのは明白だった
だが、まだ証拠は掴めど、逃げられてしまいかねない。その事実が、ただただ歯がゆかった
だが、まだ証拠は掴めど、逃げられてしまいかねない。その事実が、ただただ歯がゆかった
闇影「まぁ。ヒデヒサもいい歳だ! 自分の子供っつても違和感ねぇ年頃の子達があんな目にあってるって知りゃあ、俺だって腹が立つってもんだ。俺の国も土足で荒らしやがったアスカ・イザナギは、絶対にお縄につかせてやる!!」
中澤「ま、そうだけど。そらオタクもでしょう? 最近どうなの。例のお姫様と」
闇影「さく…、いやッ! ヒデヒサお前なに言わせるんだ!?」
中澤「……うんにゃ。別に。ちょっと気になっただけ」
闇影「てんめぇ~~♪」
酒の入った二人がじゃれ合っているのを、小川は優し気な眼で見つめる
小川「そこでね。少し気分転換に先生でもしてみないかい?」
中澤「はぁ?」
小川「ほら。一応さ、戦争孤児収容施設長なんだからちょっと地元の高校とかで講師でもね」
とりあえず、あそこの管理をする事になった時、与えられた肩書だ
中澤「いや、僕にはそんな」
女将「あら、貴方にピッタリだと思うけど。実績あるじゃない」
以前に、とある現地民との友好が結べた。とか、小川が中澤の経歴を出してきて、ささっと通してしまったのだ
これは情報の出所は女将さんかもしれない
これは情報の出所は女将さんかもしれない
中澤「ぇ~~」
闇影「俺もいいと思うぜ? せっかく後方になったんだ。やれることぁやっとけよ」
中澤「またそうやってみんな乗せようとするんだから…」
半分程になったつまみを齧り、ビールを煽る
小川「まぁ2週間程度だから、よろしく
住むのは施設の方だから、後は引越し屋さんに聞いてね。あんまり用務員室とかで飲んだりしちゃダメだよ?」
住むのは施設の方だから、後は引越し屋さんに聞いてね。あんまり用務員室とかで飲んだりしちゃダメだよ?」
中澤「あぁ! それまた勝手にやりましたね!?」
小川「ハッハッハッ」
闇影、女将「「頑張ってね~~♪」」
まだ残暑が厳しい星空の中、その夜は更けていく
キャンパスを並べる日2へ続く