第9小惑星保管施設
王の写本版Vǫluspá(巫女の予言)Grok訳
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9metisailog
1. 導入と世界の創造(スタンザ1~20)
1-10スタンザ
1.
静まれ、すべての聖なる者よ、
大いなる神も、小さき神も、
ヘイムダルの子らよ、耳を傾けなさい。
父なるオーディンの求めに応じ、
古の記憶を語ろう、
私が知る、最古の物語を。
2.
始まりの時、ユミルが生きた、
地はなく、海もなかった。
空は虚しく、草は生えず、
ただ広大なギンヌンガガプが
口を開き、混沌を湛える。
3.
ブーリの子ら、地を創り、
ユミルの体を裂き、形を与えた。
その血から海を、骨から山を、
髪から森を、頭蓋から天を。
4.
神々は太陽を南に置き、
月と星に道を示した。
昼と夜に名を与え、
時の流れを定めた、
年を数え、季節を刻む。
5.
神々は集い、議をなす、
アース神族、聖なる広間に。
炉を築き、道具を鍛え、
黄金の盤で遊び、
喜びに満ちた時を過ごす。
6.
だが、黄金の時代は終わり、
三人の乙女、巨人の血を引く、
運命のノルン、遠くから来たり。
神々の間に争いの種を蒔く、
平和は砕け、陰りが差す。
7.
神々は知恵を求め、
聖なる泉、ミーミルのほとりに。
オーディン、自らの目を差し出し、
知恵の水を飲み、未来を見る。
だが、運命は変わらず、迫りくる。
8.
ヴァルキリー、戦乙女たちが、
天を駆け、戦士を選ぶ。
神々の槍、輝く刃、
戦の準備、定めの時。
世界の樹、ユグドラシルが震える。
9.
神々は人間を創り、
木からアスクとエンブラを。
オーディン魂を、ヘーニル知恵を、
ロードゥル血と命を与えた。
中つ国に、人類は住まう。
10.
神々の広間、黄金の屋根、
そこに集い、議を重ねる。
だが、運命の糸は絡まり、
ノルンの定め、逃れられぬ。
世界の始まり、終わりへと続く。
注釈
-
ギンヌンガガプ:北欧神話の原初の混沌の虚空。日本語では音写で表記。
-
ユミル:原初の巨人。神々により殺され、その体から世界が創られた。
-
ノルン:運命を司る三人の乙女(ウルズ、ヴェルザンディ、スクルド)。
-
ユグドラシル:世界を支える巨大な樹。
-
翻訳は詩的リズムを意識し、原文の荘厳な語調を再現。現代日本語で読みやすく調整。
-
原文の解釈には学術的なバリエーションがあり、特にスタンザ6の「三人の乙女」については、ノルンか別の存在かで議論があるが、ここでは一般的なノルン解釈を採用。
11-20スタンザ
11.
神々は名を付けた、夜とその子らに、
朝、昼、夕暮れ、時の流れに。
年を数え、季節を刻む、
中つ国の民に、時を知らしめる。
12.
アース神族、聖なる広間に集い、
炉を築き、屋根を葺く。
鍛冶場を設け、道具を鍛え、
黄金の時代、喜びに満ちる。
13.
だが、運命は暗雲を呼び、
三人の乙女、巨人の血を引く、
ノルン、遠くヨトゥンヘイムより来たり。
運命の糸を紡ぎ、定めを告げる。
14.
神々の間に、初めての戦が起こる、
アースとヴァン、聖なる誓いを破る。
槍が飛び、盾が砕け、
和平の道は遠く閉ざされる。
15.
オーディン、知恵を求め、
ミーミルの泉、聖なる水辺へ。
自らの目を差し出し、
未来の知識、深淵を覗く。
16.
ヴァルキリー、戦乙女たちが、
天を駆け、戦士を選ぶ。
運命の槍、輝く刃、
戦の準備、定めの時が迫る。
17.
神々は再び集い、議をなす、
ユグドラシル、根は震え、
古の木、運命を支える。
神々の声、響き合い、揺れる。
18.
人間の住処、中つ国にて、
アスクとエンブラ、子孫を広げる。
神々の贈り物、魂と知恵、
命の血、永遠に流れる。
19.
だが、暗き影が忍び寄る、
巨人の怒り、ヨトゥンの叫び。
世界の樹、その葉はざわめき、
終末の予兆、風にそよぐ。
20.
神々は知る、運命の定めを、
ノルンの糸、絡まり解けず。
黄金の時代は過ぎ去り、
戦と試練の時が訪れる。
注釈
- ノルン:運命を司る三人の乙女(ウルズ、ヴェルザンディ、スクルド)。13スタンザで再登場し、運命の不可避性を強調。
- アースとヴァン:14スタンザでは、アース神族とヴァン神族の戦争(北欧神話の神々の二大勢力の対立)が描写される。
- ユグドラシル:世界を支える大樹。17、19スタンザでその存在が強調され、終末の予兆と結びつく。
- 翻訳は、原文の荘厳な語調とリズムを意識し、現代日本語で読みやすく調整。一部意訳を交え、詩的雰囲気を保持。
- スタンザ11~20は、黄金時代の終焉、戦争の始まり、運命の予兆を中心に展開。物語は創造から次第に緊張感を増す。
2. 神々の争いと道徳的衰退(スタンザ21~30)
21-30スタンザ
21.
彼女は見た、谷間に住まう
グリムの娘、魔女グルヴェイグ。
神々は槍を突き刺し、
炎で焼き、滅ぼそうとした。
だが、三度焼かれ、三度蘇る。
22.
グルヴェイグ、名はヘイズと呼ばれ、
魔術の使い手、呪文を紡ぐ。
心を惑わし、運命を曲げる、
神々の間に、争いの火種を撒く。
23.
神々は集い、議をなす、
この魔女を許すか、滅ぼすか。
アースとヴァン、和平は脆く、
戦の炎、再び燃え上がる。
24.
オーディン、槍を投げ、
戦の口火を切る。
盾は砕け、剣は唸り、
アース神族、ヴァン神族と戦う。
25.
壁は破れ、聖なる広間は揺らぐ、
神々の力、試される時。
ヴァン神族、力強く立ち向かい、
だが、和平の道、遠く閉ざされる。
26.
彼女は見た、運命の糸を、
ノルンの定め、逃れられぬ。
神々の争い、世界を揺らし、
ユグドラシル、根元より震える。
27.
遠く東に、鉄の森あり、
そこに巨人の子、狼を育てる。
フェンリル、その子孫の中より、
月の光を飲み込む者、出現す。
28.
怪物は育ち、力をつける、
巨人の血、怒りに燃える。
星々は暗く、空は裂け、
終末の予兆、世界を覆う。
29.
彼女は見た、運命の流れを、
神々の過ち、破滅を呼ぶ。
裏切りと誓いの破棄、
世界の調和、砕け散る。
30.
ロキの子ら、鎖を解かれ、
フェンリル、ヨルムンガンド、動き出す。
海は荒れ、大地は震え、
ラグナロク、近づく定めの時。
注釈
- グルヴェイグ:21~22スタンザで登場する謎の魔女。ヴァン神族との戦争の原因ともされ、キリスト教的解釈では罪や誘惑の象徴ともされる。ヘイズ(Heiðr)は彼女の別名。
- アースとヴァンの戦争:23~25スタンザで描かれる神々の対立。北欧神話の重要なエピソードで、後に和平が結ばれる。
- フェンリル:27~28スタンザで言及される巨大な狼。ラグナロクでオーディンを殺す怪物。
- ユグドラシル:26スタンザで再登場。世界樹は終末の予兆とともに震える。
- 翻訳は、原文の荘厳な語調とリズムを意識し、現代日本語で読みやすく調整。一部意訳を交え、詩的雰囲気を保持。
- スタンザ21~30は、神々の争い、魔女グルヴェイグの登場、終末の前兆としての怪物たちの台頭を中心に展開。物語は一層緊迫感を増す。
3. ラグナロク(終末)の展開(スタンザ31~50)
31-40スタンザ
31.
彼女は見た、バルドルの運命を、
オーディンの子、聖なる神。
ホズの矢、霧の枝より放たれ、
無垢の神、胸を貫かれる。
32.
ホズ、盲目の神、知らずに投げる、
ロキの計略、裏切りが導く。
バルドル倒れ、アース神族嘆く、
黄金の神、光を失う。
33.
ヴァーリ、幼子にして復讐を、
オーディンの子、一夜で成長。
ホズを討ち、兄の死を償う、
だが、神々の悲しみ、癒えぬ。
34.
東より巨人が進み来る、
岩の住処から、怒り狂う者たち。
フェンリル牙を剥き、
ヨルムンガンド海を揺らし、
ナグルファル、死者の爪で進む。
35.
彼女は見た、暗き川のほとり、
ナールヴィの館、死者の広間。
血に濡れた扉、東に開く、
裏切り者、罪人そこに集う。
36.
ロキの娘、ヘル、死の女王、
暗き国にて、魂を束ねる。
狼は吠え、蛇はうねり、
世界の終わり、近づく定め。
37.
北に住まう、巨人の乙女、
鉄の森にて、怪物を育てる。
フェンリルの子、月を飲み込み、
星々は暗く、空は裂ける。
38.
彼女は見た、運命の流れを、
神々の過ち、破滅を呼ぶ。
ユグドラシル、葉は枯れ、
世界の樹、終末に震える。
39.
オーディン、狼と戦うも、
飲み込まれ、命を落とす。
トール、蛇を打ち倒すが、
毒に倒れ、九歩で倒れる。
40.
炎が天を焼き、大地は沈む、
星々は空から落ち、
海は溢れ、山は崩れる。
ラグナロク、世界を飲み込む。
注釈
- バルドルの死:31~33スタンザで描かれるバルドルの死は、北欧神話の転換点。ロキの策略により、盲目の神ホズが誤ってバルドルを殺す。ヴァーリはバルドルの復讐者。
- ナグルファル:34スタンザで言及される、死者の爪で作られた船。ラグナロクで巨人たちが乗る。
- ヘル:36スタンザで登場するロキの娘で、死者の国の支配者。
- フェンリルとヨルムンガンド:34、37、39スタンザで繰り返し登場。ラグナロクの主要な怪物。
- 翻訳は、原文の荘厳な語調とリズムを意識し、現代日本語で読みやすく調整。一部意訳を交え、詩的雰囲気を保持。
- スタンザ31~40は、バルドルの死からラグナロクの戦いへと物語が加速。終末の描写が具体的になる。
41-50スタンザ
41.
東より船が来る、ムスペルの民、
炎の巨人が、波を割る。
ロキが舵を取り、
巨人の子ら、共に進む、
ナグルファル、死の船が浮かぶ。
42.
狼は吠え、鎖は砕け、
フェンリル、自由を得て咆える。
ヨルムンガンド、海を巻き上げ、
空は裂け、星は落ちる。
43.
スルト、炎の剣を掲げ、
ムスペルの火、世界を焼き尽くす。
山は崩れ、海は溢れ、
天は黒煙に覆われる。
44.
彼女は見た、運命の終わりを、
神々の戦い、定めの時。
ユグドラシル、根は朽ち、
世界の樹、炎に飲み込まれる。
45.
兄弟は争い、血を流し、
誓いは破られ、倫理は崩れる。
剣と斧、互いを切り裂き、
人間の世界、乱れ果てる。
46.
ギュッリョルン、角笛を吹く、
ヘイムダル、警告を響かせる。
神々は集い、最後の議をなす、
ラグナロク、戦いの時が来る。
47.
オーディン、知恵の神、
ミーミルの首に囁きを求める。
だが、運命は変えられず、
狼の牙、父神を飲み込む。
48.
トール、雷の神、力強く立つ、
ヨルムンガンドと戦い、打ち倒す。
だが、毒の息に倒れ、
九歩進み、命を落とす。
49.
太陽は暗く、月は消え、
星々は空から落ち、
大地は震え、海は荒れる。
世界は炎と闇に沈む。
50.
彼女は見た、終末の光景を、
神々の死、秩序の崩壊。
全ては滅び、虚無に帰す、
ラグナロク、定めの終わり。
注釈
- ムスペル:41、43スタンザで言及される炎の国。スルトはその支配者で、ラグナロクで世界を焼く。
- ナグルファル:41スタンザで再登場。死者の爪で作られた船で、巨人とロキが乗る。
- ギュッリョルン:46スタンザのヘイムダルの角笛。ラグナロクの開始を告げる。
- ミーミルの首:47スタンザでオーディンが相談する知恵の象徴。ミーミルの泉で得た知識を具現化。
- 翻訳は、原文の荘厳な語調とリズムを意識し、現代日本語で読みやすく調整。一部意訳を交え、詩的雰囲気を保持。
- スタンザ41~50は、ラグナロクの戦いが本格化し、神々と怪物の最終対決が描かれる。人間界の崩壊も強調される。
世界の再生と預言の終結(スタンザ51~62)
51-62スタンザ
炎の巨、スルト、南より進む、
剣は輝き、太陽を焼き尽くす。
岩は砕け、山は崩れ、
天は裂け、黒煙に覆われる。
海は溢れ、大地は沈み、
星々は空から落ち、
炎と波、世界を飲み込む。
全ては滅び、虚無に帰す。
彼女は見た、終末の光景を、
神々の死、秩序の崩壊。
ユグドラシル、灰に変わり、
世界の樹、炎に消える。
だが、彼女は見た、新たな地を、
海から浮かぶ、緑の大地。
滝は流れ、鷲は飛び、
魚は川に泳ぎ、新たな命が生まれる。
生き残りし神、広間に集う、
バルドルとヘズ、光を取り戻す。
黄金の盤、輝きを放ち、
新しき時代、希望を紡ぐ。
畑は耕さず、穀物は育つ、
病は癒え、苦しみは消える。
バルドル帰還し、神々は和す、
新たな秩序、世界に満ちる。
彼女は見た、黄金の広間、
ギムレの輝き、天にそびえる。
正しき者、そこに住まい、
永遠の喜び、時を超えて。
だが、暗き竜、ニザヘッグ飛び、
死体をくわえ、翼を広げる。
山を越え、闇を運び、
終末の影、なお漂う。
彼女は見た、力ある者を、
天より来たる、統べる者を。
裁きの声、響き合い、
全てを定め、永遠に続く。
神々は集い、議をなす、
古の記憶、運命を語る。
ルーンを刻み、知恵を分かち、
新たな世界、調和を築く。
人間の子ら、再び住まう、
中つ国、緑に満ちる。
命の息吹、永遠に続き、
世界は再び、希望に輝く。
彼女は沈む、ヴォルヴァの声、
預言の言葉、闇に消える。
運命は巡り、時を超える、
始まりと終わり、永遠に繋がる。
注釈
- スルトの進軍:51スタンザで、炎の巨人スルトがラグナロクの最終局面で世界を焼き尽くす。
- 新たな世界:54~57スタンザで、ラグナロク後の再生が描かれる。バルドル(光の神)の帰還や、ギムレ(黄金の広間)が新しい秩序を象徴。
- ニザヘッグ:58スタンザの暗い竜。世界樹の根をかじる存在で、終末の残響を示唆。
- 力ある者:59スタンザの「力ある者」は、キリスト教的影響(一神教の神)と解釈されることが多いが、原文では曖昧。
- 翻訳は、原文の荘厳な語調とリズムを意識し、現代日本語で読みやすく調整。一部意訳を交え、詩的雰囲気を保持。
- スタンザ51~62は、ラグナロクのクライマックスから世界の再生、預言の終結までを描く。循環する運命のテーマが強調される。
『Vǫluspá』追補:『王の写本』にない詩やスタンザ
1. 『ハウクスボーク』(Hauksbók)特有のスタンザ
『ハウクスボーク』(14世紀初頭、約1334年頃)は、『Vǫluspá』の異なるバージョン(約59スタンザ)を収録しており、『王の写本』と比べてスタンザの順序や内容に差異があります。以下は『王の写本』にない、または大きく異なる要素の一部です:
-
ガルムの頻出(繰り返しフレーズ)
『ハウクスボーク』では、ガルム(ラグナロクで吠える狼)の言及が『王の写本』よりも頻繁に繰り返されます。特に以下のリフレインが複数回登場:グヌーパの洞窟前にガルムが吠える、 鎖は砕け、狼は走る。 さらに先を見、多くを語る、 ラグナロクと神々の戦い。
このフレーズは、『王の写本』では限定的(例:スタンザ44、49など)ですが、『ハウクスボーク』ではスタンザ29以降で繰り返され、終末の緊迫感を強調します。
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フレイヤ、トール、ヘイムダルのエピソード
『ハウクスボーク』では、フレイヤ、トール、ヘイムダルに関する記述が『王の写本』のスタンザ20(グルヴェイグのエピソード)より前に配置される場合があります。これにより、戦争の背景や神々の行動が異なる順序で展開。例:フレイヤ、巨人に与えられ、 アース神族の砦、守られる。
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欠落スタンザの補完
『ハウクスボーク』は一部スタンザが省略される一方、独自の記述を含む場合があります。例として、『王の写本』のスタンザ28~34(オーディンの目の犠牲やヴァルキリーの登場)が『ハウクスボーク』では欠落し、代わりに別の終末描写が追加されることがあります。これらは断片的で完全な翻訳が難しいですが、以下のようなイメージが含まれる:闇の竜、翼を広げ、 死者の国より、影を運ぶ。
2. 『スノッリのエッダ』(Prose Edda、特に『ギュルヴィの惑わし』)の引用
『スノッリのエッダ』(13世紀、スノッリ・ストゥルルソン著)では、『Vǫluspá』の多くのスタンザが引用または言い換えられていますが、独自の詩的断片や補足が含まれます。これらは『王の写本』にない場合があります:
-
トールの戦いの詳細
『スノッリのエッダ』では、トールがヨルムンガンド(世界蛇)を倒し、九歩進んで毒で死ぬ場面(『王の写本』のスタンザ48に相当)が詳細に記述:トール、ミズガルズの蛇を討ち、 九歩進むも、毒に倒れる。 蛇の吐息、死を運び、 雷神、力を失う。
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ラグナロクの追加描写
『スノッリのエッダ』には、ラグナロクの戦闘や神々の運命に関する追加の詩的断片が含まれ、以下のようなイメージが強調:ヴィーザル、フェンリルの顎を裂き、 狼の心臓、槍で貫く。
3. その他の写本(AM 748 I 4to、Flateyjarbókなど)
-
『AM 748 I 4to』や『Flateyjarbók』には、『Vǫluspá』そのものではないが、エッダ詩に類似した詩(いわゆる「エッダ風詩」)が含まれる。これらは『王の写本』にない独立した詩として扱われることが多い:
-
エッダ風詩(Eddica minora)
『フォルナルダルサガ』などに含まれるエッダ風詩(例:『Hervarar saga』の詩)は、『Vǫluspá』と直接関連しないが、類似の神話的テーマを持つ。これらは『王の写本』にない詩的断片で、Andreas HeuslerとWilhelm Ranischにより『Eddica minora』(1903)として編纂された。例:古の英雄、運命に立ち向かい、 神々の意志、剣に宿る。
注釈
- スタンザの順序と欠落:『ハウクスボーク』は『王の写本』よりスタンザ数が少なく(約59スタンザ)、特に『王の写本』の28~34が欠落。代わりにガルムの繰り返しや独自の終末描写が追加される。
- キリスト教的影響:『ハウクスボーク』や『スノッリのエッダ』の追加スタンザには、キリスト教的要素(例:スタンザ59の「力ある者」)が強い場合があり、『王の写本』の異教的性格と異なる。
- 写本の状態:両写本とも損傷があり、特に『ハウクスボーク』は一部が判読不能。『スノッリのエッダ』の引用は口承や別バージョンの影響を受け、独自の詩的表現を含む。
- 翻訳の困難さ:追加スタンザは断片的で、完全な翻訳が難しい場合が多い。ここでは概要と代表的な断片を提示。