愛知学院大学体育会居合道部

指導する人が知っておきたいこと

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aguiaidoubu

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後輩を指導するということは、指導内容だけでなく、指導方法そのものも伝えることになります。

ここでは、後輩に指導するときの注意点をいくつか紹介します。



○基本的なこと

・安全の確保
 まずは安全第一です。限られた範囲で日本刀を振れば、他人や壁に接触してしまう危険性があります。「事故は起こりうるもの」という認識を持ち、その上で、距離を取らせたり、ゆっくり動くように指示を出したりして、安全を確保しましょう。教える後輩の人数が多ければ多いほど注意しなければなりません。また、後輩の体調にも気を配り、無理をさせないようにしましょう。

・後輩と足並みを揃える
 指導をすることは、言ってみれば情報を共有することです。それなのに説明をすることだけに一生懸命になって、後輩を置いてけぼりにしていては本末転倒です。重要なポイントになる部分をいくつか質問すれば、後輩の理解度がわかります。話についてきているかどうか、確認しながら後輩をリードしましょう。後輩に教本を読ませるのも一つの手です。


○効果的な指導をするために

・具体的に説明する 
 「いい感じに、いい塩梅に」というような抽象的な説明では、後輩の動きに変化が見られないでしょう。後輩は、その「いい感じに、いい塩梅に」がわかりません。後輩が理解しようとしているのですから、先輩は出来る限り理解させる努力をすべきです。出来る限り具体的に説明して、後輩に問題点を気付かせるきっかけを少しでも多く与えましょう。

・「なぜ必要なのか」を説明する
 指導や注意に必要性が見いだせない後輩は、自主稽古になっても「なんとなく素振りをする」「周りがやっているからとりあえず技を抜こう」という主体性のない稽古をしてしまいます。そうして出来上がるのは、表面を取り繕ったような底の浅い居合です。何のためにこの稽古をするのか、なぜこんな注意をするのか、説明を怠らないようにしましょう。


○これはNG!

・デタラメを言う
 言うまでもなくNGです。後輩は先輩の言う言葉を鵜呑みにしがちなので、説明に不備がないように、指導する側も勉強を怠らないようにしましょう。ただ、技は変化するもので、自分が教わった内容が現在では通じないということがありえます。そのときは誤解を招かないように「今は違うやり方かも知れないけども」と、一言断っておきましょう。もしも間違ったことを教えてしまった場合は、可能な限り訂正しましょう。

・声が小さい、聞き取りにくい
 指導をするのに声が小さかったり聞き取りにくかったりするのは致命的です。一生懸命説明したつもりでも、後輩が何一つ理解できなかったら時間の無駄になってしまいます。大きな声を出すのが苦手なら、後輩たちに集合をかけて、近くに来てもらうような工夫をしましょう。

・威圧的な態度を取る
 必要以上に大きな声を出したり、出来ないからといって罵倒したりするのは、後輩が萎縮してしまうのでNGです。場合によっては言い争いに発展するかもしれません。居丈高にならないと言うことを聞かせられないのでは、指導能力が低いと公言するようなものです。熱が入り過ぎないように注意しましょう。

・指導する側の素行が悪い
 いくら正論であっても、それを言う人間に問題があると納得しがたいものです。赤点ばかり取る人が勉強について語っても説得力がないのと同じです。後輩は「何を言われたか」より「誰に言われたか」で判断するものです。他人に厳しい人は、まず自分に厳しくなければいけません。居合道だけでなく、日頃の行いも気をつけましょう。

・指導する側の気が短い
 後輩が指導内容を忘れたり身に付けていなかったりすると「せっかくこっちが時間を割いて教えたのに、やる気がないのか」と、カチンとくるかもしれませんが、間違ったことが次の代に伝わってしまうよりはずっとマシです。一言二言注意するだけで終わっていては指導とは言えません。改善が見られるまで、根気強く、長い目で見ることを心掛けましょう。また、自分の指導に不備がなかったか確認し、解決策を考えてあげましょう。





 自分が指導した後輩がどんどん実力を身に付けて大会で好成績を取る、となれば先輩冥利に尽きるというものですが、皆が皆大会で勝ち進む部員に育つとは限りません。それもその筈で、上手くなるのに必要不可欠な向上心には個人差があるからです。入部してくる人間が皆、高い向上心を持っているとは限りません。

 後輩の向上心頼みでは、いくら成績が上位でも、それは部ではなく個人の強さであり個人の手柄です。個人ではなく部が強くなるためには、部員を育成する指導力こそが大事になります。良いものを次の代へ継いでもらうために、今一度自分の指導方法を見直してみましょう。

 後輩側ではなく、むしろ指導する先輩側にこそ、多くを求められることを忘れてはいけません。後輩が部の主力として育つか、部を辞めたいと嘆くかは、先輩の言動によっても変わってくることでしょう。





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