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第6回トーナメント 特別出張版通常対戦 第1試合
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aioricharabattle
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第6回トーナメント 特別出張版通常対戦 第1試合
《アネモス VS 「猫又幻」》
何もない平原は、静寂のなかに不穏な気配を孕んでいた。
空に雲はなく、草ひとつ生えぬ大地が、戦いを待つ者たちの息遣いを飲み込んでいる。
アネモスはその中央に立っていた。赤いショートヘアが風に揺れ、鋭く光る魔眼が猫又幻を捉える。
「猫又幻。あなたの幻がどれだけ巧妙でも、私の風はそれを切り裂く。」
冷徹に言い放ち、彼女は疾風のナイフを逆手に構える。
その右目は敵の情報を30秒で解析する機能を、左目はわずかに体力を削る機能を持ち、どちらもこの遮るものが無い平原では絶大な力を発揮する。
対する猫又幻は対して静かに双剣を抜く。その身に九尾の影が重なり、耳がピクリと動いた。
「君の目は厄介だ。けれど、幻を見破った時、君はどこに立っているか……わかっていないだろう。」
ふっと微笑み、彼は霧のように姿を揺らめかせる。その様子はまさに幻の具現かのようであり、彼の異様さをいかにも表していた。
「さて…いくよ。」
――彼が呟いた瞬間、幻影の孤影が発動された。
ズウッ!
平原に無数の幻影が踊り出し、アネモスを包囲する。
どの幻影も本物とまるで見分けがつかないほどに精巧に作られており、目視で幻影かどうかを判断するのは不可能に近いだろう。
「面倒ね。」
ザシュ!
アネモスは様子見で疾風のナイフを一閃し、いくつかの幻影を裂くが、それでも幻影の数は減っているようには見えない。
むしろ時間経過と共に増えているかのように感じられるほどだ。
「なるほど…これは本体を直接叩かないといけないタイプね。」
底の見えない能力を目の前にしても、彼女の冷静さは揺るがない。
今わかっている情報から仮説を立て、勝利に向けて必要な行動を予測する。
「おそらく幻そのものに攻撃性能は無いはず…なら、解析が終わるまでは派手に動かないのが得策だわ。」
幻影であろうとどこかしらには本体がいる。即ち、30秒間さえ凌げば後は右目の解析で本体を察知できる。それが彼女の判断であった。
しかし……
しかし……
バシッ!
幻影の猫又幻が放った双剣の一撃がアネモスの体に傷を刻む。
実は猫又幻の生み出した幻には微弱ながら攻撃能力が備わっており、その動きに合わせてダメージを負わせることができるのだ。
「…ちょっと予想外だわ。」
アネモスは少しだけ驚きを見せながらも風の黄衣を展開する。周囲の空気が爆ぜ、渦を巻いて幻影を散らす。
だが、それでもすぐに新たな幻影が現れる。これではいくら蹴散らそうとキリがない。
「ここからは耐久特化でいきましょう。」
その言葉と同時に、風が彼女の周囲で渦を巻き、まるで彼女を守る鎧のように舞い上がる。
幻影の猫又幻がその鎧ごとアネモスを攻撃しようとするも、幻影の攻撃は風の鎧によって完全に防がれてしまい、ダメージを与えることはできなかった。
「そして、これで30秒は経ったわ。形勢逆転よ。」
彼女の頭の中に猫又幻の情報が全てインプットされ、右目には幻影の中に潜む猫又幻の本体の姿がくっきりと映し出された。
それだけではない。彼女の脳内にはその能力の一つ一つに至るまで完璧に情報が入り込んでおり、相手の全てを丸裸にしている状態となった。
それだけではない。彼女の脳内にはその能力の一つ一つに至るまで完璧に情報が入り込んでおり、相手の全てを丸裸にしている状態となった。
「幻視共鳴……九幻化……なるほど。どれも強力ですが、使わせなければ無意味です。」
彼女は疾風のナイフを構え、幻影をかき分けて迷うことなく猫又幻の本体の元まで接近する。
「くらいなさい。」
ザシュッ!
今度こそ彼女の一閃は猫又幻の肉体を切り裂き、その体から血を滴らせる。それは彼に確かなダメージを与えた証拠に他ならない。
しかし、猫又幻もここで終わるほどの男ではなかった。
「…この程度で勝った気になるのではないぞ。」
彼は彼女の様子から幻は無駄と悟り、全ての幻影を消し去り、真正面から双剣を振るう。そして、その動きに合わせて蒼い火が斬撃の形をとって襲い来る。彼の得意とする技の一つ、蒼炎の舞だ。
ジュッ!
アネモスは疾風のナイフで弾こうとするが、炎の熱がわずかに彼女の体力を削ぐ。
「…やはり君は強い。しかし…」
猫又幻の瞳が赤く染まる。九尾の尾が広がり、彼の姿が双剣と共に変貌する。
これこそが彼が龍神との邂逅を経て身に着けた新たな境地――
「──九幻化。」
……風が止まった。いや、風だけでなく、空も、大地も、鳥たちの囀りさえも全てが停止してしまったかのように感じられた。
音もなく、猫又幻が一歩踏み出す。まるで近所に散歩にでも出かけるかのように。
音もなく、猫又幻が一歩踏み出す。まるで近所に散歩にでも出かけるかのように。
その刹那、いつの間にか彼はアネモスの背後に回っており、双剣が変容した妖刀が肩口を裂いた。
血飛沫が舞い、彼女は後退する。今度は風の黄衣を最大展開し、全方向からの攻撃を防ぐ構えだ。
血飛沫が舞い、彼女は後退する。今度は風の黄衣を最大展開し、全方向からの攻撃を防ぐ構えだ。
(これが九幻化……予想以上ね。)
再び猫又幻は何事もなかったかのように歩き出し、徐々にアネモスに向けて近づいてくる。
ペタッ、ペタッ、ペタッ。
……
ザシュッ!ザザザザザッ!!
突然の耳をつんざく音にアネモスが咄嗟に背後を振り向くと、そこには風のセンサーに引っかかっている猫又幻の姿があった。
「……!?さっきまで前にいたはずなのに!?」
続けて前方に向き直すと、そこにも確かに猫又幻の姿があった。つまりはこういうことだ。相手は完全に2人いる。
(もしかして…前方の個体は幻!?)
咄嗟にそう判断したアネモスは、風の黄衣を後方に全集中させ、背後の相手を風で削り取らんとする。
ズザザザザッ!ザッ!
九幻化が強化できるのは攻撃力とスピードのみ、ただでさえ幻の能力によって直接攻撃を受けることが少ない彼にとって、このダメージは無視できないものであった。
持ち前のスピードを活かしたとてフルパワーの風を全て避けきるのは不可能。そう判断した猫又幻は、攻撃を諦めて距離を取る。
「…どうやらあなたも全力の風には耐え切れないみたいね。」
そう言い放ったアネモスの顔からは未知への恐怖ではなく、勝利の可能性を見つけた歓喜が感じ取れた。
”このまま放っておけば全てを解析される"
猫又幻の脳内には本能的にその言葉が浮かび上がり、時間はあまりかけられないことを理解させる。
「…君はしぶといな。でも──もう終わりにしよう。」
突如として猫又幻の姿が溶け、平原に濃い霧が立ち込める。
次々と溢れ出すそれは、いつの間にかバトルフィールド全体を覆っており、一寸先さえも見えないほどになっていた。
次々と溢れ出すそれは、いつの間にかバトルフィールド全体を覆っており、一寸先さえも見えないほどになっていた。
そして、霧に隠れて終焉が訪れる──
「九尾・幻影終幕斬。」
霧と共に九本の尾と幻影が融合し、世界の色が歪む。アネモスの視界が奪われ、現実と幻の境が崩れていく。
「……!? 魔眼でも姿が見えない…!…どこに……っ!!」
幻の中では右目も左目も無力。魔眼は霧に包まれ、彼女の風も方向を見失って右往左往している。
──ズバッ!
垣根を切り裂く妖刀の一閃が胸元を貫き、アネモスの体が地に崩れた。
「……君の風は、確かに強かった」
ナイフが地に転がり、赤い髪が風に舞う。アネモスは膝をつきながらも、悔しげに唇を噛んだ。
「次は…絶対に負けない。」
こうして、勝負は終わりを迎えた。
「勝者――猫又幻。」