あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《セシル・レイナード VS 落宮スズキ》
最終更新:
aioricharabattle
-
view
《セシル・レイナード VS 落宮スズキ》
乾いた風が地表をなぞるように走り、草ひとつ生えない大地に砂塵を舞わせていた。
陽光は強く、空は青く澄みわたり、視界にはただ、逃げる者と、それを追う者の二つの影のみがあった。
「待ちなさい!!」
叫びとともに地を割る衝撃。セシル・レイナードは全身に刻まれた魔法陣を燃やし、肉体を極限まで強化したまま、猛獣のような勢いで駆けていた。
その眼は獲物を追う獣そのもの。腕の血管は浮き出し、肌の下で魔力が踊る。
全身から放たれる気迫が、遠くにいるはずの敵にすら届くほどだった。
その視線の先、風に舞う白シャツと黒ズボン――落宮スズキが、全力で逃げていた。
「ムリムリムリムリムリ!こっちは貧弱な男子高校生なんですけど!?あんたどこの格闘アニメから飛び出してきたんだよッ!!」
スズキは叫びながら、全速力で逃げていた。だがその足取りは無駄がなく、地面を滑るように俊敏。背後から飛び交う拳圧と衝撃波を、紙一重でかわしていく。
その回避行動は明らかに理にかなっておらず、運と反射だけに頼ったようなものであったが、奇跡的に成立していた。
「シャベル一丁で何ができるって!?いや、できるんだ!俺には落とし穴がある!落とし穴は世界を救うッ!!!」
その叫びと共に、彼の足元で地面が不自然に揺らいだ。落とし穴が静かに生成され始めているのだ。だがセシルは止まらない。
「罠? そんなの踏み抜いてから考える!」
彼女の脳筋思考は相変わらずで、一切の策も思惑もなくただひたすらに真っすぐだ。
ズポッ
突如として地面が崩れる。セシルの片足が沈み、バランスを崩しかけた。
しかし、彼女はその勢いのまま拳を地面に打ち込み、跳ねるように軌道を修正する。
だが、これもスズキの策の内であった。
「ハッ、脳筋め!お前はもうこの平原のどこにも立てないッ!!!」
スズキの叫びと同時に、まるで地面が敵意を持ったかのように、彼女の周囲に次々と穴が開き始めた。
足元、拳の振りぬき先、着地すると思った場所。全てが崩れていく。
「ならッ――飛ぶッ!!!」
セシルが叫び、脚の魔法陣が一瞬強く光った。とてつもない爆風と共に彼女の肉体が地を蹴る力で上空へと飛び上がる。
しかしその瞬間、スズキの目に光が宿った。
「よし、引っかかった!!そろそろアレが起きるぞ……!自滅の穴!!」
セシルの意識が、一瞬だけ揺らぐ。視界がにじむ。空中にいる自分の体が、思った以上に疲弊していることに気づく。筋肉痛。過剰な魔力消費。重力の感覚が一瞬わからなくなった。
「ッ、やば……っ!?」
空中で体勢を崩すセシル。その先には――まるで誘い込まれたかのように、超巨大な落とし穴が口を開けていた。
「うわあああああああッッ!!!!」
ドンッ!!!
大地が鳴動した。砂塵が舞い、しばらく視界が奪われる。やがて、舞い上がった砂の中から、ひとつの影がゆらりと現れた。
シャベルを杖のようにつきながら、スズキが勝ち誇ったように呟いた。
「勝った……俺が……あの脳筋魔人に……!!」
地上より数百メートル下、巨大な落とし穴の底で、セシルが呻いていた。魔力を使い果たし、筋肉痛に身を震わせながら、彼女は悔しそうに唇を噛んだ。
「くっ……こんな……罠ごときで……っ!」
だが彼女の声は、もはや威力を持たず、風の中にかき消えた。
勝者――落宮スズキ。