あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《フェルブェラ VS コーラマン》
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aioricharabattle
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《フェルブェラ VS コーラマン》
「ヒトが立ち入ってはならない」
そう名指しされる場所がこの世界には幾つかある。 だが、そのどこにも理由が記されることはない。
何もない平原。風もなく、鳥の一羽も鳴かず、ただ草がそよいでいるだけの静寂。
何もない平原。風もなく、鳥の一羽も鳴かず、ただ草がそよいでいるだけの静寂。
そこに、二つの異様な影があった。
ぐちゅっ。
一歩、地を踏む音。湿った大地を潰すように、粘性を含んだ何かが押し込まれていく不快な音が平原に滲んだ。
逆関節の足が、まるで病んだ昆虫のように軋みながら草を押しのける。
空に向いてねじれた胴体。その下からだらりと垂れ下がるのは、かつて人間であったらしい、血走った目を見開いた長髪の頭部。
だが、その表情にはもはや人としての理性も感情も感じられない。
顔が、ゆっくりと前方を見やった。その瞳が何かを認識する度、現実はわずかに歪み、世界が裂けていく。
フェルブェラ。名を呼んだが最期。知ったが最期。それが意味するのは、いかなる悪夢の獣よりも強靭な呪詛であり、目を合わせた者をも幻影へと誘う。
その存在を認識した瞬間から、心は既に侵蝕を受け、逃れられぬ破滅の螺旋へと投げ込まれる。
だが、今日の相手は一味違う。
「コーラビーム!」
ビュッ!
甲高い音と共に、フェルブェラの前方へ走る炭酸の閃光。
地面を抉り、草を引き裂きながら一直線に放たれたコーラの流線は、蒸気を帯びた鋭利な槍のように伸びた。
ぶしゃっ!
胴体に炸裂する黒い液体。焼けたように肉が爛れ、腐肉の匂いが漂う。
呻く声はない。代わりに、頭部の口が奇妙に開いた。
その裂けた唇から零れるのは、言葉ではない、呪いそのものだった。
「......知っているな。」
犬の前脚に似た不気味な両腕が、まるで地を滑る影のように音もなく大地を蹴った。
ぬめるような疾走の末、フェルブェラは異様な姿勢のまま宙へと舞い上がる。その動きは、もはや動物でも人でもない、名前のない存在の跳躍だった。
「コーラドロップキック!」
ごぉぉぉ!
勢いよく背を噴き上げるコーラの噴流。
弧を描く炭酸の力が、コーラマンの体を一気に押し上げ、一直線に迫る足がフェルブェラの頭部を目がけて伸びる。
弧を描く炭酸の力が、コーラマンの体を一気に押し上げ、一直線に迫る足がフェルブェラの頭部を目がけて伸びる。
炭酸の飛沫がしぶきとなって尾を引き、空中で二体の異形が激突する──そのはずだった。
ぴちっ。
だが、衝突の瞬間、フェルブェラの体表が水面のように揺らぎ、像が歪む。
それは、変化。形を、存在を、魂の色をすらねじ曲げる異様な変容。
それは、変化。形を、存在を、魂の色をすらねじ曲げる異様な変容。
翼を広げた鳥へ。鱗を這わせた蛇へ。虚ろな瞳を浮かべる少女へ。牙を剥いた狼へ。穏やかで無垢な人間の微笑へ。
姿は次々と入れ替わり、現れては消え、フェルブェラという一つの存在を塗り替えていく。
その変化は蹴りの勢いをやわらげ、力の流れを拡散させる。まるで空気に溶けるように、物理が意味を失う。
それは対峙した者の知覚すら歪ませ、今まさに蹴ろうとした対象の輪郭を奪い去っていく、恐るべき防御だった。
「コーラウェーブ!」
ぐおおおおおっ!!
轟音と共に地面が盛り上がり、瞬間、黒く濁った炭酸の奔流が天地を割るように吹き上がった。
熱を帯びた液体が空気を震わせ、湿り気を含んだ濃密な匂いが周囲に満ちる。
熱を帯びた液体が空気を震わせ、湿り気を含んだ濃密な匂いが周囲に満ちる。
炭酸の波は、まるで意思を持った怪物のようにうねりながらフェルブェラへと襲いかかる。
前足──いや、犬のようなそれすらも、流れに抗いきれず引きずられた。
「ぐぎゃああああっ……!」
咆哮とも呻きともつかぬ声が漏れる。
瞬間、異形の身体が波に呑まれ、地面を跳ねるようにして宙を舞い、何十メートルも先の草地に叩きつけられた。
ズシャアッ!!
草と土が混ざり合って飛び散る。フェルブェラのねじれた胴体が、背中から地面にめり込んだ。
しかし、その動きは止まらない。
「……お前は、口にした。名を、形を、恐れを」
音が四方から響く。重なり、反響し、もはや声ではない音となって平原全体を満たす。
いや、それは現実の声ではない。幻覚だ。フェルブェラの呪いが、空間そのものに滲み出していた。
いや、それは現実の声ではない。幻覚だ。フェルブェラの呪いが、空間そのものに滲み出していた。
ふと見ると、フェルブェラの姿が増えている。一つ、二つ……十、二十……否、それ以上。同じ異形の姿が、距離も方向も無視して無数に現れていた。
だが、どれが本体か見極める術はなく、その全てが本物のように蠢いている。それは、名を知った者に訪れる終わりの合図だった。
だが、どれが本体か見極める術はなく、その全てが本物のように蠢いている。それは、名を知った者に訪れる終わりの合図だった。
「コーラスパークリング!」
ドンッ!!
濁流の表面で弾けるように爆ぜる炭酸。それはまるで雨のように降り注ぎ、視界を白く塗りつぶした。
ギィイイイイッ!
音。否、悲鳴。フェルブェラのうち一体が弾け飛ぶ。だが、また一つ現れる。
「無駄だ。私は死なぬ。我を知ったその瞬間から、お前は私の中にある」
「なら、全部コーラにしてやる!」
「......それもまた、私の糧だ」
コーラマンは跳ぶ。重力を嘲笑うかのように、その身体が炭酸の推進力で宙を駆ける。その両手から溢れ出すのは、ただの液体ではない。黒く煌めく奔流が、波となり、閃光となり、稲妻のごとく裂けた空へと走る。
「コーラキャノン!」
咆哮と共に、口を大きく開いた。喉奥から解き放たれるコーラは、もはや飲料などではなく、破壊と支配の象徴だった。
轟音を伴って放たれた極太のコーラビームは、前方の地形を抉り、熱風と共にフェルブェラの幾体を薙ぎ倒す。
轟音を伴って放たれた極太のコーラビームは、前方の地形を抉り、熱風と共にフェルブェラの幾体を薙ぎ倒す。
その衝撃波で草は根こそぎ吹き飛び、炭酸の蒸気が靄のように辺りを包む。
「が……あ……っ!」
フェルブェラの一体が呻く。ただし、それは痛みによるものではなく、呪いの言葉に近い呻きだった。
だが──コーラキャノンの代償は大きい。解き放っている間、コーラマンの身体は硬直し、全ての行動が封じられる。
フェルブェラの一体が、霧の中から這い出すように姿を現した。
そのねじれた足が軋みを上げ、犬の前脚が音もなく地を掻いて加速する。
「コーラブースト!」
声と同時に足裏から噴き出す炭酸が爆発し、コーラマンの身体を横へと吹き飛ばした。
体の制御が聞かない状態でのコーラブーストは自らをも破壊しかねない捨て身の技であるが、この状況になったからにはしょうがない。
身体を捻り、反転して着地するその一瞬で、元いた場所にフェルブェラの牙が食い込む──もし避けなければ、頭部を抉られていた。
着地の足元では、黒くねっとりと光る液体が広がっている。
時間経過と同時に現れる現象、スティッキーシューガーだ。
呟きと共に目を細める。
蒸発したコーラの糖分が空気に粘りを生み、平原一帯に足をとる粘性の罠を張り巡らせていた。
蒸発したコーラの糖分が空気に粘りを生み、平原一帯に足をとる粘性の罠を張り巡らせていた。
その上に踏み込んだフェルブェラの一体が、足を取られた。
脚が絡まり、バランスを失い、醜悪な姿が地面に膝をつく。
「ぢちぃぃ……っ!!」
呻き、のたうち、暴れる。
だが──
その口元が笑った。
だが──
その口元が笑った。
「『知った』お前はもう逃れられない。」
幻が、声が、笑いが、一斉に迫る。
それは鼓膜を揺らすというより、思考に直接響く幻聴だった。
嘲笑と囁きが脳内を這いずり、言葉の形を持たぬ感情が恐怖を上書きする。
嘲笑と囁きが脳内を這いずり、言葉の形を持たぬ感情が恐怖を上書きする。
空間が歪む。
圧縮され、拡大され、ねじれるようにして現れたのは──無数のフェルブェラの顔。
顔。顔。顔。
圧縮され、拡大され、ねじれるようにして現れたのは──無数のフェルブェラの顔。
顔。顔。顔。
歪んだ肉の塊が連なり、空に、地に、空間の裂け目に、まるで花のように咲いていた。
そのすべてが、同時に、微笑んだ。
そのすべてが、同時に、微笑んだ。
「お前は、もう知っている──」
一言と共に、フェルブェラの本体が、ぬるりと背後に現れた。
その現れ方はまるで、空間の皮をめくって這い出たような不自然さ。
その現れ方はまるで、空間の皮をめくって這い出たような不自然さ。
「ッ……くそっ!」
反応する間もなく、フェルブェラの首が蛇のように伸びる。
不気味にねじれたその口が、大きく開いた。中には人のものとは思えない数の歯が、不規則に生えそろっていた。
──がぶり。
頭部へ、垂直に。 歯が深く、音もなく、脳天に食い込んだ。 骨の軋む感触すら、幻想にかき消される。
その瞬間、空気がひんやりと冷える。炭酸の波も止まり、甘い香りが風に滲み、草の葉を震わせた。
「…………っ!」
呻きにもならない息が漏れる。世界がゆっくりと傾く。空と地の境界が曖昧になり、輪郭が溶ける。
地平線が滲み、鼓動が聞こえない。音も、感触も、消えていく。
地平線が滲み、鼓動が聞こえない。音も、感触も、消えていく。
そして──
肉を噛み砕き、骨を舐め砕く、湿った音だけが静寂に響く。その咀嚼音が、終焉の鐘だった。
コーラの嵐は静まり、宙に漂っていた炭酸の粒子が、ゆっくりと落下していく。淡い光を帯びた甘い霧が、地上に舞い降りる。
粘つく炭酸の海に残されたのは、ただ液体に濡れた空間と、すでに無に帰した魂の痕跡のみ。
草が風に揺れ、何事もなかったかのように平原は元の姿を取り戻す。
草が風に揺れ、何事もなかったかのように平原は元の姿を取り戻す。
フェルブェラは、噛み砕いた頭部の皮を啜りながら、舌で最後の味を確かめるように目を細めた。
そして静かに、首を傾ける。
そして静かに、首を傾ける。
「次は……誰だ。」
「勝者──フェルブェラ。」