あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《凶刃 VS ラック・スナイパー》
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aioricharabattle
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《凶刃 VS ラック・スナイパー》
何もない平原。ただ地平が広がるだけのこの場所に、ふたりの男が立っていた。
バシュッ。
空気を裂く音とともに、ラック・スナイパーの放った一発目の弾丸が凶刃の右肩を掠めた。
「……速い。」
凶刃はわずかに眉を動かす。身体を傾けたその動作には無駄がなく、次の狙撃に備えて身構える。彼の視線は周囲の地形、風の流れ、草の揺れまでもを鋭利に捉えていた。
ラックはすでに伏せの体勢から移動を開始していた。風に揺れる草原の中、老人の気配は不思議と薄い。
狙撃手としての経験と能力によって、まるで大地に溶け込むかのように静かに、確実に次の狙撃地点へと移動していく。
「さあ、始めようか……妖精森。」
ザアアッ。
風が巻き、瞬く間に平原は巨大な森へと変貌する。
大地が震え、土が盛り上がり、草が木へと変わり、視界は幾重にも折り重なる枝葉に閉ざされる。
鳥の囀り、虫の声、自然の音が充満し、まるで何年も前からそこに存在していたかのような錯覚を覚える。
鳥の囀り、虫の声、自然の音が充満し、まるで何年も前からそこに存在していたかのような錯覚を覚える。
「攻の専心——。」
凶刃は刀を持っていない。だが、彼にとってそれは致命的な欠落ではなかった。
「……十分だ。」
地に落ちていた一枚の鋭利な石片を拾い上げる。
その指が触れた瞬間、それは単なる石ではなく、彼の中で『刃』として定義された。質量や形状、硬度すらも関係がない。ただ“斬る”という一点において、この石片は最上の得物となる。
「攻の専心——開始。」
ヒュンッ!
空気を切り裂く鋭音。木々の間を縫うように飛来する弾丸が、風と共に凶刃を襲う。
その反応はまるで野生の獣のようだった。凶刃は咄嗟に足を踏み込み、反動を利用して木の幹へと身を躍らせる。背中を密着させたまま息を潜め、森の音に意識を研ぎ澄ませる。
「この森は……奴の領域か。」
一瞬で戦場の主導権が相手にあることを悟る。
だが、その状況こそが彼を研ぎ澄ます。視線は四方に走り、風に乗る枝葉のざわめき一つ一つからラックの位置を推測する。
——バシュッ!!
音のわずかな遅延と風の流れから、凶刃は弾道を読み取る。即座に身体を捻り、葉のカーテンを裂いて横跳び。地に着地する瞬間にはすでに次のカバーに向けて動き出していた。その流れるような連携動作には一切の停滞がない。
「守の専心——切替。」
次の狙撃を見越して、木々の配置と風の向き、足場の土質に至るまでを脳内で走査する。
耳は風音に集中し、皮膚は周囲の微動に反応。凶刃の五感すべてが狙撃者の呼吸すら捉えようとしていた。
耳は風音に集中し、皮膚は周囲の微動に反応。凶刃の五感すべてが狙撃者の呼吸すら捉えようとしていた。
「妖精眼で読んでいる……か。」
スコープ越しに凶刃を見据えるラックの瞳には、深い冷静さと計算が宿っていた。
妖精眼——その目が凶刃の思考の流れすら読み取っていることを、凶刃は直感で理解していた。
妖精眼——その目が凶刃の思考の流れすら読み取っていることを、凶刃は直感で理解していた。
「まだ『凶刃』の域には至らんか。」
バシュウウッ!!
三連の銃声。
最初の一発は木の幹を打ち砕き、二発目は低空を滑るように凶刃の足元を狙う。
三発目——それは明らかに“トドメ”を狙ったものだった。
しかし、凶刃の肉体はそれを読むより早く動いていた。
足を滑らせるように地を這い、その動きはあたかも地そのものと一体化しているかのようだった。枝葉を押し分けるように低く潜り込み、右腕が閃光の如く素早く動く。
キィン!!
金属音が虚空に弾け、空中で火花が迸る。三発目の弾丸は、凶刃の放った石片によって寸分の狂いもなく真っ二つに裂かれた。その切断面は精密で、刃によるものとしか思えないほどに滑らかだった。
静寂が戻った森の中で、凶刃はゆっくりと姿勢を正し、深く息を吐く。
「……最適化は成った。」
その声音には揺るぎのない自信と、わずかな高揚が混じっていた。獲物を確実に仕留められると確信した、狩人の息吹。
「——攻の専心、完了。」
その言葉と共に、凶刃は地を蹴った。落ち葉が舞い上がり、彼の身体はまるで風そのもののように林の中を滑る。
枝を掴んで飛び移り、幹を蹴って角度を変え、跳躍と着地を繰り返す。
枝を掴んで飛び移り、幹を蹴って角度を変え、跳躍と着地を繰り返す。
彼の動きは野獣のように本能的でありながら、舞踏のように滑らかだった。風を切り裂く音が、彼の進行を加速させる旋律となる。
その背後では、ラックが老練な動作で静かに弾を装填していた。眉一つ動かさず、深く息を整える。
「妖精の導き——。」
囁くように唱えたその言葉の直後、引き金が引かれた。
バンッ!!
弾丸は発射された直後に常軌を逸した軌道を描く。まるで空間が歪んだかのように、弾は右に左に、不規則な弧を描きながら凶刃の背後へと回り込む。
弾丸は鋭く跳ねるような音と共に、弾は通常ではあり得ぬ角度から凶刃の背中を貫こうとする。
弾丸は鋭く跳ねるような音と共に、弾は通常ではあり得ぬ角度から凶刃の背中を貫こうとする。
……だが。
「見切った。」
凶刃の体がわずかに旋回し、半歩だけ後方に退く。その動きは予測ではなく、もはや未来を見ているかのような精密さ。弾丸は彼の衣の端をかすめ、紙一重で回避された。
「守の専心も、成った。」
その宣言と同時に、凶刃の右手が再び動く。道すがら拾い上げた木の枝を構え、彼はまるで長年手に馴染んだ剣のごとく自然な動きでそれを振るう。その刃先は視界を裂き、密林の障害物すら切り払って前進する。木々が切り裂かれる音を響かせながら、凶刃はついに狙撃点を捉えた。その歩みには一点の淀みもなく、目はただラックの存在を捉えていた。
そのとき、ラックは口元を緩め、静かに微笑んだ。
「残念、罠だよ。」
微かな金属音が、地面の下から聞こえたかと思うと、次の瞬間——
ズガンッ!!
大地が揺れるような爆音。地面が裂け、炎と衝撃波が空気を切り裂いて走る。爆風が木々の間を駆け抜け、鋭利な破片や木屑を四方へと撒き散らした。
その爆煙の中から、ゆらゆらと影が現れる。
「……それでも、進むのみ。」
黒煙を引き裂いて現れたのは、衣服に焼け焦げを刻まれた凶刃だった。
布の端は焼け焦げ、肌には煤がついていたが、その眼差しには一分の曇りもなかった。冷たい刃のように研ぎ澄まされた瞳が、再び標的を捕捉する。
彼の右手には、爆発の衝撃で地面に落ちていた鉄の破片が握られていた。それは刀でもなく、刃と呼ぶにはあまりに無骨な金属片。
だが、彼の手に握られた時、それは確かに『斬る』という意志を宿した。
「……タフだね。」
ラックの呟きがこだまする。
ガキンッ!!
鋼を叩き割るような金属音。凶刃が投擲した鉄片は風を切って弧を描き、正確無比にラックの狙撃銃のスコープを撃ち抜いた。レンズが砕け、金属の破片が閃きながら散る。
「ふむ……やるな。」
スナイパーの眼とも言えるスコープを失ってなお、ラックは微塵も揺るがなかった。その落ち着きは、数え切れぬ修羅場を超えてきた男のそれ。
「なら、こっちでどうだい?」
彼は静かにサバイバルナイフを抜いた。その手の動きに一切のためらいはない。戦場の空気が再び緊張をはらむ。
「ここからは……狩人の目だよ。」
ラックの片目に宿る妖精眼が再び輝く。右目だけで凶刃の動きを読み、次の行動を予測する。
長年の戦場経験が染み込んだ体が、老いたとは思えぬ俊敏さで踏み込み、ナイフが閃光のように迫る。
シュバッ!!
凶刃は即座に手刀で応じた。
その一撃は指先から肘にかけて刃の如き鋭さを帯びており、ただの肉体によるものとは思えない殺気を纏っていた。
その一撃は指先から肘にかけて刃の如き鋭さを帯びており、ただの肉体によるものとは思えない殺気を纏っていた。
金属と肉、妖精と空虚、異なる存在が一つの刹那で衝突する。
ジャリィンッ!!
打撃が空気を裂き、火花のような音を撒き散らす。
二人の間には、もはや言葉は要らなかった。
ナイフと手刀が幾度となく交錯し、肌と刃が紙一重で命を削る。
凶刃の拳がナイフを受け流し、ラックの刃が手刀をかすめては裂く。
その応酬の中、ふたりの視線が幾度となくぶつかり合う。それはもはや戦いというよりも、一つの『問い』と『答え』の応酬。
どちらが先に折れるか、その意志と技のぶつかり合いだった。
「……剣であろうと、木片であろうと……」
「斬るとは、ただそういうことだ。」
最後の一撃、互いの渾身の一閃がぶつかり合う。
バチィィッ!!
爆ぜるような閃光と共に、二人の間に暴風が生まれた。風圧は周囲の木々をなぎ倒し、地を裂くほどの衝撃を生み出す。
凶刃の刃が描いた軌跡と、ラックのナイフが織り成した線が空中で交差し、まるで稲妻が弾けるように炸裂する。ふたりの身体が激しく跳ね上がり、重力に引かれて大地へと叩きつけられるように離れた。
ザアアアアッ……。
爆風の名残が空気を押し流し、木々の葉を舞い上げる。
その中で、先に動いたのはラックだった。ゆっくりと、しかし確実に片膝をつく。体は既に限界を迎えていた。呼吸は浅く、片目に宿った妖精眼の輝きも薄れかけている。それでも彼の表情には敗北の色はなかった。
そして——その視線の先に、立つ者がいた。
風に焼けたコートを揺らしながら、肩で息をしている凶刃。呼吸は粗く、身体のあちこちに小さな裂傷が刻まれていた。だが、瞳の奥にはまだ煌々たる光が宿っている。静かに、一歩、彼は前へと踏み出す。その足取りは重く、だが確実に勝者のそれだった。
「……見事だった。」
ラックは、口元に穏やかな笑みを浮かべた。彼はゆっくりとナイフを地面に置く。その仕草には潔さと、かつて幾多の勝負を見届けてきた老兵の風格があった。
吹き抜ける風が妖精森を払い、かつての平原がその姿を取り戻していく。
空は澄み渡り、ただふたりの呼吸音だけが風の中に残った。
空は澄み渡り、ただふたりの呼吸音だけが風の中に残った。
「勝者――凶刃。」