あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《血召術士 アカヨ VS 四葩》
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aioricharabattle
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《血召術士 アカヨ VS 四葩》
平原に、ただ風が吹いていた。
その中央で向かい合う二つの影。赤と黒の巫女装束を纏い、手に竹筒を携えた少女――血召術士アカヨ。
そして、白銀の髪をたなびかせ、瞳に断固たる決意を宿した存在――四葩。
「始めましょう。」
アカヨの声と同時に、竹筒の蓋がカチリと外れた。
チャキィンッ!
中から取り出した小瓶。その中には深紅に輝く濃密な血液が一滴、蠢くように宿っていた。
アカヨはそれを指先に垂らすと、素早くしゃがみ込み、硬い地面に指で滑らかな曲線を描き始めた。
その筆致はまるで筆で書く書家のように淀みなく、美しく、それでいて呪術的な重みを帯びている。
「出でよ、蒼翼の鷲。」
最後の点が打たれた瞬間、血紋が赤黒く光り始める。
そこから噴き出した霊気が渦を巻き、空中に翼を広げる。
ギャアアアッ!!
一声と共に姿を現したのは、空色の羽根を持つ巨大な霊鳥――蒼翼の鷲。
その翼は天を裂くかのごとく広がり、羽ばたき一つで周囲の空気を斬り裂く旋風を生み出した。
暴風は草を薙ぎ倒し、四葩の純白の法衣を幾度もはためかせる。
だが、四葩は微動だにしなかった。その口元が、わずかに開かれる。
「青龍。」
その名が告げられた瞬間、空気が震えた。四葩の全身に青白い光が走り、身体の輪郭を龍の如きオーラが包み込む。うねる龍気は風すら裂き、足元の土を震わせる。
ズゥゥン……!
地鳴りと共に、彼の存在感が一気に膨れ上がった。
「ステータス上昇、完了。」
ボウッ!!
その言葉と共に地を蹴る。
轟音が平原に鳴り響き、一瞬にして四葩の姿が掻き消えた。
次の瞬間、彼は空中の蒼翼の鷲に肉薄していた。
「――砕けろ。」
ドゴォォン!!
振り上げられた拳が蒼翼の鷲の腹部を的確に穿ち、その一撃の圧で羽根が四散する。
式神の形を保てなくなった鷲は叫びを残して霧散し、空へと還っていった。
「っ……さすが……!」
アカヨは即座に次の印を描いていた。今度は三重の円に幾何学紋が重なる複雑な構図。
「雷迅の狼よ、ここに現れよ……!」
バチバチバチバチッ!!
雷鳴と共に銀毛の狼が出現、その身体からは放電が迸る。
「玄武。」
再び四葩の全身が甲羅のようなオーラで包まれる。青黒く輝くその結界は、まるで神話の防壁のごとく隙を見せなかった。
バチィィィンッ!!
轟音と共にオーラが激しく揺らぐ。その力の大半は分厚い甲羅のようなオーラによって吸収され、地面へと流し去られたかに見えた
――が。
「……ッ!」
四葩の口元から、朱がひとすじ、滑るように零れ落ちた。吐血だ。
玄武の防御をもってしても、完全には防ぎきれなかったのだ。呼吸を整えるように肩がわずかに上下し、その瞳がさらに鋭さを増す。
玄武の防御をもってしても、完全には防ぎきれなかったのだ。呼吸を整えるように肩がわずかに上下し、その瞳がさらに鋭さを増す。
「解析完了。あなたの式神は、自己の血量と比例し威力が変動する。」
「……なるほど、妖怪染みた理解速度ね。」
アカヨの表情が冷えた笑みに変わる。まるで古の儀式を前にした巫女のような、静謐で、どこか怖気を孕んだ微笑。
「終わらせるわ……。」
小刀を抜いた彼女は、左手首に当てると躊躇いなくその刃を滑らせた。
ジュッ……。
鋭い切断音と共に、真紅の血が溢れ出す。その鮮烈な赤は地面へと滴り落ち、乾いた大地に吸い込まれて黒ずんだ染みとなって広がっていく。
「舞え、深紅の蝶たち……!」
ヒラヒラヒラ……。
血紋から舞い上がるのは、まばゆいほどに輝く血蝶たち。光を受けて七色に煌めきながら、羽根の縁を鋭く波打たせる無数の蝶が、群れを成して一斉に四葩へと襲いかかる。その数は百を超え、風に乗って旋回し、空を覆い尽くすかのようだった。
「朱雀。」
ゴォオオオッ!!
四葩の身体から立ち昇るのは、聖なる炎のオーラ。彼を包むように現れた朱雀の姿は、まるで不死鳥のように美しく、そして神々しい。
一瞬後、轟音と共にその炎が爆ぜる。全方位に放たれた浄化の熱波が血蝶を包み込み、触れた瞬間に焼き尽くす。
パチ……パチ……。
消えていく血の残滓。血液であるがゆえに、不浄の存在であるがゆえに、朱雀の炎の前では抵抗すら叶わない。
「癒しは完了した。次に移行する。」
その声は無機質なまでに淡々としていた。しかし、アカヨの視線は揺るがなかった。その顔色は青白く、吐息は乱れている。それでも唇の端には確かな笑みが残っていた。
「なら、こっちも奥の手を……!」
彼女はゆっくりと右手を太腿に滑らせ、小刀を深々と突き立てた。ブシュッ!という生々しい音と共に血が噴き出す。
その血で地面に描かれるのは、巨大な魔方陣。幾何学的な構造に幾重もの輪が絡み、中心には双頭の蛇を象った記号が脈動するように浮かび上がる。
アカヨの意識が血を媒介に式神の位相を呼び寄せる。彼女の身体から溢れる霊力と生気が結界に転じ、空気が異界の匂いを帯びてゆく。
「出よ……双頭の蛇龍……!」
ズズズズ……!!
地面が轟音を立てて割れ、亀裂から溢れ出す瘴気と共に巨大な影が姿を現す。
それは、蛇と龍が融合した異形の式神――双頭の蛇龍。片方の頭は猛毒の牙を、もう片方は灼熱の息を宿し、その巨大な身は見る者の魂すら圧倒する。
グギャアアアアッ!!
咆哮一つで空を割り、大地を揺らす。その眼に宿る光は、怒りと破壊の権化そのものだった。
四葩は拳を構えた。
「白虎。」
その名と共に、四葩の両腕に虎爪の形を模した神秘のオーラが迸る。白き閃光を纏うその姿は、まさに正義の化身の如く凛然たる威容を放っていた。
ゴォォ……ッ!!
次の瞬間、彼の身体が空気を裂いて疾駆した。一歩――それだけで、空間そのものが震え、虎の咆哮のような衝撃音が響き渡る。
ズガァァァンッ!!
四葩の拳が空間を裂いた。
亀裂が奔り、双頭の蛇龍の巨体を断ち切るように衝撃が走る。
グギャアアアッ!!
双頭の蛇龍が悲鳴を上げ、爆裂するように霧散していく。
その瞬間、オーラを纏った拳は弾丸の如くアカヨの元へと迫った。
だが、その瞬間。
ドンッ!!
アカヨの前に血で編まれた紋章盾が出現。細密な術式が脈動し、血が命脈のように走る。
ゴゴゴゴゴ……バギィィッ!!
拳と盾が激突し、音の壁が破られたかのような爆音が広がる。
盾は粉砕されたが、拳もまた衝撃に耐え切れず減速した。
「ふふ……これが真の切り札よ。」
アカヨは大きく息をつきながらも、血で染まった地に片膝をつき、ふらつきながら立ち上がる。
その手は震え、口元には返り血がこびりついている。
その手は震え、口元には返り血がこびりついている。
それでもその瞳には、絶対に折れぬ意志の焔が灯っていた。
四葩もまた、拳を下ろすことなくその場で膝をついた。
白虎の力、その絶対なる一撃は、確かに敵を打ち砕いたが、代償として彼自身の身体も蝕んでいた。
「……まだ……立てる……」
そう呟きながらも、息は荒く、瞳の光は明らかに揺らいでいる。
かすかな吐息と共に膝が崩れ、砂塵を巻き上げて地に手をつく。
彼は立ち上がろうとするが、膝は言うことを聞かず、身体は地に縫いとめられるように動かない。
拳を握る力すら、今は残されていなかった。
血と炎、霊と獣、全てが交差した死闘。
傷つき、燃え尽き、なおも立ち上がろうとする意志。
だが最後に、重い足取りながらも一歩、先に立ち上がったのはアカヨだった。
風が吹く。
血風と共に舞う布の端。沈黙の中、確かに彼女は立っていた。
「勝者――アカヨ。」