あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
《鋭間 迅 VS トーツトルダート0号》
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aioricharabattle
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《鋭間 迅 VS トーツトルダート0号》
平原に吹く風が、静かに二人の戦士を撫でていた。遠くには鳥のさえずりすら届かない。戦場と化したこの地には、ただ風と足音だけが存在していた。
「任務開始。」
冷たく機械的な声が空気を裂き、トーツトルダート0号が前傾姿勢で滑るように踏み出す。
脚部の装置が淡い青白い光を灯し、土をわずかに焦がしながら地を這うように移動した。その様は無音の殺意そのもの。
対する鋭間迅は、細身の身体に黒い弓を携え、草のそよぎの音すら遮断するように息を潜めていた。風に揺れる前髪の下から鋭い双眸がわずかに動く。
「......近いな。」
ブンッ!
第一矢。鋭間迅の指が弦を離れた瞬間、風が唸りを上げた。
ブンッ!
唸る矢は正確にトーツの眉間を狙って一直線に飛翔する。
だが、トーツは無感情なまま一歩だけ身体を傾け、矢は空を切った。
「回避完了。」
そのままの勢いで、トーツの脚部装置が青白く輝く。
ズガガンッ!!
次の瞬間、装甲がしなやかに波打ち、まるで液体のように流動しながら硬化へと変化していく。
地面が爆ぜる。抉れた地表から噴き上がる砂塵の中を、トーツの機体が閃光の如く疾走する。
迅の目が細められる。
「高速接近……まずいな。」
彼の口から小さく呟きが漏れると同時に、体勢を低く取り、弓を引き絞る。
「ゾーン、起動。」
その言葉と共に、迅の視界が激変する。
世界の時間が遅くなり、空気の流れすら手に取るように感じられる。
全身の感覚が研ぎ澄まされ、トーツの動きが精密な軌道で浮かび上がった。
全身の感覚が研ぎ澄まされ、トーツの動きが精密な軌道で浮かび上がった。
ギュン!ギュン!ギュン!
放たれた矢はすべて一点、心臓、右膝、左肘の制御装置を正確に狙っている。
だが――。
カンッ!カンッ!ギンッ!
硬化した装甲が鋼鉄のごとき音を響かせ、金属同士が激突する甲高い反響が空気を震わせる。
迅の矢は、寸分違わず制御装置を狙っていたはずだったが、その意図すら読み取ったように装甲の可動部がわずかに動いて弾き返す。
「攻撃効果無し。装甲反応良好。敵の照準制度:危険域。装甲調整を優先。」
トーツの片腕が微細な振動音と共に変形し、鋭利な突起を展開させる。
それはまるで蛇が鎌首をもたげるかの如く、予兆のない破壊の構えだった。
「装甲、反応良好。敵意識:高速連射型、近距離優位。対策展開開始。破壊モード、第一段階へ移行。」
迅はその言葉を聞くや否や、後方へ素早く跳ねるように退避する。跳ねる動作と同時に、彼の手元で黒弓が反転し、逆手で握られた矢が地面に突き刺される。
「......そこだ。」
ギシュッ!
鋭い音を立てて、乾いた大地が裂け、砂煙が視界を満たす。その瞬間、まるで大地が唸りを上げたような錯覚に囚われる。
しかし――。
「視界妨害。効果軽微。感知モード、粒子散布分析に切り替え。」
即座にトーツの視覚ユニットが切り替わり、砂煙の微細な乱流までも把握し始める。
その最中、煙の奥でわずかに弓弦の張る音が鳴る。
「零距離。」
ギュオッ!!
矢が、閃光のように放たれる。至近距離、それもトーツの死角から放たれたそれは、狙いを外す余地もなく胸部中央の接合部へ突き刺さった。
ドンッ!!!
衝撃音が平原を揺るがす。衝撃により装甲が縦に裂け、白煙が噴き出す。
内側から姿を現したのは、複雑に絡み合う赤黒い機械組織。その中央には点滅する制御核が辛うじて動作を維持していた。
内側から姿を現したのは、複雑に絡み合う赤黒い機械組織。その中央には点滅する制御核が辛うじて動作を維持していた。
「損傷確認。内部修復開始。修復効率:72%、上昇傾向あり。」
ズガァン!!
だが、その修復は制御しきれぬ速度で活性化し始める。
修復機構が過剰反応し、機体内部に異常な熱と圧力が発生する。
次の瞬間、背部から伸びた装甲の隙間から高圧の蒸気が噴き出す。
「異常反応。修復暴走検出。制御機能展開――収束開始。」
胸部中央に浮かぶ制御装置が青白い閃光を放ち、暴走を強制的に抑え込む。
吹き出していた蒸気が徐々に細くなり、音が静かになっていく。
「強いな、お前。」
迅が矢を番えながら、感情のこもらない声で呟く。その視線には戦士としての敬意が滲んでいた。
「分析完了。破壊優先。」
バシュッ!!
トーツの腕が機械音を伴いながら変形し、瞬時に鋭利な刃が伸びる。
それはまるで意志を持つかのようにうねり、最短距離で迅を仕留めようと迫る。
しかし迅は、微塵の動揺も見せずに一歩で滑るようなステップを踏み、風の軌跡の中で刃を躱す。
「ゾーン、再起動。」
ギュンッ!
次の瞬間、彼の世界が再び緩やかに沈黙した。音すら凍るような沈黙の中、迅の脳内で思考と照準が交錯する。自動照準が走り、指先が矢に触れた刹那、三本の矢が超音速で解き放たれる。
ギンッ!ギンッ!ギンッ!
無音に近いその矢は、機械の装甲を裂くようにして一直線に制御装置へ突き刺さった。
バチバチッ!
制御核から火花が散る。異音がトーツの体内から漏れ、警告灯が一斉に赤く点滅する。
「警告:制御障害発生。過剰修復モード、抑制不能。」
ブシュウウウウウウ……!
装甲の隙間から吹き上がる高熱エネルギー。体全体が膨張し、まるで巨大な心臓のように脈動を始めた。
「終わりだ。」
迅の声は低く、冷ややかに響いた。
彼の右腕が矢をつまみ、弓を引ききった。視界の中心にはトーツの制御核がはっきりと映っていた。
彼の右腕が矢をつまみ、弓を引ききった。視界の中心にはトーツの制御核がはっきりと映っていた。
「零距離、必中。」
ギュオォォンッ!!
雷鳴のような音と共に矢が放たれた。光の残像を引きながら一直線に飛翔し、トーツの胸部中央に吸い込まれるように突き刺さった。
ズバァアァアアアン!!!
装甲が破裂し、機械の内部がむき出しとなる。
ガクリ
トーツがよろめき、膝をつく。内部からは白熱した蒸気が噴き出し、修復機構の悲鳴のような音が響く。
「......修復継続不能、内部崩壊進行中。」
ノイズ混じりの音声と共に、膝が地に落ちる。
――その時だった。
ゴゴゴゴゴッ!!
暴走していたエネルギーが一気に逆流し、傷口が白く冷却されていく。蒸気が氷のように凝結し、装甲が再構築される。
「再起動完了。敵戦力排除優先。」
ゴオオオッ!!
咆哮のような駆動音が平原を震わせ、トーツの装甲が再び光を帯びた。足元の地面を抉るように踏み込み、瞬く間に空間を駆け抜ける。
迅の視界に鋼の閃光が迫る。
迅の視界に鋼の閃光が迫る。
「来るか……!」
矢筒に手を伸ばすも、身体が反応しない。ゾーンのクールタイム、未だ解除されず。
「っ……間に合わないか……!」
バシュウウウウッ!!
音と同時に閃いた一撃。
それは速度を超えた刃の奔流。
鋭く伸びたトーツの腕が、迅の肩へと叩きつけられた。
ゴキャアッ!!
肉と骨が砕ける音と共に、黒弓が宙を舞う。
「ぐ、あああっ――!」
喉奥から絞り出された悲鳴が、鉄の匂いを含んで風に乗る。
迅の身体がよろけ、膝をつきながら倒れこむ。
力が抜け、地面に落ちた手が、砂を握ったまま動かない。
「任務遂行完了。対象、戦闘不能。」
トーツは冷たく宣言し、引き抜いた腕を元の形状に戻してゆく。
砂埃が巻き上がる。トーツの着地と同時に、その風が静寂を撫でるように広がった。
その空気の中に、確かな終焉の気配が漂っていた。
「勝者――トーツトルダート0号。」