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《UNASHI VS 霧神 柊夜(きりがみ・しゅうや)》
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aioricharabattle
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《UNASHI VS 霧神 柊夜(きりがみ・しゅうや)》
赤黒く染まる地平線の彼方、骨と肉と血が堆積して形成された山脈のような異形の巣。
そこは、古の巨獣たちが死に、喰らい、産み落とし、また死に続けた果てにできた、終末の墓場。
無限にうごめく脈動。天を覆う皮膜のような膜状器官。息をするだけで喉が焼け、意識が幻惑される。
粘ついた風が吹き、地の底から呻くような咆哮が、脈打つ壁面から染み出していた。
ブゥゥゥゥン……ッ。
大気が蠢く。粘性を帯びた空気が震える。その中心に、形なき存在が降り立った。
声もなく、意思もなく。ただ存在するという事実が周囲の物理を軋ませ、巣を支えていた内壁が爆ぜた。
全方位に飛び散る内臓のような壁面の中、UNASHIは揺らめく。
形を成さぬその肉体は、見た者すべての理解を拒む。 不定形、無音、無限。だが確かにそこに“在る”。
「随分と悪趣味な舞台だな。」
響く声。理不尽なほどに美しい声。
それはUNASHIの対面、薄闇より歩み出た一人の青年のものであった。
それはUNASHIの対面、薄闇より歩み出た一人の青年のものであった。
霧神 柊夜。 冷たい微笑をそのままに、怪獣の巣という忌まわしき劇場に立つ彼は、指先で虚空をなぞる。
その所作一つが、まるで演目の序章を告げる指揮者のようだった。
「物語は既に始まっている。……ですが、あなたが気付く頃には、結末に至っているかもしれませんよ。」
UNASHIの身体が広がり、巣の天井ごと飲み込む。巨大な粘塊が降り注ぎ、その一つ一つが時空を裂きながら襲いかかる。
衝突の瞬間、空間が反転し、数百の次元が粉砕される。
その破壊は、存在そのものを否定する波。
だが、柊夜は――微笑を崩さずに一歩、足を踏み出した。
「あなたの攻撃は、全て“記憶の外”です。」
ズアアアアアアアッ!!
衝撃波が柊夜を飲み込む。
しかし次の瞬間、UNASHIの目に映るその姿は、なぜかまったく別の位置に。
否、その視界すら柊夜の手のひらで転がされていた。
UNASHIの感知性は完璧のはず。だが確信が揺らいでいる。
『完全催眠』。
観測した瞬間、もはや柊夜を理解することは叶わない。
彼の存在に触れた時点で、五感も、勝敗も、戦局も、全てが幻へと書き換えられる。
「見ているつもりでしょう? それは、あなたが『そう見せられている』に過ぎません。」
UNASHIは動じない。無数の世界を支配し、万象を凌駕してきた存在。何億何兆という戦いの果てに進化し続けた、理外の王。
「自己再点――“私はすべての誤認を無効とする”。“私は霧神柊夜よりも認識上位である”。」
パアアアアアアアア……ッ!!
空間が明滅する。閃光と暗黒が交互に世界を塗り替え、現実という幕がノイズを帯びながら剥がれていく。
巣の内壁は、音もなく全方向へと引き裂かれる。繊維のような臓器の束が悲鳴も上げずに裂断され、剥き出しの“核”が姿を現した。
それは、概念で構築された心臓のようなものだった。
物質ですらなく、情報でもなく、ただ“巣という存在がそこにある”という証明だけで形成された、認識不可能な器官。
その存在は、空間そのものを臓腑のように捻じ曲げ、巣域に確かな“生”の鼓動を流し込んでいた。
UNASHIの再点――それは、世界の法則に対する“重奏の刃”だった。
二重奏。ひとつは存在肯定の響き。ひとつは存在否定の響き。それらが同時に奏でられることで、真理はその足場を失い、世界の骨格は震える。
重力が逆転する。すべての質量が天へと引き上げられ、次の瞬間には真下へと落ちる。時間が泡立ち、沸騰する。
未来と過去が混濁し、今という一瞬が“何度も起こり得る”不安定な泡となる。
観測すら拒絶される。UNASHIの存在自体が、観測者の精神を押し潰す“呪詛的圧”となって空間全体を包み込んでいた。
だが、そんな中――霧神柊夜の眼差しは、ゆっくりと細められていた。
その目には、恐怖も怒りもない。あるのはただ、微かな興趣と、論理という名の沈黙。
「再点……興味深いロジックですね。」
声音は穏やかで、しかしその裏に潜む深淵は測り知れない。UNASHIの“奏”が世界を呑み込もうとする中で、柊夜は一歩、踏み出した。
「では、私も“設定”を変えましょう。」
その言葉と共に、彼は右手を軽く掲げた。指先が空をなぞり、音を孕む“断面”に触れる。そして――指を、鳴らした。
カチン。
「この戦いにおける“認識上位”は私であると――あなたは信じた。」
ズルゥ……ッ。
UNASHIの身体が一部、崩れた。わずかに、だが確かに。それは“信じ込まされた事象”による、内部からの論理的瓦解。
UNASHIは即座に再構成する。世界が終わっても残る不死性。
だが、また一歩遅れる。再点の再点、その隙間を縫うように、柊夜の“虚構”が忍び込む。
柊夜は一歩ずつ、粛然と歩を進めていた。その背後、巣が崩壊し、巨獣の死骸が雨のように降る。内臓の川、骨の嵐、終わりの洪水。その全てを背景に、彼の歩調だけが静かに整っていた。
「さあ、UNASHIさん。私は何度でもお相手しますよ。」
その声は、まるで宣誓。敗北という可能性すら含まぬまま、ただ静かに――しかし、確かな殺意を孕んで響いた。
その言葉を聞いた瞬間、UNASHIの内に何かが切り替わる。音もなく、その指が開かれた。
バシュウウッ!!
空間が蒸発するような異音が響き渡る。周囲の法則が歪み、重力の向きが一瞬で逆転する。
UNASHIの全身から立ち上るのは、不可視の情報煙。それは《再点》すら凌駕する、UNASHIの最終領域。
【Re壊】――発動。
それは再点という枠組みの更なる果て。定義の更新ではない。
定義の抹消――“世界の構文”そのものを乱数で上書きし、意味の死をもたらす異常領域。
全次元に対する同時多発的干渉。局所ではなく、全宇宙に対する“同時再点”が行使される。
運動量という概念が破壊される。速度、加速度、慣性――全てが無意味となり、質量あるものが“無抵抗に超速へと到達する”異様な挙動を示す。
UNASHIの動きは、もはや“速い”のではない。どこからともなく、次の瞬間には“在る”。柊夜の位置座標を、空間ごと破砕しながら。
UNASHIの全身から迸るのは、“触手”という表現すら生温い、幾何学的暴力。
螺旋を描く熱。複数の次元を跨ぐ棘。映像と音を同時に汚染する破壊波。
情報の洪水が具現化し、数千本の軌跡が渦を巻きながら空間を裂く。
触れた物質は一瞬で情報として分解され、次いで圧縮され、焼却され、投棄される。
その中心から放たれる“力”が、ついに柊夜を捉えた。
柊夜の身体が――否、“柊夜という存在の像”が――裂けた。
腕ごと、胸ごと、視界ごと。全ての情報レイヤーにおいて、柊夜は同時に複数回の断裂を強いられる。
肉体、魂、名前、認識――あらゆる次元座標が損壊し、空間ごと“噛み砕かれる”。
UNASHIはさらに踏み込んだ。地を蹴るのではない。“地面という概念の座標”を飛ばし、自身を空間ごと射出する。
その突進は、まるで時間の奔流。拳が――否、“拳の象徴性”が柊夜へと突き刺さる。
衝撃波が生まれた。巣全体が悲鳴を上げて震え、壁が波のようにたわむ。
反動で幾億の粒子が逆流し、そのまま空へと飲み込まれる。
柊夜は、空間の中で粉砕される。何重もの術式が弾け飛び、解析魔法が崩れ落ち、護符のようなロジックすら一太刀で破られる。
UNASHIの拳――いや、“Re壊”が告げている。『破壊は定義ではなく、本能だ』
これが、UNASHIの最終形態。あらゆる理を踏み越え、理解すら拒絶し、ただ――存在するもの全てを攻撃へと変換する。
柊夜の位置はもう見えない。そこに残っているのは、震える世界の傷跡だけだった。
UNASHIは確信していた。これは絶対の勝ち筋。再構成も、幻惑も、時間すらも【Re壊】の前では無力。
圧倒的な実力差によって柊夜は一瞬のうちにその存在をかき消され――なかった。
「……どうして?」
問いは声にならない。代わりにUNASHIは、世界を精密に検索する。
“あらゆる観測網”にアクセスし、“全情報連結領域”を再スキャンする。過去、現在、未来、すべての可能性を走査する。
だが結果は一つ。霧神柊夜――勝利者として登録。
彼の姿は、再構成された世界において、“勝利の構図”として固定されていた。
UNASHIがいかに反撃しようとも、その過程は無数の物語によって“敗北の前提”に書き換えられている。
――UNASHIの攻撃は、最初から“勝てない物語”に組み込まれていた。
――UNASHIの攻撃は、最初から“勝てない物語”に組み込まれていた。
「私は……負けない。はず、だ。」
UNASHIが自己認識を再定義する。己という概念の根幹に潜り、存在の輪郭を撫でるように再構築する。
「UNASHIとは何か」――その問いを、無限の鏡像の中で反射させ続ける。
過去において“存在した自分”と、現在“存在しつつある自分”、そして未来“存在すべき自分”を重ね合わせ、全時制における“我”を再計算する。
「霧神柊夜に敗れることなどない」と。
この場においては自分こそが“最終到達解”であると。
再点を再点する。定義を定義する。確定し得ない混沌を、自らの意志で意味へと収束させようとする。
UNASHIの精神演算は超高速で行われ、あらゆる可能性空間における“敗北の因子”を隔離・排除してゆく。
最も合理的な、最も勝率の高い“自己”だけを抽出し、並列化し、収束させていく。
だが、その全てが――“それは無意味である”と書き換えられる。
拒絶ではなく、否定ですらない。
それはまるで、白紙の脚本に“この思考は存在していなかった”と朱筆で上書きするかのような、“書き消し”だった。
再定義されたはずの自我は、次の瞬間には存在していない。
思考は構築される端から、物語の“裏”で黙殺される。
理性は霧に溶け、概念は定着する前に“無”に帰る。UNASHIの思考の中枢は、敗北という前提の中で、何ひとつ定義を“維持”できない。
まるで“柊夜に敗北すること”が宇宙の定数であるかのように。
そこには“抵抗することすら許されない静寂”があった。
静かに、白い手袋が虚空をなぞる。
虚飾の終幕。
「幕引きですね。」
「勝者――霧神柊夜。」