天夜奇想譚

《番外編》

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月下、彼の窓辺/side out 1/2

生ける者、死せる者。
その全てに実感が湧かない。
ブラウン管越しのテレビのように。
彼はいつだって、狭間。
生と死の狭間の中、ただ夢想の存在。
切り取られた空が彼の全てだった。





月下、彼の窓辺/side out 2/2

二日目、三人は今晩、ビル街に行くように話し合い、決めた。それまでの時間は各自で行動する。そしてトウカは――とある病院を訪ねていた。昨日の病院とは違う、機関の息が掛かった天夜市総合病院。
施設は清潔で、整っている。幾らか通常の入院患者も居て、ロビーは普通の病院と変わらない。






パラノイアの娘/side out

我を救ひたまへ、君。
我が恥なき人とならんを。
母は我が彼の言葉に従はねばとて我を打ちき。
父は死にたり。
明日は葬らではかなはぬに、家に一銭の貯えだになし。
――森鴎外“舞姫”より。





なべ・でい。/side out

――鍋料理。
昔から伝わる、様々な具材をぶち込み、煮込み、掻き回し、ぶち撒き、完成する料理。
具材は何か……なんて野暮なことは聞くものじゃないですね。
今宵は冷え切った夜。
そんな夜の、平和な鍋を覗いてみましょう。





一息、アチキ珍道中/Calm 1

カラン、カラン……
……
カラ……
……
……カラン――
踏み鳴らす下駄の音が夜道に響き渡る。
人通りの無い寂しげな道。周りの家々の住民は寝静まっているのか、アチキの歩く音以外は何も無い。空を見上げてみると、それはそれは綺麗な月が下界を照らしている。
なるほど――今日は、晴れか。
響く音、遠くの方に、影が見えた。
アチキは慌てて横道に逃げ込んだ。怖いものかもしれない。こんな綺麗な月夜には、怖いものがいる。





一息、アチキ珍道中/Calm 2

からころ……からりん……
……カラン、カラカラン……
ズゲッ、ズデッザザザーッー……
ブッ……




一息、アチキ珍道中/Calm 3

ゴオオォォー……
ガタッ、ガタ、ガタタタタッ!
ガン、ゴト、
「あいたっ」
ズンッ――ゴォォォォー!





井戸の底/Frog&bone 1/2

蛙のように井戸の中。
与えてくれたのはくすんだ色のシャレコウベ。
読みを与えられ。
書きを与えられ。
算盤を与えられ。
けれど外の光は与えてくれない。
蛙のように、井戸の底。





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