082
あこがれ 愛◆ fuYuujilTw
目が覚めるとそこは見慣れた部室だった。
やはりあれはただの悪夢に過ぎなかったのだとほっと胸を撫で下ろした。
みんなそろっている。穂乃果に花陽にニコちゃんに絵里に希に……。
「ね、ねえ。海未と凛とことりはどこ?」
「? 誰のこと?」
きょとんとした顔で穂乃果が私に尋ねる。
「ふ、ふざけないで! 大体海未とことりはあんたの幼なじみで……」
「本当にどうしたの?」
「疲れてるんちゃう?」
いつもの調子で、いつもの通りに私に話す希。
「花陽、あんた凛といつも一緒にいたじゃない!」
「真姫ちゃん、本当に誰のことをいってるの?」
「真姫、あなたやっぱりちょっと疲れてるんじゃない?」
「あんた、少し休んだ方がいいわよ……」
心配そうな顔で彼女たちは私を見る。
…………何も変わっていないのだ。
「……ご、ごめんなさい。良くない夢を見て……」
変わってしまったのは私だ。そう思いたかった。そう思いたかったのだ。
何も変わっていなのだ。
しばらくの間、私たちは他愛もないいつものお喋りに興じた。
楽しかった。
ああ、やはり私のいる場所はここなのだ。
無理矢理にでも納得しようとした。
「ねえ、μ'sって9人の女神のことをいうんだよね」
穂乃果が口を開く。
「そうやけど、どないしたん」
「だったら3人足らないかなと思って」
「そうやねえ」
「……!!」
「だれか勧誘しましょうか?」
「3年生はちょっと難しいんじゃないかしら」
「1年生と2年生の方が良いわよ」
「っ……!!」
「ま、真姫ちゃん、どこに行くの?」
耐えることができなかった。
手で顔を隠しながら、私は駆け足で部室から出た。
振り返ることはなかった。
気がつくと私は音楽室にいた。自然と足がピアノの方に向いた。
立ち止まる。
強い罪悪感が胸を突いた。
つい先ほどまでの自分を振り返り、乾いた笑いが出る。
そうだ、私にここに座る資格はないのだ。
涙がこぼれ落ちた。
「真姫、自分を責めないでください」
顔をあげる。
「そうだにゃ。凛たちはもういないけど、μ's のことは頼んだにゃ」
「お願いだから真姫ちゃんと穂乃果ちゃん、花陽ちゃんは生き延びて」
「……馬鹿。なんであんたたちは……」
「みんな、何かを守ろうとしたの。自分1人だけが帰れればいいなんて考えたのは誰もいない」
「だから、真姫ちゃんたちには無事に帰ってほしいにゃ」
「穂乃果と花陽を頼みます」
「待って……!」
手を伸ばすも掻き消える3人には届かなかった。
1人立ち尽くしていた。しばらく動くことができなかった。
自分は無力だった。そのことを噛み締めるたびに大きな絶望に襲われる。
……私にこれからできることはなんだろうか?
「…………」
おもむろに歩みを進めピアノの前に座り、鍵盤に指を置いた。
「大丈夫? 西木野さん」
気がつくとベッドの上にいた。保健室らしい。
「えっと……私は……?」
「放送の後、気を失っていたの。……まあ無理もないわ」
田村さんと中学生ぐらいの女の子が私を心配そうに見つめていた。
記憶が流れ込む。それは思い出したくないもの。思い出さなければならないもの。
「…………凛もことりも海未も……」
夢は、2度も醒めることはない。
ベッドから起き上がる。
「田村さん……その……さっきも私を守ってくれて、ありがとうございます……」
「いえ、いいのよ」
「えっと、そちらの方は?」
沈んだ表情でそう名乗った。……彼女もおそらくは近しい友人の名前が呼ばれたのだろう。
「その……初春さん……」
それ以上言葉が出なかった。何を言っていいのか分からなかった。それはきっと彼女とて同じなのだ。
どんな言葉をかけても嘘になってしまいそうな気がした。お互いに黙ったままだった。
他者の悲しみを共有することはできない。人にできるのは推し量ることだけだ。
「……泣いてもいいと思う」
虚勢だったのかもしれない。格好付けだったのかもしれない。しかしそれ以上かける言葉は見つからなかった。
「……いえ、大丈夫……大丈夫です……大丈夫ですから……」
涙をこぼしながら、それでも泣くまいと顔を引きつらせそう漏らした。
私は初春さんの背中に手を回し、田村さんが私にしてくれたように頭を撫でてあげるのだった。
こんなことをするのは初めてだった。ぎこちない手つきで、でもゆっくりと撫でてあげる。
「………………佐天さんは……私の大事な……だから……だから……」
私の胸元を涙で濡らした。
……悲しいのは私だけではない。
穂乃果や花陽もこの放送を聞いたのだ。
初春さんのような人はたくさんいるのだろう。
強い憤りが湧き起こる。この理不尽な狂った催しに。
音楽室に戻る。
ピアノの前に座り鍵盤に指を置いた。
さっきは弾けなかった”あの曲”を奏でる。
海未はことりともう会うことはないと知っていたのだろう。
凛のことだ。田村さんのように命をかけて行きずりの誰かを助けたのだろう。
ことりはきっと仲間のことを必死で考えたのだろう。
佐天さんのことを私は知らない。だが、きっととても素敵な人だったのだろう。
「本当に馬鹿……」
最後まで弾くことはしなかった。この続きは穂乃果と花陽と一緒に生還してからだ。
部屋に戻り、田村さん、初春さんとこれからの方針を考えよう。
そう決意するのだった。
【G-6/音ノ木坂学院内/朝】
【
西木野真姫@ラブライブ!】
[状態]:健康
[装備]:金属バット@とある科学の超電磁砲
[道具]:デイパック、基本支給品、マカロン@アイドルマスター シンデレラガールズ、ジッポライター@現実
[思考]
基本:誰も殺したくない。ゲームからの脱出。
1:
田村玲子と協力する。
2:穂乃果、花陽を探す。
3:ゲームに乗っていない人を探す。
[備考]
※アニメ第二期終了後から参戦。
※
泉新一と後藤が田村玲子の知り合いであり、後藤が危険であると認識しました。
【田村玲子@寄生獣 セイの格率】
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:デイパック、基本支給品 、
巴マミの不明支給品1~3
[思考]
基本:基本的に人は殺さない。ただし攻撃を受けたときはこの限りではない。
1:脱出の道を探る。
2:西木野真姫を観察する。
3:人間とパラサイトとの関係をより深く探る。
4:ゲームに乗っていない人間を探す。
5:スタンド使いや超能力者という存在に興味。(ただし
DIOは除く)
[備考]
※アニメ第18話終了以降から参戦。
※μ'sについての知識を得ました。
※首輪と接触している部分は肉体を変形させることが出来ません。
※広川に協力者がいると考えています。広川または協力者は死者を生き返らせる力を持っているのではないかと疑っています。
【初春飾利@とある科学の超電磁砲】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、不明支給品1~3、テニスラケット×2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いから脱出する。
1:田村玲子としばらく共に行動する。第二回放送後に闘技場へと戻る。闘技場が禁止エリアになった場合はカジノ、それもダメなら音ノ木坂学院で
タツミたちと合流する。
2:佐天や黒子と合流する。
3:御坂さんが……
[備考]
※参戦時期は不明です。
※殺し合い全体を管制するコンピューターシステムが存在すると考えています。
※魔法少女について大まかなことは知りました。
※ジョセフとタツミとさやかの知り合いを認識しました。
※DIOは危険人物だと認識しました。
※
御坂美琴が殺し合いに乗っているらしいということを知りました。
「シンイチ」
「どうした、ミギー」
「図書館に戻るのはいいが、もうすぐ眠りにつく時間だ。わたしが眠っている間に襲撃されたら厄介だぞ」
「そうだな……」
「まずは早く
アカメたちと合流することだ。アカメもいればそう簡単にやられることはないだろう」
「……本当にこれでよかったのか?」
「
サリアの持っている武器は危険だ。君1人で何とかしようとするのは得策ではない」
確かにサリアのことは気になる。しかし自分では説得することは非常に難しいのではないだろうか。
サリアは人を殺した。もう後戻りはできないのだ。
「もう一度言う。サリアのことは諦めた方がいい」
「…………」
返す言葉は見つからなかった。
【G-5/一日目/朝】
【泉新一@寄生獣 セイの格率】
[状態]:疲労(小)、ミギーにダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム品0~2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには乗らない。
1:図書館に向かい、アカメたちと合流。
2:後藤、血を飛ばす男(
魏志軍)、槙島、電撃を操る少女(御坂美琴らしい?)を警戒。
[備考]
※参戦時期はアニメ第21話の直後。
最終更新:2015年09月28日 02:03