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曇天 ◆dKv6nbYMB.


「アヴドゥルさん。あなたのスタンドという能力を持つ者は他にもいるのですか?」
「うむ。私の知っているだけでも私を含めて7人(一人はエスデス)。ほとんどが私の仲間だが、一人とてもヤバイやつがいる。DIO...この名に覚えはないか?」
「私は知りませんが...」
「俺も知りませんね」
「そうか。もしその男と出会ったらすぐに逃げるべきだ。能力は不明だが、奴に捕まれば殺されるか洗脳されるか。そのどちらかしかないからな」

この会場が電脳空間でないと判断したヒースクリフは、とにかくアヴドゥルから情報を聞き出していた。
幸いとでもいうべきか、お人好しなアヴドゥルは自分をそこまで警戒していないようだし、聞けば大抵のことは答えを返してくれる。

「洗脳は能力ではないのですか?」
「洗脳は奴の体質の産物とでもいうべきものだ。己の細胞を相手の脳内に打ちこみ支配する。スタンドとはまた別なものとなる」
「体質?」
「信じられんかもしれんが奴は吸血鬼でな。私も詳しいことはわからないが、人間の何倍もの筋力や生命力を有しているらしく、小さな怪我程度なら瞬時に回復してしまうらしい。おまけに寿命もないそうだ」
「スタンドを兼ね備えた吸血鬼、か。たしかに手強そうですね。ニンニクや十字架が効いたりは...」
「しないだろうな。おそらく河も普通に渡れるし、心臓に杭を刺してもピンピンしているだろう。だが、ひとつだけ伝承通りの弱点がある。日光だ。それを浴びせれば奴は塵となる」
「日光...これはまたベタな」


アヴドゥルから得た、新たな異能の情報、吸血鬼。
そんな伝承でしかきいたことのない空想上の怪物が実在するとは。
ますます興味深くなってきた。危険が無い範囲なら、是非とも会って話をしてみたいとヒースクリフは心躍らせた。
勿論、その心情を表情には出していないが、もしもこの場にいるのが己一人であれば嬉々として曝け出していただろう。


「えっと、そのDIOって人と戦うときは俺はどうすればいいですかね?」
「...できれば、きみ達を危険な目に合わせないようエスデスに進言はしてみるが、聞き入れてくれる可能性は低い。おそらく、戦う我々を近くから見守る形になると思う」
「そ、そうですか...」


昂るヒースクリフとは対象的に、足立は憂鬱だった。
どうもこの殺し合いに参加させられているのはおかしな奴らばかりなようだ。
スタンドとかいうペルソナより便利な異能力、それを操るアヴドゥルでさえ警戒するエスデスとDIO。しかもDIOは吸血鬼というトンデモスペック持ちらしい。
それに対して自分はペルソナは封印状態同然、支給品に青酸カリはあるが、異能力と比べれば心もとない。
これを使って場をかき乱すことも考えたが、成功率は低いとも考える。
それを裏付ける理由として、こうも超人染みた奴らが毒なんて使うかどうか。使う必要性は薄い。
青酸カリに頼るくらいないなら、己の能力を工夫して殺した方が早いだろう。
仮にコンサートホールに集まった奴らに使えば、無力な一般人を演じている自分が真っ先に疑われることとなる。それは勘弁したい。
使うにしても、せめて自分より弱いやつの一人か二人は欲しいと思う。


「...さて。そろそろ時間だ」
アヴドゥルの言う時間。それは、エスデスとの約束の期限だ。
アヴドゥルは思う。あの厄介な女は本当に味方を連れてくるのか?仮に味方だとしても、彼女のような危険人物じゃないだろうな。
ヒースクリフは思う。さて、アヴドゥルがあれほど警戒している女の異能はなにか。ああ、早く会ってみたい。
足立は思う。俺は危険な目には遭いたくないぞ。だから、いざって時は頼むぜアヴドゥルさんよぉ。
三者それぞれ異なる思惑を抱き、空気が張り詰めること数分。
バァン、と派手な音を立てて、コンサートホールの扉は開かれる。


(ほう...随分と強そうなのがきたな)
(まーた変なのが来たよ...)
来訪者の姿に、ヒースクリフは息を呑んだ。足立は怪訝な表情を浮かべた。

そして、予想外の来訪者にアヴドゥルの表情は驚愕の色に染まり

「...どうやら俺の方が先に着いちまったらしいな」

アヴドゥルの表情は、歓喜に満ち溢れた。


「ほむらちゃん!お願い、いるなら返事をして!」
森へと大声で呼びかけて。
草木をかき分けて。
しらみつぶしに探し回って。
それでも、まどかの声に反応する者はいなかった。

「...どうやら、このエリアにはいなさそうだな」
エスデスの言葉に、まどかは落胆の色を浮かべる。
「そう落ち込むな。ほむらにもコンサートホールの件は伝えてある。もしかしたらあいつは既に向かっているかもしれん」
「もし向かってなかったら...」
「心配いらん。あいつは強い女だ。連れの花京院とかいうのも、かなりの実力者なのだろう?」
「で、でも...」
「...すまないが、もうすぐ時間だ。ほむらの捜索は一旦打ち切ろう」
「...はい」
まどかは、本音を言えばもう少し捜索を続けたかった。
まどかの胸中によぎるのは、先に承太郎とともに戦った後藤の姿。
後藤は南下したため、ほむらと会う確率はかなり低いが、彼と似たような参加者が他にいたとしてもなんら不思議ではない。
それに、まどかからはまだ花京院への恐怖が消えていない。
自分を撃った花京院が偽物の可能性は高い。しかし、ほむらと共にいる花京院がその偽物である可能性もあるのだ。
もしも、ほむらがその毒牙にかけられたら...そう思えば思うほど、不安は広がっていく。
それに、承太郎が遭遇した、杏子と思しき槍使いの魔法少女のこともある。取り返しのつかないことになる前に、どうにかして説得したい。
自分一人で行動していたら、集合時間に遅れてでも探し出そうとしただろう。
だが、単身南下した承太郎の安否も気になる。彼は後藤と再び遭遇する可能性の高い南へあえて向かったのだ。
ほむらと承太郎。どちらが大事かなどと測りたくないが、確実に合流できるかどうかを考えればコンサートホールへ向かうしかない。


捜索を続けたかったのはエスデスも同様だ。
せっかく、まどかというほむらをおびき寄せる餌を手に入れたのだ。
この機を逃すのは少々勿体ないが、アヴドゥルたちからの信頼を損なうのは避けたい。
無論、独りでも生き残れる絶対な自信はあるが、自分からした約束を反故にして信頼を失うなどという不様な醜態をさらすのは己のプライドが許さなかった。
それに、先に自分が言った通り、ほむらもコンサートホールに向かった可能性はある。
考えを改めて自分と組む気になったか、自分を排除するためかはわからないが。
どちらでも構わないが、もうコンサートホールへ向かった方がいいだろう。
そう判断したエスデスは、何の収穫もなかった捜索を打ち切り、コンサートホールへと歩みを進めた。

(わたしたち...また会えるよね?)

背後の森を見つめながら、今度こそ5人とも笑顔で過ごしたいと想いを巡らせエスデスの後を追う。
彼女が望んだそれはとうに叶わぬ夢だということを、まどかはまだ知らない。


承太郎が武器庫に辿りついた時には遅かった。
中にあるはずの武器は既に無く、中の物はそれなりに乱れていた。
武器庫に訪れたのが偽の花京院か後藤か、はたまた槍使いの魔法少女かはわからなかったが、どの道ロクなことにはならないだろう。
(こいつはチトやべぇかもな...)
承太郎が真っ先に危惧したのは、コンサートホールでエスデスと待ち合わせているというアヴドゥルのことだ。
もし本物の花京院と合流する前に偽の花京院がコンサートホールへ辿りついていれば、アヴドゥルの身が危ない。
それに、後藤や槍使いの魔法少女がコンサートホールへと向かった可能性もある。特に前者は、いくらアヴドゥルでも容易く勝てる相手ではない。
ならば、もはやこんなところで油をうっている暇はない。収穫はまどかが襲撃された時のハンカチのみだが仕方ない。
承太郎は、予定を早く切り上げてコンサートホールへと走りだした。
幸か不幸か、承太郎は道中何事もなくコンサートホールへ辿りついてしまった。

そして、コンサートホール―――




「承太郎!」
嬉しさを隠すことなく駆け寄るアヴドゥル。
「動くな!」
しかし、それを制すのは仲間である承太郎。
「ど、どうした承太郎」
「まずは額を見せな。後ろの二人もだ」
「額...」
アヴドゥルは言われて気が付いた。
そうだ、この場にはDIOがいるといったのは自分ではないか。
奴の能力を知っているのなら、第一に警戒すべきは肉の芽だ。ならばそれを確認するのは当たり前のことだ。
それを理解したアヴドゥルは、後ろの二人に心配ないとジェスチャーを送り、承太郎に額を見せるように促し、4人が互いに肉の芽が無いことを確認する。

「これで問題ないか?」
「いいや、まだだ。てめえ...本当にアヴドゥルだろうな?」

突如投げかけられた意味不明な質問。
この殺し合いの場で会えた大切な仲間。その仲間からそんな質問を投げかけられてはさしものアヴドゥルも困惑せざるを得ない。

「...私は正真正銘モハメド・アヴドゥルだ。いきなりなんだ承太郎」
「証拠を見せな。お前が本当のアヴドゥルだって決定的な証拠をな」
「証拠...?」
「お前がポルナレフを倒したときに使った技を見せな」

まったくもって意味が分からない。そう思いつつも、『マジシャンズレッド』を出し、火の十字架を作ってみる。

「...これでいいか?」
「...ああ。すまねえなアヴドゥル。ついでといっちゃなんだが、俺が空条承太郎という証拠を出させてもらうぜ」

承太郎が背後に『スタープラチナ』を出現させる。

「そこのコスプレ男。俺に文字が見えないように支給品の説明書を出しな」
「承太郎!初対面の人に失礼だぞ!」
「いえ、お構いなく」

突然の指名にも動揺することなく、承太郎の指示通りにヒースクリフは一枚の説明書を取り出す。
「そいつを俺に見えないように持ってホールの奥まで行き、それから説明書の文字を見せな」

ヒースクリフは指示通りにホールの一番奥まで歩き、説明書の文字を見せる。
承太郎の位置からは『ヒースクリフが紙を見せている』ということしかわからないほどの距離だ。

「中身を読み上げるぜ。『水と食料。「一般的な成人男性」で2日分の量』だ。合ってるか?」
承太郎の問いに、ヒースクリフは頭上で○を作る。

「承太郎、どういうことなんだ?」
承太郎の行動は意味がわからなかった。たしかにあんな遠くの紙の内容を見極めるなんてことは承太郎のスタープラチナにしかできないことだ。
しかしそれをしてなんになる?
まるでこの会場に偽物がいるようではないか。

「聞きたいことは山ほどあるだろうが、順を追って説明させてもらうぜ」


承太郎は今までの顛末を説明した。
槍使いの少女と交戦したこと。
花京院がまどかという少女を殺す気で撃ったこと。しかし、その花京院は偽物の可能性が高く、本物と思われる花京院は少女の仲間と一緒にいるということ。
後藤という怪物と遭遇したこと。
エスデスにまどかを預けて北西エリアの探索をしていたこと。
「以前お前が遭遇した敵スタンド使いのような奴ということか...」
「ああ。だが、どんなスタンド使いでも全く同じ能力を模倣することは難しい」
「だから私に炎を出させ、お前は優れた視力を披露したわけか。エメラルドスプラッシュであれば、破壊だけならば模倣はさほど難しくないからな」
「もっとも...そこの二人がその偽物じゃねえという証拠はないが」
承太郎は、足立とヒースクリフを睨みつける。

「まさか二人を疑っているのか?」
「俺は時計台の方から南下してきたが、誰にも会わなかった。可能性があるとしたらこいつらが一番高いんでな」
「失礼ですが、それはありえませんね」

承太郎の視線に怯むことなく、ヒースクリフは淡々と反論する。

「私と足立は、始まってそう時間が経たないうちに合流しました。それから一度もこのコンサートホールから出ていません」
「そいつを証明する証拠はあるのか?」
「それは私と足立を信頼してほしいとしか...しかし、それは承太郎、あなたにも当てはまることですよ」
「なに?」
「あなたはまどかという少女と合流し、エスデスという女に預けてきたと言いましたが、それはなぜです?アヴドゥルさんは彼女をとても危険な女だと認識しています。あなたが用心深いことはわかりましたが、そんなあなたがエスデスの本性に気付かなかったと?」
「......」
「少なくとも、私は殺されかけた少女を危険人物に預ける男の方が信用できませんね」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

承太郎とヒースクリフの間に流れる妙な威圧感。
自然と空気も緊張感をもったものとなる。
「やめろ二人とも!こんなところで争ってどうする!」
「そうですよ。こんなの無駄すぎますよ」
アヴドゥルが、どうにかこの場を治めようと声を荒げる。
足立が、火の粉がこちらに降りかかっては敵わないと、アヴドゥルの背に隠れながら小声で諌める。
それでも二人は睨み合いを止めない。
(このままでは埒があかん。なにか空気を変えるキッカケがほしい)
ジョセフやいまは亡き(?)ポルナレフならば、一発芸でもして無理矢理にでもこの硬直状態を変えられるかもしれない。
しかし、アヴドゥルにはそれができない。
生真面目な彼はそういうキャラに向いていないのだ。
だが、力づくで抑えこめば更にこの場は収集がつかなくなるかもしれない。
どうすればいい?どうすれば―――


ギィ、と音を立てゆっくりと扉が開かれる。
姿を見せたのは、少女と美女の二人組。
「し、失礼します...」
「堂々と入ればいい。おおアヴドゥル、お前も何人か見つけれたようだな」
二人の登場に、一同の視線は集まり、承太郎とヒースクリフを包んでいた緊張の糸も幾分かは解れた。
できれば会いたくないとまで思っていた女の登場が、アヴドゥルにとってはこれ以上なく頼もしく思えた。

(私を含めて全部で6人...タツミとほむらはいないようだな)
探し人がいないことに落胆するが、それはそれで仕方ないと気持ちを切り替える。
まあ、どちらも簡単に死ぬことはないだろうとエスデスは楽観的にみていた。


「承太郎さん!」
「...わりいな。こっちはロクな情報を得られなかった」
「わたしもです。ほむらちゃんと花京院さん、きょ...槍使いの子も見つからなくて...」

両者は無事に再会できたことに素直に喜び、同時になにも得られなかった事実に落胆する。


「きみが花京院に襲われた少女か?」
「は、はい...」
アヴドゥルがそう話しかけた時、まどかは微かに震えた。
「アヴドゥル」
承太郎が、アヴドゥルの肩に手を置き、『いまはやめろ』といったふうに顔をふる。
いくら偽物の可能性が高いとはいえ、まどかは花京院に致死寸前にまで追い込まれた。
できればその時のことなど思い出したくないはずだ。
加えて、偶然にも魔法少女を知っていた承太郎だからこそ、冷静に受け止めることができたが、彼らは違う。
『砕かれた頭部を再生して復活した』などと伝えれば、まどかは色眼鏡で見られることになる。
ゾンビ、怪物、化け物...真っ先に思いつくのはそんなところだ。事実、自分も忌避こそはしなかったものの最初の感想はそれに近かった。
アヴドゥルが事情を聞きたいのはわかるが、できれば本人の気持ちを整理できるまで隠しておきたい。
まどかの精神がそれなりに強いことはわかっているが、彼女の話では感情の揺れもソウルジェムを濁らせるとのことだ。
できれば負担はかけない方がいい。
それに、魔法少女であることを話すということは、彼女の弱点を知られるということだ。
現状、アヴドゥル以外に確実に信用できる者がいないこの場では話すべきではない。
そんな承太郎なりの気遣いだった。

(む、むう...そういえば、私は承太郎にブ男と称されたことがあったな。日本人には初対面でこの顔は受け付けないのか。なら、まずは親しみをもってもらわなければな)
尤も、魔法少女の存在を知らないアヴドゥルにはその真意までは伝わりきらなかったが。


「すまない。私の配慮が足りなかったな...では、改めて自己紹介といこう」
「待て」
アヴドゥルが話題を変えようとするのをエスデスが止める。
アヴドゥルは特に怒ることもせず、どうした?と首をかしげる。
「確かに自己紹介も大切だが...時間だ」

『おはようしょくん』
ザザッというノイズとともに、広川の放送が始まった。




放送が終わる。



(16人...かなりのペースだな)
ヒースクリフは考える。
自分の最終目標は主催者との接触だ。
早く殺し合いを終わらせることが主催者へ近づく正しい道なのだが、こうも進行が早いと別の問題が浮かんでくる。
それは、自分が他者に殺されること。
それほど殺し合いに乗っている参加者が多いのか積極的に殺しまわっている者がいるのかはわからないが、どちらにしても厄介なことこのうえない。
剣があれば別だが、生憎いまは盾しかない。殺人者同士で手を組まれれば数の利で攻められかねないし、後者であれば勝ち目があるかどうかもわからない。
いずれにしても不利であることは否めないのだ。
ゆっくりでもいい。ゲームとは違いリセットが効かないこの道は確実に進まなければならない。
ヒースクリフはそう決心すると、改めて気を引き締めた。



(クマと雪子が死んだ...ねぇ)
足立は悦んだ。
邪魔者が二人も消えた。籠城していて正解だった。これでだいぶ動きやすくなるだろう。
尤も厄介なあいつはまだ生きているようだが、今頃やつはどんな顔をしているだろうか。
(ま...なんにせよ、俺はしばらくこの安全圏で高みの見物とさせてもらうとするよ)
邪魔者の残り二人はどういう状況かは知らないが、いまの自分にはお人好しのアヴドゥルという強力な盾がいる。
大人しくしていればそうそう危険な目には遭わないだろう。
誰にも気づかれぬように、足立は密かに微笑んだ



「バカな...イギーが死んだだと!?」
アヴドゥルは驚きを隠せなかった。
犬とはいえ、イギーは強力なスタンド使いだ。
ジョセフと協力してやっと捕まえることができたほどのやつだ。その実力は身をもって知っている。
その強力な仲間がわずか6時間の内に死んだのだ。
驚くなというほうが無理な話だ。
(これ以上...私から仲間を奪うつもりなのか!?)
ポルナレフ、イギー。
理不尽に二人の仲間を奪われた現実に、アヴドゥルの怒りは限界寸前だった。

「......」
承太郎は、無言で帽子を深く被りなおす。
(イギー...)
言葉にこそ出さないが、承太郎の心は抉られていた。
可愛げのないクソ犬だった。どこまでも自由奔放で自分勝手な奴だった。
だが、確かに仲間だった。
仲間がやられて嬉しいやつなどいない。
帽子で隠れた承太郎の目元は誰からも見えなかった。




(クロメ...死んだか)
エスデスは思う。
所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。
言い換えれば、弱者は何をされようとも強者に逆らうことは許されないのだ。
それは殺し合いの場でなくとも同じこと。生まれた地での教訓。いや、エスデスがこの世に生を抱いたときから既に理解していた『生』の本質。
つまり、死んだクロメは弱者であったから殺されたのだ。
(弱いものは淘汰されて当然だ。仕方のない奴め)
エスデスの心は動じない。
部下の死にも、涙など流さない。悲しみすら憶えない。
(仕方ないから、私が仇を取ってやろう)
故に、何一つ揺らぐことなく、心中でそう誓った。



「マミさん...うそだよね...?」
まどかは信じられなかった。
強くて素敵な魔法少女だった。
戦い方を教えてくれた師だった。
とても優しい先輩だった。
大切な友達だった。
そのマミさんが...死んだ?


「ぃ...や...」
まどかが苦悶の声をあげる。
「あ...あぁ...」
「ッ!」
異変に気が付いたのは承太郎。
まどかの左手をとり、ソウルジェムを確認する。
(こいつぁ...!)
ソウルジェムの濁りがかなり溜まっており、いまに濁りきってもおかしくはない。
ソウルジェムの穢れは感情にも起因する。
先程よばれた名前の中に、まどかの知り合いも含まれていた。おそらくそのせいだろう。
濁りきったときどうなるかはわからない。だが、承太郎はこのままではヤバイと直感していた。

「おい!誰かグリーフシードってやつを持ってねえか!?」
らしくなく承太郎が声を荒げる。
何かを欲するということは、己の弱みを見せることと同意義であり、情報戦において自らを不利にする。
だが、承太郎はそれを承知で言い放った。手段を選んでいては間に合わないのだ。
もしも話をはぐらかそうとする奴がいればブチのめしてでも手に入れるつもりでいた。
同時に、そんな都合よくもいかないだろうとも思っていた。
だから意外だった。


「...グリーフシードとはこれのことですね?どう使えばいいのですか?」


こうもあっさりとヒースクリフがグリーフシードを差し出したことが。

「おまえ...」
「その子に必要なものなのでしょう?さあ、早くこれを」
承太郎は、グリーフシードが他の参加者に配られている可能性は低くは無いと考えていた。
仮にグリーフシードが無ければ、魔法少女は力を取り戻す方法がなくなる。
一応、自分のスタンド能力も、疲れやすくなるように制限を受けているようだが、疲労とソウルジェムの濁りはまた違う。
疲労は身体を休めればある程度回復するが、ソウルジェムの濁りは決して減ることはない。
殺し合いであるこの場では、なるべく万人が平等に優勝できるよう調整がされているはずだ。
そのために異能の制限が存在し、支給品が配られている。
それらをふまえると魔法少女だけが回復手段がないというのは考えにくい。
だが、都合よくこの場にあるとは思っていなかった。
ましてや、先程のやり取りから警戒心の強い男だと思っていたヒースクリフが、駆け引きも無しに渡したのは予想外だった。

「...ありがとよ」
ヒースクリフから渡されたグリーフシード3つをまどかのソウルジェムに当てる。
するとどうだろうか。たしかにソウルジェムの穢れが薄まったのだ。
「ぁ...」
「...少しは落ち着けたか?」
「...ごめんなさい、わたし...」
「礼なら後ろの男に言いな。グリーフシードを持ってたのはこいつだ」
「...ありがとうございます」

まどかの礼に、ヒースクリフは笑顔で応える。



「えーっと...いまのはどういうことなんですかね?」
「わからん...まどかが危なかったというのはなんとなくわかった気もするが」
突然の状況に戸惑う足立とアヴドゥルはつい顔を見合わせた。
わかったのは、まどかもまたただの人間ではなさそうだということだけだ。



(...これ以上隠し通すのは無理だな)
こうも事を荒立ててしまったのだ。もはや隠し通すことの方がリスクは高いだろう。
承太郎は、まどかを横目で見るが、どう見ても落ち着いているとは言い難い。
やはり自分が説明すべきだろうと考えるが、それを察してか、まどかは承太郎を見つめていた。
「...わたし、魔法少女なんです」
承太郎が何かを言う前に、まどかは口を開いた
明らかに先程までより弱弱しい声だったが、承太郎は引き留めなかった。
この場で、彼女自身が説明することが必要だと思うからそうしているのだろう。
それを邪魔する理由などない。
そして、まどかは語りはじめる。
魔法少女という存在について。そして、なぜ自分が花京院に襲われて助かったのか、その理由を。


(もう勘弁してくれよ)
魔法少女の説明を聞き終えたとき、足立が抱いた感想はこれだ。
(なにが魔法少女だよ。頭をぶち壊されても復活できるって、もはやただのゾンビじゃねえか)
スタンド使い、吸血鬼、後藤という怪物、魔法少女。
少なくとも、いまの自分では到底勝てそうにない存在がこれだけいる。探せばもっといるかもしれない。いや、もしかしたら自分以外の奴らはみんなそんなのばかりかもしれない。
(あいつ、絶対に俺を優勝させるつもりなんてないだろ)
百歩譲ってペルソナを封じるのはよしとしても、せめてもっと使いやすい支給品を用意しろ。
世の中クソだと思う以上に、自分のペルソナを禁止にした広川に怒りをおぼえた。



「そういうことだったのか...よく話してくれた」
「......」
アヴドゥルは、それ以上かける声が見つからなかった。
いきなりこの場に放り込まれ、頭部を破壊され、続けざまに襲われて...
その心境は決して穏やかではないことは察せる。
それに、たまたま見つけたのが承太郎だからよかったが、普通の者ならまどかを恐れ、彼女は怪物とみなされていたことは想像に難くない。
こういってはなんだが、まどかは運がよかったと思う。
魔法少女でなければ死んでいた。発見者が承太郎でなければもっと悲惨な目に遭っていた可能性は高い。
だが、魂を抜かれている彼女にそう言葉をかけるほどアヴドゥルは愚かではない。
かといって下手な同情は魔法少女への侮辱となる。
どうしたものかとアヴドゥルが思い悩んでいるときだった。



「...一度、外の空気に触れてこい。こんなところでは気持ちの整理ひとつつけれやしない」
まどかにそう言葉をかけたのはエスデス。
まどかは、素直にエスデスの言葉に従い、とぼとぼとコンサートホールをあとにする。
待て、と言いかけるアヴドゥルの額に、コツンと一欠片の氷が当たってはねた。
「少しは頭を冷やせ」
「...私は至って冷静だ。だからこそ、単独行動は危険だというのもわかっている」
アヴドゥルの危惧は、今までの経験からのもの。
花京院が一人になった隙をついて、敵が花京院に変装し承太郎に襲いかかった敵がいた。
過去の因縁を利用して、単独行動を誘い込んできた二人組の敵がいた。
ポルナレフが自分を庇ったアヴドゥルのことについて一人浜辺で黄昏れていたとき、心の隙間につけこんだ敵がいた。
一人での行動は、僅かな時間でも危険を孕んでいるのだ。
この殺し合いという場では尚更だ。
だからこそ、まどかを引き留めようとした。

「...まどかは『兵』でもなければ『戦士』でもない。そのことがわからんお前でもないだろう」
溜め息と共に吐かれたエスデスの言葉に、アヴドゥルは気づく。
自分達はいつだって死ぬかもしれないという覚悟を持っていた。
そのため、仲間の死に怒りや悲しみは憶えど、その場で立ち直ることはできる。
だが、まどかは違う。
彼女の証言では、魔法少女になってからは日が浅く、戦いの経験もそこまで多くはない。
自分達のような覚悟を持っていないことは容易に察せる。
そんなとき、一人になりたいと思うのは当然の心理だ。
だが、それでもアヴドゥルはこの状況で一人になることを認めたくなかった。


「...なあアヴドゥル。お前にとってまどかはなんなんだ?お前の娘かなにかか?」
「なに?」
「アヴドゥル、お前はたしかに強い男だ。だが他人に気をかけ過ぎだ。その甘さはいつか命取りになるぞ」
「...だが、もし襲われれば...!」
「それで死ねばその程度のやつだったということだ」
「貴様...!」

アヴドゥルの拳が強く握られる。
いまにも、機嫌が悪くなったチンピラのように椅子を殴りつけそうな気配を醸し出していた。

「......」
そんなアヴドゥルを余所に、ヒースクリフは魔法少女という存在と花京院典明について考える。
ゲームクリエイターである自分からしてみれば、魔法少女というのは都合がよすぎる。
魔法少女は、生まれついてのものではなくキュゥべえという獣と契約をしてなるものらしい。
それはいい。問題は、魔法少女は魔女のグリーフシードで『しか』穢れを取り除けないという点だ。
それに使い方も気になった。
とあるRPGでは、『やくそう』というアイテムを使えば一定の数だけHPを回復できる。
だが、現実では薬草をどのように使おうが一瞬で傷や体力が治ることは決してない。
それでも一瞬で怪我を治せるのは『ゲームの世界』でそのように設定されているからだ。
ならば魔法少女はどうだ?実際にグリーフシードを渡して使用法を見たが、単純に押し当てるだけ。
グリーフシードはしっかりと『やくそう』の役割を果たしているではないか。
しかも、ソウルジェムが濁りきる...即ち、魂が濁りきった時には死に至るそうではないか。
つまり魔法少女とは『キュゥべえにグリーフシードが無ければ生きていけない』ように設定された存在だとヒースクリフは考える。
そんなシステムを設定するには、魔女について詳しく知らなければできるはずがない。となれば、魔女もまたキュゥべえに作られた存在である可能性は高い。
なぜそんなことをするのか。明確な答えはわからないが、それは主催者から聞くとでもしようと思った。


次に花京院典明についてだが、本当に偽者など存在するのだろうか?
花京院典明は、出逢って間もない鹿目まどかの頭部を吹き飛ばした。普通なら即死ものだ。
だが、彼が偽物であるならこの行為は矛盾している。
他者・偽名を語るメリットは、自分への殺意を他者に押し付けることである。
しかし、それには『花京院典明は危険人物である』ということを言い広める他者が必要となる。
故に、鹿目まどかを殺さずに、適当に傷つけて放置した方が効率がいい。
だが、彼は明らかに殺意を持ってまどかを排除しようとした。
なにより、花京院は自らの名を語らなかった。
それを忘れるようでは、彼を騙る意味はない。

ここから考えられる可能性はふたつ。
ひとつは、とりあえず他者の支給品が欲しかったから。そのためにまどかを殺害しようとしたのなら理解はできる。
ただ、花京院典明に化ける必要性があるかと問われれば、微妙な答えになるが。
二つ目は、『まどかを撃った花京院典明は本物である』という可能性だ。
承太郎たちは花京院典明のことを信頼しているようだが、人間とは時に予想外の行動をとるものだ。
花京院典明が保身のためにまどかを殺そうとしてもおかしくはない。
それならば、暁美ほむらを庇うような行動をしたのも頷ける。
花京院典明が攻撃したのは、エスデスからほむらを守るためではなく、ほむらを利用するため。ついでにエスデスを仕留められれば儲けもの。
そう考えれば、全ての辻褄が合う。
もっとも、これはあくまでも予想である。
下手に口に出して承太郎とアヴドゥルの反感を買うのは避けたい。
いずれにせよ、花京院典明には最大限の注意を払おう。
ヒースクリフは誰に知られることなく決心した。



「......」
承太郎は帽子に手をやりながら思う。

傷心から立ち直れるかわからないまどか。
明らかに委縮しているが、その真意までは読み取れない足立。
いまにも一悶着起こしそうなアヴドゥルとエスデス。
そんな他者を余所に、なにやら一人で思考を深めているヒースクリフ。

戦力的には申し分ないのだが、いかんせん向いている方向がバラバラだ。
これでDIOや広川に勝てるのだろうか?

「...やれやれだぜ」

承太郎は、溜め息と共に帽子を深く被りなおした。


コンサートホールから出て、まどかは空を見上げる。
まどかが自ら魔法少女のことを話したのは、その存在を否定されたくなかったからだ。
最初は驚かれても、承太郎のように存在自体を否定することはないと思いたかった。
しかし、足立からは明らかに嫌悪の感情が読み取れたし、アヴドゥルも快くは思っていないように見えた。
そしてそれはマミすらも否定されているように思えて仕方なかった。
だから、エスデスが一人にしてくれたことには感謝したかった。



(マミさん...)
出会いのきっかけは魔法少女だった。
最初は、ただその強さに、華麗な戦いに憧れていた。
関わっていくうちに、本当に優しい人だということがわかりはじめた。
魔法少女が増えて、互いの関係に亀裂が走りだしたときは、誰よりも思い悩んでくれた。
でも、そんな彼女はもういない。認めるしかない。
(どうして...なのかな)
彼女はどうやって死んだのだろう。
正義の魔法少女として、力なき人を守って死んだのか。
承太郎が遭遇した魔法少女のように、人を狩ろうとして返り討ちにされたのか。
いまのまどかにそれを知る術はない。
まどかにできること、それは事実を認めることのみ。
巴マミは死んだ。もう会うことはできない。



「ッ...!」
涙が頬を濡らす。
嫌だ。認めたくない。
そんな想いがまどかの中を駆け巡る。
なぜ優しい彼女が、人知れず街の人々の平和を護ってきた彼女が死ななければならないのか。
マミからは、魔法少女は死の危険と隣り合わせだということは教わっていた。
だがしかし、それでもまどかは5人の内のだれが欠けることも認めたくなかった。


もしも一人になったのが、同じく仲間を失った承太郎やアヴドゥルなら結果は違っただろう。
彼らはいつだって命が危うくなるような戦いを繰り広げてきた猛者だ。
悲しみの感情を抱いていても、周囲への警戒を解くことはしなかっただろう。
だが、鹿目まどかは違う。彼女は魔法少女になって日が浅い。加えて、肝心の魔女退治も、命がけと問われれば首を捻るしかない。
まどかは、複数人でしか魔女と戦ったことはない。それに加え、まどかは知る由もないが、暁美ほむらが何度かまどかの契約前に時間を撒き戻したせいで、因果の糸が絡まりまどかの魔力もかなり高くなっている。
手を抜いたことはないにしろ、死線を潜ってきたとはとても言えないのだ。
味方のスタンド使いたちや歴戦の将軍と比べれば、その精神は凡人となんら遜色ない。
だからまどかは気が付けなかった。

「やあ、こんにちわお嬢さん」
エルフのように尖った耳をした男が目前にまで来ていたことに。


(ま...おおかた予想通りでしたがね)
魏志軍が武器庫を漁り、抱いた感想はこれだった。
武器はたしかにあった。だが、あったのはアーミーナイフ一本とライフルが一丁のみ。
武器庫というにはお粗末すぎるが、彼にとっては予想の範囲内だ。
そう簡単に殺傷能力が高い物を調達できるのなら、支給品の意味はない。
最悪、なにもないことすら覚悟していたが、一人分の武器があったのは幸いともいえる。

(さて、これからどうするか...)
魏志軍は最初は武器庫に籠城しようかと思った。
しかし、転送してから気付いたのだが、ここは地獄門からはだいぶ離れている。
黒(ヘイ)はおそらく、連れのドールである銀(イン)と合流するために地獄門へと向かうはずだ。
となれば、ここに黒が寄る可能性は極めて低い。
他の参加者を待ち伏せで襲撃できる可能性は高いが、それは黒を殺した後で考えればいい。
とはいえ、回数が限られている転送装置をいま使うのも勿体ない。
そう決めた魏志軍は、武器庫をあとにした。


魏志軍が次に訪れたのは市庁舎。
無視しようかとも考えたが、黒がここにいる可能性は0ではない。
いなくとも、なにか痕跡が見つかるかもしれない。ここでそれを見逃せば後悔どころの話ではない。
大した期待は抱かず、魏志軍は市庁舎へと足を踏み入れた。

屋上まで辿りついたとき、魏志軍は溜め息をついた。
収穫はゼロだった。
黒どころか人っ子一人いやしなかった。むしろ、自分が一番最初に訪れたのではないかと思うほど清潔だった。
完全な無駄足だった。そう思いつつ、フェンス越しに地上を見下ろした。
「ん...」
視界の端に映ったのは、学ランを羽織った男。
身長と体格からみて黒ではないことはわかったが、それを見逃すわけにはいかない。
参加者を減らすため、手に入れたライフルで襲撃しようかとも思ったが、男の様子を見て考えを改める。
(あの男...走っているな)

ここは殺し合いの場だ。可能な限り体力は温存するのが定石である。
しかし、男は襲われている様子もなく、心なしか急いでいるように見えた。
(迷わずに進んでいる...どこかを目指しているのか?)
男は、市庁舎に目もくれず走っていく。
(...どこかで待ち合わせでもしているのだろうか)
待ち合わせ。すなわちそれは、相手がいるということだ。
(...まあ、情報は持っておいて損はないだろう)
優勝するのが目的とはいえ、なにも情報がないのは厳しい。
先に戦った奇妙な右手の少年のような存在がいるのなら尚更だ。
魏志軍は、走り去る男の後を追うことを決めた。


男がコンサートホールへ入るのを確認したとき、魏志軍はそれに続くかどうかを考えた。
あの男は、おそらく待ち合わせをしていた。その相手によってはこちらの対応も変わってくる。
もしも、あの右手の少年のチームがあそこにいれば、自分は一人を殺害した危険人物としてみなされる。
またあの眼が死んだような少年のようなことをされれば、今度は殺されるのは自分かもしれない。
自分の能力は、奇襲・暗殺や一対一においては有利だが、複数の実力者相手には脆いものなのだ。
ここは様子を見るべきだろうと、合理的に判断する。
数分後、少女と女がコンサートホールへ入るのを確認。
ますますあの右手の少年が関わっている可能性が高くなった。
一度体勢を立て直すべきかもしれない。
そんな考えがよぎったときだ。


『おはようしょくん』
放送が、始まった。



『それではしょくん、更なる健闘を期待しているよ』

魏志軍が放送を聞いて抱いたのは安堵。
もう16人もの死者が出ている。自分はまだ一人しか殺していないにも関わらず15名もの死者が出ているのだから、自分以外の参加者も殺し合いに乗っていることがわかる。
そのぶん自分に戦力が集中する危険性は低くなる。
自分の能力のリスクを考えれば、殺しを円滑に進めるには好都合だ。
そして、なにより彼を安堵させたのはあの男の存在。
(BK201...やはり、生きていたか)
放送でその名が呼ばれなかったということは彼もまた生存しているということだ。
奴を殺すのは自分でなければならない。奴の命を他のやつにくれてやるものか。



(さて...そろそろ地獄門を目指すか)
これ以上、危険性が高いコンサートホールを見張る意味はないだろう。
コンサートホールは無視して、地獄門を目指そうと思ったときだ。
コンサートホールから少女が一人姿を現した。
少しの間待ってみるが、他の者が出てくる気配はない。
少女の様子から、どうやら傷心しているようだと判断する。
(...少し、探ってみますか)
そう決めると、魏志軍はなるべく敵意を抱かせないような笑顔で少女に接触を図った。
「こんにちわ、お嬢さん」
少女は、驚いたような様子は見せたが、明確な敵意までは見せなかった。

「...ああ、すみません。こんな怪我をしている男、怪しく思うのも無理はありませんよね」
黒に刻まれた顔の火傷を撫でながら、困ったように苦笑する。
「い、いえ...そんなことありません」
戸惑いながらもそう答える少女の様子をみて、魏志軍は確信する。
(どうやら、コンサートホールにはあの少年たちは関わっていないようだな)
もしも、右腕の少年がいたなら、こんなわかりやすい特徴を持っている自分だ。すぐに敵だとわかるはず。
好都合だ。情報を引き出せるだけ引きだしてやろう。
「私の名は魏志軍です。あなたは?」
「...鹿目まどかです」
戸惑いながらも、魏志軍につられて、少女も名乗った。

「そうですか...辛かったですね」


魏志軍は、まどかを慰めるように適当に相槌をうっていた。
香港系マフィア青龍堂のボスの一人娘、アリス・王の付き人をやっていた経験もあるため、傷ついた女性を慰めることはそれなりに心得ている。
それが効果的だったのか、まどかも涙を流しながらも己の心中を語っていた。
友人が巻き込まれたこと、その友人のうちの一人が先の放送で呼ばれたこと。
おおまかな内容はこれだった。

(使える情報は特になし...と)
どうやら、まどかは黒と会ってはいないらしく、コンサートホールにもいないようだ。
ならば、この少女にもコンサートホールの連中にも用はない。
「私もあなたと友人が早く会えるように最善を尽くしますよ」
にこやかな笑顔をつくり、まどかの肩に手を置く。
「ほ、本当ですか?」
「ええ」
そのまま、流れるように右手を動かし、まどかの首筋に触れ

―――パチン

指を鳴らすとともに、まどかの頸動脈が消え去った。



「......」
まどかは呆然としたまま、首筋から流れ出る血を止めることすらなく地に倒れ伏した。
魏志軍は、あらかじめ人差し指の先を爪で僅かに切っておき、それをまどかの首筋に付着させることによって、能力の仕込みをおこなった。
もちろん、能力を使わずとも勝てる自信はあったが、下手に抵抗されて厄介なことにはなりたくない。
一般人に一杯食わされたばかりなので尚更だ。
そのままコンサートホールから離れてもよかったが、一人でも減らしておけば後の憂いも無くなる。
そう判断したため、最小限の力でまどかを手にかけたのだ。
用済みとなったまどかとコンサートホールを尻目に、魏志軍は地獄門目指して踵をかえす。

その瞬間


「ッ!?」
背筋にゾクリと悪寒が走る。
思わず振り返ると、その目に映るのは目前にまで迫っている掌。
不意打ちではあったが、魏志軍にとっては躱せる程度のもの。
顔を逸らして掌を躱し、背後に跳び退る。
襲撃者は、先程倒れたはずのまどか。見れば、首筋からの出血はほとんど治まっていた。
なんだそれは。魏志軍が問いただす前に、まどかは魏志軍との距離を詰め、肉弾戦へと持ち込んだ。

「チィッ」
思わぬ反撃に舌打ちをしつつも、まどかの動きを冷静に分析する。
まどかの拳は想像以上に速かった。少なくとも、右腕の少年に近いものといってもいい。
だが、彼と比べると弱い。ましてや、黒と比べれば尚更だ。
戦い慣れしていないのか、動きは大雑把で力任せなうえ、無駄も多い。明らかに素人のそれだ。
ならばその動きを捉えるのは容易い。
振るわれる拳をしゃがんで避け、蹴撃による足払いをかける。
前のめりに宙に浮くまどかの後頭部に、左の肘鉄をかまし、地面に叩き付ける。
しかし、まどかは怯まない。すぐに上体を起こし、再び魏志軍へと拳を振るう。
迫るまどかの腕を手刀で弾き、隙だらけの腹部に掌底を当て、バク転の要領で顎をカチ上げる。
そのままバク転を繰り返してまどかから距離をとる。
まどかのタフさには少々驚いたが、体術においては明らかにこちらの有利。ならば、能力を使うまでもない。
そう判断するやいなや、まどか目掛けてナイフを投擲する。
まだ体勢が整っていないまどかに、額へと迫るナイフを躱す術はない。
まどかにナイフが刺さる



『オラァ!』



はずだった。
気合一徹、まどかの背後から現れた何者かがナイフを叩き落とした。
驚きの言葉を漏らす間もなく、魏志軍のもとへ炎の鞭が向かってくる。
魏志軍は飛び退いてそれを躱し、炎の鞭は地面を焼いた。


「この状況...てめえはノッたってことでいいんだな?」


学ランの青年は、低い声で呟いた。




「やはり危惧した通りだったか...!」
乱入者はモハメド・アヴドゥルと空条承太郎。
アヴドゥルは、結局エスデスの制止を振り切り、承太郎もまた、一人になるリスクを考慮してアヴドゥルに同意した。
エスデスも本気で止めるわけでもなく、好きにしろといったような視線を二人に投げかけて見送った。
そうしてコンサートホールから出た二人が目撃したのは、肉弾戦を繰り広げるまどかと尖った耳の男。
どう見ても友好的ではないし、戦況は男にあがっている。
「アヴドゥル」
「ああ」
それを確認した二人は、戦いに乱入し、男へと敵意を向けた。



(チッ、こいつはタイミングが悪い...)
またも魏志軍が舌打ちをする。
ナイフを叩き落した筋骨隆々の青い戦士。
炎の鞭を放った、鳥の顔を持つ半裸の男。
学帽と学ランという典型的不良のような恰好の大男。
厳つい顔をした男。
流石に5対1では分が悪い。
ましてや、先の戦いでは足手まといが2人いたが今回は違う。
乱入者からはどれもただものではない雰囲気が感じられる。
(特に、あの炎の鞭を使ったやつ...)


「『マジシャンズレッド』!」
アヴドゥルの叫びと共に、マジシャンズレッドが火を放つ。
(やはり!あれは本物の炎だ!)
魏志軍は迫る炎を躱しながららと戦う合理性を考える。
(相手がなにか獲物を持っているならそれを破壊すればいいのだが、炎相手ではそれはできない。それに、奴の能力は相性が悪い)
魏志軍の能力は、血を媒介にしなければ発動することはできない。だが、まともに血を飛ばしたところで、炎相手では蒸発して終わりだ。
そもそも、血を飛ばせるくらいに出血するには、ナイフを使わなければできないし、飛距離もたかがしれている。
そのうえ、相手は炎使いだけではない。
『オラァ!』
青い戦士は、接近戦で攻めたててくる。ナイフを使う暇もない。
その拳をぎりぎりのところで躱し、反撃も試みるが、それより早く戦士の拳が腹部に叩き込まれ、吹きとばされる。
「カハッ!」
あまりの衝撃に、吹きとばされながらわずかに吐血してしまう。


(このまま戦うのは厳しいな...ここは逃げるしかないか)
合理的に判断した魏志軍は、背後の逃走経路を確認する。
「そう易々と逃がすと思うか?」
アヴドゥルがいつでも炎を放てるように構える。
「そうは思いませんよ」
魏志軍は、懐から筒状の物を取り出し、投げつけた。
承太郎がしゃがみ込む。なにかが弾けるような音がする。
「ですが、サヨナラです」
その瞬間、アヴドゥルたちの視界は光に包まれた。

(流石に奴らでもあの光には反応できまい)
スタングレネードを放った瞬間、魏志軍は背後の橋へと駆けだした。
乱入者は強敵だ。
自分とは相性の悪い炎使い。
今まで戦ってきた敵の誰よりも疾く強い拳を放つ戦士。
状況が不利であるのは、火を見るより明らかだ。あのままでは、彼らに殺されるのも時間の問題だった。
(幸い、私の能力について種を明かしてはいない。チャンスはまだある)
魏志軍は、脇目も振らずに逃走していた。
心のどこかでその事実に屈辱を憶えつつも、いまはそれを合理的判断として受け入れる。

「ぐっ!?」
突如、背中に激痛が走る。何かが背中に当たったのだ。
あまりに唐突な衝撃であったため、さしもの魏志軍も前のめりに倒れてしまった。
しかし黒の電撃にすら耐えきった魏志軍である。
なんとか意識だけは保ち、すぐに振り返る。
当たったのは、拳ほどの大きさの石であることを確認した瞬間だった。


―――ゴウッ


先程まで魏志軍の頭があった場所を、桃色の閃光が何本も走った。
「なっ...!」
あれが当たれば、間違いなく死んでいた。
あれはどう考えても拳銃や大砲などの銃火器ではない。
だが、契約者とて、対価と引き換えに得る能力はひとつ。
なら、あれを放ったのは誰だ?
また仲間が新たに現れたのか?
その答えを知る間もなく、魏志軍の右肩に一筋の閃光が刺さる。
「ぐあっ!」
痛みをこらえ、立ち上がり次なる攻撃に備えて身構える。
「...?」
だが、閃光はあらぬ方向へと飛んでは消え、飛んでは消えていく。
(なるほど。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる...というやつですか)
これではそうそう当たることはないだろう。
当たったとしても、急所を避ければ、数発程度は大したことはない。
流れる閃光へと背を向け、魏志軍は橋を駆けて行った。

視界が晴れると、エルフ耳の男は消え去っていた。
「くっ、閃光弾とは予想外だった...!」
アヴドゥルが悔しそうに顔を歪めるのに対して、承太郎の意識は別のものにあった。
(てっきり攻撃を仕掛けてくると思ったが...冷静なヤロウだ)
承太郎は、エルフ耳の男を迎え撃つために石を放った。
当たりはしたものの、敵の狙いは逃亡だったようで、それを阻止するまでには至らなかったようだ。
だが、承太郎にはそれ以上に気にかかったことがある。

「まどか、おまえ...」
「......」
まどかはいつの間にか魔法少女の姿に変身していた。
おそらく、承太郎が石を拾ったときだろう。
そして、彼女が変身してすることは決まっている。
承太郎の気のせいでなければ、何本か閃光が走っていた。
その閃光は、まどかの放った矢だ。
問題はそこではない。
「奴を殺すつもりだったな?」


まどかは承太郎の問いに答えない。
承太郎の視線が、厳しいものになる。
思い返せば、後藤と戦ったときもそうだった。
まどかは咄嗟のこととはいえ、後藤の頭部を迷いなく狙っていた。
手足ではなく、頭。躱されはしたが、もし当たっていれば確実に致命傷になる部位だ。
今回のことでは更に事情が違う。
エルフ耳の男と肉弾戦をしている最中、まどかは変身していなかった。
弓を使う暇がなかったともとれるが、変身すらしていないということは、まだ撃つ気すらなかったということだ。
そう、エルフ耳の男に『まどかの戦闘スタイルは徒手空拳である』と思わせるために。
そして、待っていたのだ。あの男を確実に殺すチャンスが巡ってくるのを。
結果的には、承太郎が放った石により失敗はしたが、それが無ければ確実に殺していただろう。
(...どうやら、こいつの認識を改める必要があるかもしれねえな)
それは『実力を認める』だの『背中を預けられる』だのの良い意味で決してない。
まどかの人となりはわかっているし、自分達も自衛のためとはいえ敵のスタンド使いを何人か殺めてきた。
そのため、自衛のために殺してしまうこと自体を非難するつもりはない。
だが、こうまで躊躇いもなくあんな方法をとられれば、警戒するなというのも無理な話だろう。
黙って彼方を見つめるまどかの様子に、承太郎は溜め息をついた。



「......」
まどかは、魏志軍が接してきたときから疑っていた。花京院の手口と似ていたのだ。
笑顔の奥底でなにを考えているかがわからなかった。恐ろしかった。
だから、魔法少女のことは話さなかった。自分の悲しかったことしか話さなかった。
そして、首に走った熱い感覚。それを理解した時、「ああ、やっぱり」となんとなく思った。
(あなたみたいな人がいるせいで、マミさんは...)
その時まどかの胸中に抱いた感情は、怒り。そして殺意。
同時に、どうすれば眼前の男を殺せるかと冷静に思考を重ねる自分がいた。
まどかは、男を殺そうとしたことに何の後悔も抱いていなかった。
少なくとも、いまは。


どこか虚ろな目で彼方を見つめているまどかを見て、アヴドゥルは思う。
(...こいつはマズイかもしれん)
アヴドゥルは今まで多くのスタンド使いを見てきた。
能力を持ったために悪事に手を染め倫理観を失った者。能力を制御しきれず暴走してしまった者。
そんな者たちも多くいた。
まどかはそのどちらにも当てはまるような気がしてならない。
まどか自身は優しい人間だとは思う。
だが、いちど道を選んでしまえばそのまま突き抜けてしまう、一番厄介なタイプのように思えて仕方ない。
そういった人間は、えてして手段を択ばないものだ。
もしも、彼女の仲間が全員いなくなれば、全員を殺して友を生き返らせる手段をとるかもしれない。
(わたしの杞憂で終わってくれればいいのだが...)
だが、アヴドゥルは知っている。占い師という職業柄か、己の勘は当たりやすい。特に、悪い方向に対しては尚更だ。
まどかの視線の先は空。よく晴れた青空だというのに、アヴドゥルにはなぜか曇って見えた。



(なんだ。まどかのやつ、やればできるじゃないか)
三人の後ろ、コンサートホールの入口で戦闘の一部始終を見ていたエスデスはニィと口角を釣り上げた。
エスデスがまどかを一人にしたのは、別に彼女を気遣ったわけではない。
まどかを試したかったのだ。
(コンサートホールに入る前、なんとなく誰かから見られている気はしていたが...よくもまあ思い通りにことが運んだものだ)
まどかと行動したのは2時間にも満たない。
その行程でまどかの人となりを観察していたが、どうにもほむらと同じとは思えなかった。早い話、甘ちゃんだと思っていた。
エスデスは、他人の性格にとやかくいう事はしない。
自身が率いる『イェーガーズ』でも、ボルスという好戦的でない者がいるが、その性格を貶めるようなことは決してしない。
戦うべきときには戦い、殺すべき時には殺す。
それさえできれば言うことはなしだ。
しかし、まどかにはそれすら出来ないと思っていた。
だから試した。
自分やその身内の危機にすら刃を抜けない者は不要。
殺すつもりはないが守る理由など尚更ない。
ほむらをおびき寄せるのに必要なのは『まどかと会った』という事実だけ。まどか自体はどうでもよかった。
もしここで死ぬのならその程度だと切り捨てるつもりだった。
だが、まどかは迷う事なくエルフ耳の男を殺すために動いていた。
(ほむらが完全に私の敵にまわれば、まどかはほむらに着くだろう。それはそれで面白いかもしれん。その時は...そうだな、あいつの友達の美樹さやかあたりをシメれば更に面白くなるかもな)
この殺し合い、予想以上に面白くなりそうだ。高まる期待とともに、エスデスの笑みはより深まった。

【D-2/コンサートホール/一日目/朝】


ヒースクリフ(茅場晶彦)@ソードアートオンライン】
[状態]:健康、異能に対する高揚感と興味
[装備]:神聖剣十字盾@ソードアートオンライン、ヒースクリフの鎧@ソードアートオンライン
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード(有効期限あり)×3@魔法少女まどか☆マギカ、ランダム支給品(確認済み)(2)
[思考]
基本:主催への接触(優勝も視野に入れる)
0:もっと異能を知りたい。見てみたい。
1:要所要所で拠点を入れ替えつつ、アインクラッドを目指す
2:同行者を信用しきらず一定の注意を置き、ひとまず行動を共にする
3:神聖剣の長剣の確保
4:DIOに興味。安全な範囲内でなら会って話してみたい。
5:キリト(桐ヶ谷和人)に会う
6:花京院典明には要警戒。
[備考]
※参戦時期はTVアニメ1期におけるアインクラッド編終盤のキリトと相討った直後。
※ステータスは死亡直前の物が使用出来るが、不死スキルは失われている。
※キリト同様に生身の肉体は主催の管理下に置かれており、HPが0になると本体も死亡する。
※電脳化(自身の脳への高出力マイクロ波スキャニング)を行う以前に本体が確保されていた為、電脳化はしていない(茅場本人はこの事実に気付いていない)。
※ダメージの回復速度は回復アイテムを使用しない場合は実際の人間と大差変わりない。
※この世界を現実だと認識しました。


足立透@PERSONA4】
[状態]:健康、鳴上悠ら自称特別捜査隊への屈辱・殺意 広川への不満感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、水鉄砲@現実、鉄の棒@寄生獣、ビタミン剤or青酸カリのカプセル×8@現実
[思考]
基本:優勝する(自分の存在価値を認めない全人類をシャドウにする)
0:勘弁してくれよもう。
1:ゲームに参加している鳴上悠・里中千枝の殺害
2:自分に扱える武器をほぼ所持していない為、当面はヒースクリフと行動を共にする
3:隙あらば、同行者を殺害して所持品を奪う
4:いざという時はアヴドゥルに守ってもらう。
5:DIOには会いたくない。
[備考]
※参戦時期はTVアニメ1期25話終盤の鳴上悠に敗れて拳銃自殺を図った直後
※ペルソナのマガツイザナギは自身が極限状態に追いやられる、もしくは激しい憎悪(鳴上らへの直接接触等)を抱かない限りは召喚できません
※支給品の鉄の棒は寄生獣23話で新一が後藤を刺した物です




【モハメド・アヴドゥル@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:健康 激しい怒り 精神的疲労(小)
[装備]:
[道具]:デイパック、基本支給品、ウェイブのお土産の海産品@アカメが斬る! 不明支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いを止めDIOを倒し広川ら主催陣を倒し帰還する。
1:仇は必ずとるぞ、ポルナレフ、イギー
2:エスデスは相当ヤバイ奴。まどかも危険な匂いがする。
3:ジョースターさん達との合流。
4:DIOを倒す。
5:もしこの会場がスタンド使いによるものなら、案外簡単に殺し合いを止めれるんじゃないか?
※参戦時期はDIOの館突入前からです。
※イェーガーズのメンバーの名前を把握しました。
アカメを危険人物として認識しました。タツミもまた、危険人物ではないかと疑っています。
※エスデスを危険人物として認識しており、『デモンズエキスのスタンド使い』と思い込んでいます。
※ポルナレフが殺されたと思い込んでいます。
※この会場の島と奈落はスタンド使いによる能力・幻覚によるものではないかと疑っています。
※スタンドがスタンド使い以外にも見える事に気付きました。


【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(中) 、精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:デイパック、基本支給品、手榴弾×2、穢れがほとんど溜まったグリーフシード×3、『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』と書かれたハンカチ
[思考・行動]
基本方針:主催者とDIOを倒す。
1:偽者の花京院が居れば探し倒す。DIOの館に関しては今は保留。
2:情報収集をする。
3:後藤とエルフ耳の男、魔法少女やそれに近い存在を警戒。 まどかにも一応警戒しておく。
【備考】
※参戦時期はDIOの館突入前。
※後藤を怪物だと認識しています。
※会場が浮かんでいることを知りました。
※魔法少女の魔女化以外の性質と、魔女について知りました。
※まどかの仲間である魔法少女4人の名前と特徴を把握しました。
※まどかを襲撃した花京院は対決前の『彼』だとほぼ確信していましたが、今は偽者の存在を考えています。
※DIOのナイフ@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースが一本近くに落ちています。



【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ソウルジェム(穢れ:中~大) 、花京院に対する恐怖(小~中) 精神的疲労(小~中) 全身打撲(中)
[装備]:魔法少女の服
[道具]:手榴弾×2
[思考・行動]
基本方針:ゲームに乗らない。みんなで脱出する。
0:危険人物を...?
1:魔法少女達に協力を求める。悪事を働いているなら説得するなどして止めさせる。
2:早く仲間と合流したい。ほむらと会えたら色々と話を聞いてみたい。
3:これ以上大切な人を失いたくない。
【備考】
※参戦時期は過去編における平行世界からです。3周目でさやかが魔女化する前。
※魔力の素質は因果により会場にいる魔法少女の中では一番です。素質が一番≠最強です。
※魔女化の危険は在りますが、適宜穢れを浄化すれば問題ありません。
※花京院の法王の緑の特徴を把握しました。スタンド能力の基本的な知識を取得しました。
※承太郎の仲間(ジョースター一行)とDIOの名前とおおまかな特徴を把握しました。
※偽者の花京院が居ると認識しました。



【エスデス@アカメが斬る!】
[状態]:健康 
[装備]:
[道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。
1:DIOの館へ攻め込む。
2:クロメの仇は討ってやる
3:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。
4:タツミに逢いたい。
[備考]
※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。
※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。
※アブドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。
※DIOに興味を抱いています。
※暁美ほむらに興味を抱いています。
※暁美ほむらが時を止めれる事を知りました。
※自分にかけられている制限に気付きました。




【共通思考】
  • 情報交換をする。
  • これからの方針を決める


[共通情報]
※危険人物
DIO、花京院典明(ただし偽者の可能性が高い)、後藤、槍使いの魔法少女(杏子)、アカメ、エスデス

※魔法少女について
1.ソウルジェムが本体であるため、破壊されたら死ぬ
2.穢れはグリーフシードを使わなければとれない。

追撃も追手も来ないことを確認すると、魏志軍は建物の陰に腰を下ろした。
(してやられた、か...)
魏志軍は、ここにきてまだ一度も勝ち星をあげていないことに苛立ちをおぼえる。
奇妙な右手の少年率いる集団との戦いは、確実に4人纏めて殺せるはずだった。しかし、一人の捨身の行動で、逆に逃走せざるをえない状況に追い込まれた。
まどかはどんなトリックを使ったかはわからないが、仕留めれなかったことには変わりない。
そして、炎を操る男と強力な打撃を放つ戦士。彼らに至っては、ほとんどなにをすることもできずに不様に敗走した。
ギリッと歯ぎしりをするほどに屈辱に思う。同時に、自分の能力だけでは生き残れないこともまた自覚する。
(力がいる)
それがなにかは問わない。
兵器、新たな能力、使える手ごま...なんだって構わない。
(新しい力が...!)
魏志軍の胸に滾るのは、復讐心とプライドへの執着心。
魏志軍はまだ知らない。それが、合理的とは程遠い感情であることを。


【C-3/一日目/朝】

【魏志軍@DARKER THAN BLACK黒の契約者】
[状態]:疲労(中)、背中・腹部に一箇所の打撲(ダメージ:中) 右肩に裂傷(中)、顔に火傷の傷、黒への屈辱、右腕に傷(止血済み)
[装備]:DIOのナイフ×8@ジョジョの奇妙な冒険SC、スタングレネード×1@現実
[道具]:基本支給品×2(一部欠損)、テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカード@とある科学の超電磁砲、暗視双眼鏡@PSYCO-PASS、ランダム支給品(確認済み)(1)  アーミーナイフ×1@現実 ライフル@現実 ライフルの弾×6@現実
[思考]
基本方針:全ての参加者を殺害し、ゲームに優勝する
0:なにか強力な武器・力が欲しい。最悪、他者と組むことも考える。
1:BK201(黒)の捜索。見つかり次第殺害する。
2:奇妙な右手の少年(新一)、先の集団(まどか、承太郎、アヴドゥル)は必ず殺す。
3:合理的な判断を怠らず、消耗の激しい戦闘は極力避ける。

[備考]
※テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカードには回数制限があり、最大で使用できる回数は3回です(残り1回)。
※上記のIDカードがキーロックとして効力を発揮するのは、本パートの劇中に登場した“物質転送装置”のような「殺傷能力の無い機器」・「過度な防御性能を持たない機器」の2つに当てはまる機器に限られます。
※暗視双眼鏡は、PSYCO-PASS1期10話で槙島聖護が使用したものです(魏はこれを暗視機能のないごく一般的な双眼鏡と勘違いしている)。
※スタンドのことを参加者だと思っています
※閃光を放ったのは誰かは知りません。


※A-4武器庫にはもう武器は置いてありません。


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067:三人寄れば ヒースクリフ 090:足立透の憂鬱
足立透
モハメド・アブドゥル
056:すれ違い 空条承太郎
鹿目まどか
エスデス
061:ヘミソフィア 魏志軍 101:間違われた男
最終更新:2015年08月26日 01:08