かしまし~ボーイズ・ミート・バッドガールズ~ ◆tu4bghlMIw



D-1、廃ビル群。
街が街としての機能を停止した空間で、一人の少年がデイパックの中身を改めていた。

「デュオ、五飛、トレーズ……ゼクス……!」

ダークブラウンの髪の少年、ヒイロ・ユイは支給された荷物の中に入っていた参加者名簿の内容に目を剥いた。
彼にとって、馴染みのある名前が複数刻まれていたソレ。
確かにモビルスーツパイロットとして過酷な訓練を受けた自分達ならば、ある意味でこのような場所に参加する『資格』があるのかもしれない。
だが、名簿の中には彼を驚愕せしめるに相応しい名前が記されていたのである。

「…………リリーナ」

リリーナ・ドーリアン。
完全平和主義を唱え、地球圏統一国家の外務次官として活躍する少女。
ヒイロにとっても、リリーナにとってもそのお互いの位置づけを明確な言葉にすることは出来ない。
だが、彼にとって決してこんな場所で死なせる訳にはいかない人物――それだけは確かな事実だった。
その時、だった。

『――――! ――――! ――――!』  

雑居の向こうから女の言い争う声が聞こえて来たのである。
どうやら、この近くに他の参加者がいるようだ。

「……リリーナの可能性もあるな」

小さく呟くと、ヒイロはデイパックから取りだした支給品を取り出し、現場へと向かい行動を開始した。

 ▽

「そこまでだ。止まれ」

路地裏。ヒイロが駆け付けた先には二人の人間の姿があった。
片方の路面に尻餅を付いた少女に向けて、もう片方の女が血のように赤い槍の先端を突きつけている。
ヒイロは彼の支給品であるコルトガバメントの銃口を向け、はっきりとした声色で告げた。

「あなたは……」

桃色の髪と愛くるしい顔つきの少女が怖々とヒイロを見た。
不思議と佇まいだけで周囲の空気を凛としたモノに変えてしまう気品を備えた少女だった。
身に纏っている衣服も非常に質の良さそうなドレス。どこかの国の王族だろうか、そんな考えがヒイロの胸中に浮かぶ。

「あらあら。どうやら、邪魔が入ってしまったようです」

そして対するは――酷く妖艶な服装をした女だった。
豊かなボリュームの黒髪に、とろんとした濁った双眸の垂れ眼。
胸元と太股を強調するような淫靡で露出度の高い独特な衣服に袖を通している。
手に持った紅の槍を軽々と扱うその動作は、彼女がただ者ではないとヒイロに確信させるには十分過ぎるものだった。

「……どういうつもりだ」
「どういうつもり、と言われましても。不思議なことをお尋ねになるのですね」
「不思議なこと、だと」
「ええ」

女が非常に緩慢な動作でこくり、と頷いた。
そして付け加えるように言葉を続ける。

「私は今から彼女を殺そうとしている。……そんな簡単なことも判断できないほど、アナタが愚かな方には見えないということです」
「――ッ」

傍らの少女が息を呑んだ。
女があまりに素直な言葉で『己の死』を語った――その事実に唇を震わせたのだ。

(やはり『乗った』側の人間か)

一方で、ヒイロは女の言葉を頭の中で冷静に分析し始めていた。
そもそも、主催である帝愛グループの言葉に従い、他の人間を殺める意志を持つ参加者がいる可能性は初めから考慮に入れていた。
十億ペリカという巨額の優勝賞金。 信憑性こそ未だないものの、死者蘇生と魔法という条件。
加えて、『それとは関係なくとも』他者を殺めることに抵抗を覚えないものがいてもおかしくない。
殺人者と出会う確率は決して低くはない。ならば――

「そうか。では――俺がお前をここで排除する」

ヒイロは槍を持った妖艶な女に向けて言い放った。

彼女のような参加者を野放しにすることで、リリーナが危険な目に遭う可能性がある。
このまま放置するわけにはいかない。 それに殺すまで行かなくても、ある程度戦力を削ぐことが出来れば上々だ。
それに、少女がみすみす殺されるのを黙って見ている気にもなれない。

「……うふふ」
「なにが、おかしい」

怪しげな微笑を浮かべた女にヒイロは訊いた。

「いいえ。ただ……見知らぬ殿方からここまで熱烈な言葉をささやかれたのは、少々久しぶりだったもので。
 私、感動してしまいました」

女が桃色の髪の少女から、ヒイロの方へと向き直った。
その視線は艶めかしく、まるで情事の最中のように頬は火照っている。
粘膜を彷彿とさせるとろみを帯びた目つきが月明かりの下、淫媚な輝きを放っていた。
そして、紅の槍にしなだれかかりながら女が訪ねた。

「私はファサリナと言います。アナタのお名前を教えて頂けませんか? そうしたら――きっと……私たち、いいお友達になれるはずです」
「残念だが、無理だな。極力、友人は作らない主義だ」
「そうですか。でも……もっと身体が触れ合える距離でなら、アナタの考えも変わるのではありませんか?」

言葉と共に、ファサリナと名乗った女が動いた。
少女には目もくれず、数メートルは離れていたヒイロの元へと疾駆する。

そのスピードは先程までの緩んだ表情と淫靡な仕草からは想像も出来なかった。
体勢を落とし、滑るようにヒイロとファサリナの距離が縮まる。
踏み込み。そして――神速の槍の一撃が放たれる。

(速い! だが……!)

銃口は向かってくる女の額へ。躊躇っていては、こちらが殺られる――ヒイロはトリガーを引いた。
そして、銃声と共に弾丸はファサリナの身体へ吸い込まれ――

「ああっ……激しいですぅ」
「なっ……!」

――なかった。

槍、引いては長柄武器とは突くだけではなく、薙ぎや払いなど様々な動作からなる武器である。
当然、切っ先だけを操るだけではこのようなポールウェポンを使いこなしたとは到底言うことは出来ない。

(弾丸を!?)

なんと、ファサリナは槍を手足のように操り、回転させることで、眼前の弾丸を弾き落としたのである。
弧を描くように回った紅の槍が暗闇の中で赤い月のように瞬いた。

ヒイロは知る由もないことだが、ファサリナが所持していたこの槍の名をゲイボルグ、という。
神代の英雄、クーフーリンが使用したとされる魔槍。
その正しき名を解放することで、いかなる相手であろうとその心臓を穿つ力を秘めた宝具の一つである。

「ぐっ……!」

もちろん、彼女の攻撃はそれだけでは終わらない。
更に槍を回転させ、槍頭とは逆方向の石突きによる打突がヒイロへ放たれる。

とっさに身体を捩ったことで何とかヒイロはその攻撃を回避することに成功した。
接近戦では分が悪いと考え、後方へと大きく距離を取る。
視界の先では、先ほどのドレスを着た少女が大きな目を見開き、こちらを見つめている。

「そこの女、逃げろ!!」
「あっ……あの、あなた、もしかして……」
「早くしろ! 殺されたいのか!」
「!!」

びくん、と肩を震わせ、少女が恐々立ち上がった。
そしてヒイロを気にしながら、路地の奥へと駆けていく。
ファサリナはまるで動かず、少女が去っていくのを背中で見送った。

「お優しいのですね」
「……なに?」
「騎士のように身を呈して、力なき少女を守る――あぁっ、私……あなたのような乱暴で……正義感にあふれた殿方は……、」

そして艶やかな吐息と共に唇を潤ませ、

「大好き……ですぅ」

ゲイボルグへ寄りかかりながら、ファサリナが言った。

まるで――ショーガールがポールダンスを踊っているようだった。
もっとも、彼女が用いるのは柱などではなく槍。
宝具をそのような用途に使っているのだから罰当たりも甚だしい限りである。

「チッ……!」
「あぁっん……ダメ、ダメですぅ。がっつかないで……。
 そんなに急ぎすぎないで……ゆっくりと味わってください。まだまだ夜は長いのですから」

すかさず発砲したヒイロ。二発の鉛玉が再度ファサリナに迫る。
だが、当然のように真っ正面からの攻撃は見切られている。
右脚の踏み込み。そして身体を仰け反らせることで、彼女はいとも容易くコルトガバメントの四十五口径ACP弾を回避。
流れるような動作でゲイボルグを振るう。

「こいつ……!」
「んっ……そう……堪えきれないのね。いいのよ。もっと、もっと、激しくしても……激しく、激しくぅ……」

一瞬で間合いが詰まる。上段、頭部を刈り取るかのような攻撃だ。
それに対して、ヒイロは地面に片手を付き、頭を屈める。ファサリナの漆黒の髪と豊満な胸が激しく揺れる。
彼女の戦い方と言葉のギャップに困惑しつつも、ヒイロは奥歯を噛み締め、引き金を引いた。

「焦っているのね……んふぅ……可愛い人。大丈夫よ。初めは……誰でも戸惑ってしまうものですから」
「なっ……! 槍を回転させて、銃を弾く……だと!?」

ヒイロは我が目を疑った。
選択を見誤った、とはこのことだろう。
銃と槍という、普通に考えれば銃側の圧倒的有利であるはずの戦闘だった。
しかし、ファサリナは当たり前のようにゲイボルグを風車のように回転させ、簡易的な盾を作り出したのだ。
風を切る音と、鉛玉がコンクリートに散らばる音がヒイロの鼓膜を震わせる。

(……これは、撤退も視野に入れるべきか)

だが、ヒイロに限ってファサリナの人外の技を見せつけられたとして、驚愕に手が強張ってしまうようなことはない。
捉え所のない言動に苛立ちを覚えつつも、頭の奥底ではヒイロは冷静に辺りを分析していた。
そう――既にドレスの少女はこの場から逃げた後だ。自分が彼女との戦いに固着する必要はまるでない。

「……なっ――」
「あらあら……?」

その時だった。
すぐ近くから、何かが爆発するような爆音が響いたのだ。
どうやら、他にもこの街の近辺で戦闘をしている参加者がいるらしい。

非常に大きな音だ。銃器や爆発物を用いた戦闘なのかもしれない。
下手に関わり合いになることは避けたい状況だ。

「……どうやら、私たちの他にもお手合わせをしている方々がいるようです」
「他の連中のことは関係ない」
「あらぁ……嬉しいですわ。うふふっ、私のことだけを見てくださるのですね」
「黙れ」
「名前も教えてくださらないなんて、ウブなのですね。分かりました。アナタのその心、私が解きほぐして差し上げます。
 さぁ……すべてを私に委ねてください。そして……共に心の奥底まで……高め合いましょう」

ゲイボルグを支柱にし、ファサリナがくるりとその場で一回転した。
この動作にどんな意味があるのか。ヒイロには全く理解出来ない。

――やりにくい。

まるでこの女の後ろにいる別の『何か』と相対しているような――そんな感覚だった。

 ▽

同じくD-1、廃ビル群。
ヒイロ達と同様、ここでも一組の男女が戦闘を行っていた。
黒のテンガロンハットに黒のタキシード、長身痩躯の男がビルのコンクリートに自身の蛮刀を突き刺し、高く跳び上がる。
対するは宙に浮かぶ黒衣の女。
神代の魔法に近い魔術を行使する卓越した魔術師のサーヴァント――キャスターである。

「チェストォォオオオオオオッ!」
「っ――」

魔術の弾丸をかいくぐり、そして――全体重を込めた斬撃を見舞った。
瞬間、男と魔術師の間に不可視の壁が出現する。
そして、剣と魔術の結界が衝突――バチバチと凄まじい火花が漆黒の闇を彩る。

「んな……てめえ、人間のくせにシールド貼るとか反則だろうがっ!」
「……鬱陶しい上に暑苦しい男ね」

割れたコンクリートの上に着地した男が眼を見開き、抗議する。
が、当然のように呑気に突っ立ていられるわけもなく、魔術師の指先から紫色の弾丸が放たれる。
弾は合計で五つ。まるで一つ一つの弾幕が生きているかのような複雑な動きで男へと迫る。

「っあ! んだよ、手品か何かかよ……」
「ちょこまかと……」

男は路面を蹴って、飛んでくる魔術弾を回避する。
元々、牽制目的に放たれた攻撃であるが、男の身のこなしも大したものだ。

(こりゃヤベェ)

黒いタキシードを身に纏った男の名はヴァン。
彼という人間を一言で表すなら、それは復讐者≪アヴェンジャー≫であった。
ヴァンは自身の婚約者だったエレナという女性を、結婚式の会場で殺された過去を持っている。
その殺害した相手の名はカギ爪の男。
以降、彼の人生はカギ爪の男を殺して復讐を果たすことへ向けられている。
そして――彼は、見事にその復讐を終えた後だった。

故に、彼に今現在における明確な目標というものは存在しなかった。
どうしたらいいのか分からない、という感覚。
何をすればいいのか。それでも新しい未来に向けて、背中を折り曲げて歩き出そう――そんな矢先だった。

(殺し合う気は満々ってか)

ヴァンはバトルロワイアルに放り込まれてから、まともに荷物を確認すらせず辺りをほっつき歩いていた。
自身の蛮刀はデイパックに手を伸ばしたら、すぐに見つかったからだ。
結果、一度落ち着ける場所を見つけてから面倒なことは解決しようと思ったのだ。
だが、彼は出会ってしまった。魔力抵抗を持たない一般人にとって最悪の敵とも言える相手――キャスターに。

「あんた、ちょっと落ち着けって。なんでそんなノリ気で俺を攻撃してんだ。まだ夜だぞ!」
「……不思議なことを尋ねるのね。もしかして、最初の説明を聞き逃したおバカさんなのかしら、貴方」

逃げながら発した一言にキャスターがふと攻撃の手を止めた。

「うるせぇ! いいか、先にバカって言った方がバカなんだよこのバカ、バカ、ヴァッーーーーカ!」
「…………ああ。どうしてこんなのと私が同じ扱いなのかしら」

キャスターが憐憫に満ちた視線でヴァンを見つめた。
どうやら、彼女はヴァンの頭がかなり残念具合であることに早くも気付いてしまったらしい。
加えて、自身とヴァンが一応は同じ立場であるバトルロワイアル参加者である、という事実にショックを隠せない様子だ。

「そうね。教えてあげるわ。運が良かったわね。一番最初に出会ったのが私という貴方の正反対に位置する存在で」
「お前が何を言っているのか、さっぱり分からん」
「本当に困った男ね……」

皮肉すらまともに通用しないことに、キャスターはローブの下の口元を歪めた。
なんとも、恐ろしいほどのバカである。魔法について理解していないだけならともかく、まともに会話にすらならないのである。
深い知識を持つサーヴァントであるキャスターが頭を抱えるのも無理はない。

「いい? 相手は魔術を超えた存在である≪魔法≫を所持する相手なのよ。抵抗なんてするだけ無駄。いいえ、逆効果ですらあるわ。
 ここから生還して私があの方の元へ帰り着くためには、ここで優勝するしかないの」
「……あの方、ねぇ」
「そう。貴方のようなボンクラとは比較にならない聡明で優しくて包容力のある方よ」

ヴァンは上空に浮かぶキャスターをぼんやりと見つめた。
そして何となく、自身の思ったことを尋ねた。

「なぁ、その方とアンタってのはよ――もしかして……あれじゃねぇのか」
「……なにかしら」
「アンタ。『お嫁さん』だろ」
「なッ――!?」

裏付け理由も理屈もなかった。
ただ『あの方』とやらをあまりにキャスターが得意げに自慢するものだから、そういう関係なのではないかと自然に考えただけだった。
顔はフードに隠れていて見ることは出来ないが、声や体格で判断するにそこそこ年齢は行っているはずだ。
恋人、というよりは婚姻関係を結んでいてもおかしくはない。

「な、ななななななな……なにを……突然言い出すのかしら……!」
「んな幸せで、幸せで、幸せそうに語ることなんて、それぐらいしかねえだろうが。違ったか」
「ち、違うに決まってるでしょう! バカの言うことはこれだから困るわ! 私と宗一郎様が……そんな……!」

キャスターが先程までとは打って変わり、声を荒げてヴァンの言葉を否定した。
フードの下の素顔がどうなっているか、ヴァンからは伺いしることが出来ない。
が、微妙に頭の丁度耳があるであろう辺りがピコピコと動いているような気がした。

「…………もういいわ。貴方みたいなバカと話しているとこちらにもバカが伝染してしまうもの。そろそろ、死になさい」
「あ?」

ようやく平静に戻ったキャスターが忌々しげに呟いた。
『無能』や『愚図』と『バカ』は似ているようで全く違う言葉だ。
前二つは考える力や能力を持たない程度の低い人間を指す。だが『バカ』は単純な罵倒語以外にも、様々な意味を持つ。
ヴァンにとってのバカ。その言葉の持つ意味とは――

「……あんた。どうも俺よりちょっとばかし頭が良いみてぇだが、まだまだだな。大事なこと忘れてるぜ」
「何を、言うつもりなのかしら」
「俺の戦いは終わったが、まだまだ死にたいとは思わねえ! それに俺にだって奥の手の一つや二つぐらいあるってことを、だ!」
「なっ……!?」

理屈で動くのではなく、ただひたすら一途で、純粋なまでに――己の感情と本能に従い生きる者のことだ。

リン――という鈴の音が鳴り響いた。
ヴァンはテンガロンハットの先端に付いているリングを指先に引っかけ、帽子を回転させる。
生身での戦闘もこなすヴァンだが、彼が最も力を発揮出来るのは自身の操る巨大ロボット、ヨロイに搭乗した時である。
ならば、呼べばいい。ヴァンの力そのものである――ダン・オブ・サーズデイを。

ヴァンの蛮刀の形が変化を始める。
大小様々な大きさの穴が剣の表面に現れ、それが連鎖のように広がっていく。
青白い光が切っ先から迸る様は、まるで彼自身と機械が電気を媒介に繋がっているようだった。
そして、蛮刀をVの字型に薙ぐ。
これが彼の愛機であるダン・オブ・サーズデイを呼び寄せるための合図だった。
宇宙空間、専用の施設に格納されたダンはヴァンが呼べば空から降って来る。そこに――理屈はいらない。

「そんな、まさか――魔術回路の存在すら感じ取れなかったのに……召喚を……!?」

キャスターの顔が驚愕に歪んだ。咆哮したヴァンの表情は真剣そのものである。
実際、この空間でも召喚能力は有用だ。
既に彼に対して、骸骨を呼び出す魔術が問題なく動作することを試している。
奥の手と断言する召喚。つまり、それはこの状況において起死回生の一手となり得る可能性すらあった。

ヴァンの蛮刀が遙か上空。満天の星と月が飾る空へと向けられる。
真っ直ぐ天を貫くように掲げられた剣はまるで山脈のよう。
思わず、キャスターは空を見上げた。
雲一つない夜空を切り裂いて――何かが落下してくるのではないか、と感じたからだ。

――――そして。

「……………………」
「……………………」

たっぷり五秒ほど、二人はそのままのポーズを維持し続けた。
剣を空へと突き上げるヴァン。宙に浮遊したまま、天を見上げるキャスター。
沈黙が夜へと溶けて行く。ビル風が独特の寒々しい音を鳴らす。

「………………どうなってんだ」

ダンはヴァンがこのポーズを取り、音声を認識することで地上であれば、どこであろうと空から降ってくるはずだった。
だが、何も起こらなかったのである。

ヴァンは唇を不思議そうに歪め、剣と自分の帽子を何度も見返す。
彼はどうしてこのようなことになったのか、まるで分かっていないのだ。
そして――逆に全ての理由を理解していたキャスターが堪らず声を上げた。

「貴方。人の話を聞いていたの」
「……あ?」
「私達には≪制限≫が掛かっているって」
「……ああ」
「やっぱり、聞いてなかったのね」
「……すいません」

あまりに素直に謝るヴァン。
彼の持つヨロイを呼び寄せる能力には、制限が掛かっていたわけだ。
キャスターがヴァンに試し打ちした魔術の中には使用すら封じられたモノはほとんどなかったが、そこは個人差があるらしい。
だが、そんな彼のバカ丸出しの挙動のせいで――ついに、キャスターの苛立ちがピークに達したのも事実だった。


「時間を無駄にしたわ。貴方のような人間と付き合っている暇はなくてよ。名前も知らないバカな男」
「そりゃあすいません。俺はヴァン。周りからは――『不死身のヴァン』と呼ばれてる」
「不死身? まるで相応しくない通り名ね。次からは『バカ代表のヴァン』とでも名乗ったらどうかしら――次があれば、だけど」

キャスターが背中に蝶類を思わせる翼を展開した。
そして光の飴のような淡い光を放つ指先で魔方陣を描く。
光が――集う。それは夜光灯に群がる蛾を彷彿とさせる光景だった。

(ヤベェ、これはヤベェ)

ヴァンは悟る。
これは今までの模擬戦のような攻撃とは違う。明らかに殺意が込められた一撃だ。
直撃を食らってしまえばヴァンといえど、立ち上がることは出来ないかもしれない。
どうする、どうする、どうする――?

「む……!」

そんな、キャスターの魔術が発動する――その瞬間だった。
二人の他に『この街で戦闘を行っていた他の人間』が『とある施設』を破壊したのだ。
死んだ街、棄てられた街とはいえ、その機能全てが停止したわけではない。
まだ生きていた施設があって、そこを誰かが戦闘の舞台として選んだとしらどうだろう。
引火性のガスやオイルは普通の街の中であれば、溢れかえっていると言っても過言ではないのだ。


結果として――キャスターの魔術がヴァンへと到達する前に、二人は爆風に包まれることになったのである。


 ▽


(距離は取れたか)

爆発から逃れたヒイロは息を整えながら、足を進める。
彼はひとまずD-1エリアから離れるべく行動していた。

D-1にて、ヴァンやキャスターをも巻き込む大爆発を引き起こしたのは彼の仕業だった。
事の顛末を説明するのは容易い。
ファサリナとの戦闘中、未だ動力部だけが稼働していた廃工場で戦っていた時の出来事だ。
ヒイロはこれ以上の戦闘続行に意味はないと考え、撤退するために支給されたM67破片手榴弾を用いて工場を爆破したのである。
熟練したテロリストである彼にとって、建物を爆破することなど造作もないのだ。

(……まずいな。予想以上に、危険な人物が多い可能性がある)

ファサリナ、と名乗った女。
あの爆発で生き延びたかどうかは分からないが、少なくとも気が抜ける相手でないことは明白だ。
覆せないほどの差があるとは思えないが、彼女と銃を武器とするヒイロでは相性が極めて悪い。

デバイスを確認すると、いつの間にかヒイロはD-1の吊り橋に近い場所に到達していた。
見渡すと周囲には漆黒の水面が広がっている。この辺りは崖になっており、足場が悪い。
都市部において、吊り橋。しかも、この大きさというのは非常に不可解だ。
もう少し行けば、全体図が見渡せるのだろうが……。

そのように、ヒイロが思考を纏めていると、背後から小石の転がる音が響いた。
すぐさま、ホルターからコルトガバメントを引き抜き、銃口を物音のした場所へと向ける。

「――動くな。そこに隠れていることは分かっている」
「あ……」
「! お前は……」

ヒイロが銃を向けた先から現れたのは――先程、彼がファサリナから助けた少女だった。
桃色の髪に愛くるしい顔。高価なドレス。あの時となんら変わりのない格好をしている。

「はい。先程は危ない所を助けて頂きありがとうございました。私はユーフェミア・リ・ブリタニアと申します」

非常に洗練された動作で、少女はドレスの裾を持ち上げ、ヒイロに小さく頭を下げた。
こうして向かい合って見てハッキリした。おそらく、彼女は非常に高貴な生まれだ。
ヒイロにはオペレーションメテオの実行中、リリーナ・ドーリアンを抹殺するために彼女の通う学校へ潜入した過去がある。
あの学校にも『お嬢様』と呼ばれる類の人間は数多く在籍していた。
だが、ユーフェミアが放つ気品に匹敵する人間をヒイロは一人しか知らない。

(リリーナと、どことなく似ているような気がするのは気のせいか。
 身に纏う雰囲気はまるで違う。だが、心の奥底にあるモノは共通しているような……)

つまり、リリーナ・ドーリアン。いや――リリーナ・ピースクラフトただ一人。
『王女』という単語がヒイロの胸中に浮かび上がった。
僅かに安堵したヒイロは構えていた拳銃を下げた。

「ヒイロ・ユイだ」
「…………え」
「どうした」
「…………本当に、貴方のお名前はヒイロ・ユイさん、と言うのですか?」
「ああ」

こちらへ駆け寄ろうとしたユーフェミアの動きがぴたり、と止まった。

「私、先程から一つだけ気になっていたことがあるんです。もしかしてヒイロさんは、」

ユーフェミアとヒイロの距離は数メートル。
ヒイロの背後には海。空は満天の星。満月に至らない、少しだけ欠けた月。
本来の海が持つ色と似た深い蒼色の双眸がじっ、とヒイロへ向けられる。


「――――『日本人』ではありませんか?」


目の錯覚、だろうか。
この時、ユーフェミアの瞳が血のように赤い色に輝いてて見えたのは――

ヒイロはその質問の意図を掴めないまま、呟いた。

「……日系人ではある。解釈にもよるが、広義の日本人と言えなくもない」

妙なことを尋ねるものだ、と思った。
日本人であるかどうか、基準は非常に曖昧だ。
国籍法は、血統と居住、どちらを重視するかで国ごとに方針が違う。

「ああ――それじゃあ、死んでください」

プシュッ、とユーフェミアの手元で空気の抜けるような音が響いた。
同時に、ヒイロの左肩に強烈な痛みが走った。

「な……に……」
「ヒイロさん。すいません、私は日本人を殺さないといけないんです」

にっこり、と微笑みながらユーフェミアが酷く不釣り合いな台詞を吐き出した。
彼女の右手にはどこから取りだしたのか、サプレッサーを装着した自動拳銃が握られている。
銃口からはツンと鼻を刺激する硝煙の臭い。
左肩の激痛。血が流れ出る熱い感覚。

感覚的に、ヒイロは崖に向けて走り出していた。
トドメを差すかのように、背後から銃弾がヒイロの髪や身体を掠める。
ここで、反撃することも出来た。
しかし、優先すべきは自身の命だ。ここはただ、生き延びることだけを考えなければならない――そう判断した。

「くっ…………!!!!」

ヒイロは高らかに飛沫を上げる海面に向けて、その身を投げ出した。


 ▽

(本当に、バカで不愉快な男だったわ)

キャスターは崩壊したD-1のビル街を抜け、東へ進路を取っていた。
あの程度の爆発など、防御の呪文を持つキャスターにとってはまるで問題ではない。
元々、それほど激しい爆風ではなかったため、あのヴァンと名乗ったバカな男も生きている可能性は高い。

(……それにしても、深刻ね。魔術の破壊力が相当落ちている)

聖杯戦争において、キャスターに召喚された者へ常に纏わり付く烙印がある。
それが『キャスターは最弱のサーヴァントである』という謳い文句だ。
魔術抵抗のスキルを固有で持ち合わせる英霊は非常に多い。
その意味で、キャスターは聖杯戦争では常に奸計を用いた戦いを強いられてきたわけだが……。

(だけど、人間相手なら私の魔術が遅れを取ることはないわ)

それが一転して、このようなバトルロワイアルという舞台においては、彼女の持つ多種多様な魔術は非常に有用なのだ。

不意打ちに対して魔術障壁を展開することが出来る。
大半の相手であれば、洗脳し、傀儡にしてしまうことも可能。
強化の魔法を用いれば、傀儡にした人間を優秀な兵士へと変えることも出来る。
破壊力は大分抑えられていたが、射程が長く範囲の広い大魔術は大人数を相手にしても遅れをとることはない。

そして、依然として高速神言は健在。治癒や飛行、転移、遠見など支援の魔術も充実している。
もっとも、まだ完全にどの魔術が使用可能で、どれが使用不可なのか把握しきってはいなかった。

(宗一郎様……)

キャスターのマスターであり、命の恩人――そして、何よりも大切な相手。
この舞台に葛木宗一郎の姿はなかった。
かといって、キャスターの戦う意味がなくなってしまう、などということはない。

このバトルロワイアルは参加者のありとあらゆる願いを叶える準備がある。
しかし、このような舞台に参戦することなく、既にキャスターの願いは叶えられていたのだ。

≪魔法≫に願うことなど、何一つとして存在しない。
たったの一億ペリカ――つまり、生還するということ――で彼女の望みは満たされるのだから。


【D-2/上空/1日目/深夜】
【キャスター@Fate/stay night】
[状態]:健康、魔力消費(微)
[服装]:魔女のローブ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3個(確認済み)
[思考]
基本:優勝し、葛木宗一郎の元へ生還する
1:奸計、策謀を尽くし、優勝を最優先に行動する
2:相性の悪い他サーヴァント(セイバー、アーチャー、ライダー、バーサーカー)との直接戦闘は極力避ける。
[備考]
※18話「決戦」より参戦。
※数多の魔術のうち、何が使用可能で使用不可かはまだ本人ですら把握していません。

 ▽

「なんつーおっかない姉ちゃんだ……」

ヴァンは生きていた。
爆風に見事に巻き込まれたとはいえ、彼は厳密には人間ではない。
逆に、キャスターの有り得ない破壊力の大魔術を食らわずに済んで、命拾いをしたとも言える。
だが、散々追いかけ回されたせいで、身体は疲れたし、何よりも――

「…………腹、減った」

空腹、だった。
ヴァンにとって、食事は絶対に欠かせない要素の一つだ。
たとえ、彼が改造の結果、味覚の大半を失ってしまっているとはいえ。

「あの、」

D-1の吊り橋を渡っていたヴァンに背後から話しかけてくる声があった。
ヴァンは気怠げに振り向く。

「あ? 誰だ、あんた」 
「……あなたは、日本人では……ありませんね」

現れたのは桃色の髪にやけに豪勢なドレスを着た少女だった。
もちろん、どこかで見かけた記憶は皆無である。

「ニホンジン? なんだそりゃ。食えるのか」
「……いいえ。お気になさらないで下さい。私はユーフェミア・リ・ブリタニアと申します」
「あーどうも、これはこれはご丁寧に。ヴァンです」

ぺこり、と丁寧に頭を下げられたのでヴァンもつられてお辞儀をする。
ヴァンが『日本人』という言葉を否定すると、不思議とユーフェミアの雰囲気も軽くなる。

「私、このような場所で一人でいるのが恐ろしくて……さっきも襲われたんです。しかも途中の記憶がなくて……」
「そりゃあ大変だったな」
「ヴァンさんは……その、殺し合いには……」

ユーフェミアが僅かに緊張した面持ちで尋ねた。

「……さすがに、見ず知らずの人間を殺す気にはなれん」
「良かった!」

パァッとユーフェミアの顔が明るくなった。
ヴァンが他の人間を殺す気がないと告げたのが大きかったのだろう。
彼女はヴァンに駆け寄ると、ギュッとその手を握り締めた。

「お金のために人間に殺し合いをさせようなんて、絶対に間違っています!
 だって、ここにはあの最初に殺された方のように……普通の方も集められているんです。
 こんな……人を人とも思わないようなことが……どうして……出来るのでしょうか……」
「……あー、いや……その、だな」

ユーフェミアの行動に、ヴァンは上手い言葉を返すことが出来ない。
実際に殺し合いに乗った人間と出会い、ショックを受けたのか。単純に恐怖を感じたのか。
それは分からなかった。

「ヴァンさん!」
「はぁ」
「私に……力を貸しては貰えないでしょうか。
 皮肉なことですが、頼りになる私の知り合いが何人かこの島にいるようです。
 彼らと力を合わせれば、絶対に殺し合わずにここから脱出出来る方法があるはずなんです」

そう言うと、ユーフェミアはデイパックから自身の名簿を取り出すと、それをヴァンへと見せつけた。
ちなみにヴァンは蛮刀だけを抜き出し辺りをぶらついていたので、名簿に目を通すのは初めてだ。

名簿には様々な名前が並んでいる。
相当上の方に『ヴァン』という自分の名前もある。
その時、ヴァンはユーフェミアの名簿で『赤と青枠で名前が囲まれている』人間がいることに気付いた。

「なぁ」
「なんでしょうか」
「この赤と青のカッコはなんだ?」
「ええと……青は私の知り合いの名前ですね。赤は…………」
「赤は?」

青枠の数はあまり多くない。
妙に長ったるしくて、風変わりな『ルルーシュ・ランペルージ』という名前が目を引いた。
一方で、赤枠の数は相当多いように思える。
ざっと挙げると、

『平沢唯』
『池田華菜』
『伊藤開司』
『衛宮士郎』
『上条当麻』
『伊達政宗』
『両儀式』
『ヒイロ・ユイ』
『阿良々木暦』

……など。
どんな規則性があるのかないのか、ヴァンにはサッパリ分からない。

「…………なん、でしょうか?」
「おいおい。しっかりしてくれよ。しかもなんだ、赤と青枠が両方付いてるのもいるじゃねぇか」
「え…………」

赤と青に彩られた――『枢木スザク』という名前を指さして、ヴァンは呟いた。

だがユーフェミアの反応は曖昧だ。
むしろ、彼女自身が何か信じられないモノを見るような瞳で口を閉ざしてしまった。

(変な女だ。それにしても名簿、か。どうせ俺の知り合いなんて………………はぁっ!?)

そこに――信じられない名前があった。

「……ヴァンさん?」
「おいおいおいおい、どうなってんだよこいつは!! おかしいだろ!」

既にユーフェミアの声はヴァンには聞こえなくなっていた。
ヴァンは様々な感情をない交ぜに、そして一言で吐き出した。



「どうして、カギ爪の野郎の名前があるんだっ!!!!!」



【D-1/吊り橋/1日目/深夜】
【ヴァン@ガン×ソード】
[状態]:疲労(中)、空腹
[服装]:黒のタキシード、テンガロンハット
[装備]:ヴァンの蛮刀@ガン×ソード
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1
[思考]
基本:何をしたらいいのか分からないが、自分の感情の赴くまま行動する
1:カギ爪……!?
2:とりあえず腹が減った
3:向かってくる相手は倒す
4:主催とやらは気にくわない
[備考]
※26話「タキシードは明日に舞う」にてカギ爪の男を殺害し、皆と別れた後より参戦。
※ヴァンは現時点では出会った女性の名前を誰一人として覚えていません。

【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康
[服装]:豪華なドレス
[装備]:H&K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数3/12発/予備12x2発)@現実
[道具]:基本支給品一式、H&K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実、アゾット剣@Fate/stay night
[思考]
基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する
特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する
1:ヴァンと一緒にルルーシュを探す。スザクは……?
2:殺し合いには絶対に乗らない

[備考]
※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。
※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。
 会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。


 ▽


「……あら?」

D-1の廃ビル群に集まった五人の最後の一人。
ファサリナはD-1の沿岸地帯を移動している時、海岸沿いに妙なモノが流れ着いてることに気付いた。
当然、彼女も廃工場の爆発に見事巻き込まれずに済んでいた。

「この子、さっきの――」

砂浜に流れ着いた漂流物のように、緑色のランニングシャツのダークブラウンの髪の少年が意識を失っていた。
間違いない。彼はつい先程まで彼女と戦っていた無口な少年である。
名前は結局教えてくれなかったので、分からないのだが……。

(……傷)

死体かと思い近寄ってみるも、どうやらまだ息がある様子。
左肩には銃創。ファサリナは彼に銃を使っていないので、どうやら他の参加者に襲われたらしい。

(どうしましょう)

ファサリナは右手に持ったゲイボルグの柄をギュッと握り締めた。
トドメを刺してしまっても、まるで問題はない。
彼自身はおそらく、積極的に他の人間を攻撃する人物に応戦するタイプだ。
つまり、邪魔な人間は間引いてしまおうと考えているファサリナにとって、厄介な存在と言える。だが、

(この島にいるオリジナルセブンのメンバーは私だけ。名簿外の人間は現時点では当てに出来ない。
 同士を守るためには、絶対的に手が足りない状況……)

足りないのならば、増やしてしまうのはどうだろう――という思考がファサリナの中に生まれたのである。
この計画の全容が明らかにされるまで、あまり目立ち過ぎるのは困る。
一刻も早く、同士を見つけたいとは思うのだが、この広い島を闇雲に探し回るのは得策ではないだろう。

「……そうですね。そうしましょうか」

ぽん、と両手を合わせ、ファサリナは小さく頷いた。
ひとまず彼の武装を解除し、拘束する。
その後から彼にこちら側の事情を説明し、同士の理想に賛同して貰えばいいのだ。
彼が頑なに拒否する時は、残念だが死んで貰えばいい。

「いいお友達になりましょうね……うふふふ……」

にっこりと、ファサリナは笑みを浮かべた。

彼女の行動は全て同士、カギ爪の男のためである。
だが、もしも既にその男がこの世の人でないことが分かった時、彼女はどうなってしまうのだろう。
絶望の淵から救いの手を差し伸べられた女にこの後、訪れるの更なる絶望か――それともちっぽけな希望か。

まだ、誰もその答えを知る者はいない。


【D-1/海岸線/1日目/深夜】
【ファサリナ@ガン×ソード】
[状態]:健康
[服装]:自前の服
[装備]:ゲイボルグ@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2個(未確認)
[思考]
基本:カギ爪の男を守る。新しい同士を集める。戦力にならない人間は排除。
0:ヒイロの武装を解除した後、場所を移動、ヒイロを味方に引き込む
1:カギ爪の男と合流し、守護する
2:カギ爪の男の意志に賛同する人間を集め、
3:明確な危険人物の排除。戦力にならない人間の間引き。無理はしない。

[備考]
※21話「空に願いを、地に平和を」のヴァン戦後より参戦。

【ヒイロ・ユイ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:びしょ濡れ、昏倒、左肩に銃創、疲労(小)
[服装]:普段着
[装備]:コルト ガバメント(自動銃/2/7発/予備7x5発)@現実
[道具]:基本支給品一式、M67破片手榴弾x5@現実、ランダム支給品1個(確認済み)
[思考]
基本:???
1:リリーナ……
[備考]
※参戦時期は未定。少なくともアニメ後半、ヒイロが精神的に成長した頃以降。
※D-1エリアにおいて数度大きな爆発が起こりました。



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キャスター 040:Overlooking View
ヴァン 070:怒りと悲しみと
ユーフェミア・リ・ブリタニア 070:怒りと悲しみと
ファサリナ 047:支配より協調を、征服の代わりに友情を
ヒイロ・ユイ 047:支配より協調を、征服の代わりに友情を


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最終更新:2009年11月08日 16:49