魔王、駆け行く ◆lDZfmmdTWM



火口より降り立ち、静かに麓へと歩き出した第六天魔王。
立ち塞がる全てをただ滅するのみ。
それだけが目的である信長にとって、これといった目的地というものは特に無い。
強いて言うならば、人が集まりそうな場所という所だろうか。

「しかし、本多忠勝
 濃が仕留めたと聞いていたが、生き延びていたとは。
 戦国最強の称号は飾りではない、ということか」

ふと、信長は先程見た名簿の内容を思い返していた。
そこに記されていた名の内、知っている者は四人。

忌むべき謀反人『明智光秀
戦国最強『本多忠勝』
奥州筆頭独眼竜『伊達政宗
甲斐の若き虎『真田幸村

彼等もまた、信長同様にこの地へと連れ去られたのだろう。
死亡したと聞いていた忠勝が生き延びていた事は流石に予想外ではあったものの、
信長にとってこの事態は、言わば怪我の功名だろう。
上杉は軍神を失い、武田も甲斐の虎を失った。
徳川の家康は既に―――戦国最強が生き延びていたという事実こそあるものの―――仕留めた。
多くの名のある勢力を打ち潰してきた今や、織田軍に対抗できる者は限られている。
そしてその限られた者達の内、実に三人もの武将がこの場にいる。
更には、忌々しき謀反人たる明智光秀までも……信長にとって、始末すべき者達が揃っているのだ。

「……是非も無し」

しかし、信長は然程強くは意に止めてはいない。
彼にとって、立ち塞がる相手は誰であろうとも『敵』に過ぎない。
知っている相手だろうがそうでなかろうが、日の本の国の人間であろうがなかろうが。
そんな事は、どうでも良い話なのだ。

あるのはただ一つ、絶対的な意志。
この会場に集う全ての者も、そして裏で糸を引く愚劣な帝愛も。
全てを容赦なく蹂躙し、奪い、叩き潰すのみ。

「我が覇道を阻む者には、死あるのみよ……!!」



□ ■ □ ■ □ ■



歩く事しばらく。
深く暗い森を抜けた信長は、その建物の門前へと辿り着いた。
先ほど、山の頂上からもはっきりと視認する事が出来た見覚えのある所有物―――安土城。
天下を見下ろす山の頂にそびえる、織田軍が誇る未曾有の大城砦。
その模造品だ。

「我が居城を、こうも正確に模すか。
 この『でばいす』といい、銃といい、その技巧のみは認めてやろう、帝愛よ」

信長からすれば、己が根城を模造された事に対する怒りは勿論あるが、それ以上に帝愛の技巧は評価していた。
城主である彼の目から見ても、本物と遜色なき実に精巧な模造品であった。
ならばと、迷う事無く信長は足を踏み入れる。
人の気配をこの城からは一切感じられなく、殺し合いに乗った者にとっては意味のない立ち寄りだろう。
しかし、その内部を熟知している信長ならばまた話は別になる。
彼は入手に来たのだ。
他の参加者が集まる場所へと向かうに当たり、最も効率が良いその手段を。

門を潜り、しかし城の内部には入らず。
信長が目指した場所は、本丸を離れ隅に位置する小さな小屋。

「フッ……やはり居おったか」

軍馬の住処たる、馬小屋……!!
信長が手にしようと考えた移動手段とは、ずばり馬だった。
戸を開き中を除けば、殺し合いのバランスを崩さぬ為だろうか、繋がれているのはたったの一頭のみ。
しかしそれは―――奇妙な装飾を施された点を除けば―――実に、見事な軍馬であった。
迷う事無く、信長はその馬を小屋の外へと出す。

「何処のモノかは知らぬが、見事な軍馬よ……我が脚となるに相応しいわ」


蹄鉄の音が、静かな闇を切り裂き鳴り響く。

向かうは人里―――南東の方角。


【C-3/北西/一日目/深夜】
織田信長@戦国BASARA】
[状態]:健康
[服装]:鎧
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、おもちゃの兵隊(27/30)@とある禁書の魔術目録、伊達軍の馬@戦国BASARA
[道具]:基本支給品一式、予備マガジン99本(合計100本×各30発)
[思考]
基本:皆殺し
1:参加者が集まるだろう町へ向かう
2:目につく人間を殺す
3:信長に弓を引いた光秀も殺す。
[備考]
※光秀が本能寺で謀反を起こしたor起こそうとしていることを知っている時期からの参戦。
※B-3の城は、安土城の精巧な模造品の様です。

【伊達軍の馬@戦国BASARA】
奥州筆頭伊達政宗が駆る愛馬。
見事な名馬なのだが、どういうことなのかバイクのハンドルとマフラーっぽい装飾がつけられている。
その為、ファンの間では「馬イク」と呼ばれていたのだが、後にアニメスタッフまでもが「馬イク」と
口にしたことから、もはやその名が公式として定着している。


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002:征天魔王 織田信長 080:戦争と平和
伊達軍の馬 080:戦争と平和




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最終更新:2009年12月16日 11:18