狂戦士の夜 ◆9kuF45dxA2
戦国最強との戦いを中断された狂戦士は海沿いに北上していた。
なぜかと問われればその本能の赴くままに、というところだろうか。
理性を奪われた彼に思考する力はほとんど残っていない。参加者に出くわしたら殺す。
彼は
バーサーカーだ。その本能のままに暴力を振りまき殺戮する事が存在理由。強さこそが全て。
故に負けるわけにはいかない。彼の帰りを待つ白い少女のためにも、必ず生きて帰らなければならない。
この会場に存在する全ての参加者を鏖殺しこのゲームを終わらせる。
あらゆる障害を破壊し、あらゆる敵を消滅させる。それはこの殺し合いを終えた後も変わらない。
「――――――――――――――――」
感じる。
彼の視線は遥か北東に向けられていた。その先にあるものは、学校。
狂戦士の剥き出しの本能、研ぎ澄まされた感覚が直感する。
あそこでは既に殺し合いが始まっている、と。
ならば彼のするべきことはただ一つ。
撃滅し、蹂躙し、粉砕し、叩き潰し、打ち砕き、殺し尽くす事。それだけだ。
彼はその手に持っていたデイバックを投げ捨てる。その中に殺しあいに有用なものは入っていないことはさきほど確認済みだ。
しかしその眼は、デイバックの口からざらりとこぼれたものに向けられていた。
物を投げる、という行為はあらゆる飛び道具の原点だ。
遠くから一方的に相手を攻撃できる、という点において飛び道具は画期的なものだった。
最初は石を投げるだけだった。そしてより遠く、より強くと次々に改良と工夫が重ねられていった。
単純に投げるのではなく、遠心力や張力を利用した投石機やスリング、弓矢などの登場だ。
ただしそれらの原動力は全て人の腕力によるもの。更なる高みを目指そうとすればそんなものでは到底足りはしない。
そこで登場したものが銃だ。火薬による運動エネルギーはそれまでの飛び道具とは一線を画す力を人類に与えた。
だがよく考えてみて欲しい。投石も、銃も、“遠くから相手を攻撃できる”という点においては何も変わらないということを。
飛び道具とは、要するに弾が標的に当たって殺せればいいのだ。それが投石によるものだろうと銃によるものだろうとそんなものは関係無い。
当然威力も射程も、投石と銃弾では比べ物にならないほどの開きがある。
所詮人の身体能力には限界があり、人間の筋力では火薬の力を越えることはできない。投石では銃に勝てないのだ。
つまり、もし仮に炸薬の代わりに“腕力”、銃弾では無く“缶詰”を使ったとしても、
たとえそれが“投石”と呼ばれるものであろうとも、それが銃よりも優れた力を持つのならば、
それを“銃”と呼んでしまってもよいのではないのだろうか――――――――――――――
彼が見ていたモノ――――――――――――――それは、缶詰だ。
なんてことは無い、彼に支給されていた普通の缶詰。スーパーやコンビニに行けば1個100円くらいから売っている保存食。
しかしそんな普通のことは問題ではない。何しろ彼はバーサーカー。彼の手にかかれば森羅万象あらゆるものがたちまち殺人兵器へと変貌する。当然この缶詰とて例外ではない。
彼は無数に散らばった缶詰の中から一つを取り上げ、その双眸を周囲の民家へと移す。
何をするのか? そんなことはわかりきっている。
“投げる”のだ。
どこにでもある、ありふれたはずの缶詰は巨人の剛腕によって埒外のパワーを叩き込まれ、その存在を日常から異常へと昇華させた。
唸りを上げるサバのミソ煮缶はもはや携行火器などとは比べ物にならない速度で大気を切り裂き、発生した衝撃波がそのブリキのボディを散弾銃よろしく爆裂させる。
切り刻まれた金属片と鯖のほぐし身が超音速で標的を直撃し、哀れな民家はたったの一撃でその半分以上を消し飛ばされていた。
その威力、その脅威たるや、参加者の一人である“超電磁砲”と比べても一切見劣りしない。
試し撃ちを終えた巨人は幾つもの缶詰を腰巻の間に“装填”していく。
右手に大斧、腰に弾丸、歪な猟銃を備えた異形の狩人は改めて学校を睥睨する。
準備は整った。あとは、殺すのみ。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!」
鉛色の巨人が咆哮する。
その一撃は破城の鉄鎚。その肉体は不落の城塞。その咆哮は覇軍の行進。
踏みしめた足が大地を抉り――――――――――――――――殺戮が、始まる。
【E-2/エリア南西部/1日目/深夜】
【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:健康、狂化
[服装]:上半身裸(デフォルト)
[装備]:武田信玄の軍配斧(石動配)@戦国BASARA、食料(缶詰セット)
[道具]:無し
[思考]
基本:イリヤ(少なくとも参加者にはいない)を守る。
1:立ち塞がる全ての障害を打ち倒し、イリヤの元へと戻る。
2:学校へ向かいその場にいる者を皆殺しにする。
3:
本多忠勝とはいずれ決着をつけたい?
[備考]
※“十二の試練(ゴッド・ハンド)”Verアニ3
・合計12回まで死亡してもその場で蘇生。状態を健康にまで回復。耐久力を大きく上回るダメージを受けた場合は複数の命のストックを消費。
現在残り蘇生回数6回。
・無効化できるのは一度バーサーカーを殺した攻撃の2回目以降のみ。
現在無効リスト:対ナイトメア戦闘用大型ランス、干将・莫耶オーバーエッジ、偽・螺旋剣(カラドボルグ)、Unlimited Brade Works
・首輪の爆発での死亡時には蘇生できない。
※参戦時期は 14話 理想の果て直後です
※バーサーカーの咆哮がE-2全域及び周辺マップに響きました。
※食料以外の基本支給品が入ったデイバックがE-2南西部に放置されました。
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最終更新:2009年11月08日 15:02