闇に潜むキーワード見つけ出そう ◆lDZfmmdTWM
(……多少は落ち着いた、か……) 
無言でハンドルを握り、アクセルを踏みながらグラハムは一人考える。 
先程までに比べれば、黒子は少なくともその言葉の様子から察するには、平静を取り戻している。 
士郎がどの様な形で彼女に接したのかは分からない。 
彼女の心がどこまで癒えたのかもまた、見当はつかない。 
しかし……少なくとも、今はこれでいい。 
心に受けた傷を癒すのには、時間が必要なのだ。 
長い時を共に歩む事で、徐々に傷口を塞いでいくしかない……そしてその役目を担うのに相応しきは、傍らの少年だ。 
ならば、グラハムには彼女の為に何が出来るか。 
(そんなものは決まっている……
天江衣とも、約束したからな) 
 
自分は戦う術を知る軍人だ。 
そして軍人の役目とは、人々を脅威から守り敵を討つ事。 
元凶たる帝愛グループを討ち、彼等が背負っている痛みを少しでも無くしてやらねばならない。 
その為にも、こうして運転をしている今もグラハムは、思案を続けている。 
帝愛を討ち取る為に、成さねばならぬ事は何かと。 
(やはり厄介なのは……こいつか) 
そんなグラハム―――恐らくは全ての参加者にも共通した悩みではあるが―――にとっての最大の課題が、首輪だ。 
これを嵌めている限り、己が命は主催者達に握られているも同然。 
主催者に戦いを挑んだところで、返り討ちにもならずに犬死だ。 
また……主催者に反抗するというその意志は、間違いなく既に知られているだろう。 
(告げられた放送と、先のギャンブルルームでの一件……敵は我々の動きを把握している。 
恐らくは、この首輪からとみて間違いないな)
主催者は、参加者全員の動向をある程度監視できている。 
その証拠となるのが、第一に死者を告げる放送だ。 
誰が生き、誰が死んだか……それを把握できていなければ、まず放送なんて出来るわけが無い。 
ならば考えられるのは、この首輪が参加者の生死を判別しているという事だ。 
脈拍や血圧など、ここから何かしらのバイタルサインが送られているのは間違いない。 
そう考えれば、軍人であるグラハムにとって、次の段階を予想するのは難しくなかった。 
(首輪に参加者の状況を判別する装置を組み込むのであれば、カメラや盗聴器の類が共にあってもおかしくはない。 
いや……必ずある……!!) 
グラハムには確信があった。 
先程利根川から聞いた話によれば、帝愛はギャンブルを好んでいる。 
それはギャンブル船やペリカの存在からしても明らかだ。 
ならば、そんな連中がこの殺し合いを見聞きせずに放っておくわけなどない。 
事実、先程ギャンブルルームで介入行動が行なわれたではないか。 
勝ちすぎたカイジと利根川を止めるために……!! 
(だとすれば……ここからの発言は、少し考え物かもしれんな) 
余興として楽しむ為、また当然の事ではあるが、殺し合いを円滑に運ぶ為。 
確実に見張られている……その為に最も適した道具は、常に参加者と共にある首輪だ。 
触った限りだとレンズの様なものは無さそうな為、少なくともカメラは仕掛けられていない。 
だとすれば、あるのは盗聴器のみか。 
ならば、ここからは慎重に行動を行なう必要性がある。 
例えば主催者達の本拠地や、首輪を解体する具体的な方法論を迂闊に口にすればどうなるか。 
その瞬間、首から上は無くなり魂は黄泉路へ招待されるだろう。 
(しかし、単に奴等を打倒すると口にしただけならば、流石に爆破はされない…… 
高をくくっているか、そういう我々の態度もまた楽しみということか。 
 まあ、一々そんな事で爆破を行なっていたのでは、先程の会議なんてどうなっていたやら分からんものな) 
余裕の表れ、とでも言う所だろうか。 
他にどれだけの参加者が殺し合いを良しとしていないかは分からないが、 
少なくともあの船に集った大人数は、この殺し合いにおける一大勢力と言ってもいいだろう。 
あの場では様々な情報を得られた上に、ペリカまで大量に手にしている。 
それを野放しにする辺り、帝愛という組織は余程…… 
(……帝愛……?) 
そこまで考えて、グラハムがある違和感に気付いた。 
利根川の話が確かならば、彼は魔法も超能力もモビルスーツも、何も知らなかった。 
それが彼等にとって常識だ。 
そして利根川は、かつて帝愛の幹部だった……だとすれば、やはりおかしい。 
(なら……どうやって、帝愛は魔法の存在を知った?) 
魔法を買うには、まずは魔法という力がある事を認めなければならない。 
しかし、帝愛にとっては現実からかけ離れたその存在を彼等はどうやって知ったのか。 
(現実離れした、強力な力……まるでGNドライブだ。 
 あの動力炉は結局、何者かからの提供で軍は手に出来たという事だったが……) 
ふと、自分の経験とを当て嵌めて考えてみる。 
GNドライブという、それまでのテクノロジーを大幅に覆す強力な力。 
あれもまた、人知を超えているという点においては、魔法とも同等だろう。 
それにも関わらず、その魔法を軍部が手に出来た理由は、謎の提供者がいたからこそだった。 
ならば……今回の一件もまた、同じではないのか? 
――――――なにせ我々は……《金》で《魔法》を買ったんだからなッ!! 
――――――なにせ我々は……《金》で《魔法》を買ったんだからなッ!! 
「っ!!」 
最初に告げられた、遠藤の言葉。 
それを思い出した途端に、グラハムはブレーキを踏み車を止めた。 
反動でその車体は揺れ、当然ながら後ろにいる二人からは驚きの声が出てくる。 
「ど、どうしたのですか!?」 
「グラハムさん、何かあったのか!!」 
荷台から告げられる声に、グラハムは少しばかりの猶予を置いた後に答える。 
この事実……二人にも告げる義務がある。 
「二人とも、少し待っていてくれ……話さなければならぬ事がある」 
◇◆◇ 
『ここから先、重要な会話はなるべく筆談で行なう』 
運転席から荷台に移り、腰を下ろしたグラハムから最初に告げられたのは、紙に書かれたその一文だった。 
士郎と黒子も、それが何を意味するのかはすぐに理解できた。 
首輪を利用しての監視及び盗聴、確かに考えられる事だ。 
二人は一瞬息を呑んだ後、その対応へと移る。 
「それでグラハムさん、話というのは?」 
「ああ、これから回る進路についてだが……」 
無言で筆談に移ったのでは怪しまれる。 
それを察して、三人はカモフラージュとなる会話を挟みつつの筆談に出た。 
無論、口から出てるのはその場しのぎの出鱈目だ。 
『この殺し合いなのだが、帝愛グループが開いているものではないのかもしれん』 
単刀直入に、グラハムは二人へと己が考えを述べた。 
彼が抱いた違和感……それは、帝愛が本当にこの殺し合いの裏にいるかという事だ。 
しかし、いきなりこんな事を言われたとしても、士郎と黒子は状況が飲み込めない。 
『帝愛じゃないって……どういう事ですか、グラハムさん? 
 最初の広場じゃ確かにあいつら、自分達の事を帝愛って言ったじゃないですか。 
 それにカイジさんや利根川さんの話なら、ギャンブルルームに用意された専用ギャンブルも、ペリカだって……』 
士郎の反論は最もだった。 
敵側が自分達が帝愛であると明示している。 
カイジや利根川の話だって、その駄目押しになっている。 
その上で帝愛が主催者ではないなど、言葉の意味が分からない。 
しかし、グラハムはそれに冷静に言葉を返す。 
『すまない、言葉が足りなかった。 
 私が言いたいのは、帝愛の裏に何者かがいるのではないかという事だ』 
『え……?』 
『あまりにも当たり前の事過ぎて、今まで失念していた……二人に質問しよう。 
 商売に当たって、大切な存在は何だと思う?』 
脈絡無く告げられる、グラハムからの問い。 
商売において大切な存在とは何か。 
その答えを、士郎はやや考えるが……そうしていると、先に黒子が答えを出してきた。 
『売り手と買い手……ですわよね?』 
『ああ……奴等は、金で魔法を買ったと言ったな。 
 ならばそれは、その魔法を奴等に売った人間がいるという事じゃないか?』 
「!!」 
グラハムの一文が、士郎を驚かせる。 
黒子は答えを出した側というだけあって、どうやら少し早くその事実に気がついたようだが……そう。 
この当然の事実を、誰もが失念していた。 
帝愛という買い手がいる以上、彼等に魔法を売った売り手がいるのは当然ではないか……!! 
『魔法なんてものを信じられぬといった利根川の言葉からして、帝愛が自分から魔法を探したとは考え難い。 
 ならば売り手の方から、帝愛に接触したのは明らかだろう』 
『じゃあ、その売り手は金欲しさに帝愛に協力を……?』 
『金目当てだけなら、帝愛でなくとも他に宛は幾らでもあった筈だ。 
 魔法の力なんて、誰もが大金を出して欲しがる……それでもなお、帝愛を選ぶのには理由がある』 
金なんて、魔法の力があれば手にする方法は幾らでもあるに違いない。 
そもそも帝愛と協力なんかしなくても、個人で大金を稼ぐ事だって出来る筈だ。 
にも関わらず、帝愛を選んだとすればその理由は…… 
『あ……ギャンブル!!』 
売り手が帝愛を選んだ理由は、彼等がギャンブルに精通しているからではないか。 
そう考えれば、筋が通る。 
この殺し合いもまた、帝愛が楽しむギャンブルの一つとして通す事が出来るのだ。 
事実、カイジや利根川達は何一つ疑問を抱く事無く、そう思っていた。 
彼等から情報を告げられた自分達だって同じだ……だとすれば。 
『殺し合いを開くという条件の下なら、帝愛が最も適した存在といえる。 
 だから魔法の力を提供し、殺し合いの開催を持ちかけた。 
 この前提で行けば、帝愛そのものは殺し合いを開く為のただの協力者、もしくは傀儡にすぎん。 
 そして魔法の売り手こそが、この殺し合いを計画した首魁……そう考えられるのではないか?』 
【D-7/C-7との境目の砂浜/一日目/昼】 
【
グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 
[状態]:健康 
[服装]:ユニオンの制服 
[装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30、軍用ジープ@現実 
[道具]:基本支給品一式、五飛の青龍刀@新機動戦記ガンダムW 
[思考] 
基本:殺し合いには乗らない。断固辞退 
0:ひとまず砂浜に沿って南下する 
1:島を時計回りに移動しながら、士郎らと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先) 
2:
張五飛と接触したい 
2:主催者の思惑を潰す 
3:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける 
4:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る 
5:衣の友達づくりを手伝う。ひとまずは一万ペリカを手にいれ、『麻雀牌セット』を買ってやりたい 
【備考】 
※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です 
※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています 
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました 
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました 
※エスポワール会議に参加しました 
※張五飛がガンダムのパイロット、少なくともソレスタルビーイングのメンバーであると知れないと考えています 
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 
 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 
 
【
衛宮士郎@Fate/stay night】 
[状態]: 健康、額に軽い怪我(処置済み) 
[服装]: 穂村原学園制服 
[装備]: カリバーン@Fate/stay night 
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実 
[思考] 
基本:主催者へ反抗する 
1:島を時計回りに移動しながら、グラハムらと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先) 
2:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める 
3:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする 
4:
一方通行、
ライダー、
バーサーカー、
キャスターを警戒 
 
[備考] 
※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です 
※残り令呪:1画 
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました 
※エスポワール会議に参加しました 
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 
 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 
【
白井黒子@とある魔術の禁書目録】 
[状態]:健康、精神疲労(中)、空虚感 
[服装]:常盤台中学校制服、両手に包帯 
[装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録 
[道具]:基本支給品一式 
[思考] 
基本:なるべく普段通りに振舞う(スタンスは決めあぐねている) 
1:島を時計回りに移動しながら、士郎らと共に仲間を探す(エスポワール組の知人優先) 
2:お姉さまを生き返らせるチャンスがあるなら……? 
3:衛宮さんはすぐに人を甘やかす 
4:一方通行、ライダー、バーサーカー、キャスターを警戒 
5:少しは衛宮さんを頼る 
[備考] 
※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です 
※空間転移の制限 
 距離に反比例して精度にブレが出るようです。 
 ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が
130.7kg。 
 その他制限については不明。 
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました 
※エスポワール会議に参加しました 
※美琴の死により常に空虚感があります 
 空間転移は正常に使用できない可能性が高いです 
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 
 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 
 
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最終更新:2010年01月24日 22:38