燃えつきない流星 ◆g5DEhSoQIc
「俺は───殺し合いには乗らない」
ファサリナに問われ、ゼロシステムまで使って得たヒイロが出すべき答え。
殺し合いには乗らない。それがヒイロの出した答えだった。
「ファサリナ、お前は俺が帝愛の魔法を信じていると言ったな。確かにそうかもしれない。
だが、優勝を狙うならば他にもう1つ信じなければいけないことがある。
そもそも奴らが優勝者の望みを聞き入れるつもりがあるかどうかという問題だ」
「それは…」
ファサリナも分かっている。帝愛はあらゆる意味で普通ではないし、信用も全くできない。
仮にこの殺し合いに勝った所で帝愛が約束を守るという保証などどこにも無いのだ。
優勝者へのご褒美は実は首輪の爆破でした───などという可能性は決して否定できない。
「…それに、優勝して仮にリリーナ達を蘇生、帰還させることができた所で、
いつまたこのような事が起きないとも限らない。
極論、今度は人類全てにこうやって殺し合いを強要させるかもしれない。
帝愛をこのまま放置しておいては世界に本当の平和が来ることは無いだろう」
目的の人物を生き返らせても、帝愛がその人物に二度と手出ししないという保証もまたどこにも無い。
それにこのような組織が世界で暗躍すれば次に何がおきるかわからない。
『魔法』の力とやらを利用すれば全人類を巻き込んだ戦争だって簡単に起こせるだろう。
「そしてゼロが俺に見せた未来…、そこには何も無かった。
あらゆるものを殺し尽くした結果、そこには何も残っていなかった。そんな未来を俺は選ばない。
だから俺は帝愛を潰す。
奴らが本当に人を蘇生させる力を持っていると言うならそれを奪い、リリーナを蘇生させる」
ヒイロがゼロシステムで見た未来は炎や残骸、死体の山が溢れる中、
そこに立っていたのは自分1人だけだった。
平和を作るために戦ってきたヒイロにとって全てを破壊した結果、
最後に何も残らないなどと言う結果は到底受け入れられるようなものではなかった。
「…これが俺の答えだ。改めて聞く。ファサリナ、お前はどうするつもりだ。」
今度はファサリナの答えを聞くため、ヒイロが問い掛ける。
ヒイロの目に迷いや恐れは全く感じられない。
(…同志…私は…)
ヒイロの答えを聞き、ファサリナはこの少年の精神的強さを改めて理解した。
思えば始めから彼はこうだった。
この異常な状況下においても冷静に現状を把握し、その上でに主催に反撃すると言った。
それに自分にはヒイロ程に心を強く持つことができない。
それがわかっていたからこそファサリナはヒイロに対して希望を持ち、この少年に賭けてみようと思ったのだ。
「………わかりました。ならば私もあなたに協力して主催を打倒し、同志を蘇生させるために戦います」
ここであくまで殺し合いに乗るべきと主張すれば、ヒイロはファサリナを障害と認識し、排除にかかるだろう。
それに殺し合いに乗れば乗ったで生き残っている全ての参加者を敵に回す事になる。
ここで自分が倒れれば当然カギ爪の蘇生など叶わないし、
よしんば切り抜けられたとしても、その後1人で何十人もの参加者を相手にするにも限界がある。
殺し合いに乗り優勝を目指すにせよ、主催を打倒するにせよ、どの道厳しい戦いになるのは間違いないだろう。
ならばやはり1人で戦うよりもヒイロと共に戦った方が良いだろうとファサリナは考えた。
「確かに同志を生き返らせ、元の世界に帰還させることができたとしても、
もしまた同志が連れ去られるようなことがあっては何の意味もありません…。
それにこうしていちいち取り乱しているようでは、同志を蘇生させるなど夢のまた夢…。
…ならばいい加減、私も覚悟を決めましょう。私の、そして同志の理想を叶えるためにも…」
「………それならいい」
それにヒイロの言う事にも一理あった。優勝して同志を生き返らせ、
元の世界に帰してそれでもう二度と帝愛に連れ去られないとは決して断言できない。
同志に常に不発弾を持たせるような物だ。
本当の意味で同志を救うためには始めから主催を打倒するしか道は無いと考えた。
ファサリナの返答を聞いたヒイロもとりあえずその場は納得したようで、
リリーナの遺体発見に端を発した口論はひとまずそれで落ち着いた。
◆
「…ここを離れる前にこの方を弔ってあげないといけませんね…」
「…館の内部に土を掘る道具の1つや2つあるだろう」
話が落ち着いた後、リリーナの遺体を埋葬するために2人は館の内部へ入り、そこに置いてあったシャベルを持ち出してきた。
そうして2人は館のそばに穴を掘り、ヒイロはファサリナが見繕った白いローブに包まれたリリーナの体をを掘った穴の底に置いた。
何度も殺すと言い放ちつつも、結局自分には殺せなかった少女。
それどころか自分の方から早く殺しに来いなどと叫んだ少女。
その少女は今やもう何も言わぬ体となってヒイロの前に存在した。
このような結果になってしまったことを悔やみつつも、
今はもう何も言わぬ少女に向かい、ヒイロも何も言わずファサリナと共にリリーナの身体に土を掛けた。
◆
「確かB-3には城があったはずだ。そこを通って間欠泉に向かう」
「そうですね。城に立ち寄ることで何らかの収穫があるかもしれませんし」
リリーナの埋葬を終え、シャベルをデイバックにしまった2人は、城を経由して間欠泉に向かう事にした。
城を調査することで何か有用なものが見つかるかもしれないし、他の参加者がいる可能性もあった。
このゲームを破壊し、主催を打倒しようと考えているのが自分達だけとも思えない。
運良くそんな参加者と接触し、協力関係を作ることができれば僥倖だ。
と言っても城はすでに武器を求めてやって来た
バーサーカーのせいで完全に崩壊していたし、
その後城に来た
伊達政宗もすでに城から立ち去っていたのだが、そんな事2人は知る由も無い。
2度目の放送の時間がすぐ近くに迫る中で2人は館を後にし、かつて城があった場所に向けて歩き出した。
【C-3/憩いの館/1日目/昼】
【ファサリナ@ガン×ソード】
[状態]:健康
[服装]:自前の服
[装備]:ゲイボルグ@Fate/stay night 、M67破片手榴弾x*********@現実(ヒイロとはんぶんこした)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1個(確認済み)、 軽音部のラジカセ@けいおん、シャベル@現実
[思考] 基本:主催を倒し、可能なら
カギ爪の男を蘇生させる
1:ヒイロと共に行動する
2:間欠泉を調べ終わったら、早く新しい同士を集めたい
3:なるべく単独行動は避けたい
4:ゼロなどの明確な危険人物の排除。戦力にならない人間の間引き。無理はしない。
[備考]
※21話「空に願いを、地に平和を」の
ヴァン戦後より参戦。
※トレーズ、ゼクスを危険人物として、デュオ、五飛を協力が可能かもしれぬ人物として認識しています
※ヒイロを他の惑星から来た人物と考えており、主催者はそれが可能な程の技術を持つと警戒(恐怖)しています
※同志の死に疑念を抱いていますが、ほとんど死んだものとして行動しています
※「ふわふわ時間」を歌っている人や演奏している人に興味を持っています
※ラジカセの中にはテープが入っています(A面は『ふわふわ時間』B面は不明)
【
ヒイロ・ユイ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:左肩に銃創(治療済み)
[服装]:普段着(Tシャツに半ズボン)
[装備]:コルト ガバメント(自動銃/2/7発/予備7x5発)@現実、M67破片手榴弾x*********@現実(ファサリナとはんぶんこした)
ゼロシステム@新機動戦記ガンダムW
[道具]:基本支給品一式、B-2と記された小さな紙切れ@現実
『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~
戦場の絆~』解説冊子、シャベル@現実
[思考] 基本:主催を倒し、可能ならリリーナを蘇生させる
1:城を通って間欠泉へ向かう
2:ゼロなどの明確な危険人物の排除
[備考]
※参戦時期は未定。少なくとも37話「ゼロ対エピオン」の最後以降。
※D-1エリアにおいて数度大きな爆発が起こりました。
※ヴァンを同志の敵と認識しています
※ファサリナの言う異星云々の話に少し信憑性を感じ始めています。
※ファサリナのことは主催に対抗する協力者として認識しています。
※それと同時に、殺し合いに乗りうる人物として警戒もしています。
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最終更新:2010年01月18日 02:00