とある蛇の観測的美学 ◆CgCz1GHD8o



困ったことになった。
いや、とてもという訳じゃあないんだが――。

「あー嬢ちゃん」

「……はい?」

「さっきの力、歪曲だっけか? 凄いじゃねえか」

「ありがとうございます……」

そう、ささいな問題だ。
だがっ!

「…………」

「…………」

このままだとまずいな……。
別に仲良くなりたいわけじゃない、むしろこんな化け物みたいな奴とは仲良くなりたくねえ。
だけどな不味くなったら裏切るとはいえ一応は協力関係の相手だ。
このままだといざって時に足を引っ張られる可能性がある。
さて、と。……じゃあどうするか。
こいつ全く自分から喋ろうとはしないしよお。
ま、警戒するのはあたりまえだけど明らかにさっきのライダーという女の時とはなんかちげえよな。
さ、どうするか。

★★★★★★★★

「ありがとうございます……」

駄目だ、どうしても話が続かない。
勿論このサーシェスっていう人自体が信用できないということもあるけれど、良く思ったら私――男の人とこんな風に話すのは先輩だけだったから。
どうすればいいんだろう……何を話せば。

「…………」

「…………」

そうしてまた無言が続く。
隣で歩いているサーシェスさんを見ると何かを考えてるようで話しづらい。
私、こんなに人と話すの苦手だったけ……。
そう思って少しここに来る前に自分によく話しかけてくれた人の事を思い出す。

―――――――――――

『ありがとうございます、黒桐さん』

『はぁ……だから敬語じゃなくて良いって』

『だけど』

『藤乃はもう少し積極的に自分を出すべきよ』

『……良いの黒桐さん。私はこれで』

『全く藤乃は……。そんなんじゃ藤乃負けるわよ』

『何に?』

『恋に!』

『……』

―――――――――――

……苦手でしたね。
だけど、今までそれを感じなかったのは何故だろう。

少し考えて一つの結論に至る。
もしかして、ライダーさんだったから?
何でだろう。何でライダーさんの時は普通に話せていたんだろう。
やっぱり、同じ女性同士だったから?
それとも私が話しやすいようにしてくれた?

そんなわけは無いですよね? ライダーさん。

そう思って自分が今まで歩いた道を振り返る。

「ん?」

「あ、どうした嬢ちゃん」

「いえ……」

「そうか」

私はまた前を向く。
それにしても今の感じ……何だったんだろう。
まるでライダーさんがいるような――。
そんなわけない。
だって、ライダーさんは私との協力関係を自ら切ったから。
だからそんなわけない……。

あ、何ででしょう。
また、ちょっと、胸が痛い。

★★★★★★★★

「いえ……」

「そうか」

隣に居る嬢ちゃんが急に声を上げたから、こっちもつられて後ろを見ても何もいねえ。
気配を探るってこともできるが動きを止めるわけにもいかないし、こっちには嬢ちゃんがいるからまた俺も前を向きなおす。
さて、でどうするかだな。
仕方ない、普通に話すぐらいしかねえよな……あっちは相槌しか打って来ねえがマシ、か。

「嬢ちゃ――」

突然風が吹いてきたからだ。
ちょっと強めの風が。
問題のはまあそこじゃなく。
その風と一緒に聞こえてきた何かが壊れる小さな音。
何だこれは……。
今はもう聞こえねえが多分あれは戦闘音、だよなあ。
流石にあんな大きな風は吹かねえだろうし……、ただあっちで何かしら起こってるのは事実。
でも、この距離からはなんも見れねえしどうするか。
そして、ふと視線を隣にずらした俺の目にあるものが飛び込んできた。

「嬢ちゃん」

「はい、なんですか?」

あっちはあの小さな音が聞こえなかったみたいだな。
俺も職業がら気づけたってレベルだから、あれは。

「その、ゴーグル?」

指で自分の顔の横をとんとんと叩きジャスチャーと共に伝える。

「ゴーグルがどうかしましたか?」

あの音を聞いてない嬢ちゃんはきょとんと首をかしげる。

「それの横についてるのって、双眼鏡として使える用のじゃねえのかな、って思ってな」


「はい。使えますけど、どうかしたんですか?」

さっきそのゴーグルを見たときにあったから言ってみたが、どうやらビンゴだったみたいだな。

「今ちょっとあっちの方で音がしたから、見てくれないか」

俺は風が吹いてきた方向――地図で表すと政庁の方角を指差す。

「分かりました、ちょっと待っててください」

そう言って嬢ちゃんは、ゴーグルの機能を使って調整しだした。

「どうだ見えるか?」

いじっていたが中々見えないらしいな。
やっぱりそうだよな……。
あの音からしてここより離れてる位置から聞こえてるはずだから双眼鏡じゃ見れないか。

「……っ、見えました」

「そうか!」

見えた?
やっとピントが合ったて事か?
まぁ、見えたなら良いな、どうなってるのか早く教えてもらわないとな。

「多分、サーシェスさんが聞いた音の原因は……漆黒の鎧に、黒のマントをはおってる人がいるんですけど、その人だと思います」

漆黒の鎧? 黒のマントってのは信長って奴と被るけどあいつは金だったよな? てことは別人なのか。
いや途中で装備を変えたって可能性もあるよな。
だけど、別の人物って可能性もあるし、今は信長ともう一人の人物両方この殺し合いにいると仮定した方がいいか。
とまあ、一番はそんな奴はここでくたばってくれりゃあいいんだが、厳しいだろうな。

「えっと、後は二人ですね。黒いツンツン髪の男の子と、白髪の男の子です」

白いのは一方通行だよな。だけど、黒い髪ってのは誰だ?
信長の方に向かうって言ってたが、あとの二人は金髪と茶髪。黒じゃない。
どうしたんだ……。考えられるのは別のグループと合流したってことだろうけど、二人だけで戦ってんのか?

「あ、今新しい人が来ました。褐色の肌で髪は白です」

その言葉に俺は、思考を中断する。

「なっ! 嬢ちゃん!」

「は、はい……?」

ちょっと落ち着け。
嬢ちゃんが驚いてるだろ。
あくまで冷静に。
焦りは戦場において禁物だ。例え今が窮地じゃないとしてもここでは気を抜いちゃいけねえ。

「そいつは赤い布を纏ってるか?」

頭の中にある、その条件にあう奴の見た目を嬢ちゃんに尋ねる。

「いえ、黒い服だけです」

黒い服?
いや、確かあいつは、アーチャーは赤の下に黒。
何かしらあって赤いのを脱いだっていうことか。

「えっと、今黒い子が白い子を連れていきました。で……あ、え!?」

「どうした、嬢ちゃん」

突然叫びだした嬢ちゃんに声をかけると出てきた言葉はにわかには信じがたいい内容だった。

「褐色の人と漆黒の人が、消えた?」

「はあ!?」

どういう事だよ、消えたって。
嬢ちゃんの方を見ても嘘を言っているようには見えないし、消えたってことは消えたんだよなあ。
ただ人が消えるなんて事ありえるのか。
いや、あのアーチャーって奴は武器をどこからか出していたよな。
って事はこれももしかしてそれと似た類の力か?

「嬢ちゃんその後どんな感じだ?」

消えたといった以降黙ったままの嬢ちゃんに聞いてみる。

「えっと、あ、動きがありました。今度はなんか黒いのが出てきて……あ」

「どうなったんだ」

急に何も言わなくなった嬢ちゃんに対して、何かあったのかと聞くと嬢ちゃんはまだちょっと驚きが抜けきってない感じで口を開いた。

「あの、褐色の人が死んだみたいで、その、漆黒の人が禁止エリアに入って行きました。そして、黒い髪の子が戻ってきました……」

「はあ!?」

本当にどうなってんだ。
帝愛の奴らは言ってなかったか。禁止エリアに入ると首輪が爆発するって。
なんだ、それは嘘だったってことか? いや、まさかそんな誰が気付きそうな事を言うか? これが無かったら一気に帝愛は危険になるんだぞ。
てことは残る可能性は一つ――信長が首輪を解除したしかないよな。

分からねえ、だけどここはそんなに戦闘があった場所からは、音が聞こえたって事だから離れてないわけだよな。なら、危険だな。早く嬢ちゃんを連れ。
待てよ、別にその必要ってあるのか?
あのアーチャーって奴が死んだのは良かった。
てことはよ……。

――こっちの方が断然いいじゃねえか。

「嬢ちゃん、その黒い髪の坊主や褐色の男はあっちから来てなかったか?」

そう言い俺が指さすのは政庁などがある方角。
さっき風が吹いてきた方角だ。
そしてその問いかけに嬢ちゃんはこくんと頷く。

「よし、なら作戦変更だ」

「え?」

嬢ちゃんは良く分からないといった風な顔をする。
ま、突然言われたらそうだよな。
だから、俺は嬢ちゃんに作戦を教える。

「ま、聞いてくれ。俺がまずあっちの陣営に何とかしてもぐりこむ。大丈夫だ、あっちには俺の事を疑ってない連中が居るから。そして嬢ちゃんはその間に遠くなるが南の方へと経由して象の像へと向かう。そして、嬢ちゃんが到着するまでの時間を俺がなんとかして稼ぎ、嬢ちゃんが到着したら挟み撃ちって訳だ。今まで仲間だと思ってたやつから撃たれるなんてそうそう思わないだろ。だから、こっちの方が成功率はあがるぜ」

「だけど、それは危なくないですか?」

嬢ちゃんは心配なのか、この作戦が失敗しそうだと思うのかそう聞いてきた。

「心配しなくても大丈夫だ。な」

「でも」

ここで俺はあたかも目の前の嬢ちゃんを心配してるかの素振りを見せながら喋る。
こんな嬢ちゃんを信じさせるなんて俺にとっては余りにも楽すぎることだ。

「なぁ、嬢ちゃん。絶対大丈夫だ。この作戦には秘訣がある」

秘訣ってのは勿論ない。
どうせ嬢ちゃんとはここで別れるのだから何を言っても構わない

「サーシェスさん……。分かりました」

ほらな、こんなんで嬢ちゃんは信じてくれる。

「よし、そうと決まれば早く言った方が良いぜ」

「はい、分かりました」

そう言って嬢ちゃんが南の方へと駆けていき、背中が見えるまで仮面をかぶる。
そしてその背中が見えなくなったと同時に、腹の底から抑えきれない笑いがあふれてきた。

「はっはは。……嬢ちゃん、そんなに人を信じちゃ駄目だぜ」

俺があっちの陣営の足どめを挟み撃ち? 嬢ちゃんの為?

「そんな訳ねえだろ」

あんな化け物。
せいぜい俺の作戦に役だって死んでもらうに限るよな。
俺の作戦があんなもんだと思ったのか? それが本当ならおめでたいな!
俺が考えたりあっち側に居るのは、あのスザクとか言う奴らなのは一方通行が居ることから確実。
そして、奴らに俺の姿がばれなかったという事はアーチャーと一緒に居た奴でも俺の正体には気づかない。
って事はアーチャー以外は気づけず、そのアーチャーも死んだ。
なら俺にとってわざわざこの嬢ちゃんといるメリットは薄い。
むしろあいつらと合流する方が良い。
何故って、勿論嬢ちゃん達の悪評を居場所をばらまくためにな。
まあ、大体の人間は嬢ちゃん達の事は知っているだろうが居場所までは知らないだろう。
そう、だから奴らは象の像へと向かう。
しかし、そこには嬢ちゃんが居て戦闘は免れないだろう。
そして勝敗がついた後残った方を後ろからってやつだ。
これでこの殺し合いに反抗する勢力はつぶれ、あとは適当に不意打ちで仕留めとるかまたどこかに忍び込めばいいだろう。
さ、決まったことだしあいつらと合流でもするとするか。

「嬢ちゃん、何人道連れにしてくれるか楽しみにしてるぜ」

そうして、俺は政庁の方へと駆けだす。
その先に生まれる戦闘の匂いに心躍らせながら。

【E-7/一日目/夕方】
アリー・アル・サーシェス@機動戦士ガンダムOO】
[状態]:疲労(小)、腹部にダメージ、髭をそった、髪を少し切ってイメチェン
[服装]:ジャケットとズボンと靴(動きやすさは抜群)
[装備]:ガトリングガン@戦国BASARA 残弾数50% 果物ナイフ@現実 作業用ドライバー数本@現実 タバコとライター@現実
[道具]:基本支給品一式、 ガトリングガンの予備弾装(3回分) ショットガンの予備弾丸×78 文化包丁@現実 
[思考]
基本:この戦争を勝ち上がり、帝愛を雇い主にする。
1:スザク達と合流して一気に殲滅する
2:第三放送前に合流を目指す
3:更に周辺を見て回り、できれば組める相手を見つける。 それが最適な選択になるならば、組んだ相手を騙すことも。
4:殺し合いをより楽しむ為に強力な武器を手に入れる。
5:ゼクスは胡散臭いが、彼の知り合いに接触する価値はある。 恩を売っておきたい。
  余裕があれば暦に接触してみたい。
【備考】
※セカンドシーズン第九話、刹那達との交戦後からの参戦です。
※五飛からガンダムWの世界の情報を取得(ゼクスに関してはやや誤解あり。ゼクス=裏切りもの?)。真偽は保留にしています。
 情報収集のためにヒイロ、トレーズ、デュオ、伊達政宗神原駿河と接触する方針を続行。
※この世界の違和感(言語の問題等)は帝愛のせい、ということで納得しているようです。
※D-6のデパートには駐車場(車あり)があるようです。
※スザク、レイ、一方通行がアーチャーに接触した可能性があるとみています。
※E-3へ奇襲を仕掛けるか、逆に離れるかは、ライダーと藤乃の出方次第です。
※ライダーとはアーチャーが、藤乃とは式が、それぞれに共通した敵であると伝えました。

★★★★★★★★

風が吹いた。
それは当り前の事だけれどどうやらサーシェスさんは違ったらしい。

「嬢ちゃん」

「はい、なんですか?」

「その、ゴーグル?」

指での顔の横をとんとんと叩き、私にジャスチャーと共に伝える。

「ゴーグルがどうかしましたか?」

ゴーグルについて何か聞きたいのは分かったけど、何が言いたいんだろう? と首を傾けていると

「それの横についてるのって、双眼鏡として使える用のじゃねえのかな、って思ってな」

サーシェスさんがそう私に言った。
確かにサーシェスさんの言うとおり説明書にはそう書いてあった気がする。
だけど、そう何でだろう。

「はい。使えますけど、どうかしたんですか?」

「今ちょっとあっちの方で音がしたから、見てくれないか」

サーシェスさんはさっきちょうど風が吹いてきた方向――地図で表すと政庁の方角を指差した。
音、ですか。
私は聞こえなかったけどサーシェスさんは傭兵らしいし聞き取れたのかもしれない。
なら、ここは言う通り見てみたほうがいいと思った。

「分かりました、ちょっと待っててください」

そう言って私は、ゴーグルの機能を使って調整しだした。
どうやら自動的にピントなどは色々と調節してくれるらしいが、それでも何百メートルも先は見れず、機械も調節に時間がかかっている。
そして、しばらくの間覗いててどうやらこの機械で見れる限界まで試したが映らなかった。

「どうだ見えるか?」

サーシェスさんが流石に時間がかかりすぎると思ったのか、そう聞いてくる。
……どうせサーシェスさんには分からないし平気かな。
そう思い私は千里眼を使う。
機械で見れる限界を越し、この千里眼でも見れる限界ちょっと近くになったころ、ようやく私の視界に映りだした。

「……っ、見えました」

そして見えた景色に移ったのは――信じられない光景だった。
口でサーシェスさんにその状況を教えながら私は千里眼をその位置に保つために神経を集中させる。

「多分、サーシェスさんが聞いた音の原因は……漆黒の鎧に、黒のマントをはおってる人がいるんですけど、その人だと思います」

あの人は確か、織田信長
その名前はサーシェスさんには伏せておく事にしよう。
サーシェスさんは詳細名簿の事を知らないし、教える必要もありませんよね。
で、織田信長ですか……。この場所で気をつけなきゃいけない戦国武将の一人。
あの真田さんと同じだけあってそれはもうまるで人とは思えない様子ですけど、何だろう真田さんとは全く違う。
あの人は、嫌いだ。
織田さんと戦っているのは……上条さんと一方通行さんですね。

「えっと、後は二人ですね。黒いツンツン髪の男の子と、白髪の男の子です」

あの白い髪の一方通行さんは織田さんの剣を弾きとばしている。でも、何か特別な事をしているようには見えませんけど、何をしてるんでしょうか。
私の時も歪曲を返されたし……もしかして反射する能力でも持っているのかもしれません。
もう一人の上条さんは織田さんから出ている黒い霧みたいなものを打ち消しています。
どういう事なんでしょうか……。
霧を吹き飛ばしている、だけどむしろ消滅している感じ。
両儀さんと同じ能力を使っている。
私の能力を破ったのと同じ。
なら、上条さんももしかしたら魔眼持ちかもしれないですね。
あ、一方通行さんが倒れた。
だけど特に織田さんの攻撃を食らった様子は無かった。
なら、何で。
あれは確か、アーチャーさん。

「新しい人が来ました。褐色の肌で髪は白です」

ライダーさんと同じでサーヴァントですよね。
あ、一方通行さんを担いで上条さんは何処かへ行こうとしてるみたいですね。その間の時間を稼ぐためにアーチャーさんが来たんでしょうか。
そう考えていた私の隣で何か驚いてるなと思っていたらサーシェスさんが今までより大きい声で話に話しかけてきた。

「なっ! 嬢ちゃん!」

「は、はい……?」

何か今そんな風になるような事を言ったかと、考えても特に見当たらない。
いや、確か会った時アーチャーさんと敵対していると言っていたからでしょうか。

「そいつは赤い布を纏ってるか?」

確かに参加者名簿のアーチャーさんも赤い布を纏っていた、けど今は纏ってない。

「いえ、黒い服だけです」

そう言って私はまた見ることに専念する。
上条さんが一方通行さんを連れ、どこかへ行きアーチャーさんが何かを呟いてる。
声は聞こえないけど何を言っているんだろうと思っていると、そうそれは突然起きた。

「えっと、今黒い子が白い子を連れていきました。で……あ、え!?」

「どうした、嬢ちゃん」

余りの事に驚きの声が漏れてしまった。
だけど、それは仕方ない事です。

「褐色の人と漆黒の人が、消えた?」

今もちょっと信じられなくて、少し質問してるかのような感じになる。
だけど、本当に信じられません。
何で急に。
直前まで何かを喋っていましたが何かあるのでしょうか?

「はあ!?」

サーシェスさんも私と同じように驚いている。
実際見てないから仕方ないと思う、見た私もそうなんだから。

「嬢ちゃんその後どんな感じだ?」

その後しばらく、お互いに喋って無かったのですがサーシェスさんがそう訊いてきて、私は何も、答えようとした瞬間に動きがあった。

「えっと、あ、動きがありました。今度はなんか黒いのが出てきて……あ」

「どうなったんだ」

何が起こったのかが自分でも分からないながらも、サーシェスさんに説明する。

「あの、褐色の人が死んだみたいで、その、漆黒の人が禁止エリアに入って行きました。そして、黒い髪の子が戻ってきました……」

「はあ!?」

本当にどうなってるんだろう。
その事をいうと隣のサーシェスさんが何か考えている様子だったので、私もその事について考えてみることにする。
あの、織田さんと言う人が何故禁止エリアに入れたか。
やっぱりそれはこれしかないですよね。
あの人は何らかの方法で首輪を解除したのだ。
それがどういう方法かは分からないけど、首輪は解除できるという事です。
だけど、あの人自身に聞く事は無理だろうし、結局今までとはそんなに変わらないですね。
そして次に急に消えた謎についてですけど、やっぱりアーチャーさんが何らかの魔術を使ったと考えるべきですよね。
それを一応サーシェスさんに伝えようとする前に、そのサーシェスさんが私にある事を聞いてきた。

「嬢ちゃん、その黒い髪の坊主や褐色の男はあっちから来てなかったか?」

そう言いサーシェスさんが指さすのは政庁などがある方角。
確かにあっちあたりの方から来ていた気がする。
だからその問いかけに私はこくんと頷く。
だけど何でサーシェスさんはあっち側の方角から来ていたけど何で分かるんだろう?
確か音がちょっと聞こえたって言ってからでしょうか。

「よし、なら作戦変更だ」

「え?」

サーシェスさんが言った言葉に私は驚きを隠せなかった。
そもそもサーシェスさんが参加者を一網打尽に出来る方法があるというからわざわざライダーさんと別れたのに何を言っているんだろう。
私たちは象の像に集まる反抗勢力を殺すためにいまいるんじゃ。
だけど、サーシェスさんは別に象の像を襲うのは変わらないと言って、それにこう続けた

「ま、聞いてくれ。俺がまずあっちの陣営に何とかしてもぐりこむ。大丈夫だ、あっちには俺の事を疑ってない連中が居るから。そして嬢ちゃんはその間に遠くなるが南の方へと経由して象の像へと向かう。そして、嬢ちゃんが到着するまでの時間を俺がなんとかして稼ぎ、嬢ちゃんが到着したら挟み撃ちって訳だ。今まで仲間だと思ってたやつから撃たれるなんてそうそう思わないだろ。だから、こっちの方が成功率はあがるぜ」

確かにそっちの方が後ろも取れて良いとは思う。
でもその作戦は危険だと思った。

「だけど、それは危なくないですか?」

勿論サーシェスさんがという事もあるが、一番は成功率だ。
もし上手く入り込めなかった時点でその作戦は終わってしまうし、象の像へと向かう私にも危険が及ぶ。

「心配しなくても大丈夫だ。な」

そんなのじゃあてにならない。
そう言おうと思って口を開きましたが

「でも」

その言葉はサーシェスさんの言葉に遮られた。

「なぁ、嬢ちゃん。この作戦には秘訣がある」

「サーシェスさん。…………分かりました」

その秘訣がどんなものかは分からないけど、サーシェスさんは頭がよく回る人だと思う。
そのサーシェスさんがそこまで言うなら信じてみるのも手ですよね。
そう思った私はサーシェスさんに言われ南に走り出す。
後ろを振り返ってもサーシェスさんには怪しいところなどなく、大丈夫だと思い私は象の像へと急ぐ。
だけど、その私の前に一つの閃光が立ちふさがった。

★★★★★★★★

「全く聞いてみれば」

去っていたサーシェスの姿が見えなくなってから、周りを見たのち私は一人で呟く。
フジノ、そこで騙されてはいけません。
そしてサーシェス。貴方は笑うなら全てが終わった後にしといた方がいいですよ。
それにしてもなかなかいい事を知りました。
織田信長、アーチャー、消えた。
聞こえてきた情報から考えるとおそらくアーチャーは固有結界をつかえたのでしょう。
そしてそれを打ち破ったのは織田信長。
この島で最も注意すべき人物ですね。

それにしてもどうしますか……。
このままだと絶対の確率でフジノは死ぬでしょう。
私にとっては、そうどうでも良いんですが。
本当にどうでも――。
だけど、あれですね。
この原因を作ったのは私がサーシェスにフジノを同行させたという事にありますし。
それに、フジノには魔力を多少貰ったという事もありますし、ね。
こんな事は本当にこれ一度きり。
そう自分に言い聞かせて、私はフジノが走って言った方向へと駆ける。

そして直ぐに私の目はフジノを捉え、前に立ちふさがる。

「え、ライダーさん? な、何でここに?」

突然私が出てきた事に驚いたのか、フジノはあわてたように喋る。

「少し貴方達の事を尾行していました」

そして私は驚いてる彼女を前にその事実を告げる。

「え、尾行。どうして、ですか?」

「やはりあのサーシェスという男が気になりまして」

そう、特に彼女が心配だったとか罪悪感があったとかそんな理由は……無い。
私は更にサーシェスの作戦の真意をフジノに伝える。

「そんな……。あ、なら早く戻らないと」

それを聞いてサーシェスの所に戻ろうとするフジノの腕を私はつかむ。

「その必要はありません」

「え?」

なぜ、私が止めたのかが分からないフジノはなぜ? といった目で訊いてくる。

「魚は泳がせておくのが一番ですよ」

そう言って私はフジノを完全に制止させる。

「どういうことですか」

こっち向き直ったフジノにさっきの言葉の意味を伝える。

「サーシェスの狙いはフジノとあっち側にいるという反抗勢力の一掃。ならば私たちはそこに罠をしかけましょう。私にはこれがあります」

そう言って私は取り出す。
他にもいくつかある、まだ出した事のない支給品の一つ。
私はバックに入っている象の像への罠を利用できる支給品を――

「これって、カードですか?」

私がそう言って出した物が、カードだった事にちょっと気が抜けたかのような声でフジノは私に訊く。

「はい。これは『簡易版・魔女狩りの王』と言うそうです。付属の説明書によるとですね。このカードは三十枚で一組みらしく、発動させたい場所にカードを設置すると、一回限りの炎の巨人みたいなものが出てくるらしいですよ」

「だけど、これじゃあ相手が強かったらあっという間に終わってしまいませんか?」

「確かにフジノが思う事も当然でしょうね。この島には戦国武将と言う強者が居る事は事実です。だけど、その戦国武将を倒した時の事を思い出してくれますか?」

「あの時の事ですか」

そうして、目の前のフジノは目を閉じてあの時の事を話し始めた。

「あの時は、電車でまずホームに入ったんですよね」

「はい、そうこの魔女狩りの王で出来る事は不意を突く事」

「そうですよね。あ、あの時と同じ用に直ぐ歪曲をぶつけたりすれば良いんですね」

「はい」

そう、私たちの戦い方は少しばかりの時間さえあれば十分。
それにいざという時は私がフジノの間合いに敵を入れればいい話です。

「さて、では行きましょうか」

あんまりのんびりしている訳にはいきません。
そう思い、私は南下するルート上通らないといけない宇宙開発局の方を見る

「あの、ライダーさん」

「なんですか?」

象の像へと向かおうとした矢先に、言われたので出鼻をくじかれた感がいなめないが私はフジノの方に向き直る。

「その、どうして戻ってきてくれたんですか? このまま放っておけば……私もろとも反抗している勢力を倒せるんですよ?」

ああ、そのことですか。
その理由は色々あるが、きっとそれを表すのはこれだけでも充分だろう。

「決まっているじゃないですか」

「何ですか?」

「ただの、気紛れですよ」

それと少しの罪悪感などがあったのはがあったのは黙っておこう。
だから、ちょっと照れ隠しに私から雑談を振ってみることにした。

「そういえば、フジノは冬木という町を知っていますか?」

★★★★★★★★

急に現れたライダーさんには驚いたけど、嬉しかった。
やっぱりこの島では長くいるから?
……きっと、そう。そうに違いないはずですよね。
それとやっぱりライダーさんとは普通に話せている事に、ちょっと疑問を思う。
だけど、今は別にそれは関係ない。
私たちは早く象の像へと向かわなくちゃいけないのだから。
だけど、少しやっぱり理由を聞いてみたくなったから私はライダーさんに聞いてみる。
どういて私の所に戻ってきてくれたのか。
それを聞くとライダーさんは気紛れといったけど、顔をそらしているのから何かあるのかもしれない。
だけど、今の私にはそれを知るすべはない。
だけど、何かあるという事が分かっただけでも良いのかもしれない。
だって、さっきと違ってとても足取りが軽くなっていますから。

「そういえば、フジノは冬木という町を知っていますか?」

そして、私とライダーさんは話しながら歩く。
新たな戦いの場へと――二人で

【E-7南部/一日目/夕方】
【浅上藤乃@空の境界】
[状態]:千里眼覚醒・頬に掠り傷(応急処置済み)疲労(中)後頭部に打撲(応急処置済み) 全身に軽い刺し傷(応急処置済み)
[服装]:黒い服装@現地調達
[装備]:軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品一式、拡声器@現実
[思考]
基本:幹也を生き返らせる為、また自分の為(半無自覚)に、別に人殺しがしたい訳ではないが人を殺す。
1:南の方面からライダーさんと象の象を目指す。
2:サーシェスを敵視。象の像へと罠をかける。
3:人を凶ることで快楽を感じる(無自覚)。
4:断末魔サービスを利用したい
5:サーヴァントと戦国武将に警戒。
6:できれば式を凶る。
7:それ以外の人物に会ったら先輩の事を聞き凶る。
8:逃げた罰として千石撫子の死体を見つけたら凶る。
[備考]
※式との戦いの途中から参戦。盲腸炎や怪我は完治しており、痛覚麻痺も今は治っている

【ライダー@Fate/stay night】
[状態]:右腕に深い刺し傷(応急処置済み) 若干の打撲 、両足に銃痕(応急処置済み)
[服装]:自分の服
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式x3、簡易版魔女狩りの王@とある魔術の禁書目録、ライダーの眼帯、不明支給品x0~4、眼鏡セット(魔眼殺しの眼鏡@空の境界 を含む)@アニロワ3rdオリジナル、
    天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night、デリンジャーの予備弾薬@現実、
    ウェンディのリボルバー(残弾1)@ガン×ソード 、参加者詳細名簿@アニロワ3rdオリジナル、デリンジャー(0/2)@現実
[思考]
基本:優勝して元の世界に帰還する。
1:藤乃を利用して、殺しあいを有利に進める。
2:象の像にてサーシェスを利用する
3:サーヴァントと戦国武将に警戒。
4:魔力を集めながら、何処かに結界を敷く。
5:戦闘の出来ない人間は血を採って放置する。
6:次の行動を考える。
7:できれば首輪を回収したい。
[備考]
※参戦時期は、第12話 「空を裂く」より前。
C.C.の過去を断片的に視た為、ある種の共感を抱いています。
※忍者刀の紐は外しました。
※藤乃の裏切りに備えて魔眼で対応できる様に、眼帯を外しています。
※藤乃の千里眼には気づいていない様子です。
※戦国BASARA勢の参加者をサーヴァントと同様の存在と認識しました。
※以下の石化の魔眼の制限を確認しました。
 通常よりはるかに遅い進行で足元から石化。
 魔眼の効果を持続させるには魔力を消費し続けないといけない。
 なお、魔力消費を解除すれば対象の石化は解ける。
※頭の中に響いていた雑音は弱まりました
※E-3の象の像の前に、第三放送前に対主催派の人間が集まる事を知りました。

【簡易版・魔女狩りの王@とある魔術の禁書目録】
三十枚一組みのルーンが書かれたカードのセットとなっており、インデックスにより誰でも使えるように書かれている。
ただし、その代わりに原作と同じように復活せず一度やられたら、カードと共に消滅するようになっている。
またカード枚数も少ないので半分以上のカードが無くなっても消滅するようになってある。
発動条件は決められた呪文をカードが配置されてる位置から半径10m以内で喋る事。
見た目は炎の巨人を象る重油の人型であり、3000℃の炎の塊なので復活せずとも使い道は多岐にわたる。
配置の仕方の説明書もついてあります。
防水加工もしており、水などに濡れても薄れないようになってある。
使うときの呪文は以下の通り
世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ
それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり
それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり
その名は炎、その役は剣
顕現せよ、我が身を喰らいて力よ為せ


時系列順で読む


投下順で読む



199:ツンデレンタル 浅上藤乃 220:ふじのスパイラル
199:ツンデレンタル ライダー 220:ふじのスパイラル
199:ツンデレンタル アリー・アル・サーシェス 224:5人と1人ともう1人(前編)


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年03月17日 17:53