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「聖少女領域」(後編) - (2007/01/28 (日) 22:56:51) のソース
*「聖少女領域」(後編) ◆LXe12sNRSs 薄暗いブティック内を、少女の甲高い悲鳴が支配していく。 ジュンは、その声に確かに聞き覚えがあった。 あの時の彼女はこのような奇声を上げることなどなかったが、それでも声質はまったく同じ。 服装、髪型、何かに怯える弱々しい表情など……ところどころ変わってはいたものの、今の声を聞いて確信した。 目の前の少女は、長門有希(朝倉涼子)。防波堤でジュンを襲い、遊園地で劉鳳に牙をむいた殺戮者である。 少女の正体に気づいたジュンはまず警戒し、すぐに何か武器になるような物がないか辺りを捜し回る。 しかしここはブティック。見渡す範囲であるものはマネキン、洋服、バッグ等。武器になるようなものなど何もない。 あの時は騙まし討ちが効いたからいいものを、同じ手は二度と通用しないだろう。もしここで襲われたら、ジュンは確実に負ける。 なら外に出て、劉鳳に助けを求めるか――いや、彼とて戦闘中だ。助けを求めてもすぐに応じてくれるかは怪しい。 突然の事態ゆえに混乱と思考を同時に展開しつつ、ジュンは長門有希――彼女の真の名前が朝倉涼子であるという事実を、彼はまだ知らない――の方を見る。 そして、気づいた。彼女がマネキンの影に隠れたまま、いっこうに姿を現さないことに。 ……様子がおかしい。怪訝に思いながらも、ジュンはゆっくりと朝倉涼子に歩み寄っていった。 先ほどの恐怖に落とされた表情もそうだが、今の朝倉涼子の姿からは、防波堤で感じた時のような嫌な感覚がしない。 「いや……いや……いやぁぁ……」 よく見ると、彼女の顔は暗く青ざめ、目尻には涙のようなものさえ確認できた。 怯えている。先ほどの赤いコートの男ならともかく、何の力も持たない丸腰のジュンに。 受け入れがたい現実に直面し、ジュンは首を捻った。 目の前の少女は、間違いなく長門有希(朝倉涼子)だ。もうそこは疑わない。 だが、いったいこの変貌振りはなんなのか。考えるが、答えは出ない。 「お、おい……」 「…………ヒィッ!?」 ジュンは見かねて声をかけたが、朝倉涼子はやはり怯えた声しか返さない。 まったく意味不明。これほどまでの恐怖を駆り立てる要因とは、いったいなんなのか。 死、そして恐怖という概念を学習した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスに、ジュンは答えの出ない疑問を抱き続けた。 ◇ ◇ ◇ 警告。警告。警告。危険が迫っている。 対象、野原ひろし。今から約七時間前、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス朝倉涼子から意識を奪った要注意人物。 警告。警告。警告。再度の接触の可能性有り。 危険。危険。危険。 死亡確率上昇。死亡確率上昇。 警告。警告。警告。 ――朝倉涼子の脳内では、ノイズを通り越して、もはや意味不明となった警告音声が延々と鳴り続けていた。 それはまるで壊れたラジオのようで。脳内データベースの中からは野原ひろし(桜田ジュン)との戦闘記録が強引に呼び起こされ、恐怖を駆り立てる。 ハンマー投げ選手のように回転するジュンと、それに打ち払われる朝倉涼子。その後、意識が遮断されたのはまやかしではない。絶対的な事実。 故に、恐怖が全身を蝕む。死への予感が、脳神経を麻痺させる。 身体は自然と震え、眼からは涙も流れた。 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスが、人間でなければ成し得ない行動を、極自然に行っていたのだ。 本来なら、これは情報統合思念体にとっても喜ばしいケースである。が、本人にとってはたまったものではない。 有機生命体の死に対する概念、あんなものは知るべきではなかった。知らなければ、こんな事態には陥らなかったのに。 行動――特に戦闘を行う上では、恐怖という概念は邪魔にしかならない。今、朝倉涼子はそれを身をもって知った。 目の前の少年が怖い。今度もまた、あの時のように意識を奪われてしまうのではないだろうか。 それだけでは飽き足らず、今回は殺害にまで及んでしまうのではないのだろうか。 末には、死が訪れるのではないだろうか。 朝倉涼子は怯え、必死に生存確率を上げる方法を模索した。 一度敗れた相手に絶対的な恐怖心を抱く。放送によれば相手は死んだ人間のはず、その不可解さも恐怖の要因の一つ。 人間でいうところのトラウマ症状に陥った彼女は、それでも生きることを諦めなかったのだ。 理由は単純。『死にたくないから』。 ただこの一念に縛られ、あるべきはずのない動物的本能が朝倉を駆り立てる。 「いや……こっちに、こないでええエェェェェェェェェェェェ!!!」 静かに歩み寄ってきたジュンに対し、朝倉は現在発揮できる精一杯の勇気を持って立ち向かった。 身を隠す盾にしていたマネキン、その二の腕を掴み、力任せに放り投げる。 その行動は、正に死を迫られた動物の本能が成せる業といえた。 朝倉が普通の少女であれば近くにある小物をポイポイ投げるだけで済むだろうが、能力面で秀でてしまっている彼女は、投擲の道具に一番有り得ないものを選択したのだ。 もちろん、ジュンにとってこれは予測外。 まさかマネキンが投げ込まれるとは思ってもみなく、回避もままならないまま、腹からその衝撃を受け止める。 胃が圧迫され、一瞬呼吸が止まった。悶絶するようにその場に崩れ落ち、盛大に咳き込む。 「ごっ、ゴホッ、な、なんだってんだよ……いった――――い!?」 呼吸を整えつつ腹部の痛みに耐える。その間も、朝倉涼子を支配する恐怖という闇は、増長の勢いを衰えない。 何を狂乱したか、朝倉はそこら中にあるマネキンをポイポイ投げ捨て、全てジュンの下に放った。 そのスピード、形容するならメジャーリーガーの豪速球並みである。 連続で当たればそれこそ洒落にならない。ジュンは背筋を凍らせ、無我夢中でマネキンの散弾を避けた。 走り、しゃがみ、飛び、転がり、いくら動き回っても、攻撃の雨は止みそうにない。 人間でいうところの錯乱状態に陥った朝倉は、とにかく目に付いた武器と成り得る物体を投げることに専念し、恐怖から逃れようと必死だった。 錯乱しているため、正確な狙いがつけられていなかったことは不幸中の幸いといえただろうか。 ジュンは死に物狂いでマネキンを回避し続け、視界だけで朝倉涼子の姿を追う。 怯えてはいるものの、どうやらここから逃走するという考えは頭に入っていないらしい。 ブティック内を無造作に動き続け、ジュンへの攻撃をいっこうにやめようとしない。 (む、むちゃくちゃだ――ッ!) 防波堤の時のように、相手の先の行動を予測することがまったくできない。 何をしでかすか分からない危うさを感じつつも、ジュンはこの状況を打破するため攻めに転じる決心をした。 朝倉に習い、周囲に残骸として散らばったマネキン――その片足を拝借し、鈍器代わりとして装備する。 「うらああああああああああああ!!」 ジュンは腹の底から声を出し、朝倉を威嚇しながら突進した。 突然攻防の関係が変化したことにより、朝倉は怯み――というよりも怯え――動きを止める。 不恰好な武器を振り翳してくるジュンに対し、朝倉は怯えた表情にさらなる淀みを見せた。 が、ジュンにとってはそんなことは知ったこっちゃない。 相手が自分を怖がっていようがなんだろうが、マネキンを豪速球並みの威力で放り込まれて黙っていられるだろうか。 過去に襲われた前例もある。今さら言葉で説得しようなんて気はおきない。 ならば逃走はどうか。いいや、ここはそんなことが出来る場面じゃない。諦める方向には進めない。そう、ここは抗う場面だ! ジュンは意を決し、渾身の力でマネキンの足を振り被る。 狙うのは頭。一撃必殺の急所であり、相手を死に至らしめる可能性も秘めた、危うい箇所。 だが躊躇っている暇はない。ここは多少強引な手段を用いてでも、朝倉を無力化させなければ。 「――なッ!?」 ――決意の一撃は、朝倉の腕によっていとも容易く防がれた。 頭に直撃しようとした寸前、朝倉はマネキンの足を握っていたジュンの手首を掴み、それ以上の動きを不可能にさせた。 驚異的な握力の下に腕が硬直し、次第に手元からマネキンの足がポロッと毀れる。 その間朝倉はというと、フー、フー、とやたら荒い息遣いをさせながら、涙ぐんだ瞳でジュンの顔を睨みつけていた。 ジュンは察する。この顔は、まだ何かを狙っている眼だ。 次は何が来る――このまま殴るか、それとも投げ飛ばされるか――どちらにせよ腕を掴まれたままではろくな抵抗ができない――それでも諦めるわけには――! 思考を続ける最中、朝倉はまたしてもジュンにとって予想外な行動を取って見せた。 なんと、ジュンの身体に思い切り抱きついてきたのだ。 「な!? お、おいちょ……ぐぅッ!」 しかしそこからバトル以外の展開に突入することなどはなく。 朝倉はジュンの身体を全身で包み込み、背中に爪を立ててきたのだ。 「フッ、フッ、フッ……」 「ぐ……くっ、そ……!」 ゴリラかと思うほどのパワーに、ジュンは抗うことができなかった。 背中に突き立てられた鋭い爪は、ジュンの服ごと肉を裂き、その半透明な輝きを赤く染める。 ジュンは何とか逃げようと身体を捻るが、荒い息遣いのまま力を込める朝倉には、まったくと言っていいほど通用しない。 朝倉の世間体を全て投げ捨てたかのような荒々しい攻撃は続き、爪の次は己の歯を――ジュンの左首筋に思い切り突き立てた。 別に、実は朝倉が吸血鬼で、唐突に吸血衝動に駆られたというわけではない。 理論は、至って原始的に。爪の歯も、人型を成す自分のパーツの中で、最も鋭さを持った部分を攻撃に使用したに過ぎない。 動物が持つ歯は素晴らしい。さすがに普段の日常から食事という形で鍛えぬかれているだけのことはあり、武器として使うには申し分ないほどの威力を保持していた。 その証拠に、ジュンの左首筋の肉が、朝倉の歯によって容易く食い千切られる。 「痛ッ――イテェェェッ!!」 たまらず叫んだジュンは、痛みから来る底力を駆使してなんとか朝倉を引き剥がすことに成功した。 距離を取り、改めて朝倉の姿を見る。そして、再度認識するのだった。 ――この女は、異常だ。 恐怖に駆られながらも、自己の存在を守るため本能的に戦いの道を選択している。 その戦い方から見ても、人間というよりは野生の動物に近い――ある意味では、生まれたての、感情を持ち始めたばかりの生物らしい仕草であった。 「いてぇ……くそ、クソッ! クソッ! チクショウッ!」 傷を負った箇所を摩り、ジュンは改めて現在の危機的状況を受け入れる。 目の前の少女は、もはや防波堤で戦ったあの長門有希(朝倉涼子)とは別人と言ってしまって過言ではない。 生きることに精一杯なあまり、自己の防衛本能が動物的な野生を帯びてきたのだ。 これを進化と呼ぶか退化と呼ぶかは、人によって変わってくるだろう。 どちらにせよ、ジュンにとっては厄介極まりないことだ。なにせ、ここで負ければ間違いなく自分は死ぬ。 ……ダメだ。そんなわけにはいかない。 このゲーム会場にはまだ真紅や翠星石、蒼星石たちドールがいる。 いつも自室の窓を突き破り、事あるごとに紅茶とスコーンを要求し、キッチンを魔境に変える。 騒がしいことこの上ない、実に厄介な連中だった。思い出しただけでも頭を抱えたくなるような、それくらいに騒がしい奴等だった。 なのに、不思議と嫌悪感は湧かない。ジュンにとっては、いつの間にかあのドールたちとの日常が当たり前になっていたから。 そうだ。みんな、真紅も翠星石も蒼星石も、あの水銀燈までもが無事でいる。 家に帰れば雛苺が待っているだろうし、騒がしい金糸雀だってやって来るだろう。 それに、それに、家にはまだ、家族が―― 「僕は……あいつらを連れて、家に帰るんだ……こんなところで、死ねるかよ……」 マネキンの足をもう一度拾い、朝倉の前に躍り出る。 戦意は失っていない。これは、二度目の賭けだ。 再度の勝負。今度も絶対、モノにする。モノにしてみせる。 「――姉ちゃん一人残して、こんなところで死ねるかよッ!!」 叫んで、ジュンが突攻した。 先ほどまでとは比較にならない、決意に満ちた突撃。 それを前に朝倉涼子は―― 「うん、それ無理」 久方ぶりの笑顔を見せ、ジュンにその言葉を送った―― ◇ ◇ ◇ 次の瞬間、ブティック内の様子は急変を遂げた。 薄暗かった室内は一変して虹色の光を照らし出し、壁という存在は風景と一体化して消失していた。 マネキンの残骸や散り散りになった衣服の群れはまだ転がっていたが、ドアや窓などの出口になるような箇所は全て見当たらない。 ジュンはまるで入り口も出口もない、永遠の迷宮に彷徨い込んでしまったような、そんな感覚に襲われる。 「これは……nのフィールド? 違う……何かが違う……なんなんだよ、この嫌な感じ……」 nのフィールドとは、現実世界と表裏一体をなす異次元空間のこと。 だがあれは、ドールたちや彼女等に付き従う人工精霊の力なしでは入れない領域。 まさか近くに真紅たちがいるのでは、と辺りを探してみたが、姿はない。 代わりに見つけたのは、異次元世界の中心に悠然と立つ、朝倉涼子の姿。 その表情は怯えではなく、不気味な微笑みへと変わっていた。 「人間はさあ、よく『追い込まれることで限界以上の力を発揮する』って言うよね。これ、どう思う?」 朝倉はこれまでの態度を一変させ、何の悪気もないような笑顔を振りまいてジュンに質問をする。 「以前までの私はね、そんなこと絶対にないと思ってた。 だって限界は超えられないからこその限界であって、超えちゃったらそれはもう限界とは呼べないと思うの。 猫に追い詰められた鼠は相手の尻尾に噛み付くくらいのことはしてみせるだろうけど、感情の起伏が激しい人間にはそれは無理な行為。 さっきの私みたいに恐怖に蝕まれたらそこから脱出することなんて不可能だと思うし、危機を認識したところでそれを乗り越えるほどのパワーは出せないはずなの。だって人間には限界があるから」 質問の返答を待たず、朝倉は急に饒舌になり出した。 この唐突な変貌振りにジュンは疑念を抱き、同時に得体の知れぬ危機感を覚えだす。 今の朝倉涼子は見からに大人しい、無害そうな一般女子高生という印象。そのはずなのに。 「でもね、人間は本当に恐ろしくて恐ろしくしょうがなくなると、案外簡単にその恐怖を乗り越えられるものなの。 こういうの、『開き直り』っていうのかな。私はついさっき、それを実感して気づいた。 恐怖なんていう感情は、結局のところ上辺だけのものでしかないのよね。 あなたにだって、過去に敗北したという経験があるからこそ恐怖を抱いたわけで、よく考えてみればそれはまったく無意味なものだったの。 だって、あなたは所詮人間だけど、私は人間じゃあないんだもの。これって、結構大きな差だと思わない?」 訳が分からない。朝倉の会話は急に危ない電波を受信したかのように狂いだし、ジュンの理解を超えた。 それでも、朝倉は喋ることをやめない。これまでの自分を反省するかのごとく、怒涛の勢いで舌を回す。 「普通にやれば、私はあなたなんかには絶対負けない。もちろん、殺されることもない。私はそんな当たり前の事実を、ついさっき学習したのよ。 無我夢中で戦って、恐怖に抗った上で勝ち取った戦果。人間でいうところの、悟りを開いたって感じかな? 長門有希のバックアップにしか過ぎなかった私が、今はこんなにも有機生命体の感情を理解している。これって素晴らしいことだと思わない?」 「しらねぇよ!」 朝倉の言葉攻めに飽き飽きしてきたジュンは、痺れを切らして彼女に突っ込んだ。 が、その脚は二歩ほど駆けたところで止められる。 突如として、気流のように形作られた透明な槍が、ジュンの両足を貫いたのだ。 「グっ……あぁ!」 「無駄。この建物内は既に、私の情報制御下にある。攻撃に必要な物質を創り出すことも容易だし、脱出経路も完全に封鎖したわ。 この世界では能力が制限されているらしくて、分子の構成情報をいじるのにちょっと時間が掛かったけど、なんと私、ここに入った時から既に改変を進めていたみたいなのよね。 たぶん無我夢中だったんだと思う。これも死を逃れたいっていう恐怖心から来る、限界以上の力の発揮ってやつかな? 今の私なら、きっと長門さんでも付け入る隙はないと思う。死にたくないっていう必死な思いが、私に限界以上の力を引き出してくれたんだよ!」 両腕を大きく広げ、今にも羽ばたきそうなポーズを取って歓喜する。 これまでにない満面の笑顔――有機生命体の死の概念を理解し、恐怖を覚え、それを打開する方法も学習した。 今の朝倉涼子なら、間違いなく長門有希と対等――いや、それ以上といって過言ではない。 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス。その存在を超越した一つのパターンが、今ここに。 「こんなところで……こんなところで……死ぬわけには! いかないんだよっ!!」 それでも、ジュンは諦めなかった。 ジュンに対しての恐怖を一切なくした朝倉涼子は、自身の情報制御下に置かれた空間に立つ朝倉涼子は、ただの人間の手に負える代物ではない。 言うなれば――かつてキョンが長門たちを一片にそう称した――『宇宙人』。 侵略をするわけではないとしても、未知の地球外生命体に敵う要素は、何一つとして持ち合わせていなかったのだ。 この、桜田ジュンという有機生命体。 「もう一度言うよ。それ無理♪」 朝倉の微笑む眼前で、ジュンは身体の中心に風穴を開けた。 ◇ ◇ ◇ 『ジュンくーん、今日のご飯はみんな大好き花丸ハンバーグですよー』 『やったー! ヒナのりの花丸ハンバーグ大好きなのー!』 『こぉら雛苺! その一番でっかいのは翠星石の分なのです! チビチビの雛苺には、こっちの残りっカスで十分なのですぅ』 『まったく……大人気ないよ、翠星石』 『やれやれ……本当に騒がしい姉妹たちだわ。あらジュン、手が付いていないようだけれど、どうかしたのかしら? ジュン?……ジュ…………ン…………ジ…………ュ…………ン』 一瞬、ほんの一瞬だけ。 みんなが食卓に並び、のりの作った花丸ハンバーグをつついている光景が見えて、すぐに霧散した。 (ヤバッ……走馬灯じゃんこれ……あ……でも……悪く、ない) ほんの一瞬の幸福。 これもまた、朝倉涼子には知りえない人間の神秘だった。 それはこれから先もずっと、解明されることはないのだろう。 情報制御が施された室内が、静かに崩壊していく。 残ったのは、マネキンの残骸ばかりが乱雑するブティック一軒。 中には、桜田ジュンという名前だった有機生命体の死骸が一体。 外へは、朝倉涼子ただ一人が帰還した。 ◇ ◇ ◇ 改めて、思う。 人間は素晴らしい。負の感情すらも己の力に変え、無限の進化パターンを持っている。 そして、今まで死という概念すら知らなかった自分が、その人間に近づけたという成果はさらに素晴らしい。 もう長門有希なんて目じゃない。たとえ彼女の邪魔が入ろうとも、今の自分なら容易く彼女を凌駕できる。 不安要素なんて、もうないに等しかった。朝倉涼子は、恐怖の先に自分の新たな可能性を切り開けたから。 「はぁ~、もうこれはいよいよ、キョンくんに会うのが楽しみになってきたなぁ。 彼を殺したら、涼宮ハルヒはいったいどんな変化を見せるのか……やっと、それが分かりそう。 硬直状態を解くなら早いに越したことはないし、やっぱり善は急げ、だよね」 らんらんという鼻歌が聞こえそうなほどに浮かれ、朝倉涼子は廃墟と化した街をスキップで渡り歩く。 その道中、そう遠くはないところから何かの激突音が聞こえてきた。 そちらの方角を見ると、空中で何かがぶつかり合っている。あれは……人、だろうか。 「あれは……あの時の高次元存在アクセス能力者――劉鳳」 朝倉涼子が死の概念を理解する少し前、アルターという興味深い能力を持った男性と遭遇したことを思い出す。 あの能力には、まだ未知的な部分が多様に詰まっている。逃すのは惜しい、と常々思っていたところだ。 ちょうどいい。いい機会だから、あの情報もここでもらっておこう。 朝倉は戦地へと赴くことを決め、方向を変えた。 そこに、かつてのような恐れはない。 恐れの先には、可能性があることに気づいたから。 その可能性を信じれば、怖くなどない。 ――朝倉涼子はまだ気づいていない。その考えが、過信であることを。 ――その証拠に、彼女は死という概念を忘れてなどはいない。だから。 「HAHAHAHAHAHAHA!」 「――――!?」 進む朝倉涼子の背後、積もり山となった残骸の中から、赤いコートの男が顔を出した。 「――この私に、引っ込んでいろとは! つくづく……つくづく楽しませてくれるなぁヒューマン! だが、私を蔑ろにするとはあまりにも愚かではないか? カズマに劉鳳……恐れ知らずというのもまた、面白い」 ――この男、この赤いコートの怪人には、見覚えがある。 そうだ、あの時。数時間前に、自分を攻め立てたあの――怪物。 「あっ……あ……あ」 朝倉の身体に、変化が現れた。 迷いなく進んでいたはずの脚は急にストップし、徐々に震えを帯びていく。 声は掠れ、搾り出すこともかなわない。視線は赤いコートの男に釘付けとなり、目を反らすことができなくなっていた。 ――おかしい。これは、この感情はいったいなに? 脳が危険信号を発し、本能が逃げろと訴えている。 かつてこの男に追い詰められた時とまるで同じ――そう、これは恐怖という感情に他ならない。 「なん、で……私は……恐怖を克服したはずなのに……」 違う。それは錯覚。 朝倉涼子という存在には、まだ『死』という概念が刻まれている。 無論、死と密接に関係している『恐怖』という概念もまた同様。 それは簡単な話だった。朝倉は自身の力に絶対的な自信を持っており、恐怖を超えた先に力の向上があるということも学んだ。 しかし、それは相手がジュン――自分よりも絶対に弱いという確証があったからこその話。 だがこの男は――吸血鬼であるアーカードは、朝倉の能力を持ってしてもその確証が得られる相手ではない。 故に、恐怖する。確証がない故に、乗り越えた先に勝利が待っているとも断言できない。 故に、恐怖を乗り越えることが出来ない。単純な理屈。 「ほう、まだ生きていたか」 朝倉の存在に気づいたアーカードは、声をかける。 が、そこに彼女を見直したような印象の変化はなく。 道端の小石を見るようなどうでもいい視線を浴びせ、朝倉の恐怖を駆り立てた。 そして同じく、道端の小石を跳ね除けるような他愛もない動作で、朝倉を死に追いやろうと腕を伸ばす。 ――その恐怖が再び、朝倉涼子に臨界点を突破させた。 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 言葉にならない発狂を起こし、途端に朝倉の足場が崩落する。 崩れ落ちる残骸の山を跳び越えながら、アーカードは地下に落ちていく朝倉を見た。 その姿は、失望を通り越して哀れにも思えるほど。 カズマと劉鳳に出会えた高揚感を萎えさせるくらいに、アーカードは気を落とす。 しかし次の瞬間、朝倉涼子が意地を見せた。 「……なに? この臭いは――――」 異変を感じた直後、朝倉と――その周囲一体数百メートルで、閃光が迸った。 一瞬の後、爆発。 「ガス爆発だと!? なかなか知恵の働くヒューマンだ! ――だが!」 ほぼ無意識の内に、朝倉は地下に通っていたガス管を破裂させ、爆発を引き起こしたのだ。 その規模は大きく、いとも簡単にエリア全体を覆っていく。 爆心地に身を置く者はただでは済まない――そう思われたが、逸早く爆発の予兆を察知したアーカードは、常人離れした跳躍をもってこれを空に回避。 爆風は全身を天高く持ち上げ、アーカードの姿を青空に消した。 ◇ ◇ ◇ 『おーい、カッズマくーん』 ――なんだよ、早いじゃねぇかよ君島ぁ。こっちはさっき起きたばっかだぜ。 『ったくしょうがねぇーなお前は。ほら、さっさと行こうぜ』 ――ああ、そうだな……。 『カズくん、どっか行っちゃうの? 今日は牧場で働いてくれるって言ってたのに』 ――あ、悪いなかなみ。ちょっとした野暮用だ。 『そんなこと言って、いっつも帰ってこないくせに。もう米も野菜も残り少ないんだよ? どうするの?』 ――あぁ、いや、だから! なんとかしようと思ってさぁ……。 『甲斐性なしのろくでなしだぁ』 ――あぅ……スンマセン。 『仕方ないよかなみちゃん。だってカズマはクズなんだからさっ』 ――お、お前に言われたくねぇよ! 『ははっ、ほら早く行こうぜカズマ』 『カズくん牧場ぉ』 ――ああもう、分かったつうの! 分かったから二人とも………… …………目覚めると、身体はひび割れた大地の上に倒れていた。 「…………ああ、夢か。そっか」 泡沫の中で、懐かしい光景を目の当たりにしたような気がする。 それはとても心地が良くて、怒りなんていう感情とは無縁の平和な環境だった。 思い出しても、もう二度と手に入らない。そんな、夢想に消えた思い出。 辺りを見渡すと、そこら中に崩れ散った建物の跡が見えた。 覚えがある。これらは、カズマもしくは劉鳳が破壊した建造物の残骸。 いや、それだけではない。確か劉鳳との戦いの最中――謎の紅い閃光とガス臭い悪臭を感じ、直後に何かが爆発したのだ。 劉鳳の姿はない。戦いの最中に乱入してきた赤いコートの男も。周囲には誰も見当たらなかった。 カズマ一人、闘争の濁りとは無縁の、晴れた青空を見上げる。 手を伸ばせば掴めそうな、そんな気さえして、右腕を上げた。 眩しく照らす太陽を右手の中心に捉え、掴む。 そうして、瞼は自然と閉じていった。 「死んだからムカついて、ムカついたからブン殴って、なんか、もう疲れちまったよ……かなみ、君島……」 眩しすぎる晴天にやられ、カズマはゆっくりと堕ちていった。 夢に。 ◇ ◇ ◇ 崩壊した大地に、劉鳳が立つ。 「クッ……」 その場に、宿敵であるカズマの姿はない。 因縁の対決に終止符がうたれる。そう確信し始めた間際に起こった、爆発。 恐らく市街全域に通っていたパイプラインを誘爆させ、あのエリア諸共吹き飛ばそうと算段したのだろう。 実行者は、あの赤いコートの男だろうか。何の力もない少女を襲う辺りから見ても、相当な下衆であることが窺えた。 「まさかカズマがあれしきのことで死ぬとは思えんが……桜田は、無事だろうか」 気にかかるのは、苦労を重ねて信頼を築いた、たった一人の仲間。 少女の保護を頼んだものの、本心で言えば、彼はどうにも頼りない。 うまく爆発の範囲外に逃げてくれていればいいのだが……その願いも、すぐに崩れ落ちることになる。 「桜田……ッ!?」 廃墟を歩む、その進路方向に。 まるで障害物の如く、一人の少年の死体が転がっていた。 接近して確認してみると、その少年はまず間違いなく桜田ジュンその人だった。 爆発による衝撃で倒れているだけとも思ったが、腹に空いた風穴を見る限り、どうやら死因は別にあるらしい。 槍――いや、大きさから見るに、柱や鉄骨か何かで腹部を貫かれている。 その傷口があまりにも綺麗な円形を描いていることに疑問を抱いたが、それはすぐに解消されることになった。 「……これは」 劉鳳はジュンの死体の下からはみ出した、一つの物体を発見する。 煤で汚れてはいたが、それはどうやら布でできた何からしい。 形状は輪っか。そしてその中心には、堂々とした筆跡によってこう書かれていた――『団長』と。 「まさか……長門有希が!?」 この腕章には覚えがある。あの時遊園地で遭遇した少女――長門有希(朝倉涼子)が腕に付けていたものだ。 同時に彼女が使っていた不可解な力、意味深な行動理念を思い出し、一つの結論を弾き出す。 (桜田ジュンを殺害し、あのガス爆発を引き起こしたのは……長門有希。 まさか、あの赤いコートの男やカズマと戦闘している最中も……いや、ひょっとしたら桜田と出合った頃から……俺は監視されていたのか?) 影からずっと機を窺っていたのだとしたら。彼女ならやりかねない。 劉鳳は込み上げてきた怒りを手の平に集中させ、朝倉の腕章を力の限り握りつぶした。 「桜田、お前の仇はこの俺が必ず討つ。長門有希、あの赤いコートの男、そして、カズマ! 俺は俺の中にあるルールで、奴等を悪と断定するッ!」 痛みを押して、劉鳳は突き進んだ。 正義は立ち止まれない。決して。 それが間違った見解だったとしても。 ◇ ◇ ◇ 屈辱を通り越して、これはもはや笑い話の領域に入ることだろう。 ひび割れたビルを根城に、アーカードは薄暗い内部で息を吐く。 カズマに劉鳳――実に面白い人間達だった。 吸血鬼を前に恐れを抱くこともなく、ただ誇りと信念を振り翳して行動する。 そしてもちろん、それに見合った実力を持っていることも評価したい。 「この私を、吸血鬼という存在をあそこまで愚弄したことには、敬意を評すべきだろうな」 クククッ、と笑みを零し、静かに時を待つ。 外は晴天、吸血鬼が行動するのに適した天候ではない。 身体の傷を治癒するのに使う時間は、この日中の間に当てよう。 アーカードは決して浅くはないダメージを負いながらも、未だに余裕の佇まいでそこに存在していた。 ◇ ◇ ◇ ――します――――に――――。 チカチカと、赤い光が蛍火のように灯っては消え、灯っては消え。 喧しい機械音すら奏で始め、眠りについていた者はたまらず意識を取り戻した。 「……う、……ん」 寝ぼけ眼で身体を動かし、自身を覆っていた瓦礫の数々を払いのける。 何時間ぶりかの日の光。容赦なく照らされる熱線は、少女の瞳を自然に細めていく。 彼女、朝倉涼子は生きていた。 アーカードから逃げ延びるためにとった咄嗟の行動は、自分の身をも危険に晒してしまう非効率的なものだった。 それでも結果的には生を得て、ここに存在している。一か八かの賭けに、彼女は勝利したのだ。 「わたし……生きてる」 高鳴る鼓動、万全の四肢、煤汚れてはいるものの柔らかな皮膚、正常に働いている脳。 生きている。朝倉涼子はまだ、生きている。 誰もいない廃墟に一人立ち、その生をじっくりと噛み締めた。 これはもはや、奇跡と呼んでいいかもしれない。 ――思えば、わたしはもうこれで、四度も死を乗り越えたことになる。 一回目は先ほど殺害に成功した少年、野原ひろしに襲われた時。 わたしはあの時、確かに彼に敗北した。でも相手に命を奪うまでの覚悟がなかったのか、わたしは気絶しただけでその場を済ませている。 二回目は、劉鳳に襲い掛かった時。 わたしには、彼に勝てるだけの力があった。今思えば、それを過信しすぎていたのかもしれない。 わたしはまたもや有機生命体に敗北を喫し、死の概念を学習した。ここが、運命の転機だったんだ。 三回目。死を理解し恐れたわたしは、あの赤いコートの男と対峙して――崩壊した。 自己を保つことが出来ない、人間でいうところの精神錯乱に陥ったわたし。 でも結果的にわたしはその恐怖を乗り越え、自己を保つ術を身につけた。 彼、野原ひろしには感謝しなくてはならない。 彼のおかげで、わたしは極めて単純明快な、恐怖の克服方法を学習したのだ。 それはとても簡単なこと。 怖いのは、敵がわたしの命を狙っているから。 ならば、殺されるより先にその敵を殺してしまえばいい。 そうするだけで、わたしは死を免れる。わたしにはそれを実行できるだけの力がある。 四回目は、恐怖の感情こそ消えはしなかったものの、見事に死を克服することに成功した。 どうやらわたしは、窮地に立たされると強くなるタイプらしい。 ようは人間でいうところの、火事場のクソ力というやつだ。 「わたしは……わたしは、『死』の概念を克服したんだ! スゴイ、すごいよわたし! こんなこと、長門有希にだってできないよ!」 もう、もう何も怖くない! 死も、恐怖も、長門有希も、劉鳳も赤いコートの男も! 今のわたしは無敵、無敵の朝倉涼子なんだ! 有機生命体の概念を記録した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス……前代未聞! わたしは、長門有希でも到達できなかった領域に足を踏み入れたんだわ! こんなに……こんなに素晴らしいことはない! ――します――きに――――あと――― これは、情報統合思念体にとっても喜ぶべきこと! わたしはこのゲームで必ず生きて帰り、この記録を持ち帰らなければならない! そうと決まったら、グズグズなんてしていられないじゃない! 早く他のみんなを、わたしを殺すかもしれない奴らを先に皆殺しにしなきゃ! ――します――いきに――――あと―――いない―― ……なにやら、さっきから外野が騒がしい。 うるさいなぁ……せっかくいい気分だったのに。 ビィービィーいってるアラームみたいな音は、わたしの首筋から聞こえている。 チカチカ赤く光っているのは、これに付いているランプが点滅しているのだろう。 あ、でもこの音って、わたしを目覚めさせてくれた音なんだよね? だったら、これは目覚まし時計かな? でも首に目覚まし時計が付いているっていうのも変な話しだし……情報、照合。 分かった。これは、『首輪』。それも、『爆弾』の付いてるとびっきりな危険なやつ。 …………え? 『警告します。禁止区域に抵触しています。あと5秒以内に爆破します』 ……えっと、ちょっと待って。これって嘘だよね? 何かの間違いだよね? 『あと4秒――』 違うよね? これ、警告音なんかじゃないよね? ここが禁止エリアに指定されてて、現在時刻が15時0分26秒だからって、爆発したりしないよね? 『あと3秒――』 じゃあ何? このカウントダウンは、いったい何を数えているの? あと3秒――あと3秒経過したら、いったい何が起こるっていうの? 『あと2秒――』 分からない。ううん、分かるけど分かりたくない。怖い。それを認めるのは怖い――こわいこわいこわいこわいこわい。 駄目。絶対。あり得ない。冗談。よして。だって。だってだってだってだってだって。おかしいよこれ、おかしいよこれ。 『あと1秒――』 怖い、恐ろしい、死ぬ! 死ぬのはイヤ、イヤ、イヤ! イヤァ! 死にたくない、死にたくない! ダメ! 助けて! ひどい! こんなのってない! それ無理! それ無理だから、誰か、誰か助け―― ビィィ――――――――――――――――――――――――――――パァン。 >××××年×月×日。 >この日、地球に派遣した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス――パーソナルネーム『朝倉涼子』が謎の復帰を果たした。 >しかし、その消息はすぐに途絶え、後に確認を取ってみたところ、その信号を感知することはできなかった。 >情報伝達の不具合と判断。 >以前どおり『朝倉涼子』は××××年×月×日、急進派の意に同調したところを『長門有希』に粛清され、消去されたものとする。 >変更、特になし。 【E-3・東端の廃墟化した市街地/1日目/日中】 【カズマ@スクライド】 [状態]:睡眠中、疲労大、全身中程度の負傷(打ち身と裂傷が主) [装備]:なし [道具]:高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)、かなみのリボン@スクライド、支給品一式 :鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)ボディブレード [思考・状況] 1:劉鳳をぶっ飛ばす。 2:かなみ・鶴屋を殺害した人物を突き止め、ブチ殺す(ナイフを持っているやつと断定、かなみと鶴屋を殺した犯人は同じだと思っている)。 3:ギガゾンビを完膚無きまでにボコる。邪魔する奴はぶっ飛ばす。 4:なのはが心配。 【E-5・西端の廃墟化した市街地/1日目/日中】 【劉鳳@スクライド】 [状態]:疲労大、全身に中程度の負傷(打ち身と裂傷が主) [装備]:なし [道具]:デイバッグ、支給品一式、斬鉄剣@ルパン三世、SOS団腕章『団長』@涼宮ハルヒの憂鬱 :真紅似のビスクドール(目撃証言調達のため、遊園地内のファンシーショップで入手) [思考・状況] 1:長門有希(朝倉涼子)を見つけ出し、断罪する。 2:カズマと決着をつける。 3:ゲームに乗っていない人たちを保護し、この殺し合いから脱出させる。 4:そのためになるべく彼らと信頼を築く。 5:主催者、マーダーなどといった『悪』をこの手で断罪する。 6:赤いコートの男(アーカード)を見つけ出し、断罪する。 7:老人(ウォルター)を殺した犯人を見つけ出し、断罪する。 8:真紅を捜し、誤解を解く。 9:余裕が出来次第ホテルに向かう。 10:必ず自分の正義を貫く。 [備考] ※朝倉涼子のことを『長門有希』と認識しています。 ※ジュンを殺害し、E-4で爆発を起こした犯人を朝倉涼子と思っています。 ※例え相手が無害そうに見える相手でも、多少手荒くなっても油断無く応対します。 【D-4・南端に位置するビル内/1日目/日中】 【アーカード@HELLSING】 [状態]:全身に裂傷、中程度の火傷 [装備]:鎖鎌(ある程度、強化済み)、対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル(残弾無しのため、鈍器として使用予定) [道具]:無し [思考]: 1:夜まで回復に努める。 2:カズマ、劉鳳とはぜひ再戦したい。 &color(red){【桜田ジュン@ローゼンメイデンシリーズ 死亡】} &color(red){【朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡】} &color(red){[残り47人]} ※日中の時間帯、E-4ほぼ全域の市街地が、カズマと劉鳳とアーカードの戦闘及び朝倉涼子の引き起こしたガス爆発によって崩壊しました。現在は廃墟と化しています。 ※朝倉涼子が死亡したのは15時0分30秒ジャスト(禁止エリア侵入により首輪が爆発)。それまでは瓦礫の山に埋もれ、誰にも発見されていません。 *時系列順で読む Back:[[「聖少女領域」(前編)]] Next:[[契約しよう]] *投下順で読む Back:[[「聖少女領域」(前編)]] Next:[[契約しよう]] |171:[[「聖少女領域」(前編)]]|カズマ|| |171:[[「聖少女領域」(前編)]]|劉鳳|| |171:[[「聖少女領域」(前編)]]|アーカード|| |171:[[「聖少女領域」(前編)]]|&color(red){桜田ジュン}|| |171:[[「聖少女領域」(前編)]]|&color(red){朝倉涼子}||