盗賊の極意 ◆4Niu9EDMqM
「始めまして!私は扶桑皇国海軍少尉、合軍第501統合戦闘航空団所属の
航空ウィッチ、宮藤芳佳ともうします!」
「……あ、はい、カズマです」
「よろしくお願いします!安心してくださいカズマさん!
あなたの様な一般人を危険から守るのが私達ウィッチのお仕事ですから!」
「……あ、いえ、こちらこそ」
150cmの小さな身体で数々の戦場を駆け抜けてきた経験からか、
宮藤芳佳は理不尽な殺し合いを強いられるという異常事態にも臆することなく
崖の傍で夜風に当たりながら呆けているいかにも死にそうな貧相な少年を保護すべく声を掛けた。
「リーネちゃんやサーニャちゃんも連れて来られてるみたい。大丈夫かな?
……駄目だ!私が頑張らなきゃ!なんか鞄に支給品が入ってるみたいですね、
ゲームに乗せられてるみたいで癪ですけど一応確認しておきましょう」
「……あ、うん、そうだね」
何故か少年のテンションが異常に低いのが気になるが放置するわけにもいかない。
カズマに背を向け、地面に置いたデイバックを開ける為芳佳は膝を突いてしゃがんだ。
I(……おっかしいなぁ。確か美人で綺麗なお姉さんって紙に書いた筈なんだけどな。
お店の人が注文を取り違えちゃったのかな?まあこの娘も結構可愛いけどさ。
しっかしどんなプレイなんだ?殺し合いに放り込まれてパンツ丸出しの少女と二人っきりとか)
冒険者をスッキリさせる秘密のサキュバスの館で知り合いの男冒険者達とオーダーをし、
アクア達仲間との楽しい宴会や美味しい霜降り蟹や高級シュワシュワの魅力を振り切ってまで
欲望に忠実に生きるべく眠りについたカズマがベッドでウトウトしていたらいきなりこの場所へ
連れて来られていた。なんか殺しあえだの言われて符術師の兄ちゃんが死んだ時はわりかし
ビビってていたが、すぐに場面が切り替わってしばらくするとパンツ丸出しのこの娘が現れたので
これは夢だと確信したカズマだが、自分より年下っぽい好みの範疇と違う相手の出現に少々困惑していた。
自分に尻を向けて鞄をまさぐる姿は少々そそるものがあるがこの恰好は恥ずかしくないんだろうか?
(胸はなさそうがいい尻してるな。こうなったら仕方がない。
何が何でもこの娘でスッキリしないと蟹を用意して宴会してたみんなに悪いしな」
「つかぬことをお伺いするが宮藤さん。何故君はスカートやズボンの類を履いていないのでしょうか?」
「え?ズボンならちゃんと履いてますよ?なにか変ですか?」
ふむ、どう見てもパンツ丸出しだがこの軍属らしい少女は自分の恰好に特に疑問を抱いて居ないらしい。
たしかオーダーの髪には世間知らずの恥ずかしがるお姉さんとも書いたよな。
やっぱ恥ずかしがってることが重要だよな。ここまで堂々とパンツ丸出しだと逆に萎るぜ。
「ふっふっふ」
「え?どうしたんですかカズマさん?」
魔が差したカズマは不敵な笑みを浮かびながら立ち上がり、右手をかざした。
開いた手の平に眩い光が収束しはじめる。
「ほう、キミはどうしてもそのパンツをズボンと言い張るのだな。
つまるところそのピッチピチのズボンの下にちゃんと下着を身に付けているということなんだな。
うむ、ならば安心だ」
「へっ?」
先に断わっておくが、普段の彼はいくらなんでも唐突にこんなことはしない。
正規の時間軸だと殺されそうなサキュバスの娘を守る為に凶悪な面構えの女神ら三人に
全裸で立ち向かえるほどの男気のある男である。まあ確かに呪いのチョーカーを首に嵌めて
死にかけた時はめぐみんとゆんゆんに野球拳をさせたりアクアをパシリにつかってこき使う等
鬼畜行為の数々を繰り返すびっくりするほど欲望に忠実な面もあるにはあるが。
色々問題がありそうだけどいいんです。
いいんですよ、大丈夫です、だって、夢なんですから。
「スティィィィィーーーーーーーーーーーーーーーール!!!!!!」
「うーん。暗くて鞄の中が良く見えないなぁ。
……あれ?なんかお腹回りがスース―する?」
「ほう、これは悪くないな」
腰を屈めたまま芳佳が顔だけ後ろを振り向くと、カズマの右手に何やらスクール水着のような
布切れが握らていた。さっきまで何も持っていなかったはずだがどういう手品を使ったんだろうか?
にしてもあの布きれ、何処か見覚えが。
「えっ!?」
なんか下半身に違和感を感じて芳佳おそるおそる視線を下げていく。
「んなぁっ!?」
下半身に身に付けて居る筈のズボンが消滅し、芳佳は生肌を夜風に晒していた。
どういう方法を使ったのかは知らないが鼻の下を伸ばしたカズマの手に握られている
アレは間違いなく自分が履いていた―――。
「……い……い……!?」」
顔を見る見るうちに赤くし、芳佳は無意識のうちに右手に魔力を集中させていく。
パンツじゃないから恥ずかしくないもんとウィッチはよくいうが、
男の前で何も履いてなかったら恥ずかしいに決まっていた。
「いやああああああああああああああああ!!!!」
「なにっ!?」
いつの間にか頭に動物の耳を生やしている芳佳はその小柄な外見に似合わぬ驚異的な
速度で飛び跳ね、出遅れたカズマの至近距離まで接近する。
基本、使い魔と合体したウィッチは全員バルクホルン大尉程ではないが
無反動で重火器が撃てるほどには身体能力が強化される。そして芳香の右拳には
圧縮した小型のフィールドが展開されている。かつて芳佳は多重に張ったシールドを
前面に展開し突撃する事で大型ネウロイの体をブチ抜くという芸当をやってのけたことがある。
いわばこの技はその対人使用で属にいうピンポイントバリアパンチ。
半乱狂になった芳佳の魔力を込めたその一撃が無防備な性犯罪者の顔面をブチ抜いた。
「たわらばっっっっ!!!」
「あっ!しまった!」
顔面を歪ませたカズマは無様な叫びを上げながら宙を舞い、そのままの勢いで崖の下まで落ちていった。
「か、カズマさーーーーん!!」
崖の下の川の水面へと激しく水飛沫を上げながら直水したカズマは、
そのまま勢いよく川下へと流されていった。
「ど、どうしよう?まだ生きてるよね!あの人?」
我に返った芳佳は慌てふためいた。いくら相手が変質者とはいえ殺人を犯すつもりはない。
幸い川へ落ちたので首の骨が折れてなければ死んでいない筈だ。
「た、助けに行かなきゃ!なにか、箒みたいなのがあれば飛んで行ける筈!
……あ、あとズボンの代わりになるようなものを!」
冷たい夜風を履いてない下半身に当てながら大慌てで二つのディバッグの中身をひっくり返すのだった。
「おかしい、これは絶対おかしい」
川に流されながら目を覚まし、月明かりを眺めながら激しい痛みを
その身に感じるカズマはようやくこの場所が夢ではなくリアルであるという
可能性に気が付き始めていた。両手をかざすと、そこにはずぶぬれになった
紺色のスクール水着が。
「うわ、やべぇ」
【E-6/崖の上の森】
【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:何も履いてない
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品2~6
[思考・行動]
基本方針:民間人の保護
1:501隊の仲間と合流する
2:とりあえずカズマを助けに行く
※劇場版後から参戦。
【E-6/川】
【佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:顔面負傷、全身打撲、ずぶ濡れ
[装備]:なし
[道具]:宮藤芳佳のズボン@ストライクウィッチーズ
[思考・行動]
基本方針:
1:夢じゃなかったのか?
2:宮藤芳佳にズボンを返しに行って謝る
※アニメ9話でサキュバスの館へ行った後ベッドに入った直後から参戦。
※ディバッグと支給品を失いました
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最終更新:2016年09月29日 19:51