芳佳のあのね  ◆QkyDCV.pEw




佐藤和真が川から上がると、先程カズマをぶっとばして川に叩き込んだ少女が、息を切らしながら川岸を駆けてくるのが見えた。
「うん、見える」
セーラー服の上だけを着た少女、宮藤芳佳。川からあがってしゃがみこんだ姿勢のカズマからだと、その少女の夢のような下半分が暗闇の中に薄ぼんやりと白く見えた。
「見るんだがっ……今が夜なのが残念でならない。だがっ、そう、もう少し、もうちょいこっちに来れば! 見える、見えて来た! よしよしよしよしそうだそれだそこだ!」
駆け寄って来た芳佳は、ある程度距離が詰まった所で、おもむろにバッグから大きな丸い板のようなものを取り出し、あろう事か、自分の下半身前面を覆い隠したのだ。
「なんだとおおおおおおおおおおお!?」
カズマの絶叫が轟く。あまりの大声に芳佳はびっくりしてその場に足を止めてしまう。
「ちょっ、待てよ。待ってくれよ。なあ、いきなり理不尽に川に流されて、必死に川から上がった所に御褒美が待ち構えていたかと期待持たせておいて、そ! れ! は! ねえだろうがあああああああ!!」
いきなりキレるカズマさんに、あまり対人で強く出る事の少ない芳佳はうろたえるばかりだ。
そんな芳佳の態度に、カズマは更にヒートアップ。川に叩き込まれた事にそれなりに腹を立てているようで。
「あー、マジでさー、普通さー、いきなり川に叩き込むとかしますかー? ヒドイっすよねー、てか俺体中痛いんすけど、これってどういう事なんすかねー、もしかして俺ぼーりょくふるわれた? マジでマジで? こりゃ事案だわぁ、ねえお嬢さんそう思いません?」
自分のした事を超棚に上げての責めムーブである。芳佳が押しに弱いと一瞬で見切るその眼力は大したものだろう。どちらかといえばヤクザとかが所有するスキルであるが。
芳佳は一体何を言われてるのか半分も理解出来なかったが、それでも川に叩き込んだのは流石に洒落になっていなかったと思っているので、超下手に出る。
「あ、あの、ご、ごめんなさい。その、わ、私で出来る事なら何でもするから許して……」
速攻でカズマが食いついた。
「何でも!? 今、言ったよね!? 何でもって言ったよね!?」
「え? あ、えっと、わ、私に出来る事でしたら……」
即座に答えるカズマ。
「じゃあ野球拳」
「……えっと、その、やきゅーけん、って何ですか?」
「まずじゃんけんをする」
「はい」
「で、負けた方が服を一枚づつ脱いでって、全部脱いだ方の負け」
「はぁ…………って! 服を脱ぐんですか!?」
「そう。もちろん当然当たり前に、野球拳で脱いだ服を後で着るとかいうのは無しな。許されざるよ」
「ちょ、ちょちょちょちょっと待って下さい! そんな服を脱ぐとかお風呂じゃないんですから! それに男の人の前でそ、そういうのはちょっと……」
いきなりその場に寝転がるカズマ。
「えーーーーーーーー!! 何でもって言ったじゃん! だったら野球拳ぐらい余裕っしょー! 大丈夫だって、じゃんけんに勝てばいいんだよ勝てば!」
ちなみにこの佐藤和真君。これまでじゃんけんでは負けた事が無いという程の豪運の持ち主である。当然、自分でもそれがわかってて言っている。
「い、いやそれはそうですけど……その、そ、そういうのは良くないと思うんです……」
地面に寝転がったまま、左右にごろごろと転がりまわるカズマ。
「何だよー! 何でもって言ったじゃん言ったじゃん言ったじゃああああああああああああん!」
大慌てで両手をぶんぶん横に振る芳佳。
「じゃ、じゃあっ、何でもは無しっ。無しですーっ」
「ええええええええええええええええ!! ちょっとそれ何言ってんの! 自分で言ってる事わかってんのかそれえええええええ! いいか聞けよ、よおおおおおく聞けよおい! お前がさっき言ったなあ『何でもするから』ってのの言葉の威力がどれほどのものか。それはなぁ、俺みたいな野朗が言っても何の価値も無いクソワードなんだが、君みたいな女の子が口にする事で黄金の価値と輝きを持つ魔法の言葉なんだよ! その言葉を聞いた瞬間、俺達の脳内にめくるめく広がる妄想ワールド、何でもっておい本気かよ、俺あの子にどんな事してもいいの? 夢広がりすぎだろ一体何しようか、あんな事もいいな、出来るらしいぜいいな、あんな夢もこんな夢も何もかもみんなまとめて適えてくれる魔法の言葉を、たった今俺は賜ったんだぜ! ってな! それは結果だけじゃない、そんな妄想の過程にすら至福をもたらす正に至高のご褒美だ。それを一度あげるって口にしてよお! さんざっぱら期待と夢を煽っておいて、やっぱ無しですーなんて通るかああああああああ!! 口にさえ出していなきゃ俺も何も言わなかったさ、だがなぁ! 口に出しちまったら戦争と同じなんだよ! 吐いた唾は飲み込めねえんだわかったかオルァ!」
偉そうに怒鳴り散らした後、すっくと立ち上がるカズマ。
「いやさ、俺もこんな事言いたくないのよ? でもさ、一度口にした言葉には責任を取れ、なんて当たり前に誰もが踏まえて然るべき事じゃん? いやね、別に俺もう野球拳とかどうでもいいんだけどね、でもさ、そういう通すべき筋っていうの? そういうの外すのって俺許せないタチなんだよねぇ。君は違うの? いい加減でも適当でも卑怯でも外道でも姑息でも鬼畜でも、いいってんなら俺からはもう言うべき事は何も無いけどさぁ」
そこでちらっと芳佳を見ると、明らかにうろたえ動揺しているのが見て取れた。
『おし、後一押し』
猫なで声に切り替わり、馴れ馴れしく芳佳の側に寄るカズマ。
「なあ、俺はさあ、今すぐ服脱げとかそういう事は言ってないのさ。な、じゃんけんして、負けたらって話だろ? お互い平等の条件で勝負して、楽しく時間を過ごそうってだけなんだよ。もちろん下心なんて無いさ、なあ、だから……な?」
まるで土壇場でゴネ出すAV女優をなだめる男優のようである。
隙を伺い凌ぎを削るような対人交渉経験を欠く芳佳は、何かもう段々カズマの言う通りなような気がしてきてしまっていた。
それでも、彼女もまた501で戦火の中を駆け抜けて来た歴戦のウィッチの一人。
間違っていると思った事を流れでやってしまうような、意思の弱い真似は絶対にしない。
「そ、それじゃ。じゃんけんだけ、しましょう。服を脱ぐとかは、ほら、やっぱり良く無いですよ。ていうか……」
じーっとカズマが手にしている紺の服(世間一般ではコレをスクール水着と呼ぶのだが、かの世界では違うらしい)を見る。
「……いいかげん、それ、返して欲しいんですけど……」
思わぬ反撃に、カズマは不意を打たれて後ずさる。
『ぐっ、ただのちょろいねーちゃんかと思えば……なかなかやるじゃねえの』
この服に関しては完全にカズマが悪い。仕方なくカズマはこれを返すと、芳佳はちょこちょこと走ってこの場を離れ、カズマの目につかない所で着替えてから戻って来た。
「ふぅ、やっと落ち着きました」
カズマは思った。
『……いや、それでいいのか?』
スク水の上に白セーラーの上を来ただけ。下半身はやはり瑞々しい白い足がこれでもかと闇に映える。
胸元が大きく開いた服を着ている娘でも、スカート丈がアホみたいに短い娘でも、下着をスリ取ったらものすごく恥ずかしがるし、女の子の恥ずかしい基準というものは良くわからん、ととりあえずこの件はスルーを決め込んだカズマである。

芳佳が前を隠すのに使った丸い板は『遠隔視の鏡』というらしい。
何でもこの鏡には遠くのものを映し出す力があるんだとか。
そいつは凄い、と二人は試しに近場をこれで映してみたが、何も映らない。鏡は真っ暗なままである。
カズマはマジックアイテムの存在を幾つか見聞きした事があったのだが、何だよデタラメかよと速攻で見切り、芳佳の方はというとこういった類のマジックアイテムは未知のもので、鏡に遠くが映ると言われてもぴんと来ず、使えないというのであれば仕方が無いかとあっさり諦める。
二人共、今が夜で、それ故鏡の映像が真っ暗であるという事に思い至らなかった模様。鏡は芳佳のバッグの中にしまわれてしまった。
芳佳と遭遇してから、ひたすらふざけた真似しかしてこなかったカズマだが、カズマ自身はといえばそれなりに真面目に現状を考えていたりもする。
ただ、つっこまずにはおれぬ事があまりに多すぎ、一々真面目につっこんだり誘い受けに敢えて乗ったりしていたらこんな事になっていただけで。
と当人は内心主張しているのだが、そんな想いが芳佳に通じる事はきっとおそらく永劫に無いであろう。
芳佳は少し頬を膨らませながら言う。
「カズマさん、今は危ない時なんですから、少し緊張感を持った方がいいと思います」
『夜中に水着でうろついてる奴に言われたかねーよ』
内心の声はさておきカズマは殊勝に、はいと頷きつつ訊ねる。
「なあ、あの眼鏡のひょろいにーちゃんが言ってた、殺し合えってマジだと思うか?」
「……わかりません。そんな事言われたからって、殺し合いなんて出来る訳ありませんし……」
「だよなぁ。それでも、ひゃっはー待ってました殺しの時間だぜべいべー、てな奴も居ないとも言い切れないしなぁ。あからさまに見た目からしてそういうぶっ殺すぜオーラ出しててくれりゃ、見かけるなり速攻逃げるだけなんだが、流石にそんな簡単な話じゃねえだろうし」
「も、もしそういう危ない人が出たら、カズマさんは私の後ろに来て下さいね。私がシールドで守りますから」
「シールド? そーいやウィッチ云々言ってたっけか。ウィッチ……魔女? もしかして魔法使える?」
「はい。私、シールドには自信ありますから。任せてくださいっ」
「ふむふむ、防御系が得意、と。治療とかは出来るの?」
「はいっ、それも得意技ですよっ。怪我したら言ってください……って、ああ、そうだ。もしかしてさっきので痣とか残っちゃってません? 良ければ私、診ますけど」
「あ、お願いしていい? ちょっと痛いっちゃ痛いかも」
カズマはぬれそぼったシャツを脱ぎ、上半身裸になる。医療行為と受け取っているせいか、芳佳はそんなカズマの裸体にもまるで動じる様子は無い。
数箇所変色してしまっている場所があり、ここに、芳佳は得意の治療魔法を施す。
「おおー、何か気持ち良いなこれ」
ただ、カズマの仲間であるアクアの魔法よりも時間はかかるようで。
治療が済むと、にっこり笑ってその旨を告げる芳佳。カズマも思わずつられてにへらと笑う。
『うーわ、何このさわやか笑顔。魔法使う度クソみたいに恩着せがましい、どっかの駄女神に見せてやりてぇ』
芳佳は立ち上がり、すぐに動こうとカズマを促す。
「他にも困ってる人が居るかもしれませんし、急ぎましょう。危ない人に出会う前に、保護してあげなきゃならない人も居るかもですから」
『何だこの聖母様は。こんな所に放り出されてるってのに見も知らぬ誰かの心配しようって、どんだけ神々しいんだよ。おいどっかのクソ女神、人間すら失格してそーな馬鹿女神、お前マジでこの娘の爪の垢煎じたもん毎朝欠かさず飲み続けろ』
人間失格は駄女神も元クソニートのカズマもお互い様のような気もするが、どちらも自分は違うと当たり前に思っている辺り、案外似た者同士なのかもしれない。
芳佳の主張を聞き、カズマは即座に思いついた事を述べる。
「だとしたら、こんな何も無い真っ暗な山に居てもしょうがないよな」
「はい。川向こうには灯りが見えますからあちらに行けば……」
「いやぁ、でもこの川渡るのはちょっと無理でしょ。橋は……どっかにあるとは思うけど、見えないな」
月明かりのみを頼りに、バッグの中から地図を取り出し見てみる二人。
地図は良く見ると細かな文字が描かれており、簡易の住所のようなものが記されている。
これと街中の看板や電柱に書かれた住所を照らし合わせたおかげで、地図を見た者は現在位置を確認する事が出来ていた。
また、カズマと芳佳が配された場所が何処なのか、それぞれの地図上に印がつけてあり、各々が最初に居た場所だけはわかるようになっていた。
ふとカズマが芳佳を見ると、彼女は何やら空を見上げていた。
「ん? どした?」
「いえ、天測出来るかなって思って。うーん、流石に六分儀無いと無理かなぁ。……星は見た事ある並びなんだけど」
驚きに目を見張るカズマ。
「おいおい、それって空の星見て現在位置がわかるって奴? 船乗りとかがやってる」
「うん。でも私、こういうのあんまり得意じゃないんだけど……」
「いやそれでもすげぇよ。学校で教わったのか?」
「ううん、私、ほら、ウィッチだから。空飛ぶ以上、コレばっかりは覚えておかないと。あはは、何時もは六分儀なんて持ち歩かないし、大雑把に確認するだけなんだけどねっ」
少し考えてカズマは問う。
「……飛行機で?」
「だからウィッチなんだってば。ストライカーユニット使ってだよ」
「すまん、それ何?」
ストライカーユニットを知らない事に驚きながらも、芳佳は丁寧に説明してやる。当然、カズマには意味がわからなすぎた。
しかもこの娘、ほうきとかがあれば別にストライカーユニットでなくても空を飛べるらしい。
『これでめぐみんみたいな格好してりゃ、まんま魔女っ子だよなぁ。つか、この子って、向こうの世界の子なのか? でも魔法とか言ってるし、治療魔法使えるよなぁ。そもそも六分儀とかこっちの世界に来てたっけか? ああ~、何か色々とわけわかんねえ』
地図を眺めながら、芳佳が言った。
「ここからだと、南西の橋の方が近いかな。とりあえずそっちに行ってみようかと思うんだけど、カズマさんは何か考えとかある?」
「どの道、夜が明けてからじゃないか? 暗がりの中で人探しって不毛極まりねーだろ。もし本当に空飛べるってんなら、日が昇った後で上から探した方が絶対に見つけるの早いだろうしさ」
「うーん、そっかー」
「でもま、こんな大自然溢れる山の中で夜を明かすなんて冗談じゃねえし、さっさと町に行こうってのには賛成するぜ」
じゃあ、となって二人は川沿いに南へと進んでいく。
地図上はまっすぐ南西を目指すのが最短だが、山中に突っ込んでいく形はどう考えても時間がかかるし、下手をすれば道に迷ってしまうだろうから。
月明かりのみで川原を歩くのは足元が覚束ない部分もあるが、そこは軍人と冒険者だ、特に問題にする風もなくてくてくと歩いていく。芳佳が先を歩く形で。
後ろから続くカズマは、嫌でも芳佳の背中、というかお尻というかが見える位置。
『ゴクリ』
芳佳が岩を避けて大きく動くと、上着の裾がひらりとめくれ、その下のお尻にぴっちりフィットしたスク水が見えてしまう。
『何故だっ。仲間はみーんな女ばっかで俺もいい加減、女慣れしたんじゃね? とかリア充の仲間入り? とか女の子見てきょどる俺よさらば? とか結構マジで思ってたんだけど、この子に限ってはソイツがまるで通用しない。何だ? 何が原因なんだ!?』
とか考えておきながら即座に答えは出る。
『……ああ、うん、そりゃまあ、水着だもんなぁ。気になるに決まってるわ』
しかもあの格好は彼女にとって落ち着くものらしい。
『本気、か? あれか? どっかのアホな王様が女の子は下着の上に何も穿いちゃ駄目だって法律でも作ったか? ちくしょう天才めが、良くやった。こうまで素晴らしい異文化コミュニケーションにはついぞお目にかかった事がねぇや』
カズマは、他にたくさんある問うべき事を全てスルーで、芳佳にコレを聞いた。
「なあ、宮藤の居る所ってみんな女の子はそういう格好してるのか?」
「ん? そういうって?」
「下は今宮藤が着てるようなのしか着ないのかって」
「ううん。違うよ」
その一言に、カズマはこれでもかという程の衝撃を受けた。
思わずその場に崩れ落ちてしまう程だ。
驚いた芳佳が慌てて駆け寄ってくる。
「ど、どうしたの!?」
「……いや、すまん。余りに、こう、ショックが大きすぎてな。は、ははっ、何で俺こんなアホな事期待してたんだろ。しかも、実は俺の勘違いと知ってこうまですげぇショックを受けるとは思わなかった……ああ、そうだ。きっとそれは、男の夢と書いてロマンと呼ぶような麗しき桃源郷の話だったんだろうな……他の女の子は普通にズボンとか穿いてるのか?」
「そうだよ。私の居た国だとこういうワンピースが主流なんだけど、欧州の方だとみんな下はズボンが多いかな」
ぱあっとカズマの表情が明るくなる。
「そ、そっか! じゃあ宮藤の国なら、みんなそういう格好なんだな!?」
「うん、そうだけど……カズマさんって扶桑の人じゃないの?」
「うん? ああ、俺は違うぞ。まあ、色々と面倒なんだ、説明すんのが」
「そっか。扶桑語使ってるからてっきり……」
カズマは扶桑という言葉が、漢字の『扶桑』だとは思わず、フソーとかいう国だと思っていて、アクセルの町で言葉が通じているように、彼女とも言葉が通じていると思っている。この時点ではつまり、カズマは芳佳が異世界の人間であると認識してるわけだ。
だが。次に芳佳が振ってきた話題で、カズマには異常がはっきりと認識出来た。
「あ、そうだ。じゃあカズマさん星とかはわかる? ほら、ここの星空って扶桑の空なの。私欧州の方の空もずっと見てたから、差が良くわかるんだ」
ほら、あそこが北極星で、と指差され空を見上げると、一際輝く星の側に、所謂素人にも一番わかりやすい北斗七星が見えた。
「おお、あれならわかる…………わかるっ!?」
そう、わかる星が、見えるはずがないのだ。ここが異世界ならば。
「おいおいおいおい! ちょっと待てよ! 何で日本の星座があるんだよ! ここ一体何処なんだ!?」
芳佳はわからないといった顔で首を傾げる。
「だから扶桑なんじゃない?」
「ふそー!? ふそーって何処だよ! つーか待て! 待て待て待て! もしかしてオーシューって欧州の事か!? んで、もしかしてもしかして……ソレ、マジもんの日本語? な、なあ宮藤! お前、何処の出身だ!? 国じゃなくてもっと詳しく!」
「え? え? えっと、私は扶桑の横須賀……」
「横須賀かよ! モロ日本じゃねえか!? クッソ騙された! 宮藤! お前横須賀の出なのに何だって魔法なんて使えるんだよ! お前も異世界に呼ばれた口か!?」
またいきなりテンション上げだしたカズマに、芳佳は警戒したのか数歩後ずさりながら答える。
「えっと、だから、私ウィッチの家系で、お母さんもおばあちゃんもウィッチだったから……」
その後、カズマが嵐のように質問を重ねると、芳佳の居た『扶桑』という国がカズマの居た日本にそっくりでありながらまるで違う国である事と、芳佳の国というか世界には魔法が当たり前に存在する事を知った。
芳佳の側にも、カズマが魔法が当たり前に存在しない日本なる扶桑に良く似た国に住んでいたという事が伝わっており、二人はどんな顔をしていいやらといった様子で。
片手で頭を抱えながらカズマ。
「……なんか、とんでもない話になってないかコレ? 確かに、異世界が二つあるんなら三つも四つも百も千もあっても不思議じゃねえって、そう言われりゃそんな気もするが……」
難しい顔の芳佳。
「魔法が無い代わりにネウロイが居ない世界かぁ。ウィッチじゃなくなっちゃうのは残念だけど、ネウロイが居ないんならそっちの方がいいのかも……」
名簿を取り出し、改めてこれを眺めてみるカズマ。
「コイツが日本語で書かれてる時点で、気付くべきだったんだ。くっそ、コレもしかしてもっとたくさんの異世界から人が来てる可能性があるって事かよ。洒落になんねえなこりゃ……」
「そうなの?」
「……俺と宮藤は、どうやらそれなりに価値観が似てる同士みたいだけど。異世界って事はさ、例えば人殺しても誰にも文句言われない世界から人が来るって事もあるかもだろ?」
カズマの例えとその意図はきちんと芳佳に伝わってくれたようで、芳佳の表情が強張ったものへと。
「そうやって見ると、この名簿も不気味だよな。ほら、例えばこのらぶぽんとかって、これ日本語にする時適当な言葉がなかったからそのまんま発音書いたとかだろうぜ」
「うわぁ……じゃ、じゃあこっちに書いてあるめぐみんとかも……」
「あ、悪いそれ俺の仲間」
「そ、そうなんだ、ご、ごめんね……」
「いや気を遣わないでくれ。てーかマジで変な名前だと俺も思う。後当人は名前に輪をかけて変な奴だから」
「……えーっとー……」
「だが、そうなってくるとこれってかなりヤバイ案件って事だよな。おい、ちょっと予定変更しよう。もっと用心深くいかないと……」
そこで、二人は奇妙な物音を聞いた。
遠くから響いてくる、重量感のある金属がこすれあうような音と、重苦しい破砕音。
二人は顔を見合わせる。
「……何の、音だ?」
「わ、わかんないけど……近づいて、くる?」
しんとした川原で、音は更に大きくなっていき、既にやかましいといえる程の音量に。
「な、なんかやばくね?」
「そ、そうかも。に、逃げようか?」
もう、遅い。音の接近して来る速度は二人の想像を大きく越えたものであった。
勢い良く川原に姿を現したその巨体は、月明かりの中途半端な光のおかげでか、二人には見上げんばかりの大怪獣のようにも見えるものだった。
そのてっぺんがバコンと開く。
「おー、やっぱり人が居るじゃあねえか。よー、あんた等、ちょっと話しねーかー?」
巨体から上半身を乗り出し声をかけて来たのは、特徴的な髪型の男であった。



和装の男から戦車に乗って逃れた東方仗助と西住みほの二人は、再び川沿いにまで戻って来ていた。
そしてみほの勧めに従い民家の敷地の中に戦車を乗り入れこれを隠しつつ、二人は再び川を渡る。
追って来る可能性があるので、渡河を行った上で、戦車の乗り換えまでしておけばほぼ撒けるだろう、とのみほの言葉に、仗助は頷き従ったのだ。
なので、今二人が乗っているのはヤークトパンターではなく、最初に出したIV号戦車F2型である。
これで木々が所狭しと立ち並ぶ山中の突破はよろしくないので、川沿いの移動を行い、そして南下してきたカズマ達と遭遇したという訳だ。
戦車の上から見下ろす形で二人の表情を伺う仗助。二人共、予想通り引きつった顔であった。
『そりゃまあ、戦車がいきなり出てくりゃ誰だってビビるわな』
出来るだけ友好的に見えるよう、笑顔を心がけながら上部ハッチから外へと飛び降りる。
下は暗がりであるが、運動神経の良い仗助は特に問題もなく着地を決める。
だが、その後から手馴れた様子でハッチから乗り出して来た西住みほは、ハッチから飛び降りるまではかっこ良さげだったのだが、着地で大いに失敗し戦車側に盛大によろける。
その頭部が戦車の装甲に叩きつけられる前に、足場が悪いからと側に控えていた仗助がひょいっとばかりに腕を掴んでやる。
「おいおい、戦車から降りるとまるで別人だな」
「お、お手数おかけします」
二人は並んで、カズマと芳佳の前に立つ。
「俺は、東方仗助。んでこっちが」
「西住みほです」
「俺等戦車なんてゴツいもんに乗っちゃあいるが、もちろん殺し合いなんてするつもりはねえ。あんた等もそうであるように見えるけど、どうだい?」
カズマは思った。
『いや戦車なんて使われたら殺し合いじゃなくて一方的な殺戮にしかならねーよ』
仗助の言葉に、芳佳が嬉しそうに答えた。
「わ、私達もです。私は宮藤芳佳で、こちらが佐藤和真さん」
仗助もまたにこっと笑い返す。
「そいつは良かった。あー、まずはー、その、何からしたもんだか……」
ちらっと隣のみほを見る仗助に、みほが代わりに口を開く。
「私達が直近で出会った危険な出来事に関して、まずは話したいと思います。一応、撒いたとは思うんですけど、もし再び表れたら即座の対応が必要になりますから。出会ってすぐこんな事を言うのも何なのですが、もし話の途中で危険な人物が姿を現したなら、すぐに戦車に乗り込んで下さい。後は私と東方君で何とか対処しますから」
危険な相手がいる。それも、二人は既にそんな人物と出会ってしまっているという。芳佳は真剣な表情で言った。
「なら、私も手伝えるよ。私、ウィッチだから」
そう言われた時の仗助とみほの反応を見て、カズマはすぐに察した。
「あー、もしかしてアンタ等、ストライカーユニット付けて空を飛ぶウィッチを知らないのか?」
仗助とみほはお互い顔を見合わせた後、同時に首を横に振って見せた。
「……まあ俺も知らなかったんだけどな。お互い、話しておく事ぁ多そうだわ」
異世界云々に関して経験のあるカズマがまず、カズマと芳佳の置かれた世界の違いやらを説明すると、仗助もみほもお互いの住む場所に関する情報に矛盾が生じていた事に、一応の納得の行く説明を得られた事になる。
四人がそれぞれの住んでいる所の話をした所、全員が全員別々の場所から来たらしいとわかる。
ただ、驚くべき事に、全員が日本語なのである。芳佳はこれを扶桑語と呼んでいたが、文法から発音まで何から何まで一緒である。
仗助が、理解に苦しむといった顔で。
「なあ、その、異世界って奴ぁ、その、もっとこう『違う』もんなんじゃねえのか? 何だよこの中途半端な共通っぷりはよぉ」
経験者カズマ曰く。
「俺が異世界に行った時だって少なくとも言葉は通じなかったしな。他にも色々と異文化過ぎて…………あー、うん、でも結構共通点もあったな。案外異世界ってのもこんなもんじゃね?」
みほは暢気とすら取れるようなもの静かで穏やかな口調で言った。
「でも、一度経験してる佐藤君が居てくれるのはありがたいです。さっきは聞きそびれたんですけど、佐藤君は結局、元の世界には戻れたんですか?」
「…………無理。てーか俺の場合、元の世界で死んだのが異世界行きの原因らしい。記憶全部無くして転生するか、天国に行くか、異世界で魔王倒してヒーローになるか選べって言われた」
残る三人、全員がすんごい顔になる。代表して、芳佳がカズマに訊ねた。
「それってもしかして、私達ももう死んじゃってるって事じゃ……」
「さあな。俺の場合は女神を名乗る奴が出て来て色々と説明してきたけど、今回はそーいうの何も無かったし。そもそも、死人に殺し合えってどんなジョークだよ」
そりゃそうだ、と少し噴出す仗助。
カズマはカズマなりに現状で考えられる事を述べる。
「異世界移動云々ってのは、俺の知るカミサマって連中でもそう簡単に出来る事じゃないみたいだ。そう出来るのは、確かめた訳じゃないがカミサマの更に上、って奴でもなきゃ出来ないんじゃないのかってな。だとしたら、コレは一体どーいう事なのかねぇ、とな」
すっとんきょうな顔でみほが。
「神様に知り合いが居らっしゃるのですか?」
「限りなく自称臭いのが一人と、本気で崇拝されてるのが一人。あー、自称っぽいのはここにも来てるらしい。ホント、カミサマだってんならゴッドパワーで何とかしろってんだ」
みほは、ほう、と息をつく。
「スタンドに、魔法に、異世界に、神様、ですか。……頭がぱんくしちゃいそうです」
カズマも芳佳も、女の子っぽい可愛らしい感想だな、と思った程度だが、ほんの少しの間でもガチ西住を見て来た仗助は、この言葉の真意を察する。
既に西住みほは、戦闘を組み立てる際の要素として、これらの情報を組み込み終えているのだろうと。
こんな馬鹿げた情報をも考慮に入れようと思ったら、そりゃ頭もパンクするわと。
世界が違い、ウィッチを知らないという事で、芳佳はその出来る事を三人の前で披露する。
シールドと治療の力だ。治療に関しては、仗助が驚き食いつく。自身に簡単な掠り傷を作って治してもらい、確認する。
「へぇ、コイツは、グレートな事になって来たな。んじゃ次は俺だ」
仗助がスタンドを出し、その圧倒的なパワーとスピードを披露した後、このスタンドには治療の力がある事を伝える。
「ただ欠点として俺自身を治療は出来ないんだが……宮藤がいりゃその問題も解決する。俺よお、一度でいいからそういう超治療って自分で体験してみたかったんだよな」
そしてみほは戦車の操縦が出来る、と簡単に言うが、そこに仗助が付け加える。
「西住はスゲェぞ。お前等、何でもいいから判断に迷った時は西住に聞いてみるといい。こんな可愛らしい顔しときながら、びっくりするぐらい色々と考えてやがるし、またその考えが適切で見事なんだわ。惚れ惚れするぜ」
仗助がそう言った時の、みほの照れようったらそりゃもう物凄いものであった。
余りに照れがひどいので、仗助は仕方が無く話を別の事に逸らしにかかる。
「んで、佐藤の方は何か特技とかあんのか?」
「…………」
無い、なんてとても言えない。いや、言った所で三人は特に見下したりする人間ではないが、三人共が何かしら頼りになる所を見せて来たのだ。
カズマもここは一つ、ヤれるって所を見せたくなるもので。
「んじゃ、俺の魔法を……」
カズマがそう言うと、はたと気付いたらしい芳佳がみほの前に立つ。
「だっ、駄目だよ! またあんな事するつもりでしょ! 西住さんがまだ知らないからって、そういうのはだめっ!」
仗助がぼそりと訊ねる。
「……あんな事ってなどんな事だ?」
「そ、それは……その、わ、私のズボンを、魔法で、ぱーって取っちゃう感じで……」
カズマは、何かヤバげな流れになってきたと、言い訳をしようとした所でその肩をぽんと仗助に叩かれた。
「詳しく聞こうか」

強烈なボディブローをもらったカズマは、川に向かって虹色(アニメ的表現)の何かをえろえろーっと垂れ流している。
心底から呆れた声を出す仗助。
「……お前、さあ。時と場所とを弁えろって言われねえか? ああ、いや弁えた所で、やって良い事と悪い事ってなあるもんなんだがなぁ」
ごほっと咳き込みながらカズマ。
「ひゅ、ひゅみまひぇんれひた……いや、マジ痛ぇ。東方お前スタンドとかいらねーだろぜってー」
「おめーのアホみてーな魔法よりかは役に立つっての」
「だからアレは何盗めるかはランダムなんだって。……何故か何時も盗めるのはパンツばっかなんだけどさ」
「救いようのねえ野朗だ……」
「っだー! 待て! わかった俺が悪かったからもっぺん殴ろうとするんじゃねえええええええ!!」
最初の場所でも、そしてその後でも実際に人死にをその目にしている仗助には、カズマのいい加減としか思えぬ態度が腹立たしいのだろう。
佐藤和真は、こうした何処か不真面目とも取れるような態度で生き死にの窮地をすら乗り切ってきた男なのだが、そういった所までは流石にこの短期間ではわからない。
それに、実際に自分が何度も死んだり、目の前で死んだ人が生き返ったりを見てきたカズマは、自身気付かぬ内に少し死に鈍感になっている所もあるのだろう。
その部分を指摘され、悪い事をした、と思う程度には人間性のあるカズマだ。
だからこの後に発した言葉も、悪意なんてものはこれっぽっちもなかった。
むしろ悪い事したのだから、悪くなった空気を払拭すべくこちらから歩み寄りを試みよう、といった前向きな理由ですらあったのだ。
そしてカズマは、相棒というか仲間というかが離れた場所で既に何度もしでかしたように、彼もまた、盛大に地雷を踏み抜いたのだ。
「悪かった、悪かったって。俺も真剣にやるからさ、東方ももうちょい、そう、そのお前の時代錯誤な頭にでも免じて勘弁してやって……」

プッツーン

「今俺のこの頭のことなんつった!」
ずいずいとカズマへと歩み寄る。あれ、怒った? 程度の認識であった、当初のカズマは。
また仗助の頼もしさを知っているみほも、まさかそんな程度で本気で怒るとは考えておらず。
あれ、と危機感を抱けたのは芳佳のみであった。
いきなり、そういきなり仗助はスタンドを顕現させる。そこには、殺意とまでは行かないものの強烈な害意が備わっていた。
咄嗟に動く芳佳。展開したシールドが間に合ってくれたが、そのシールドにずしりとくる衝撃が叩き込まれる。
芳佳がそうしなければ、間違いなくカズマに当っていただろう拳だ。
更に仗助は手を止めず、嵐の様な乱打を叩き込む。それはもう狙うだのといった動きではなく、ただただ乱暴に乱雑に、腕を振り回しているといった類のものだ。
ここに至り、ようやくカズマもみほも、仗助が尋常ではなく激怒している事に気付いた。
驚き仗助を止めに入るみほに、シールド越しに無数の拳を間近で見るハメになり心底からビビってるカズマ。
いきなり展開された地獄絵図が収まるまでには、それからも少々の時間を要するのだった。

「東方君。君が怒るのも理由があっての事だと思うし、今回の事があったからって東方君が理不尽な人だなんて思ったりはしないよ。でもね、幾らなんでも東方君のスタンドで、ってのはやりすぎだよ。佐藤君も悪気があった訳じゃ……」
みほの丁寧なお説教を、仗助は少し不貞腐れた顔でそっぽを向きながらだが、一応聞くだけは聞いている。
そして残るカズマの方には芳佳が。
「あれは確かに東方君やりすぎだったと思うけど、でも、最初にふっかけたのってカズマさんの方だよね? そういうの良くないよ」
「はい。いやもうホント、アイツ洒落になんねえって良くわかった。マジで気をつける、俺の命の為にも」
こちらはもう、かんっぜんに懲りたようだ。アクアとの違いは間違いなくこの学習能力であろうて。
ただ、それでもやはり余計な一言が口をついてしまう部分もある。
「なんつーかさー、俺ばっか不幸な目に遭ってる気がするんだが。普通こういうのって主人公補正とかで、俺ほっといても色々味方とか仲間とか出来た挙句そいつ等に尊敬されたりするもんなんじゃねえの?」
「まぁた意味のわかんねえ事言い出しやがって」(←ジョジョ四部主人公『クレイジー・ダイヤモンド』東方仗助)
「そ、それは東方君が脅かしすぎたせいじゃないかな」(←ガルパン主人公『大洗の軍神』西住みほ)
「うーん、カズマさん、結構素でそうっぽいけどなぁ」(←ストパン主人公『ガリア開放の英雄』宮藤芳佳)
「…………何だろうか、このものすんげぇ敗北感は」(←このすば主人公『アクセルの鬼畜男』クズマさん)
このメンツの中で、佐藤和真君が主人公面するのは流石に無理があるというものであろうて。



【E-7/早朝】

【東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:
[装備]: 戦車(IV号戦車F2型)搭乗中
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品(1~3) 片桐安十郎の支給品一式
[思考・行動]
基本方針: 殺し合いを打破する。
1:康一たちと合流する。
2:アイツら(吉良吉影、アンジェロ、剣の男)はぶちのめす。
3:西住、宮藤、佐藤と行動する。
※吉良登場以降からの参戦です。

【西住みほ@ガールズ&パンツァー】
[状態]: 疲労(中) 精神疲労(大)
[装備]: テーザー銃@現実 戦車(IV号戦車F2型)搭乗中
[道具]: 基本支給品一式、戦車詰め合わせセット(折る事で即座に装備出来るオーバーロードの課金アイテムの木の棒が五本。その中に、それぞれ一台づつ戦車が入っている。判明しているのはヤークトパンター、マウス、IV号戦車F2型の三種でIV号戦車F2型とヤークトパンターの分は既に折って使用済み)
[思考・行動]
基本方針: 殺し合いには乗らない
1:東方くん、宮藤さん、佐藤くんと一緒に行動する。

※ヤークトパンターはF-6の川沿い町側にある民家の敷地内に隠してあります。

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2 遠隔視の鏡
[思考・行動]
基本方針:民間人の保護
1:501隊の仲間と合流する
2:東方くん、西住さん、カズマくんと一緒に行動する。
※劇場版後から参戦。

【佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:
1:マジで夢じゃなかったのかよ
2:東方、西住、宮藤と行動する。
※アニメ9話でサキュバスの館へ行った後ベッドに入った直後から参戦。

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038:最近の女子高生 東方仗助 053:佐藤和真ですが、戦車内の空気が最悪です
西住みほ
028:盗賊の極意 宮藤芳佳
佐藤和真

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最終更新:2017年02月21日 10:49