『花火』を打ち上げた。
止めたかった。止めなきゃ、あいつが、めんまが消えてしまうような気がして。
花火の音は俺の意識をフェードアウトさせ、気が付けばーーーー
取り戻した筈の仮初めの幸福は、掌からこぼれ落ちてしまった。
参加者には、『松雪集』『久川鉄道』そして、
『本間芽衣子』
おかしい。
めんまは確かに死んでいる。少なくとも世間一般には、死亡していることになっているはずなのだ。例えそのめんまが幽霊となり現れていても。
俺達以外にそれを知る者はいない。居る筈がないのだ。
荒耶宗蓮、あの男は明らかに俺達と違う次元を生きる男だ。
足が震えた。背中の産毛が逆立った。
テロリストか本当の怪物かは知らないが、決して俺たちが関わることのない世界、理解不能の世界の人間。
それが、どうしようもなく怖くて仕方なかった。
ゆきあつやぽっぽならもう動き出しているだろう。
めんまはどこかで震えているかもしれない。もしくは、あの天真爛漫な性格でもう誰か仲間を作って、このゲームへの反抗を開始しているか。
ーーー俺には、何もない
ゆきあつのような頼りになる一面は無いし、ぽっぽのようにムードメーカーになるスキルもない。めんまと比べても若干コミュ障な俺では仲間を作るのは難しいだろう。
正直、すぐに殺されるのがオチかもしれない。
世の中には一つの願いのために手を血に染める人は決して少なくなど無いのだ。
考えたくはないが。
ゆきあつはめんまを生き残らせるために殺し合いに乗っているかもしれない。ゆきあつは、俺なんかよりずっと一途にめんまを愛していた。俺に、あいつがめんまのために戦うのを止める資格はない。
俺は、無価値だ。
ーーーーそうだよ
ーーーー俺には強さが決定的に足りない
ーーーー無理だ
ーーーーけど
だからどうした。
俺にだって戦う理由くらいはある。
やっとみんなはもう一度一つになれるかもしれないのに、あんな屑に邪魔されて黙ったままでいられるほど俺は優しくなんかないんだ。
とびっきりのカウンターパンチを、叩き込む。
たったそれだけの目的が明確に存在すれば十二分。
人間は、たったひとつ譲れないものがあるだけで
ヒーローになれるんだから。
どんなに終わっていても。
どんなに価値が無くても。
俺は戦う。
さあ、そろそろ走りだそうじゃねえか。
ちっとばかし長いハンディはくれてやるよ。
さあ、負け犬の逆転劇の始まりだ。
【深夜/d-6】
【宿海仁太@あの花】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]不明
[思考・行動]
基本:主催者を倒す。
1:めんまたちを探す
※アニメ第10話、花火を打ち上げた直後からの参加です
最終更新:2011年06月29日 22:54