「……じれったいな案外」
仁太は片手にコルトバイソンを握り、ぼそっと呟く。
彼は
殺し合い開始から二時間半もの時間が経過しても、未だ誰とも遭遇していない。
いくつか銃声のようなものを耳にしたが、近くには敵も死体も発見することはできなかった。しかし、銃声が聞こえたことにより、殺し合いに乗った者も少なからず存在するとも証明していた。
「あのー…」
「うおぉっ!?」
勢いよく振り向くと、茶髪に大きな瞳、二本のアホ毛が特徴的な世間的に言えば『美少女』に分類されるであろう可愛らしい少女であった。
割とそういうことには無関心な仁太でさえも少し見とれてしまうくらいの。
「…ごめんなさい、驚かせちゃいましたか?」
「いや、大丈夫だ。俺は宿海仁太。殺し合いには乗ってない」
実際少女ーーー古河渚ーーーの方が年上なのだが、仁太の方が冷静さを保っていることもあり、年上に見える。
渚自身もまた、仁太は自分と同年齢もしくは年上だと感じていた。
二人は情報交換を行う。
驚いたことに、両者共に誰にも遭遇していなかったらしい。
「じゃあ、古河は岡崎と春原って奴等を探してるんだな?」
こくり、と渚は頷く。とその時。
かしゃり。
仁太の上着からキーホルダーのようなものが落ちた。それは団子のようなものが描かれたメタリックキーホルダーで、一時期大人気になったアニメ『だんご大家族』のもの。
仁太の居た世界線にはこのアニメは存在しなかったため知らないし、大体何故今これが支給されるのかと思いとりあえず上着に押し込んでいたのだが。
渚がこのアニメのファンだということも彼は知らなかった。
「だんご、大家族……!」
「古河これ知ってんの?俺は聞いたこともないんだが」
渚は大人気のアニメだと若干
鬼気迫る勢いで説明した。
ちなみに仁太も渚は同年代だと思っている。
「まあそんなに欲しいならくれてやるよ」
放物線を描いてキーホルダーが渚の手に吸い込まれる。
直後渚からだんご大家族について長々熱弁されたのは言うまでもない。
【深夜/e-4】
【宿海仁太@あの花】
[思考・行動]
基本:このゲームを終わらせる。
1:仲間たちと合流する。
2:古河と一緒に行動し、できる限り守ってやる。
【古河渚@CLANNAD】
[思考・行動]
基本:誰も殺したくない。
1:岡崎さん、春原さんと合流したい。
2:宿海さんと行動する。
3:だんご大家族…
最終更新:2011年07月02日 23:53