とある夏日の個人願望(わたしのねがい)

英雄王との戦いから時間が経過した今。"聖人"神裂火織はc-4の診療所にて、先ほど助けた禁書目録にどこか似た少女を寝かせていた。
神裂は先の戦いの疲れはかなり取れているようだ。聖人の回復力の賜物であろう。
神裂は思う。
この殺し合いには、"幻想殺し"の少年は存在していない。
法の書を巡った事件では、結局神裂自身は何もできなかったが、今回ばかりはそうでは済まされない。英雄王ギルガメッシュとの戦いで、参加者には他にも英霊や聖人が存在すると考えられた。
聖人の力にも僅かながら制限が掛けられており、例えば体力の量などが低下しているのは彼女も理解していた。
が。それを差し引いても、一般人に聖人と戦うのは無謀である。
一流の魔術師ですら赤子のように扱う文字通りの怪物。
怪物の相手は怪物がする。それがこの場における神裂の流儀であった。

「しかし、武器がないと言うのは困りましたね」

神裂は戦いの場において刀を多用する。軍刀や脇差などでも代用できるだろうな、と思い立ち、少女には悪いが少し探索してくることにしよう、と立ち上がったその時ーーー、

「…ん…ここ、は…?」

どうやら少女が目覚めたらしかった。あどけなさの残る声。

武器が探せないのは痛いが、この手のタイプは放っておくとどこかへ行ってしまうタイプだと"ある少女"の経験で予測することはたやすかった。

「初めまして。私は神裂火織と申します。どうしてこのようになったかは覚えていられますでしょうか」

決められた台本のように言う。
少女は眠そうに目を擦ると、

「……覚えてない、なぁ。わたし、成仏できたと思ったのに」

「(成仏?やはり霊体のようですね、この少女は)」

兼ねてから感じていた違和感は意外な形で解明された。
しかし神裂は日本神道の魔術組織の元女教皇。下手な西洋かぶれの魔術師よりはずっと慣れた存在である。そもそも、更に大きな怪物と戦ったことも幾度かある。
今更霊体くらいには驚かないのだが、逆に驚いたのは少女の方であった。

「えーっ!?何でめんまが見えるの?」

少女の姿はごく限られた人にしか視覚できない。例えば、宿海仁太。相思相愛であった彼にだけは、少女を認識することが可能だった。
そして、確かな奇跡。
彼女の仲間たちにも最後のわずかな間だけではあるが視覚できた。
実は荒耶によって参加者全員に視覚できるように細工されているのだ。
そして、情報交換。


分かったことはいくつかあったが、互いにとって大した収益となることはなかった。
しかし、少女のことをある程度知ることができた。

少女の名は、本間芽衣子。ニックネームは「めんま」。
幼少期の夏に川で溺死した(芽衣子の記憶が曖昧なため推測で)。
彼女が長い時間を経て霊体として現れた理由は、『めんまのお願いを叶えてほしい』。
友人たちに奮闘され、ようやく晴れて成仏することができた。
しかし、目が覚めれば殺し合いにいた。

というわけだ。
神裂は自分が世界に二十人といない聖人だとも明かしたが、芽衣子にはかなり難しい話だったらしく、とりあえず侍みたいなものだと言っておいた。
ひとまず、芽衣子の知り合い『じんたん』『ゆきあつ』『ぽっぽ』を探すために行動を開始することにした。芽衣子の支給品には短刀が入っていたため譲ってもらった。
ちなみにあの後神裂は芽衣子を『芽衣子』で呼んだところ、『めんま』と呼んでと強く押され、あだ名で呼ぶことを余儀なくされた。
しかも神裂のことは『かおりん』と呼ぶと言い出す始末だった。

【深夜/c-4】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[思考・行動]
基本:殺し合いの転覆
1:めんまを守る

【本間芽衣子@あの花】
[思考・状況]
基本:誰にも死んでほしくない。
1:じんたんたちを探す。
※最終話、成仏した直後からの参加です
※参加者全員に例外なく認識できます

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凛として咲く花の如くーーー。 神裂火織 蹂躙する宝剣
凛として咲く花の如くーーー。 本間芽衣子 蹂躙する宝剣

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最終更新:2011年07月02日 23:53
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