参加者達の残りはわずか五名。
殺し合いの意志を持つ者はもういない。
そんな時、全てが暗転した。
きっと誰もが思っただろう。『まるで最初の時みたいだ』とーーーーー。
五名の参加者が集められたのは一軒のマンション。
それは『相克スル螺旋』ーーーつまり、荒耶のフィールドとでもいったところか。
『ようこそ、我が城へ』
「荒耶宗蓮ッ……」
「……姿を現しなさい!荒耶!!」
『我が目的についてまず話さねばなるまい。私の目的は莫大な負のエネルギーによる『根源の渦』への到達ーーーー。だが。そのエネルギーは既に回収できた。つまり』
『貴様等はもう用済みという訳だ』
どたどたどたっ。
大勢の足音がして、瞬く間に数百人もの人間が彼らの周りを囲んでいた。
「くそっ!戦うしかないか!そこの二人!俺は岡部倫太郎!そっちは牧瀬紅莉栖にシャルロット・デュノアだ!」
「ーーー私は暁美ほむらよ。こっちは一方通行」
最低限の、本当に短い自己紹介。
それが終わるや否や、一方通行は首筋のチョーカー型電極のスイッチを入れる。
彼の前に立っていた人々を気流の砲弾で吹き飛ばす。
背後から襲いかかってきたなら、『反射』で腕を折る。
単純な、だが絶対的な戦闘のスタイル。
その内に、一方通行はあることに気付く。人体のベクトルさえ操作できる能力者だからこそ気付けたこと。この者たちには心音がない。
「オマエら!こいつらはハナっから生きてなンざいねェ!荒耶のクソッたれの人形みてェなモンだ!容赦なンざいらねェ」
ほむらはそれを聞いた直後には、すでにAK-47を取り出していた。時間を停止しての一斉掃射。まさか魔女退治以外にこんなことをすることになるとは微塵も思っていなかった。
無数の弾が人形を的確に射抜き、倒していく。
岡部たちも、非力ではあるが銃器での射撃によって徐々に数を減らしていく。
勝てる、と誰もが思った直後。
ダァン!
というもはや聞き慣れてしまった音がした。
視線の先に見たのは。胸に赤い華を咲かせて崩れ落ちるシャルロットの姿であった。
第二に見たのは、岡部倫太郎が最も憎む相手。
ーーーSERNの構成員、桐生萌迦。
「萌迦ァァああああああああああああああああああッ!!」
飛びかかっていこうとしたが、桐生の姿は霧のようにぼやけて、消えていく。
「りんた…ろう…みんな…」
「シャルロット!目を開けろよ!シャルロット!」
「岡部!デュノアさんの想いを守るためにも、ここは進むわよ!」
「キリがねェ…ここは進むのが善策だ」
ベクトル操作した気流が横薙ぎに人形を薙払い、そのまま道を作る。
気味の悪い、不安を覚えさせるような螺旋階段を駆け上がる。
ベクトル操作は無造作には打てない。バッテリーが切れれば、荒耶には勝てない。
ほむらの射撃でわずかな追っ手を倒し、どんどん階を上っていく。
そしてその先に居たのは、さっきと同じ量の人形たち。
「邪魔なンだよォォおおおおおおおおおおおおッ!!」
背中から黒い翼が噴出し、一気に蹴散らしていく。
「(鹿目の奴…この翼のオンオフを可能にしたのか。ありがてェこった)」
「容赦ないわね」
一度流れに乗ったならもう止まらない。
荒耶の待つ最上階へと、歩みを進めていく。
◆
「……ふむ。思ったより手間取ってしまったとはいえ、まさか貴様等が上ってくるとはな。一人欠けたとはいえ上出来だ」
荒耶の眼前に立つのは、四人の生存者。
会話などは無い。怒りを堪えきれなかった『最強』の黒い翼が荒耶の右腕を毟り取り、他三人の一斉射撃が荒耶を蜂の巣にしていく。
「無駄だ。もはや私に攻撃などは通じない」
◆
「私は今から時を越える」
「手段は暁美ほむらのようなものではない」
「SERN…と言えば分かるな?」
「タイムマシンを入手した」
「まあ、その為に組織の『ラウンダー』なる連中は皆殺しにしてしまったが」
「桐生萌迦は私の生み出した幻だ。さすがに人形には出来なかった」
一方的な荒耶の言葉が続く。
そして、荒耶の背後から照らす『タイムマシン』に荒耶は乗り込み。
ーーーそのまま、消えていった。
◆
「これが、帰還装置か」
岡部の指さしたのは、座席だった。
皮肉にも紅莉栖の作ったタイムリーブマシンにそっくりの装置がついた座席。
しかし、その席数は三つ。
これが意味するのは、最悪の答えである。
ーーーーー誰か一人は、帰れない。
正確には、この世界に留まることは不可能であった。
現に、岡部たちの居る部屋は崩れていき、白い世界に呑まれ始めている。
世界の崩壊。
主を失った世界は崩れていき、やがて消えていく。
「俺が残ろう」
岡部は、きっぱりと言い放った。その瞳には、冗談の色は欠片もない。
「駄目よ!そんなことしたら、あんたは…」
「止めるなよ、助手……いや、紅莉栖。お前には未来があるんだからな」
岡部は座席に近付くと、そのままキーボードを叩いた。
画面には、
『牧瀬紅莉栖』『一方通行』『暁美ほむら』以上三名を生還させますか?
カチッ
帰還装置が起動した。三人が粒子のように少しずつ消えていく。
「岡部!嫌、嫌ぁあ!!」
「助手よ!もしも、運命石の扉(シュタインズ・ゲート)が俺達を選んだなら!」
「貴様には、再び未来ガジェット研究所ラボメンナンバー4を与え、そしてまたラボの頭脳として活躍してもらおう!フゥーハハハ!!」
世界が消えた。
今ここに、一つの物語が終わりを告げる。
【シャルロット・デュノア@IS】
【岡部倫太郎@Steins;Gate】 死亡
【牧瀬紅莉栖@Steins;Gate】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【以上三名、アニメ・ロワイアルより生還】
【GAME END】
最終更新:2011年07月21日 22:08