「ったく‥‥何でこうなるかな‥‥。」
夜。月の光が、僕を照らす。
また面倒なことに巻き込まれてしまった。
しかも、あの馬鹿馬鹿しい戦いが幻影だったなんて、本当に馬鹿馬鹿しい限りだ。
要するに、今まで生きていた三日間ほどは価値の無いものだった。
しかも今度は、首輪付きか。何で首輪なんだっての。
僕が、今居るのは、工場地帯と呼ばれるエリア。
工場地帯と、地図に書いてあるが、正式に言えば廃工場というほうが正しいだろう。
正しい、正しくない‥‥そんなことは関係ない。
結局
殺し合い。そんな物に正しいも正しくないも無い。
「動イタラ斬ルデ。」
早速のニアミスだ。
参加者とニアミスしてしまった。
そう、思いながら、ゆっくりと振り返り、参加者の顔を確認した。
ってか、え!?
あの‥‥いろいろと突っ込みどころがあります。
黒人であるところも別にいいよ。
定規が武器であることも別にいいよ。
片言の関西弁のところも別にいいよ。
いきなりニアミスしたことも別にいいよ。
ヌーブラつけているところも別にいいよ。
なんか、薄っすら笑顔なのも、別に気にしないよ。
やけに、定規の構え方がかっこいいところも別にいいよ。
ただ‥‥
‥‥ただ一つだけ突っ込ませてください。
何で、アンタ、鼻眼鏡つけてんだよ!?
まあいいや。
外国のお方だ。日本語がそれほど通じないかもしれない。
自慢じゃないが、こう見えても、英語は嫌いだ。そして、苦手なのさ。
大体、何で、言語を二カ国分の覚えないといけないんだ?
日本が戦争で負けなければ、こんな面倒くさいことはしなくても良かった。
ともかく、ありきたりの英語でいくか。
「Can you speak Japanese?」
「YES,Ican.ッテ‥‥ナンデヤネン!」
「初めてだ‥‥外人にのり突っ込みされたの。」
「ウルサイワ!死ンデマエ!!」
剣(というより、定規か)の動きは早かった。使い慣れているのであろう。
顔のギリギリ横を、刃先(?)を切り裂く。黒人の動きも判断も早かった。
強い。精霊か、その類に入るヤツだ。
ニアミスしてしまった相手が悪かった。
「カミサマに見放されたな、こりゃ‥‥。」
「神ハ平等ニ人ヘ巡ッテクルモンヤ。馬鹿ニスンナ!!」
相変わらず片言の関西弁で、緊張感というものは出てこなかった。
恐らく、このままいくと、斬殺されて、すぐにでもあの世行きだな。
死ぬ前に殺し合いしろなんて、面白くない世界だ。
さっさと殺せよ、外人。
「楽しそうじゃねェかァ!?俺も雑ぜろよォ!!!」
はい、フラグクラッシャーが来ました。
そんなに馬鹿みたいに人にニアミスする、そんな僕は逆にすごいと思う。
釣りあがった目。
くすんだ、深緑の瞳。
つりあがった口。
金髪と銀髪が混じったクシャクシャの髪。
耳につく、高い笑い声。
一目見るだけで、印象に残る。狂っていると。
「‥‥また、個性豊かなお客さんが来た‥‥。」
呟く。
「テメェら、どっちが強ェ?」
余裕でスルー
「さぁ?今の状況見たら分かるんじゃないの?」
分かるだろコレ
「なんならァ二人がかりで、俺を潰しに来てもいいんだぜェェ!?」
何でそうなるかな‥‥
「ハイハイ、オラノガ、強イ、ハズヤ。」
コイツの一人称、オラだったんだ‥‥
変わった奴、って言うよりも、間違って日本が覚えている人じゃん。
ってか、どこでコイツ日本語習ったんだ?
間違いまくりだろ。
「失せろ。ヒョロヒョロ。」
「もしかして、ヒョロヒョロって、僕のことか?」
「黙れ。早く失せねェと、テメェから肉片にすんぞ。」
ガチでやばそうな男。
片手には、ちょっと長いリーチのドライバー。コレで戦うつもりなのか?
文房具で殺し合いなんて思いもしなかった。
僕は、とりあえずその場を去った。
【一日目/深夜/D-3・工場】
【関勝宏@元所有者】
[状態]健康
[装備]不明
[道具]基本支給品、戦利支給品×0~3
[思考]
基本:‥‥何でこうなるかな‥‥
1:はいはい‥‥失せますよ。
◇
「神ヨ、我ニ戦ウ、力ヲオ与エ下サイ。」
呪文のように、呟くとキモ笑い剣士こと、フリックスは定規を握り締めた。
剣術は、イギリスで習った。なかなかの腕前の持ち主。
だが、彼は16世紀半ばイギリスで奴隷として、連れて来られた奴隷。
背中には、無残にも鞭で打たれたの痕が残されている。
まさか、数百年先の同じく国で生きていた猟奇殺人鬼と戦うとは思いもしなかっただろう。
「上弦ノ月!!!!」
先に言おう。定規は、プラスティック製だ。
普通なら、人の皮膚に当たれば、痣が出来るだけで、定規が下手をすれば折れる。
馬鹿でも分かる、常識。
その常識を覆すかのように、合間をとっていた切り裂きジャックに攻撃しかかる。
狙いは、左顔面。
とっさに定規を叩きつける。
馬鹿な子供みたいな戦法になってしまうが、先手必勝のつもりだろう。
そう、誰もが油断した。
ザクン
グシャ!!
血がとんだ。
血が、床に落ちた。
しかもかなり多量である血。
ジャック・ザ・リッパーの血が。
信じられないような顔を切り裂きジャックはしているが、次第に笑みを浮かべた。
「危ねェ‥‥顔面持ってかれるところだったぜェ。」
「ぬひひひひ!!回避シタヤト‥‥ソチラサン、化ケモンヤ。」
「ひゃはハハハァァァァァ!!!面白ェ!!楽しィぜェェェェ!!!」
ジャック・ザ・リッパーの左頬から、右目元にかけて、浅い傷が出来ている。
血が、頬を伝い、首へと垂れ、次第にポチャリと地面に落ちた。
固有能力その1『返り血』。
血がついた。つまり、能力は今、発動した。
武器は、長い定規。対するジャック・ザ・リッパーの武器は、ドライバー。
小学生の喧嘩か?と、突っ込みたくなるだろう。
「馬鹿だぜェ!!!テメェはよォ!!!」
「サセナイ!!“新月”!!!」
ザクン!!
肉が切れるような音がした。
切れるというよりは、肉が何かに刺さるというグロテスクな音。
ブシャリと血が飛び散る音も聞こえてくる。
鮮血が、宙に飛散して、霧のように辺りを塗りつぶす。
膝から、一人の男が崩れ落ちる。
ドスン、と鈍い音を響かせながらも。
「どうやら、神は信じねェ奴に傾いたようだなァ!!」
「何故‥‥神ヨ‥‥コノ‥‥。」
フリックスの腹部には、刀のようなものが突き刺さっている。
綺麗に着込んだ、服が真っ赤に染まっていた。
持っていなかったはずの刀で突き刺された。
一体何故‥‥。
その言葉が、フリックスの脳裏によぎる。
信じていたはずの神様という存在は、実に不平等であると。
「Punishment from God falls to you!」
足掻くようにフリックスは、見下ろすジャック・ザ・リッパーにそう吐き捨てた。
奴隷の中でも、頭が良かったフリックスは、英語は話せた。
ジャック・ザ・リッパーも口を開く。
「Do you know the person who murdered a person in the world?
It is your favorite God,」
流暢な英語。彼もイギリス出身だ。
フリックスは、奴隷仲間の中で唯一言葉が分かった。そして話せた。
それに負けないかのように吐き捨てられた、言葉。
そして、神を愚弄する言葉。
フリックスは、許せない。
ジャック・ザ・リッパーも。
そして、そんな男に負けた自分も。
自分に味方しなかった神にも。
神は残酷なものだ。
悲運な奴隷を殺し、五人もの女性を殺した殺人鬼を助けたのだから。
【フリックス@二つ名キャラ 死亡】
【第一回放送まで あと 十人】
【一日目/深夜/D-3・工場】
【暴食(ジャック・ザ・リッパー)@精霊】
[状態]健康(左顔面に傷) お食事中
[装備]ドライバー(変形し刀みたいになっている)
[道具]基本支給品、戦利支給品×0~2
[思考]
基本:強い奴と戦い、その肉を食べる。
1:ひゃはハハハァァァァ!!!!
※能力により、パワーなどは少し上昇中です
[オリキャラ紹介]
関勝宏(せき まさひろ)
理屈っぽい高校生。皮肉屋だけど一応主人公です。結構な危険思想の持ち主。
その他は、前ロワ参照
暴食(ジャック・ザ・リッパー)
狂っている青年。正体は、猟奇殺人犯ジャック・ザ・リッパー。
固有能力は、『返り血』『無限の刃』『捕食』。『捕食』‥能力者の肉を食べることで、能力をコピーできる。
その他のスタータス、能力は前ロワ参照
フリックス
黒人奴隷。英語が話せ、片言の関西弁だが日本語も話せるが、天然。
月の形に例え、相手の顔面を切り落とす。クリスチャン。
最終更新:2012年04月25日 22:54