一人は何だか寂しいね、だから

28:一人は何だか寂しいね、だから

「ん……」
「はぁ…はぁ…」
「子供…? おい、お前」
「!」

森の中をふらふらと歩いていた少女をゲレートが呼び止める。

「……(ブルブルブル)」
「そう怯えるな……私は殺し合いをする気は無い」
「ほ、本当…?」
「本当だ」

小銃を背中に担いだ目付きの鋭い獣竜にそう言われても説得力は余り無いが当のゲレートは気付かない。
正直どうするか迷ったが結局少女、神谷茜は獣竜を信じる事にした。

「…私、神谷茜って言います…」
「私はゲレートだ、お前も殺し合いをする気は無いんだな?」
「はい」
「分かった…茜、だったな? 一緒に行動しないか?」
「良いんですか?」
「子供一人放っておく事など出来んからな」
「あ、ありがとうございます……」

豪邸での一件があってから心に傷を負ったままずっと一人でいた茜にとってゲレートの提案は嬉しいものだった。
断る理由などどこにも無い、茜はゲレートの提案を受け入れた。
その後、豪邸であった出来事をゲレートに話す。

「そんな事があったのか」
「はい」
「…むぅ」
「……」

豪邸にて神谷茜はレオポルトと言う名の人狼に性的に襲われそうになった所を、
一人の人間の女性に救われたらしい、その女性は茜を庇い人狼と揉み合いになりそれっきりだと言う事。
茜には悪いがその女性が今も生存している可能性は限り無く低いとゲレートは思った。
しかしそれを言うとこの小さな女の子の心は張り裂けてしまいそうで、とても言えない。

「……生きていると良いな」
「……はい」
「…話を変えても良いか」
「はい」
「支給品、茜は何だったんだ」
「私は……これです」

茜が取り出した物は小型短機関銃のVz61、通称「スコーピオン」。
小口径の上に装弾数も少ないが茜の体格でも十分扱える銃器だ。

「お前でも扱えそうだな、良かったな」
「は、はい…」
「私は風邪薬だった…今持っている銃は、死体から剥ぎ取ったものだ」
「えっ、死体って…」
「勘違いするなよ、私が殺したんじゃない、違う奴に殺された死体から取ったんだ…。
死体から剥ぎ取るなんて、人でなしと言うか?」
「い、いや…」
「……風邪薬では戦えないからな」
「……」
「…特徴を言っておこう、刀を持った、学生服姿の狼の獣人の少女だ。一気に三人殺した危険過ぎる奴だ」
「はい…分かりました」
「なぁ、茜はこの殺し合いに知り合いはいるのか? 私は谷口誠と言う青年を捜しているんだが」
「ええと、名簿に一人…◆VxAX.uhVsMって人が」
「信用出来るのか? ちなみに私の誠は一応信頼はおける、はず」
「はい」

茜は迷う事無く肯定の返事をした。

「私、前、Vxさんに助けて貰って守って貰った事あるんです、間違い無いです」
「ほう…そうか、分かった、誠と、そのVxと言う奴も捜そう」
「お願いします」
「さてと……まずどうし……」

ゲレートが不穏な気配を感じた。
振り向いた時、斧を振り被る紅白鎧の男が見えた。




「えっ」

茜の顔に真っ赤な液体が降り掛かる。
目の前でゲレートの首が飛び、断面から赤い噴水が噴き出していた。
その肉体が崩れ落ち、茜はその様子を呆然と見詰めていた。
何が起きたのか理解出来なかった。

「こんな時にお喋りばっかしてちゃあ、いけないよなぁ…」

紅白鎧の男が笑みを浮かべながら何か言っていた。
男の手には血の付いた大きな斧。

「そんな訳で、悪いけど……」

男が斧を振り被る。

「君にも死んで貰」

無意識の内に茜が持っていたVz61を構え引き金を引いた。
男の顔に一気に10発の.32ACP弾が撃ち込まれ、男の顔面は見るも無残な状態に変化する。
間も無く男の身体もその場に崩れ落ち、二度と立ち上がる事は無かった。

「……あ」

気が付けば、茜はまた一人ぼっち。
ついさっき「一緒に行動しよう」と言ってくれた人は、今や首を失った物言わぬ屍と化している。

「…どうして…何でこうなるの…うっ…ああ…ああああ……!」

再び孤独となった少女はただ泣く事しか出来ない。


【ゲレート@オリキャラ  死亡確認】
【ブライアン@VIPツクスレ・もしもシリーズ  死亡確認】
【残り  32人】


【朝/C-2森】
【神谷茜@◆6LQfwU/9.M氏のオリキャラ】
[状態]精神疲労(極大)
[装備]Vz61スコーピオン(0/10)
[持物]基本支給品一式、Vz61弾倉(3)
[思考・行動]
基本:殺し合いはしたく無い。◆VxAX.uhVsMさんに会いたい…。
1:あああああああ……!
[備考]
※需要なし、むしろ-の自己満足ロワ3rd本編死亡後からの参戦です。
※レオポルトを危険人物と認識しました。


027:イリーガルドラッグ 目次順 029:揺らぐ決心

017:三匹を斬る ゲレート 死亡
012:憤慨、驚愕、贖罪 神谷茜 038:白い季節の中、冷たい空の下
006:悲劇と憤り ブライアン 死亡

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2012年02月16日 00:38
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。